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マジックバッグ作り。

 オタクは欲しいですよね、最低でも重量軽減のマジックバッグ。

 イベントで戦利品を箱単位で買い込んでも、肩をおかしくしないですみますからね。

 あとは、毎日大荷物で仕事現場に通っていた父の鞄にも、そっと付けてあげたかった……。



 時間をかけたランチを楽しんだあとは、マジックバッグ作りに挑戦だ。

 他の皆はそれぞれまだ終わらない作業や、その手伝いに散っていった。

 そばに残ったのは、本日の護衛であるモルフォのみだ。


「まずは久しぶりに裁縫師範スキルをうならせないとね!」


「んっ! やっぱり革のマジックバッグなのっ? それとも布なのっ?」


 布ならばシルコットン一択だろう。

 ホワーンラビットの毛皮で、ふわふわなマジックバックも可愛いが。

 革だとポークよね。

 あ、モーモーもあったか。


「んっ! 革ならポークとモーモー以外にもいろいろあるのっ!」


「そうなんだ? じゃあ一通り出してもらってもいい?」


「んっ! 勿論なのっ!」


 スライム収納から滑らかに各種革が出される。

 しかし一体いつ集めたのだろう。

 案外私と出会う前からだったのかもしれない。

 今までの経験からして、そうと考えるのが無難な気がする。


「ふぉ!」


 ホース、メーメー、ゴウトゥ、クロコ、パイソン、ディア、シャーク、ファント、グレイ、ガルガルー、ストリッチ、リザドン。

 向こうでの馬、羊、山羊、鰐、蛇、 鹿、鮫、象、エイ、カンガルー、駝鳥、蜥蜴だ。


「まさかの、素敵革が揃い踏みとか普通は想像がつかないし! そして、形がリアル過ぎです、ありがとうございます!」


 やはりクロコとパイソンの革が、何というかこう、解体上手ですね! とツッコミを入れたくなる怖さだった。

 頭から尻尾の先端まで、綺麗な形を保っている。

 それが妙に生きていた状態を想像させるのだ。

 怖い生物としての認識が、死しても尚、恐怖を呼び覚ますのかもしれない。

 あとは、大きさも恐ろしさを倍増させる要因の一つだろう。

 古代生物はさておき、ギネスに登録されている鰐の大きさは七メートルとのことだった。

 蛇もそれをちょっと超える程度だったと記憶している。

 だが目の前へ無造作に置かれた革は、全て向こうのギネス記録を遥かに超える大きさのものばかりなのだ。 


「んっ? 何か問題があったのっ? ちゃんとなめしてあるから、すぐに加工できるのっ!」


「それは有り難いね。こっちだと渋なめしなのかな? それとも異世界なめしなのかな? 詳しくないから考えなかったよ」


「んっ……渋なめしっぽい異世界なめしなのっ! なめしから挑戦してもいいのっ」


「そこまでの拘りはないから、モルフォたちにおまかせでー」


 ずらっと並べられた、壮観な革の数々。

 こちらで一番無難なマジックバッグに使われる革は、何なのだろう?


「んっ! 一番人気はドラゴン革なのっ! 在庫はないけど、狩ってきてもいいのっ!」


「ドラゴン革かぁ……憧れるけど、無駄に人目を引きそうだからなぁ」


 狩ってきてもいいと、さらっと言ってのけたのは、簡単に狩れる自信があるからだろう。

 ここでもうちのスライム最強説の真実味が増している。

 怖いのであえて確認はしない。


「んっ! 海の近く以外だと、鮫とエイが稀少なのっ! 手に取りやすいのは、ポークとモーモーなのっ!」


 世間様対策として無難な方がいいかしら?


「んっ! 愛の装いは王族も真っ青なのっ。見る人が見ればわかっちゃうのっ! だから、好みの物にすればいいと思うのっ!」


 今更だったらしい。

 まぁ、無難を選んで別種の危険を引き寄せる方が問題だろう。


「シャークでリュックを作って、グレイでショルダーを作ろうかな?」


「んっ! おしゃれさんなのっ!」


「向こうじゃ、なかなか手が出ない高級革だったからねー」


 頷きながら裁縫師範スキルを発動させる。

 シャークの革を眺めつつ、リュック型でーと考えれば、レシピ(型紙)が頭に浮かぶ。

 鮮やかな青色のシャーク革を手にすれば、一瞬でレシピ通りに裁断された。

 折れないか少し心配しつつも針を刺せば、はい! 完成。

 相変わらず苦労知らずのスキルだ。

 同じ手順で時間をかけずにグレイのショルダーバッグも作った。


「で。バッグはできたけど……あとはどんな魔法を付ければいいのかしら? 定番としては時間停止、空間拡張あたりだと思うんだけど……」


「んっ! 愛の辞書に自重という文字はないのっ! 自分が望むマジックバッグを想像すればいいのっ!」


「裁縫師範のスキルでそこまでいけるんだ……」


 以前装備品を作ったときは、考えなくても便利な効果がついていたのだ。

 きっとありなのだろう、何でも。

 そうそう、深く考えてはいけないのです。

 むしろ考えるだけ無駄なのです。


「下手の考え休むに似たりーってね? それじゃあ、と……うちの可愛いスライムたちのスライム収納と同じ性能のマジックバッグになりますように!」


「んっ! 完璧なの! お揃いで嬉しいのっ!」


 お揃い?  

 違う気がしないでもないが、喜ぶモルフォが最高に可愛いのでよしとする。

 なんだったら、好きな革を選ばせて同じ形のバッグを作れば、それこそお揃いになるよね。


「呼ばれたのです! 飛び出るのです! 真打ち登場なのです!」


 二種類の、多分きっと絶対性能ぶち壊れ的なマジックバッグができたら、サクラが現れた。

 誰が教えた、真打ち登場……リリーか、リリーだよな……。


「落ち込んでいるのです? 大丈夫なのです?」


「んっ? サクラが鑑定すれば、きっと愛は元気になるのっ」


「そうなのです。モルフォの言うとおりにするのです!」


 気合いを入れてくれたサクラが鑑定したマジックバッグは、下記の通りのすばらしい性能でした。


 愛専用マジックバッグ(リュックサックタイプ)

 シャークの中でも、攻撃力が高く討伐困難な上に稀少な・ゴレヨシャークの革が使われている。

 水に強いシャークなので、防水性が完璧。

 深海に住むシャークなので、防火性も完璧。

 強い個体だったためか、無傷。

 ゆえに、超高級品となった。

 正面にある大きめのポケットに、鈴蘭の刺繍有。

 収納力は無限。

 収納物は完璧な状態で永久的に維持される。

 万が一、盗難されたとしても戻ってくる機能付。

 スライム収納と繋がっているので、スライムが収納している物も全て取り出し可能。

 愛が信用している者以外は使えない。


 愛専用マジックバッグ(ショルダータイプ)

 グレイの中でも逃げ足が速く討伐困難な上に、稀少なマキマキグレイの革が使われている。

 マキマキグレイの特徴として、防水性、防汚性、耐久性がずば抜けて優れている。

 スターと呼ばれるマキマキグレイ特有の光を感知する器官が鮮やかに出ているので、超高級品となった。

 中央のスター部分に、鈴蘭の模様が浮かび上がっている。

 収納力は無限。

 収納物は完璧な状態で永久的に維持される。

 万が一、盗難されたとしても戻ってくる機能付。

 スライム収納と繋がっているので、スライムが収納している物も全て取り出し可能。

 愛が信用している者以外は使えない。


「性能は当然として、見た目も芸術品みたいにすばらしいマジックバッグができたのです! さすがは愛なのです! そういえば、ウエストポーチは作らないのです?」


「んっ! アドバイスを忘れていたのっ!」


「なるほどねー。ウエストポーチは動きを阻害されにくいから、冒険者向きだもんね。じゃあ、どの革で作ろうかなぁ?」


「んっ! 冒険者といえば、レッグホルダーバッグもあるのっ!」


「今まで縁がなかったけど、それも面白そうだね。ビジュアル的にもこう……格好良い気がするよ!」


 何となくだが、足が長く見える印象がある。

 

「……ウエストポーチ&レッグホルダーバッグは、どっちもファント革にするね」


「向こうでは地上種最強の革と言われていたみたいなのです? こっちでも強度には定評がある革なのです」


「んっ! 防水性、防火性、耐久性、防汚性、どれも最高レベルなのっ」


 二人の説明を聞いている間に、バッグの形までを仕上げる。

 二つのバッグと同じ効果が付きますように! と気合いを入れて、念を込めた。

 当然のように優秀なバッグが仕上がった。


 愛専用マジックバッグ(ウエストポーチタイプ&レッグホルダータイプ)

 ファントは牙が高価格で取り引きされるので、乱獲の末に数が激減。

 結果、現在は捕獲が禁じられている。

 例外として、希少種でありファント最強の力を持つ、モンスマファントのみ捕獲が許可されている。

 ドラゴンには届かずとも、群れで移動しているため、訓練された騎士団でも捕獲は困難と言われて久しい。

 市場には滅多に出回らない革なので、超高級品となった。


 モンスマファントの特徴として、防水性、防火性、耐久性、防汚性、どれも最高レベル。

 ウエストポーチは正面の飾りに、レッグホルダーは正面のポケットに鈴蘭の模様が刺繍されている。

 収納力は無限。

 収納物は完璧な状態で永久的に維持される。

 万が一、盗難されたとしても戻ってくる機能付。

 スライム収納と繋がっているので、スライムが収納している物も全て取り出し可能。

 愛が信用している者以外は使えない。


「普通のスライムは、ほとんど収納力がないから、私たちにもカモフラージュ用に作ってほしいのです」


「んっ! お揃いなのっ!」


「了解です! 好きな型と好きな革を選んでね-」


「早速相談するのです!」


「んっ! リュックかショルダーで迷うのっ」


 と言うか、その二種類からしか選べないのでは? と一瞬心の中で浮かんでしまった疑問を慌てて打ち消したのは、モルフォとサクラに冷ややかな目で見下されてしまったからだ。

 スライムたちだって失礼なことを思われたら腹を立てる。

 つい優しいので甘えてしまったようだ。


 ご、ごめんねー!


 声に出さずとも、思いっきり反省の色を強く謝罪をしておいた。





*今回ステータスの変動はありません。


 喜多愛笑 キタアイ


 料理人 LV 4 


 スキル サバイバル料理 LV 4

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV∞ 愛専用

     命止魔法 LV3 愛専用


     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)




 そういえば、最近リュックしか使ってないなぁ……。

 日々の買い物には一番楽なんですよね。

 遠方に出るときは、ショルダーとかハンドバッグも持ちますけども。


 次回は『燻製機他調理器具作り。(仮)』の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 引き続きお付き合いいただけたら嬉しいです。

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