獣人奴隷たち。後編。
男性女性ともに陵辱及び暴力描写有。
ざまぁ回。
苦手な方はご注意ください。
欠損や病が完治した奴隷たちは、静かに喜びを分かち合っている。
奴隷たちの控えめな態度は私たち以外に、屑奴隷に辟易としていたアランバルリも安堵させたようだ。
あえて完全遮断していない、見せつけ小屋からの鬱陶しい気配は腹立たしいが、奴らが心底悔しがっているのには溜飲を下げた。
どこまでも屑だと安心もできた。
ここまで屑ならどうなっても心を痛めずにすむからだ。
「さて……心身ともに健常になれたら、ゆっくりお風呂に入ったあとで、まったりと食事かしらね?」
「だよね。さ、皆。並ぶといいよ。お風呂に必要な物を渡すからね」
トリアの指示でトレントたちがお風呂セットを用意していた。
奴隷たちは戸惑いながらも従順にお風呂セットを受け取っていく。
「ふ、風呂でございますか! 私どもが使用してもよろしいのでしょうか?」
「うん。いいよ。あ、エステファニアはお風呂を使った経験があるのかな?」
「はい。嫁ぐまでは定期的に使用しておりました」
やはり高貴な生まれだったようだ。
虎獣人に目を付けられなければもっと、幸せな生活を送れただろうに。
今後はせっせと幸福にしてあげないと駄目だよね。
お風呂に入ったエステファニアは、きっともっと綺麗になるはず。
見るだけで幸せになれる相手なんて、そうそういないからさ。
大切にしないとね。
「じゃあ他の皆は、エステファニアに使い方を教えてもらう感じでいいかな?」
「うーん。アイリーンの作ったお風呂は、奴隷の皆様が使用している風呂とは違う気がしますの~。私も一緒に入りますわ~」
「じゃあ、僕も入ろっかな。水風呂もいいけど、お湯のお風呂も気持ちいいってわかってきたからね」
皆に相談しつつとはいえ、お風呂に関しては譲れない点も多かったので、高貴な出のエステファニアでも困るレベルの、規格外風呂かもしれない。
だとすれば村人の誰かが説明するのが無難だろう。
カロリーナもトリアも風呂好きなので、喜んで説明してくれそうだ。
「了解。それじゃあ、よろしくね。湯あたりしない程度に楽しんでくださいな」
一斉に頭を下げた奴隷たちが、カロリーナとトリアに先導されて大浴場へと向かう。
中に入っただけで歓声が聞こえた。
エステファニアの歓声が一番大きかったのに、思わず微笑んでしまう。
やはり規格外の風呂だったらしい。
「皆嬉しそうで何よりなのねー。善良な奴隷になら、シャンプーやリンスを含めた贅沢品を渡しても大丈夫な気がするのねー」
「もらった物を大切に使うのは勿論、愛への感謝も忘れないと思うのです」
「う! しかもそれが永続的に維持できると思われるのよっ!」
「ん! 絶望の淵から抜け出せたのは、本当にいいことなのっ!」
「……良い子たちには健全な環境を! では、愛。悪い子たちは、どうするの?」
「決まっているでしょう?」
永遠の絶望を与える。
それしかないだろう。
私が癒やさなければ、子狸とエステファニアは数日の命だったのだから。
ひょいっと覗き込んだ見せつけ小屋の中は悲惨だった。
虎獣人が暴れまくったのだろう。
他の奴隷に先ほどはなかった幾つもの傷が見られる。
特に猿獣人は酷い。
信じがたいことに、猿獣人は虎獣人に陵辱されていたのだ。
御自慢の顔も腫れ上がっている。
抵抗して、虎獣人に殴られたのだろうか。
「うわー。ないわー」
次いで悲惨なのは、狐獣人の妻。
こちらも陵辱されている。
現在進行形で、子虎に首を噛まれながら……だ。
自分の背丈の、半分にも満たない子供に陵辱される屈辱はさぞ凄まじかろう。
夫も子供も一応助けようとしたのだろうが、子虎の暴力に屈したらしい。
腕や腹を押さえて隅で縮こまっている。
圧倒的な力を容赦なく振るう分、虎親子の最悪さは際立っていた。
「気持ち悪っ! アイリーンに変なものを見せるんじゃありませんわ!」
ローズがスライム触手を伸ばして、繋がっている二組をそれぞれ引っぺがした。
猿獣人も狐獣人もさすがに打ちひしがれて、力なく横たわる。
牙を剥き出しにして唸っている虎親子の性器が、見苦しい状態になったままなのに眉根を寄せた。
「アイリーンの指示なく勝手をするなんて、許されぬのです。まずは……罰を」
「ぎゃひいいいいいい!」
「びやああああああ!」
虎親子から耳を塞ぎたくなるような悲鳴が上がる。
サクラのスライム触手が、一片の容赦も躊躇いもなく男性の象徴を切り取った。
二本の竿と四つの玉が血に塗れて、地面に転がる。
転がった汚物は、ルンとピュアのコンビがささっと掃除してくれた。
抱き合って震えていた狐親子が、虎親子に下された断罪を見て失神した。
やはり男性にはこれが一番の罰だろう。
「う? 欠損は治癒しなくても、精神疾患は治癒させるのよっ?」
「当然」
私は全員に治癒魔法のレベル7を放つ。
虚ろな目で倒れ込んでいた二人は、ゆらりと体を起こし、憎悪を孕んだ眼差しで虎親子を凝視する。
失神した二人は、目覚めてもまだ抱き合っていた。
虎親子は怪我をした痛みに呻いている。
「痛みは……一旦消しておこうか……」
僅かな間迷ってから、虎親子にレベル6の治癒魔法を放った。
切断も三か所となれば十分重度の怪我に当たるだろうとの判断だ。
「ん? もう治癒してしまうのっ?」
「勝手な行動をした罰は与えたけど、私の所有物を傷つけた罰は、まだだからね。ちゃんと治癒しないと、次の痛みを与えても、本来の痛みを感じられないでしょう?」
転げ回っている虎親子は気がつかない。
痛みが消えたのにも、認識できていないようだ。
けれど他の四人は全員、顔色を純白に変えた。
「陵辱された二人に問う。復讐をしたい? それともしてもらいたい?」
二人は顔を見合わせた。
純白の顔色が一瞬で真っ赤になってしまう。
「「復讐したい!」」
残念ながら結果は分かりきっていたものだった。
二人は自らの手で復讐すると決断した。
絶望的に愚かな二人だ。
私の言葉に顔色を変えておきながら、自分たちに復讐が許されると思っている辺りが、許されぬ傲慢だというのに。
深い溜め息を吐いた私は拷問好きだというトレントに、最適なサイズの枝を二本くれるように頼んだ。
トレントはすぐに察してくれたらしい。
成人男性の二の腕ぐらいの、太さで長さの枝を渡してくれる。
「これを使いなさい」
見せつけ小屋の中へと枝を投げ入れれば、二人は訝しげな顔をする。
これでこいつらを殴るとか、できるわけないわ、馬鹿ね!
と、どこまでも私を嘲る表情だ。
「わからないの? 自分がされたことを、そのまま返しなさいと言っているのよ」
こんなこともわからないなんて、馬鹿なの? という表情を、どこまでも露骨に作ってみせた。
女性たちは私の意趣返しに、むかっとしたようだったが、男性たちはすかさず虎親子を拘束した。
通常の状態ならできなかっただろう。
やろうとも思わなかったに違いない。
しかし、男性の象徴を奪われた虎親子が迅速な対応を取れるほど、頭がいいと思わなかったようだ。
また、自分たちが陵辱される側に回るなどとは考えなかった虎親子の反応は実際、驚くほど鈍かった。
「ぎゃひいいいいいい!」
「びやああああああ!」
切断されたときと同様の絶叫が上がる。
女性二人の表情どころか、狐親子の表情までもが満ち足りていた。
四つん這いの格好を強要された虎親子の尻から、太い枝が生えている。
虎親子は衝撃と痛みにぶるぶると震えていた。
恥辱の色がないのが笑える。
案外とそっち方面の素質があるのかもしれない。
まだまだ痛めつけてやりたい! そんな加虐心を隠せないまま、女性たちは陵辱を続けた。
狐親子は同じ男性ということで、やはり思う所があるらしく、一歩引いたところで見守っている。
虎親子は抵抗もできずに大人しく陵辱されていた。
しかし血まみれの枝で虎親の頬を殴ろうとした途端、握り締めた枝ごと猿獣人が吹っ飛ぶ。
通常の暴力には対応できるらしい。
足元が覚束ないながらも、虎親が立ち上がる。
四つん這ったままの息子を見下ろしたその視線を、吹っ飛んだ猿獣人に向けた。
殺意の溢れた目線だった。
「それ以上私の所有物に手を出すようなら、今度は手を切断しないといけないんだけど? ねぇ? 貴様は、一体、どこまで私の手を煩わせるつもりなんだ、あぁ?」
地を這うような私の不機嫌声に、虎親は飛び上がって、地面に伏した。
私が上位者だと、ここにきて認めたらしい。
移動した息子も虎親に並んで地面に伏す。
新たな罰を考えながら、治癒魔法のレベル2を使った。
痛みはないが、異物感は残っているという状態だろう。
さぞいたたまれないに違いない。
狐獣人が立ち上がって、子虎に向かって枝を振り上げる。
振り下ろす前に、私は解体特化のサイにお願いをした。
「う! 学習能力のないお馬鹿さんには、罰が与えられるのよっ。痛みとともに学習するのよっ!」
「がひゅう!」
枝は子虎の首筋に傷を残すのには成功した。
だがその代償は狐獣人にとって、最も忌むべきものだったであろう。
サイの解体技術によって、狐獣人は根元から舌を引き抜かれていた。
血を噴き出す狐獣人に向かって、治癒魔法レベル2を放っておく。
出血も止まり、痛みも消えたけれど、舌は戻らない。
舌が戻らなければ詐欺師必須の弁舌も、戻りはしないのだ。
必死に喉を掻きむしる妻の傍に夫と子が、おそるおそる歩み寄っている。
そして妻から舌が奪われたのだと知り、二人は私を恐れの眼差しで見つめた。
彼らは学習できたらしく、妻の舌を治癒しろとは言わなかった。
「つった! ちょっと! 復讐を完遂させるのが、アンタの役目……え? え? い、いやあああああああ!」
吹っ飛ばされても失神はしなかったらしい。
どころか鼻息も荒く猿獣人が近づいてきたので、私は彼女にあるものを向けてやった。
「顔! 私の美しい顔がぁあああ!」
鏡に映った己の顔を見て、喉が裂けそうな悲鳴を上げる。
猿獣人の顔には斜めに綺麗な刀傷が残されていた。
にやりと肩の上で笑うローズが、スライム触手を硬化させてみせる。
相変わらずうちの子万能説が炸裂していた。
私の所有物を傷つけた断罪は、指示せずともローズが行ったようだ。
「私の所有物に傷を付けた罰を、受けないと駄目でしょう? 自分だけ、逃げられると思ったの?」
「あ、アンタが選ばせたんじゃないのっ」
「そう。私は優しいからね。選択肢をあげたのよ。そして貴女と狐夫人は間違った選択をしてしまった。だから、罪を贖わされたのよ。御自慢の顔がそんな悲惨なめにあってしまったら、貴女の価値はマイナスだわねぇ」
「ふざ、ふざけっ」
私にありったけの憎悪を向けて躍りかかろうとしたが、叶わなかった。
狐親子が体を張って止めたのだ。
「ほら。彼らは選択肢を与えていないのに、正しい決断をしたわ。唯一の価値であった美貌を失ったんだから、彼らに少しは学んだらどうかしら? 死にたいのなら、そのままの態度でいいけれど」
「あらあら死にたくても、簡単には許さないのねー。アイリーンへの不敬に対しても贖ってもらわないと駄目なのねー」
「御自慢の乳房を抉るのです? 御自慢の美声を損なわせるべく、狐獣人と同じように舌を引っこ抜くのです?」
「まぁ、最低限でも子供を孕む権利は奪っておかないと、いけませんわね? 親になってはならない輩も存在いたしますものねぇ」
さて処置をと思ったところで、笑顔の奴隷たちが大浴場から出てきたので、丁寧に気配を遮断して見せつけ小屋を後にする。
助かったと安堵した慟哭と、治癒されるどころか更に失うことになった狂気じみた慟哭の区別が、私にはつかなかった。
喜多愛笑 キタアイ
状態 若干消耗中 new!!
料理人 LV 4
職業スキル 召喚師範
スキル サバイバル料理 LV 5
完全調合 LV10
裁縫師範 LV10
細工師範 LV10
危険察知 LV 6
生活魔法 LV 5
洗濯魔法 LV10
風呂魔法 LV10
料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用
掃除魔法 LV10
偽装魔法 LV10
隠蔽魔法 LV10
転移魔法 LV ∞ 愛専用
命止魔法 LV 3 愛専用
治癒魔法 LV10
人外による精神汚染
ユニークスキル 庇護されし者
庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化
称号 シルコットンマスター(サイ)
ざまぁは続くよ、どこまでも……。
永遠には続かないですが、ざまぁメンバーの末路までまだ時間がかかります。
しばらくはBBQ含むほのぼのターンです。
ずっと出したかった新キャラも、数話以内に登場させます。
次回は、よし、肉祭りだ!(仮)の予定です。
お読みいただきありがとうございました。
次回も引き続き宜しくお願いいたします。