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ぱんだね育成機製作秘話?

 少し前に活動報告で書きました、ステータスに関しては本文のセリフの通りです。

 次回サクラ登場時に、ささっと確認描写を入れる方向になりました。

 そろそろ料理人とサバイバル料理が上がってもいいはず……。



 トリアの指示の下、種を持って三々五々散っていった皆を見送る。

 ローズが伸ばした触手を鍬のような形にして土を整備していた。

 農具も作るべきだろうか?

 

「……農具に関しても皆の意見を聞いてからの方がいいよね。まずは、ぱんだね育成機を完成させないと!」


 テーブルの上で簡単な図面を引いてみる。

 絵心はないが、自分で確認する程度ならば問題もない。


「育成機にぱんだねを入れておくと、分裂増殖するのかな? 鑑定では増量するとしか出てなかったけど。でもってどのくらいの時間で、どの程度増量するのかな?」


 うーん。

 腕を組んで考える。

 浮かんできたのは業務用のパン焼き釜。


「三段に分かれていて、一段目と二段目で増量させて、三段目は保管庫? で保管庫に一定数溜まったら、モルフォ収納に移動する感じ?」


 大きさはオーブンと同じ50×50×50センチで揃えておこう。

 それから……急がない時は、じっくり育てて貰って、いざという時の大量生産にも耐えられる機能もつけて……。

 あ!

 オーブンは色々な料理に使うから、こっちでパンも焼けるようにしちゃう?

 まぁ、オーブンでも瞬間で仕上がるからタイムロスもほとんどないんだけどね。

 

「ん? 待って待って! ぱんだねにはライぎむや塩を入れないとパンにならないんだった。じゃあ、材料捏ねる段っていうか、捏ねるスペースもいるのかしらん?」


 となるとサイズ的に難しい。

 同じサイズを連結させて、ぱんだね育成→ライぎむ&塩他を混ぜて捏ねる→パンを焼き上げる→保管する……の工程を可能にするとか?

 いっそ、ぱんだね育成機、ぱんだね捏ね機、パン焼き機、パン保管庫を作ればいいんじゃないかな!

 既に家庭用じゃないよね、これだと。

 モルフォの身体の中に、もどき牧場だけじゃなくて、パン工場まで設置されるとかどうなの?


「ん! ぱんだね育成機の製作は絶好調なのっ?」


 作業が一段落付いたのか、モルフォが様子を見に来てくれる。

 ナイスなタイミングだ。


「それがねぇ、聞いて下さいよぉ……」


 私は何時の間にか家庭用を激しく逸脱してしまったぱんだね育成機他について熱く語る。

 ん! ん! と熱心に聞いてくれたモルフォは、私の言葉が終わって一息吐くと、にやりと笑った。

 リリーが悪巧みをする時の笑いだ。

 たぶんスライムに信用されると理解できる笑いだ。

 ちょっとだけ理解したくないのは内緒だ。


「ん! 何を遠慮することがあるのっ! 作ればいいのっ! 心の赴くままにパン工場を!」


「でも、管理が大変じゃない?」


「ん! 私だけじゃないのっ! 皆、巨大肉牧場とか、淡水魚や海水魚の巨大生け簀とか構想を練っているのっ! サクラはトレント達に同じ畑をスライム収納の中で展開する方向で話を進めているの!」


「何ですとぅ!」


 反射的に驚いてはみたものの……本当は解っていた気がする……。

 どうしてうちの子達は、こんなにもやる気に満ち溢れているのかと。

 トリアやカロリーナ、トレント達までもが影響されているのは、途方に暮れそうな畑の広がり方にも現れている。


「ん! だから愛も、思いついたらどんどん実行すれば良いのっ! 万が一失敗しても、私達がフォローするのっ!」


 向こうの世界では常にフォローする側だった。

 私は全く関係ない失敗も私のせいにされる、何処までいっても理不尽な世界だった。

 心の癒やしが全くなかったわけではないが、スライム達よりも癒やされる存在はいなかった。

 彼氏も友人もその他の人々も、私を大切に思っているという点において、スライム達を超える日は永遠にこないだろう。


「ありがとう! 私思いの丈を込めて、ぱんだね育成機他、パン工場を作るわ!」


「ん! 気合いを入れて見守っているのっ!」


 モルフォがテーブルの上でぴょんぴょん飛ぶ横で、私は妄想を練り上げて口にする。


「ぱんだねを育成する・育成機、ぱんだねとライぎむ&塩その他色々を捏ねる・捏ね機、パンを好みの加減で焼きあげる・焼き機、作り上げたパンを分類して保管しておく、保管庫の四種類を連動製作します! 通常設定は最高に美味しいパンが仕上がるまったり仕様で、時間短縮機能や一定数溜まったら次の工程へ勝手に移動する自動システム、変わり種パンも作れるカスタマイズ機能も搭載で宜しく!」


「ん! 完璧なのっ! 色々な種類のパンを食べさせて欲しいのっ!」


 ぽーん!

 ぽぽぽーん!

 と軽やかな音がして、希望の物が現れた。

 色は白、サイズは50×50×50とお揃いサイズ。

 ボタンはそれぞれ一つ。

 デフォルメされたスライムマークがボタンの下に可愛く付いている。


「希望することを囁いてボタンを押せば、勝手にやってくれる素敵仕様に仕上がりました~」


「ん! 仕上がったのっ!」


 モルフォとハイタッチをする。

 早速収納しようとするので、皆に見せてからが良いと説得した。

 いそいそとぱんだねを取り出したモルフォは、育成機の中にぱんだねを五個ほど投入した。


「ん! 丁寧に仕上げて欲しいのっ! 必要時間は何分なの?」


 モルフォの質問にスライムマークが点滅するので注目すれば、数字が浮き上がってきた。

 数は、60。

 つまりは60分なのだろう。

 所謂一次発酵だけの時間だ。

 随分と早い。

 二次発酵のみと考えると少し時間がかかるようだが、丁寧に仕上げるのだから仕方ない。

 

「ちなみに、大急ぎだと?」


 同じく60の数字が点滅する。

 

「……60秒?」


 点滅が続くので、正解らしい。

 大急ぎだと一分で出来てしまうようだ。

 やはり素晴らしく素敵な壊れ性能に仕上がっていた。


「ん! それじゃあ、他の子達も宜しくなのっ!」


 スライムマークがぴかぴかと点滅する。

 保管庫は、ぽーん! と音を立てた。

 活発な性格なのだろうか。


 テーブル近くに四つ並んだ育成機達を凝視して、汗も掻いていないのに額を拭う。

 一仕事やり遂げた気分だ。

 よろりとよろめいて椅子に座り込んで、顎をテーブルの上へ投げ出す。

 無作法だが、モルフォは咎めなかった。


「ん! お疲れ様なのっ! オレンジジュースを飲むのっ。ニードルビーの蜂蜜がたっぷり入っている、疲労回復ジュースなのっ!」


「美味しそう……いただきま~す」


「ん! ゆっくりと身体を休めるのっ。畑仕事は私達に任せるといいのっ!」


「手伝いたかったんだけどねぇ……思いの外、体力気力持っていかれました……」


「ん! 育成機を作るはずが四点セットになったんだから、疲れるのは当たり前なのっ。畑仕事は心配しないで、しっかり休息を取るのっ!」


 すりっと頬に全身を寄せたモルフォは、ぴょんとテーブルから飛び降りると元いた場所へと戻っていった。


「おぉ。羨ましい元気さ加減……じゃあ、私は夕食のメニューでも考えようかなぁ……あーでも、その前に久しぶりにステータス確認でもしておこうかなぁって! サクラがいないと確認できないし! あーぼけてるわぁ……。うーじゃあ、夕食のメニューをば……」


 昼は和風だったので、夜は洋風か中華風が良い。

 中華風はまだ調味料が出揃っていないので、しばらくは無理か。

 せめてごま油が発見されれば何とかなりそうなんだけどね。

 プラスで黒酢。

 ん?

 黒酢は日本製調味料で召喚できるかな?

 もしかしてごま油も一緒にいけそう?

 どうしても中華が食べたくなった時に、召喚するとしましょう。

 

「となると洋風一択っと。魚は昼に食べたから、肉かな。畑完了したら謝肉祭? 感謝祭? んー。モーモー肉のレッドワイン煮! 何かこう目出度い感じがするからありだよね」


 トリアやカロリーナはお酒を飲めるのだろうか。

 ラミア種は酒豪の印象があって、トレントは水と同じ扱いで全く酔わない印象がある。

 万が一弱かったとしても、ワイン煮くらいなら楽しんで貰えるんじゃなかろうか。

 作る前に一応確認しておこう。


「でもって副菜は……キノコのアヒージョ。マッシュルームが欲しいところだなぁ。誰か持ってないかしら? なかったら手持ちのキノコで作るけどさ。せっかくパン関係の機材を作ったんだから、ふわふわパンとか作りたいんだけどねぇ。天然酵母を足せばいけるかな? 林檎酵母……林檎はまだ見かけてないか。レーズン酵母ならベリー系があるから作れるかも。ワイン煮の場合スープってつけるかどうか迷うよね……」


 ちなみに私は付ける派です。


「コーンスープ食べたいかも。とうもろこしあるかな? なければさつまいもかじゃがいものポタージュって手もありか」


 確認したい食材は、マッシュルームととうもろこし。

 天然酵母作成に向いているベリー。


「付け合わせの野菜は蒸し焼きでいこう。トメト、スーナ……ズッキーニ。ズッキーニ食べたい!」


 ズッキーニも確認しよう。


「モーモー肉のレッドワイン煮をメインに、キノコのアヒージョ、コーンスープ、蒸し野菜各種で。野菜はホワイトロックソルトをちょっとまぶす方向で……ピンクとかブルーもあるなら、そっちでもいいか。これもローズに応相談しないとだね」


 概ねの夕食を決めて、頭を上げる。

 目眩はしなかった。


「しかし、食材確認のために誰か一人呼んでおけば良かったなぁ」


 遅ればせながら私は、食材統括を買って出ているリリーを大声で呼んだ。





*今回ステータスの変動はありません。


 喜多愛笑 キタアイ


 料理人 LV 3 


 スキル サバイバル料理 LV3

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用 

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV∞ 愛専用

     命止魔法 LV3 愛専用

     人外による精神汚染 


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化 


 称号 シルコットンマスター(サイ) 



 以前はホームベーカーリーが欲しかったんですが、最近は置いておく場所がないよね……と、作っても食べきれるの? という切実な問題から、特に必要ないか! という気持ちに落ち着きました。


 次回は、では、天然酵母を作ろうか。の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 引き続きお付き合いいただけたら嬉しいです。


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