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魚の美味しさも知るといい。

 使用継続となった薬の副作用が出てしまいました。

 想定していたよりも酷くて凹み中……。

 

 


 希少部位に拘らず、子供たちには食べやすい料理を食べさせていたローズが、一旦休憩しなさい! と子供たちにストップをかける。

 子供たちは笑顔で地面に寝転がった。

 地面に座るよりは! とサイがシルコットン製の敷物を出しかけて、サクラに川藻生地の敷物が無難なのです! と諭されてそちらを出す。

 鮮やかな青色の川藻生地は、最高ランクらしい。

 子供たちは、こんな贅沢な布の上に転がっていいのか迷ったようだったが、トレントたちの枝に転がされて乗せられてしまえば、あとはもう最高級品の感触を楽しみだした。


「子供たちは、ここまでですわね。あとは軽いデザート程度にしておきましょう」


「そうだね。そのうちもっと食べられるようになるだろうし」


 良質な奴隷館にいたようで、病的に痩せてはいないが、さすがに自分たちのような健康優良児とはいかない。

 しばらくは様子を見つつも、多めに食べさせたいところだ。


「う! ここからは大人たちによる魚のターンなのよっ!」


「ん! 貝類も放出するのっ!」


 肉はモーモー、クックルー、ポークで満足できてしまうので、今のところそれ以外は手を出していない。

 魚に至ってはぽしゃーん魚とスケットダラしか食べていなかった気がする。

 貝類はまだこちらに来て一度も食べていないはず……。


「アイリーンにお勧めは、虹色の至高なのねー。あちらのアワビなのねー。時々虹色の至宝っていう宝石が入っているから、食べるときは注意するのねー」


 おお。

 こちらのアワビはアコヤガイの性質も兼ね備えているようだ。

 ちなみに形はホタテ貝だった。

 中もホタテ貝に似ている気がする。


「あ! 虹色の至宝発見!」


 掌サイズの貝殻で、中身は一回り小さいサイズ。

 そんな中に親指粒ほどの大きな虹色の宝石が入っている。

 見事な真円だ。

 向こうでも最高級に分類されるだろう、綺麗な真珠にそっくりだった。


「さすがはアイリーンなのねー。これぐらい質が良くて形の良い逸品は滅多にないのねー。取っておいて身を守る系のアクセサリーにするのねー」


「黒髪と相性がいいからねぇ、真珠。じゃなかった虹色の至宝。髪飾りに使うには勿体ないかしら?」


「そんなこともないのねー。ただまぁ、お偉いさんに絡まれたくなかったら、そっと服の中に隠しておけるペンダントにするといいのかもねー」


「あらら」


 希少かつ綺麗な素材なので、いいアイデアが浮かぶまで死蔵しておこうと決める。


「あー。貝柱美味……醤油、さしてもいい?」


 焼いた貝柱を堪能してしまえば、当然生も食べたくなる。

 ねっとりとした生の貝柱の食感は、かなり好きなのだ。


「存分にさすといいのです」


 サクラが濃い口醤油の入れ物を出してくれる。

 ちょろっとだけかけた。


「うん。やっぱり醤油との相性抜群すぎる……」


 お刺身は醤油に限る。

 生の魚介はカルパッチョにするのもいいけど、やっぱりお刺身も捨てがたかった。


「ん! お醤油をさして、焼くのっ!」


「う! 匂いにつられて、子供たちが復活してしまったのよっ!」


 サイによって禁断の調理方法が披露されてしまえば、当然の結果だ。


「そうですわねぇ。一つぐらいならよろしいかも……」


 思案顔のローズの前に、新しい皿を持った子供たち三人がスタンバイしている。

 早すぎる復活に、おなかはぽっこりしたままだ。


「さ、今度はしっかり噛んで食べるのですよ」


「「「はーい!」」」


 うん、良い返事だ。


 三人揃って口の中に入れた虹色の至高を噛み締めながら、笑顔で頷いている。


「こ、この味付けは……大変すばらしゅうございます! 初めていただいたお味なのですが……」


 エステファニアが目に涙を浮かべながら感動している。

 猫獣人にはやっぱり魚がいいらしい。

 しかもしっかりした味付けが美味しいようだ。

 猫に与えるのに醤油は強すぎる成分だろうが、この様子なら猫獣人には大丈夫だろう。

 ……たぶん。


「私の故郷の味だよ。隠された故郷なんで、一般には出回ってないかな」


「そんな希少な物をいただいてしまって、よろしかったのでしょうか?」


「ははは。私、かなり食に拘りがあってね。どうせなら美味しく食べたいでしょう。信頼できる人たちと」


「! 他言無用は、子供たちにも徹底させますので、御安心くださいませ」


「この村にいる限りは情報も漏れないと思うけど……情報漏洩に関しては、皆頑張ってくれるから、そこまで神経質にならなくても大丈夫。ささ、引き続き焼き魚や貝を堪能するといいよ」


「はい。ありがとうございます。あ! テオさん。お魚がとっても美味しゅうございますよ!」


 エステファニアが魚好きの同志に声をかける。


「おぉ! ぽしゃーん魚に、スケットダラ……に、虹色の至高まであるとは……あ! 御主人様、クックルーの皮! 大変美味しかったです。寿命が三年は延びた気がいたします」


「いいよね、皮。私は塩でいただくのが好きだけど……」


「し、塩以外の食べ方もあるのでしょうか?」


「ローズが各種タレを作っているから、それを絡めて食べると美味しいよ」


「ローズ殿! クックルーの皮にあったタレがあるとのことですが!」


 魚よりもクックルーの皮に執着するテオを見て、エステファニアが可愛らしく笑う。


「ふふふ。あんなに楽しそうなテオさん、初めて拝見いたしますわ」


「落ち着いたら魚にも目が行くかもね。あ、カロリーナ! 貴女のオススメの魚介を紹介してあげなよ!」


「勿論ですわ~。アイリーンの作る料理は何でも美味しいですからね~。スケットダラとキノコ三種類を蒸し焼きにしたものを、オススメしますわ~」


 皿ではなく、スープカップのような入れ物に入っている、スケットダラとキノコの蒸し焼きを手渡されたエステファニアは、本来のバーベキューでは決して見られそうにない優美な所作で、スケットダラを口にする。


「まぁ! スケットダラとキノコは大変相性がよろしゅうございますね!」


「お! エステファニアはわかってるねぇ。キノコって単品でも最高に美味しいけど、他の食材との相性も抜群で、最高に使い勝手のいい食材なんだよ!」


 キノコを賛美すれば、どこからともなくやってきたトリアが、熱弁を振るいだした。

 皿の上にはキノコばかりが山と載っている。 


「子供たちは、まぁ仕方ないとしても、大人の君たちには、もっとキノコ類を食べてほしいなぁ」


「自由な時間によくキノコを探して食べたものですが……その……火をおこせなかったので、食あたりをしてしまいまして……食べている最中はいいのですが、その後が……」


犬獣人でも魚は美味しいらしい。

 肉に続いて舌鼓を打っていたチコが、会話に入ってきた。


「あーなるほどなぁ。そりゃあ、遠慮したくなるよ。でもまぁ、この村にいる限りはキノコを焼いて食べる時間はあるからさ。今後は美味しく食べてほしいな」


 言いながらトリアは犬獣人夫婦の皿にキノコを山と盛った。

 ちなみに今回は、タケシクン、リンギエ、ジシメ、タケヒラノン、キノエダッケに加えてケタケタも並んでいた。

 エステファニア以外はケタケタを涙目で見つめている。

 笑いが止まらなくなった経験があるのかもしれない。


「あ、このケタケタは品種改良しているから、笑い転げることはないよ! 肉を食べたあとで食べると口の中がさっぱりするんじゃないかな?」


「も、もう少し! 魚を食べてからでもいいでしょうか!」


「そんな、涙目で力説しなくても……まぁ、無理して食べなくてもいいからさ」


 トリアが肩を落としているので、私は改良されたというケタケタを口に入れた。

 濃厚なキノコの味が口に広がって、僅かに残っていた口の中の脂っこさが見事に払拭する。

 

「あー、これ食べた後だと、口の中がさっぱりするから、まだ肉や魚を食べたいんだったら、食べておくといいんじゃあ……」


 私の説明を聞き、大人たちが揃って口の中に入れた。

 チコはよほどの目にあったのだろう。

 硬く目を閉じている。


「……美味しいです。しかも……笑いがこみ上げてきません!」


「だから言ったじゃん! 改良したってさー」


 トリアは頬を膨らませながらも、全員がケタケタ改良種を完食したのが嬉しいらしい。

 目が笑っている。


「次はぽしゃーん魚をいただこうと思うのです! スケットダラも大変美味しかった……あの、御主人様? あちらも……村人ですか?」


ダナが指さす方向を見つめる。

 トリアもトレントも囲いし者たちも反応していない。

 つまりは侵入者だとしても、害意のあるものではないはず。

 私は、建物の陰に隠れている存在に向かって声をかけた。


「あのー何かご用ですか? 一緒に召し上がりたいのでしょうか?」


 声をかけられると思っていなかったのか、ぴゃ! っと飛び上がって、転がり出てきたのは……キノコだった。

 それも擬人化した、見事な人間サイズのキノコ娘? だった。





 虹色の至高

 アワビ。

 ホタテ貝に似た見た目と味。

 極希に虹色の至宝と呼ばれる宝石が入っていることがある。


 虹色の至高 貝殻

 属性付の道具が作れる。

 細工師のみ作れる。


 虹色の至高 宝石 レア

 虹色の至宝と呼ばれる。

 毒無効の効果有。

 属性付の道具もしくは装飾品が作れる。

 細工師のみ作れる。

 単純に宝石としての価値も高い。


 虹色の至高 貝柱

 帆立の貝柱の味とボリューム。

 新鮮な場合のみ生食可能。

 高級食材として愛されている。


 虹色の至高 身

 貝柱とヒモ内臓以外の部分。

 貝柱とヒモの中間の硬さ。

 新鮮な場合のみ生食可能。

 +水、鮭、他の魚、ショウガなど


 虹色の至高 ヒモ

 サバイバル料理の材料になる。 

 この世界では使い物にならない素材として捨てられている。

塩もみすれば生食可能。

 保存食、もしくは珍味として売り出せば一攫千金も夢ではないかもしれない。


 虹色の至高 内臓

 薬(下剤)が作れる。

 強力下剤なので、一部では毒ではないかとも言われている。

 +綺麗な水、ミント






 喜多愛笑 キタアイ


 状態 心身ともに良好  


 料理人 LV 4 


 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

      治癒魔法 LV10


     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)



 ストックが減る一方で青息吐息です。

 寒さが酷くなる前に、もっとストックを作っておきたいんですけどね……。


 次回は、キノコ娘がやってきた。(仮)の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 次回も引き続き宜しくお願いいたします。

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