キノコ育成専用樹木をおねだり……するつもりが、された。
新しいコンタクトができて、さぁ書くぜ! と気合いを入れたのですが、どうにも度があわない。
以前より軽い調整にしたのですが、もっと軽くしなければいけなかった模様。
お医者さんには、そろそろ老眼の気配かもね? と言われてみたり。
検索したら、早い人で30代後半から出る人もいるらしいと知ってしまいました……。
調整が厳しくなったら、迷わず老眼鏡だよ? と御年65歳の先生に笑顔で言われましたとさ。
モーモースネ肉のレッドワイン煮は予想通り大好評だった。
「ひっく……僕は、ワインをそのまま飲むより、こうやって料理に使ったほうが酔っ払うみたいだよ……新しい発見だ……ひぃっく!」
トリアが赤い顔をしてワイン煮を堪能している。
トレントたちは普通なので、トリアが特殊なのだろう。
もしくは擬人化状態だと、変わった酔い方をするのかもしれない。
「美味しいですわ! ワイン煮をいただきながら、ワインを飲む……最高ですわ! 生きていて良かったですわ!」
カロリーナは、ワインの飲み比べをしながら食事を楽しんでいる。
レッドワイン煮を食べながらレッドワインも飲むのだから、余程の酒好きといえよう。
「クルトンを入れたらもっと美味しくなるのかと思うと、どきどきするのねー」
「フォンドヴォーを入れるとどうなるかも気になるのです」
「ん! 天然酵母ができあがったら、すぐにセットするのよっ!」
「う! ふわふわパン、楽しみなのっ!」
「手が空いた時にでも、フォンドヴォーのストックを作っておくといいんじゃない? いつでも手伝うわよ!」
スライムたちは堪能しつつも、既に心が次のワイン煮へいっている。
ふと夕食を食べながら、次の日の夕食メニューを考える主婦が思い浮かんだ。
「パンも楽しみだけど、やっぱりお米が欲しいのよね。切実に食べたいわぁ、日本米」
「やっぱり、愛は日本米じゃないと駄目なのです?」
「できれば日本米がいいのよね。まぁ、なかったら他のお米でも我慢するけどさー」
「ん! じゃあ、取り敢えずインディカ種を植えれば良いと思うのよっ!」
「……? あぁ! 盗賊たちから入手してたやつか! すっかり忘れてた! きれいさっぱり忘れてた!」
そうだ。
畑を作れる状況になったら水田も一緒に作ろうと思っていて、そのあとそれはもう色々な良い事悪い事があって、すっかり忘れていたのだ。
「お米お米と騒ぐ割にインディカ種について触れないから、てっきり日本米に拘っているのかと思ったのねー。日本米を手に入れてから一緒に作るってねー」
「うー! トリアに見てもらうー。でもって日本米があるかどうか再度確認を……」
「ん! 食事のあとにするのよっ!」
目の前に新しく盛られたキノコのアヒージョと一口サイズに切られた黒パンが置かれる。
トウガラシはきちんと避けられているのに、愛を感じた。
「そういえば、椎茸って、こっちではないの?」
バーベキューでは肉厚椎茸を炙ってバター醤油でいただくのが鉄板だったので、キノコを食べる度に思い出してしまう。
椎茸はアヒージョに入れても美味しい。
「しいたけ? どんなキノコなんだい?」
皿をもらうついでに在庫確認的な感じでモルフォに聞いたつもりだったが、キノコの話だったからか、キノコ好きのトリアが赤い顔のまま話に入ってきた。
「うん。えーとねぇ。肉厚で茶っぽくって美味しいキノコ!」
「それじゃあ、わからないと思うのねー」
大袈裟に全身を震わせたリリーが、さららっと椎茸を図解してくれた。
大変わかりやすく描かれている。
「うーん。うん。あるかな? 比較的育ちやすいキノコだったと思うよ。ねぇ、愛。キノコ専用樹木があれば色々なキノコを好きなだけ栽培できるんだけど、設置してもいいかな? 愛が作るキノコ料理が美味しくて! もっと食べたいんだよね」
「勿論どんどん設置しちゃってください。っていうか、どうやったら入手できるか聞こうと思っていたんだよね、キノコ専用樹木」
「そう言ってもらえると嬉しいな。ちょっと図々しいかなとか思ったんだよね」
「それは図々しいって言わない。有り難い申し出ってやつだよ!」
「じゃあ、遠慮なく。育成環境を整えたいからキノコ小屋とか作っていいかな?」
「明日は倉庫系を作ろうかなー、とか考えていたからちょうどいいね!」
これでさらに多くのキノコに出会えるだろう。
異世界っぽいキノコとかもぜひ見てみたい。
そういえばこちらにはマタンゴ系のキノコ型モンスターはいるのだろうか。
未だに会っていない。
食材にできるなら会いたいが、できないなら永遠に会わなくてもいいのだが。
「こっちにキノコ系モンスターっているの?」
「いるよー。普通のキノコと同じで食べられるキノコモンスターと食べられないキノコモンスターがいるよ。今度『のこのこん』の踊り食いとか挑戦しちゃう?」
「ひぃいいいい!」
躍り食いと聞いただけで猟奇を想像してしまう自分は、駄目な感じで毒されていると思う。
ちなみに向こうではタコとイカと白魚の踊り食いは挑戦した。
タコとイカは吸盤が口腔にくっ付く感触が、白魚は喉を蠢きながら滑り降りていく感覚が後味悪く残った記憶がある。
「そんなに怯えなくても! 掌サイズののこのこんはなかなか食べ応えがあるよ? 悲鳴は慣れないと辛いかもしれないけれど」
「あばばばばば!」
「こちらでは珍味になるね。あとは度胸試しの意味合いもあるのかな? 味は良いんだけどね。悪趣味という人たちもいるよ。まぁ、調理法の一種程度に考えるといいんじゃないかな」
「しょ、精進しますぅ」
味が良いというといわれると挑戦したくなってしまう、自分の食道楽加減には我ながら呆れる。
悲鳴が控えめだといいが、大きければ大きいほど美味しいとか、そんな裏設定がありそうな気がして怖い。
……考えすぎだね。
「キノコのアヒージョはこれでおしまいなのねー。最後はトリアが食べるといいのねー。愛が騒いでいたお米のうち、これが一種類なのねー。愛が探していたお米とは違うんだけど、これが一番近いそうなのねー。トリアは、他に米を知っているのね?」
「……ずっと昔には広く分布していた種みたいだね。今はこの国だと……う、うーん。もしかしたら穀物系が充実した特殊ダンジョンで出るかも?」
「手に入りにくいのです?」
「この国ではね。他の国とやり取りできるレベルの商人になるか、もしくはそういう商人と知り合えれば、定期的に入手できるようになるんじゃないかな?」
「栽培は?」
「できるよ。でも本来この国では栽培できない種だから、ばれると面倒かも」
良かった。
あるとわかっただけで一安心だ。
王都を出たら海に行く前に、穀物系特殊ダンジョンを目指そう!
……遠くないといいなぁ。
「愛の求めるお米が出るかもしれないダンジョンは、そう遠くはないよ。まぁ、急ぎインディカ種を植えればいいんじゃない?」
「そうね。炒めたり煮たりだったらインディカ種のほうがむしろ美味だから、明日最優先でお願いしてもいい?」
「えー、キノコ優先したい! と駄々をこねたいところだけど、皆で頑張れば同時進行楽勝だからね。了解!」
「じゃあ、食後のナオール花茶を出すわよ。ホットを用意したわ。アイスが良いなら自分で淹れるのよ!」
ツンデレを炸裂させながらローズが皆にナオール花茶のカップを手渡している。
食後のコーヒー並みに飲み慣れてきた気がしてほっこりした。
一日一杯は必ず飲んでいるのだ。
飲み続けると出る効能もあるので、この習慣はそのまま根付くだろう。
ナオール花茶を飲みつつ、酒が飲み足りない者は酒を飲みつつ、明日やるべき事を決めていく。
インディカ種の田植え。
……トリアとリリー、トレントたちの一部が担当。
こちらのインディカ種は、種籾をそのまま水田に蒔くらしい。
溜め池が近くにあるので、水田も時間を置かずに作れるそうだ。
三日もあれば収穫ができるなんて確約されると、トリアをはじめとするトレントたちに五体投地をしておいたほうがいい気がしてくる。
キノコ専用樹木小屋作り。
……トレントたちとローズが担当。
最終チェックはトリアがしてくれるらしい。
違う菌を一緒にすると問題があるので、一種類のキノコにつき小屋一つが作られるようだ。
菌の掛け合わせで新種ができると面白そうね、とローズが黒い微笑を浮かべていた。
最近スライムたちのリリー化現象が激しいのには、見てみない振りをしたいところ。
ふわふわパン作り。
……カロリーナとモルフォが担当。
天然酵母を使ったパン作り。
明日の朝食に間に合わせたい! と気合いが入っている。
無理をしないでねー、と囁いてはみたものの、聞こえていないようだ。
美味しいものを食べられるのは本当に嬉しいが、それが原因で体調を崩して欲しくないのだが大丈夫だろうか?
倉庫作り。
……サイとサクラとトレントたちの一部が担当。
全てスライム収納でもいいのだが、村の運営ともなると対外的な体裁は整えたほうがいい。
野菜や果物、その他諸々の機材や、スライムたちが作った素敵な品物など、多岐に渡る収納を満足させるために、取り敢えず程良い大きさの倉庫を十個ほど作るようだ。
野菜や果物の倉庫には冷蔵機能を付けたほうがいいのです! とサクラが熱く語っていたのは聞かなかったことにした。
朝食作り。
……私担当だ。
終わったあとは、他の作業を手伝う感じ。
ジンニンドレッシングがけ生野菜サラダ、クックルーの目玉焼き、ニードルビーの蜜をたっぷり塗ったトースト、クックルー出汁の野菜沢山スープを考えている。
食後はフルーツホットティーを選んでもらおうかと思っているが、どんなハーブがあるか調べてもらって、飲みやすいハーブティーも幾つか作りたい。
打ち合わせが終わり、お腹も落ち着いてきたので、バスタブを用意したら全員で入ろう! と言われたので、大きなバスタブを設置し直す。
カロリーナがはしゃぐのは想像できたが、トリアの喜びっぷりは想像以上だった。
お湯に入るのもまた、トレントにとって好ましいようだ。
背中を流し合うなどベタなこともして、風呂上がりの冷えたモー乳を腰に手をあてて飲む仕様も教えたりしつつ、今日も非常に充実した一日を終えた。
*今回ステータスの変動はありません。
喜多愛笑 キタアイ
料理人 LV 4
スキル サバイバル料理 LV 4
完全調合 LV10
裁縫師範 LV10
細工師範 LV10
危険察知 LV6
生活魔法 LV 5
洗濯魔法 LV10
風呂魔法 LV10
料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用
掃除魔法 LV10
偽装魔法 LV10
隠蔽魔法 LV10
転移魔法 LV∞ 愛専用
命止魔法 LV3 愛専用
人外による精神汚染
ユニークスキル 庇護されし者
庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化
称号 シルコットンマスター(サイ)
凡ミスが続いている真っ最中、時限爆弾型ミスが発覚すると落ち込みますよね……。
今回の時限爆弾は大きかった……。
次回は、村を整備しましょう。倉庫造り編(仮)の予定です。
お読みいただきありがとうございました。
引き続きお付き合いいただけたら嬉しいです。