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ポークのハンバーグ 前編

 料理回。

 サブタイトルにメニューを全部書くと、分からなくなったときのチェックが簡単なんじゃね? と思いました。

 長いタイトルを見ると、OL時代の影響でどうにも短くしたくなってしまうのです。

 その文字数だと、指定された枠内に入りきらないんだよ! という(笑)


 


 二種類のゼリーを食べていると、疲れが出てきたのか眠くなってきた。

 しかし、昼寝には遅すぎる。

 夕寝という手もあるが、生活のリズムが崩れるのはよろしくない。

 崩れ続けた生活リズムは心身を酷く消耗させると知っているので、余計そう思ってしまう。

 何より私を寝かしつけようと集まってきたスライムたちが、それを許さない。

 肌が露出されている部分にぴとりとくっついて、絶妙な温かさを保ちながらハミングで子守歌を歌い出してしまった。

 寝かしつける気満々だ!


 私は大きく頭を振って立ち上がると自宅へ向かって移動しながら、真剣に夕食のメニューを考え始める。

 ゼリーは喉越し最高だが腹持ちはよくないのだ。

 デザートは別腹というし、ゆっくり作ればおなかも空いてより美味しく夕食を食べられる……はずだ!


「さて……何にしようかなぁ……」


 目を閉じて浮かんできたのは、皆の好物になるに違いないハンバーグ。

 牛肉100%ハンバーグも大好きだし、正直ベストは牛と豚の合い挽きだと思っているけれど、今回はポークを使うことにする。

 あっさりジューシーと賞賛される豚肉のハンバーグは、濃いめのソースが絡んでいてもくどくならないのがポイントなのだ。

 異世界のポークもきっと同じ仕様と信じておく。

 私はケチャップが大好きだけど、醤油で食べるのも捨てがたい。

 簡単なので焼いている最中に絡めず、後漬けソースにすればいいだろう。


 挽き肉に向いている部位はと考えて、記憶倉庫から引っ張り出す。


 こんなとき、ネットの検索機能があればいいのに! と切実に思うのだが、こっちの世界へ来てから、過去自分が一度でも見たり聞いたりしている事柄に関しては、記憶から綺麗に引き出せると気がついてしまった。

 チートとまではいかないが、便利な機能だろう。

 オタクの嗜みとして雑学はそこそこ頭に入っている。

 特に食べることが好きだったので、料理系雑学は豊富だと自負していた。


 リリーが私の記憶を共有している関係で、私よりも迅速に的確な情報を提示してくれる気もするのだが、なるべくリリーには聞かないようにしたい。

 ただでさえこちらの情報は丸投げなのだ、何事も頼りすぎはよろしくないだろう。


 挽き肉にするには脂身の少ないモモ肉が向いている。

 包丁使いが得意なサイに刻んでもらって粗挽きハンバーグにしてもいいのだが、今回はミキサーを使うことにした。

 ミンサーを作るという手もあるが、今の疲れ具合だと、スライムたちの許可が下りなそうだ。

 頭の中にある『手が空いたときに作ってもいいかも? 調理器具メモ』に書き込んでおく。


 自宅のキッチンを使おうかと思ったが、トレントたちもついてきていたので、自宅の外で簡易キッチンを展開する。


 ローズにポークのモモ肉を出してもらって、サイコロ状に切って欲しいとお願いした。

 小さく切られた肉を半解凍状態にしてから少しずつミキサーに投入しないと、挽き肉ではなく、すり身になってしまうのだ。

 うきうきとミキサーを準備したローズに、モモ肉を切り終わったら声をかけてくれるように頼んで、ハンバーグの付け合わせを考えた。 


 まず浮かんだのはフライドポテト。

 ワンタッチフライヤーの出番だ。

 ちょっとしっとりめがいいだろうか?

 まぁ、それもひっくるめてお任せにしてみよう。

 イモジャガ切りをトリアに任せると心配なので、サイに監修してもらって、フライドイモジャガ作りに勤しんでもらう。


 次はニンジンのグラッセ。

 ストックされたコンソメスープで竹串に刺さるまで煮込んでから、バター、白砂糖、塩を入れて、水分を飛ばし照りが出るまで煮詰めれば完成だ。

 ニンジンは面取りをするのが無難なので、サイに頼もうかと思ったら、モルフォが手を上げてくれた。

 頭をひと撫ぜしてから、完成までお任せする。


 あとは彩りが欲しい。

 緑色の野菜を入れたいと思案した結果。


「リリーさんやー、インゲンはあるかね?」


「……こっちではグリーンビーンと言うのねー。インゲンと同じなのねー。ついでにビーン系は他にスカイビーンがあるのねー。こっちは空豆なのねー」


 サクラが教えてくれる鑑定結果に目を見張る。

 特にスカイビーン。



 野生のグリーンビーン

 インゲン。

 美味しいのは三十センチ前後のもの。

 寒さに弱いが、育ちがいいので貧民の味方。

 人工種は食感がイマヒトツで、苦みが強い。


 グリーンビーンの実

 料理の材料になる。

 火を通すべし。

 +ごま、砂糖、醤油


 グリーンビーンの花

 サバイバル料理の材料になる。

 この世界では使い物にならない素材として捨てられている。

 新鮮であれば生食可能。

 子供が食べると、何故かくしゃみが止まらなくなるので要注意。


 グリーンビーンの葉

 サバイバル料理の材料になる。

 火を通すべし。

 この世界では使い物にならない素材として捨てられている。

 茹でても色が鮮やかなままなので、飾りにも最適。

 味は苦めで大人向け。


 グリーンビーンの種

 栽培できる。

 +綺麗な水



 野生のスカイビーン

 空豆。

 精霊の祝福がされていないと、豆のから率が上がる。

 実が掌サイズになるまで育てると、精霊が宿るという逸話があるようだ。

 

 スカイビーンの実

 料理の材料になる。

 火を通すべし。

 +黒砂糖、綺麗な水


 スカイビーンの花

 サバイバル料理の材料になる。

 この世界では使い物にならない素材として捨てられている。

 新鮮であれば生食可能。

 一定数食べると妖精が見えるようになるという逸話有。


 スカイビーンの葉

 サバイバル料理の材料になる。

 この世界では使い物にならない素材として捨てられている。

 火を通すべし。

 強い苦みがある。

 食後に一枚食べておくと、食中毒にかかっていた場合、症状が軽減される効果有。


 スカイビーンの皮

 妖精召喚のアイテムが作れる。

 召喚士のみ作れる。

 成功すると妖精の休憩所となり、様々な妖精が訪れるアイテムになる。

 *成功例が物語にしか出てこないレシピのため、作成の際は周囲の気配を探って慎重に。


 スカイビーンの種

 栽培できる。

 +綺麗な水



「よ、妖精召喚アイテムって!」


「そこに突っ込むのね? 愛なら召喚士のスキル取って作れると思うのねー」


「ん? 召喚士って職業じゃないの」


「この世界の区分では職業なのねー。職業は基本一つしかつけないのねー。ただすっごく才能がある者が希に複数の職業を得られるのねー。愛は才能ありまくりなので、スキルの一つとして幾つでも職業が取れるのねー」


 ……誰が私に、ここまでのチートを与えたのだろう。

事故のお詫びとして、神様もしくは世界そのものがつけてくれたのだろうか。

 純粋に感謝したかったが、ここまでチートだと作為的なものを感じてしまう。

 自分がどうしてここにきたのか早めに調べておかないと、変な縁が繋がるような気がしてきた。

 しかしどう調べたらいいだろう?

 案外とこの子たちが知っているかもしれない。

 思わずじっとリリーを凝視してしまった。


「愛ー? どうしたのねー? 妖精召喚アイテムは明日作ることにするのねー。今は夕食作りに集中するのねー」


 それもそうだ。

 私がどうして異世界に来てしまったのか? については、夕食時にでも尋ねてみることにしよう。

 願わくば、私のチートが私の大切な子たちを傷つけませんように……と、誰にともなく祈り、グリーンビーンのバター炒めをサクラにお願いした。


 ローズから肉切り完了のお知らせがもたらされたので、山と積まれたサイコロ状の肉を一度瞬間冷凍してから、半解凍状態に持っていく。

 瞬間冷凍・冷蔵ができるのなら沸騰……熱を加える系の魔法も使えるだろうと踏んだら、できた。

 チート万歳。

 半解凍お願いします! と念じるだけで大丈夫でした。

 

 引き続き挽き肉作りをやりますのよ! と敬礼したローズに敬礼を返して、ハンバーグの種作りのために必要なものを準備する。

 ネギタマ炒めは、みじん切りをサイに、炒めるのをトリアにお願いした。

 火加減はサイが見てくれているので、トリアは杓文字でネギタマをひたすら炒めるだけだ。

 さすがに事故は起きないだろう。


 パン粉は作っていなかったので、耳付きの角パンを取り出してもらいミキサーで混ぜて作ろうと思ったら、ローズが絶賛使用中だった。

 そんなこともあるだろうと、今回はサンドイッチ用に作ったやわらかいパンを、たっぷりのモー乳に浸して、パン粉の代わりに使うことにした。

 パン粉は今後使う機会が多そうなので、ミキサーを使い終わったら作ってほしいとローズにおねだりもしておいた。


「ハンバーグとその付け合わせはこれで、よし! と。スープは何にしようかなぁ。ケチャップを使うからコンソメスープかミルクスープがいいかしらん」


 んー? と悩んで、今回はスケットダラの子のクリームスープにした。

 片手鍋にモー乳とストックコンソメスープを入れて一煮立ちさせ、スケットダラの子、生クリームを入れて弱火でことことしたあとで、少量の醤油を入れて味を調整する。

 片栗粉代わりのスライムゼリー粉を入れて、やわらかなとろみがつけば完成だ。


「パンは各種盛りにして。あともう一品副菜が欲しいかな?」


ハンバーグにならライぎむパンもあう気がする。

 ライぎむパンは他のパンと比べるとカロリーが低いので、毎日のローテーションの中に入れておきたいのだ。 


「せっかくだからスカイビーンを使おうかしら……」


 一番に浮かんだ空豆のレシピは、カッテージチーズと和えるシンプルなもの。

 ハンバーグはワンプレートでも満足できる一品なので、凝った料理である必要もない。


 茹でたスカイビーンの粗熱が取れた段階で、カッテージチーズ、塩、黒胡椒、オリーブオイルを和えれば完成だ。

 和えるときにスカイビーンを茹ですぎていると、崩れてしまうのが難点なのだが、リリーならきっと上手に仕上げてくれるだろう。


 ローズが挽き肉完成の声を上げてくれたので、引き取って種を作り始める。

 

 大きめのボウルに、挽き肉、いい感じに飴色へと変化したネギタマ、クックルーの卵、モー乳に浸したパン、塩、黒胡椒を投入する。

 横でスライムたちが各自ボウルに同じものを投入し、横で見ていたカロリーナも自分の分とトリアの分をセットした。

 何しろ作ってくれた挽き肉の量が多い。

 作業の分担は必須だ。

 全部をハンバーグにする必要はなかったが、皆やりたそうなので、やってもらうことにした。


 余った種はスライム収納でそのまま寝かせておけばいいだろう。

焼き上げたものを収納してもいいけれど、今は余裕があるので焼きたてを食べたいところだ。

 

 種をこねる時間については賛否両論あるが、私は適当派に属している。

 急いでいるときは手早く、時間があるときにはじっくりとこねているのだ。

 今回は皆が楽しそうなので、じっくりとこねる感じになるだろう。


 トリアとカロリーナが一生懸命こねるあまり、肉の粒を顔に飛ばしてしまった。

 指摘し合って取るのが羨ましかったのか、スライムたちが真似をする。

 食材で遊んではいけません! と言うのが辛くなるほど、その様子は可愛らしく悶えてしまった。 




 喜多愛笑 キタアイ


 状態 少々疲れ気味 new!!


 料理人 LV 4 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用


     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)

 そういえば前書きで(笑)と書きましたが、今は草! もしくはWWWW! のほうがいいのかしら。

 まさか(藁)?

 ……作品中ではあまり使わなそうなので、慣れているものにしておきたい所存です。


 次回は、ポークのハンバーグ。後編(仮)になります。


 お読みいただきありがとうございました。

 次回も引き続き宜しくお願いいたします。

 

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