これで、完璧? 生活魔法+α取得済。
主人公の嗜好説明的なBL描写がこそっと出ています。
苦手な方はご注意ください。
掃除魔法いいよねー。
大掃除の時に切実に欲しくなる窓ガラス掃除魔法。
や、普段からマメに掃除していればいいんですけども。
年明けても部屋の中が片付いていないのが、切ない所……。
もそっと部屋の片づけはきちんとしないとなぁ。
「さて、と。じゃあ、掃除魔法からいこうか。リリー先生! 説明を所望します」
「苦しゅうないのねー」
なかなか時代劇な言い回しだ。
掃除魔法 術が発動されれば自動でやってくれる。
合言葉は待つ事5分。
待っている間、移動はできません。
レベル1 部屋限定埃除去。所要時間5分。
レベル2 部屋限定汚れ除去。所要時間10分。
レベル3 部屋限定窓ガラス掃除機能。所要時間10分。
レベル4 トイレ掃除機能。注意1参照!! 所要時間10分。
レベル5 部屋限定ワックス機能。所要時間20分。
レベル6 部屋限定頑固な汚れ除去。所要時間30分。
レベル7 庭掃除機能。所要時間注意2参照!!
レベル8 範囲特定掃除機能。注意3参照!!
レベル9 部屋限定細菌除去。所要時間30分。
レベル10 1~9までの掃除一括機能。所要時間5分。
注意1!!
基本汲み取り式トイレです。
買い取り専用業者がいます。
消臭も完璧なので、大変重宝する機能ですが、取得するまで悪臭に耐えかねて挫折する人も少なくないです。
水洗トイレは王族レベルの層にしか存在しません。
注意2!!
広さによって所要時間が変わります。
家庭菜園や花壇程度であれば、10分。
家と同じ広さで、30分。
家の倍の広さで、1時間。
貴族の庭園レベルで、3時間。
注意3!!
掃除をする範囲が指定できます。
掌サイズから城サイズまでOK。
ここまで取得しているのは数少ない業者さんのみです。
「普通に掃除するよりは早い感じなのは、さすがに魔法だわー。するってーとぉ……」
リリーの程々にして欲しい気もするけど、無理だろうなぁという、何とも言えない生温い目線に……負ける私ではなくってよ!
「ぼーっと待っているのが嫌だから、自分で考えて動く万能掃除機所望! ル○バさん系なら尚良し! トイレはどこでも設置可能の水洗で、芳香剤はほんのり金木犀希望! いっそゴミが付かない防護機能を発動させちゃう? あ! ゴミ分別機能付のエコなゴミ箱をスライム型で!」
「……スライム型のごみ箱……嬉しいような、寂しいような……複雑な気分なのね……」
「はっ! そうだよね! ごめんねっ! 癒されると思ったんだけど! スライムゴミ箱は却下で! えぇ??」
「遅かったのねー。そんな予感もしていたのねー」
私とリリーの前へ、ぽいーん、ぽぽいーんと気の抜ける音と共に、出現したアイテム? 二つ。
一つは小型なル○バ風。
まるで私、できる子ですのよっ! と、言わんばかりの軽快なエンジン音をさせている。
静音を希望すれば良かったと、心の隅っこで微かに後悔した。
そしてもう一つ。
これはやはりアイテムと言えないだろう。
ぷるぷると揺れている、リリー達より一回り小さい純黒スライム。
「みー!」
ル○バ風の隣で、胸を張っているかのようにふんぞり返り可愛い声で鳴いている。
「さ、サクラちゃんを……」
「……二人に名前と指示をあげるのね。鑑定は、偽装と隠蔽を覚えてからで良いのね……」
確かにやる気満々の二人? を放置するのはかわいそうな気もする。
「それじゃあ……君が、ルンちゃんで。君はピュア。ルンちゃんは、凄く優秀なお掃除道具の名前から貰いました。ピュアちゃんは純粋に真っ黒なので、純粋という意味の言葉を選びました」
「るっ!」
「みっ!」
どうやら喜んでくれているらしい。
意思の疎通も可能なようだ。
付喪神的な対応? で良さそうな気がする。
「洞窟の中の掃除とか、ゴミの判別が難しいかもしれないけれど、二人に一任します。気になった所は質問して下さい」
「るるっ!」
「みー!」
「ちょ! かわっ! かわっ!」
「可愛いのはわかったから、ちょっと落ち着くのねー」
ピュアがルンの上へぴょんと飛び乗ったのだ。
ル○バに猫が乗っているのを想像して貰いたい。
可愛いでしょ?
可愛すぎるでしょう?
しかも、意思の疎通ができるんだよ!
神の所業だよね?
「取り敢えず、拝んでおこう!」
異世界の神様―。
ありがとうございます。
擬人化機能? 嬉しいです。
今後もこんな感じでぜひともお願いしますー。
「……これ以上、フラグを立ててどうするのね?」
「折らずに全回収するのがBLマスターとしての、誇りですことよ!」
「全員女の子で、残念だったのね?」
「いやいや。むしろ歓迎かなぁ。皆みたいな良い子達を、残念妄想の餌食にしたくないからねぇ。私はかなり業が深い貴腐人だからさ。近くに居た人も結構餌食にしたからねぇ……」
事なかれ主義すぎる使えない上司、ミス押し付ける先輩、成果を横取りする後輩。
皆鬼畜凌辱の妄想にぶっこんでやったとも!
親切にしてくれた男性は、全員見事に何かしらの下心満載だったからなぁ。
BL妄想の被害者にするのに微塵の後悔がなかったというのも、あるかもしれないけどさー。
「ローズあたり、すっごい嵌りそうで布教もしたいんだけど、今は忙しいから無理かな」
「スライムにBL布教とか、愛は筋金入りなのね……」
呆れ半分、面白そうな風合い半分。
全否定しないリリーの優しさが心に染み入る今日この頃……。
「さて、ご飯作る前に、偽装と隠蔽を覚えておこうか!」
「了解なのねー。一般的には!」
と、リリーがどこから出してきたか指揮棒? 指摘棒? で、私とスライム達にしか見えないらしい画面を差して説明をしてくれる。
眼鏡をさせて、できる女教師風にしたい。
偽装魔法 一度かければ常時発動。
ステータスを偽装する。
姿形を偽装する。
服従したモンスターを偽装する。
レベル1 ステータス偽装。設定したレベルの一般的な数値に。
自分より低いレベルに対して有効。
レベル2 姿形を同性の別人に。
レベル3 服従したモンスターを癖のないものに。
レベル4 ステータス偽装。相手の思い込み通りに。
自分より高いレベルに対して有効。
レベル5 姿形を異性の別人に。
レベル6 服従したモンスターを強すぎるものに。
レベル7 ステータス偽装。自分に都合良くカスタマイズ。
モンスター以外看破不能。
レベル8 姿形をモンスターに。
レベル9 服従したモンスターを自在にカスタマイズ。
レベル10 その時々によって自動自由に。
看破不能。
隠蔽魔法 一度かければ常時発動。瞬間で違和感なく隠蔽できる。
姿を隠蔽。
気配を隠蔽。
存在を隠蔽。
レベル1 森林・山岳部で姿を隠蔽。
レベル2 村・町で姿を隠蔽。
レベル3 森林・山岳部で気配を隠蔽。
レベル4 村・町で気配を隠蔽。
レベル5 森林・山岳部でパーティー全員の姿を隠蔽。
レベル6 村・町でパーティー全員の気配を隠蔽。
レベル7 国・世界で姿を隠蔽。
レベル8 森林・山岳部でパーティー全員の存在を隠蔽。
レベル9 村・町でパーティー全員の存在を隠蔽。
レベル10 国・世界で気配を隠蔽。
*国・世界で存在を隠蔽すると、存在が消えてしまう可能性があるので、取得不能。
「最後にさらっと怖い説明が出てきたねぇ……」
「愛なら向こうの世界で復活もできそうなのね?」
「あー向こうへ戻るつもりはないからなぁ。今の所、この世界で生きていたいから、未取得でいいや」
望めば取得も可能だろう。
必要になった時にまた考えれば良い。
「偽装魔法はそのままでOK! 隠蔽魔法は国・世界でパーティー全員の姿と気配の隠蔽も可能に!」
「あ! 今回はすんなりさんなのね」
「だって次があるじゃない?」
「あーねぇ?」
二つの魔法は、鑑定しなくともさして変化がないだろう。
というか、本来はそういうものだろう。
一度にレベルマックスまで覚えるのも異常なのだ。
「転移魔法にレベルは存在しないのねー。一応モンスター特有の魔法とされていて、モンスターのドロップアイテムでのみ転移が可能なのねー」
「へぇ。そうなんだ」
「ドロップアイテムはこんな感じー」
イエロータイムバードの羽
直近に就寝した場所へ転移。
調教可。召喚は不可。
レッドタイムバードの羽
戦闘(対人戦含む)からの完全離脱。
調教不能。召喚可。
ブルータイムバードの羽
ランダムで表示される三か所から指定転移可能。
調教不能。召喚不能。
ホワイトタイムバードの羽 レア
訪れた場所であれば、どこでも指定転移可能。
調教可。召喚可。
「国によっては殺害禁止。基本的には、雷系の魔法で上手く痺れさせて羽を毟り取って、空へ放すみたいなのねー。ホワイトは調教も召喚も可能とされているんだけど、姿を見るのすらマレなので、眉唾らしいのねー」
「ユニークモンスターだったら良いのにね、ホワイトタイムバード。もっふるな毛に埋まって空を飛ぶとか幸せだわー」
「ユニーク個体に関しては例が少ないから、何とも言えないのねー。変異するっていう話もあるし、新しく生まれるっていう説もあるのねー。私達の生まれ方はその中でも更に特別仕様だけどねー」
「なるほどねぇ」
「空飛ぶ魔法もあるのねー。覚えたいのね?」
「うーん。どっちかと言えば、何かに乗りたいかなぁ。皆を乗せて自分で飛ぶのにも憧れるけど」
「隠遁生活する頃に取るのもいいのねー」
「優先度的にはそんな感じかなぁ。よし! 転移魔法取得希望しますっ! 何時でも何処でも希望する場所へ行けます! 行った事ない場所でも行けます! 異世界転移もできた方が嬉しいかも? 瞬間移動でお願いします!」
異世界転移はいらないかと思っていたけど、一度くらい帰って薄い本とか黒歴史日記の処分とかしたいわ! と思い直した。
こっそり連載していたウェブ漫画をさくっと完結させたりもしたい。
会社にもまぁ……筋は通したい。
転生か、転移もしくは召喚なのかまだ解かってないからさ。
死んだ記憶がないから、転移かなぁと最初思ったんだけど、今は召喚の可能性もあると思っている。
しかも、神様とかそのレベルによる。
私の為に生まれたユニーク個体とかっていうとねぇ。
そう思っても大袈裟じゃないでしょ?
ラノベ好き的には。
「……一時帰宅して身辺整理したい気持ちはわかるけどねー。愛の帰る場所はリリー達の所なのね?」
「当然! 時間軸とかも解からないから、飛んだら地球がなかったとか、有り得なくもないし。まぁ、拠点を作る方が先決だねぇ」
どんな転移魔法を取得できたのか妄想しながら伸びをする。
「ちょっと疲れた気がする……」
「普通は掃除魔法の段階で昏倒しているレベルなのねー。お昼寝……お夕寝するのねー。夕食じゃなくて、夜食でもいいのねー」
「それじゃあ、御言葉に甘えるね……おやすみ、リリー」
「おやすみなのねー」
触手がうにょんと伸びて額をぽふぽふと叩かれる。
身体が睡眠に落ちるのにちょうど良い体温にしてくれたのか、すこーんと深い眠りに落ちてしまった。
最後に睡眠か食事で〆ているのパターンが多い気がします。
リリー以外の子達ももっと活躍させたいんですけど、洞窟から移動しないと難しいかなぁ。
ローズと二人で戦闘レベル上げとかも書いてみたいんですけどね。
次回は、オリジナルな攻撃魔法ですよ! の予定ですが、食事描写に耽溺しすぎてそこまで行けないかもしれません。
数々の便利調理器具をご覧あれ! になる可能性も高いです。