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ここはステーキ一択で! 食べますよ!

 自分は鶏肉が一番好きです。

 何というかあの、もちっとした感じが好きなんですよね。

 茹でささみの明太子マヨネーズ和えとか毎日でも食べたい所存です。

 先日チキンカツを食べたら口腔をやけどしました……。

 よくやるんですよ。




「サラダがまぁ……綺麗だなぁ」


「……こんなに新鮮な野菜を食べたのは久しぶりだ。この……かかっているタレも良い」


「タレには、美肌効果があるんですよ?」


 ドレッシング、という言葉はないのだろうか。

 一応あわせて、イマヒトツの違和感を拭いきれないまま、タレと言っておく。


「俺らが美肌になってもなぁ……でも、アレが知ったら毎日でも喰いそうだな!」


「毎日三食は食べるだろうな、間違いなく……そんな余裕はどこにもなくても、な」


『肌だけ綺麗になっても、中身が汚いんじゃあ、意味ないとか思うのねー』


 リリーが地味に辛辣だが共感しかできない。

 他の女性に会っていないから何とも言えないが、最初に出会った女性が、嫌な女性の典型的な彼女だったのは私も大変残念に思っている。

 

「スープもすげぇなぁ……何種類野菜入ってんだ、これ?」


「野菜だけじゃないな。しかし肉も魚も見当たらない……不思議なスープだ」


「野菜は4種類ですが、ベースにするスープをクックルーの屑肉と3種類の野菜で煮出していますよ」


『んっ! 滋養強壮効果有だから、夜も頑張れるのよ!』


 モルフォさん、モルフォさん?

 それ言っちゃうと身の危険があるかもしれないから、内緒の方向でお願いしますねー。


「では……そろそろ肉を焼きますね、すぐにできますからそのまま座っていてください」


 腰を浮かそうとした二人を掌で押し止める。

 目配せすればリリーとサクラが二人のグラスに新しいブラウンワインを注ぐ。

 手伝いには、ローズが来てくれた。

 お皿の用意をして、スタンバってくれる。


「まずは軽く塩胡椒したモーモーの肉をフライパンに投入! 強火で30秒ー、弱火で1分ー、ひっくり返してっと! 強火で30秒ー、弱火で1分ー」


 ステーキの焼き方には色々あるが、私はレアが好きなので大体こんな感じで仕上げている。

 ちなみに一枚のフライパンで二枚同時に焼いた。


 ローズが二人に持っていくのを気配で感じながら自分達の分も焼き上げる。

 リリーが跳ねてきて手伝ってくれたので、想定していた時間よりも早くできた……にも関わらず、二人は既にモーモー肉のサーロインステーキを食べ終えていた。

 

『男性が沢山食べるのは仕様なのです。パンを山盛るのです』


 サクラがせっせとお代わりのパンを追加している。

 ライぎむパンの黒、茶、白の三点セットだ。

 ジャム系を添えるか迷ったが、そこまでする必要もないかと思い直して、そのまま出したが、これも凄い勢いで食べているようだった。

 

「……金払っても良いから、もう一枚焼いちゃくれねぇか?」


「……可能ならば、頼みたい」


 想像を絶する美味しさだったらしい。

 二人はまだ呆然としている。

 リクエストをする声すらもどこか心許なかった。


「素材はありますので大丈夫ですが、まだクックルーとポークも用意してあります。こちらはソースがかかっていますので、また変わった風合いですよ。全部召し上がってから、お代わりが欲しければお作りしますから……」


『愛が食べている間は、他のワインの飲み比べをさせておいたらどう? 飲み比べっていったら、丁寧に味わうんじゃないかしら!』


 ローズが提案しながら他のワインを取り出す。

 二人が目を輝かせた。


「……私が食べ終わるまで、ワインの飲み比べをしてお待ち頂けますか? レッドワイン、ホワイトワイン、ピンクワインがあります。勿論、ブラウンワインもまだまだ飲んでくださって結構ですよ」


「嬉しいねぇ……俺は全種類頂きたい。順番は、ホワイト、ピンク、レッド、ブラウンで頼むわ!」


「……自分も同じでお願いできるだろうか」


 ローズとサクラがワイン係になってくれるので、私は少し冷め始めているモーモー肉のサーロインステーキを口にする。

 ナイフどころかフォークで切れてしまう軟らかさ。

 口の中ですっととろけてしまう儚さは向こうの世界で食べたA5ランクの最高ステーキ肉と比べても遜色ない。

 脂の甘さに思わずうっとりしてしまう。

 二人ほどではないにしろ、あっという間に食べ尽くしてしまった。


 レッドワインを一口だけ飲んで口の中をさっぱりさせると、シャリアピンソースを絡めたポークソテーを作り始める。

 こちらもモーモーステーキと同じ厚さの肉を用意した。

 隠し包丁を入れてから、中火にセットしたフライパンに入れる。

 脂身が多い肉を焼く時、油は使わない派だ。


 色が良い感じに変わるまで待ってからひっくり返す。

 レッドワインを適当量入れれば、良い音と良い匂いが部屋中に充満する。

 サンダリオがわざとらしく鼻をひくつかせていると、サイが教えてくれた。

 弱火にして蓋をする。


 蒸し焼きにしている間に、クックルーの肉にも取りかかった。

 こちらは弱火で比較的じっくり焼く。

 そうすると皮がパリパリ中はジューシーな仕上がりになるのだ。

 クックルー用のケチャップも焦がさないように弱火で温める。


 ポークに好ましい焦げ目ができたので、シャリアピンソースを入れてよくよく絡めながら少しの時間フライパンを揺らす。

 二人の食べっぷりから考えて、まだまだ食べられそうだったのでモーモー肉の倍量を乗せてサクラに手渡した。

 ワインが良い感じに回っているから、焦らなくても大丈夫なのねーと、リリーが教えてくれたので、自分達の分を持って席につく。

 モルフォがクックルーの焼き加減確認を買って出てくれた。


「ポークもうめぇなぁ! モーモーの方が高級だと思ってたけど、甲乙付けがてぇぜ!」


「……ポークの肉自体もさることながら、このソースがまた美味だな。オスカル様も召し上がったことがなさそうだ……」


「私の故郷の味付けですから……」


「本当に嬢ちゃんの故郷は凄ぇなぁ……次から次へと目新しいもんが出てきて、想像がつかねぇよ!」


「全くだ。何より幼いのにこの料理の腕前は素晴らしい」


 慣れない賛辞は思いの外面映ゆかった。

 時々心優しいレイヤーさん達が同じように喜んでくれたのを想い出す。


「! モルフォ! ありがとう。持ってきてくれたんだ!」


『んっ! 愛にもローズにも肉の焼き方は及ばないけど、二人の舌をごまかすぐらいわけないのっ!』


 一度に皿を持ってくる妙技に二人が驚いている横で、誰よりも早くクックルーのじっくり焼き・自家製ケチャップがけを口にしたローズが、モルフォに向かって胸? を張る。


『まぁまぁね、モルフォ!』


 ツンデレな彼女の最高な褒め言葉にモルフォは、うにょんと大きく身体を伸ばし、照れたようにねじ曲げて喜んだ。


「スライムが焼いた肉……うめぇ……めちゃくちゃ、うめぇ……」


「うちの料理番と変わって欲しいくらいだ!」


 スライムと変わって欲しいとは、とんだ褒め言葉だ。

 余程村の料理人の腕が悪いのか、はたまたモルフォが料理上手なのか。

 まず両方といったところだろうが。


 久しぶりのシャリアピンソースは良くできていた。

 何とも上品な味わいのソースだ。

 レシピを解放したら、王族貴族が虜になること間違いなし。

ポークソテーも良い焦げ目がついているが、全体的にやわらかい。

 モーモーステーキほど軟らかくないが、それでも老人が問題なく食べられる軟らかさに仕上がっていた。


 クックルーは望み通り、外はパリパリ中はジューシーと正しく仕上がっていた。

 時間はかかってしまうが、やはりこの焼き方が一番美味だと思う。

 自家製ケチャップの甘みと酸味のバランスも良く出来ている。

 綺麗に裏ごしされた完璧な舌触りのケチャップも美味だが、タマネギの食感が残るくらいのケチャップもまた等しく美味しいのだ。


『お代わりは私が焼くわ! リクエスト絶賛受付中よ!』


 ローズの言葉に他のスライム達がぴょんぴょんと飛び跳ねてリクエストを始める。


「ん? 急にどうしたんだ?」


「ええ。肉を焼くのが一番上手な子がリクエストを受けると言ったものですから喜んでいるのです」


「本当か! じゃ、じゃあ! 俺はモーモー3枚とポーク2枚とクックルー1枚を頼む!

 

「俺のも焼いて貰えるのなら各3枚づつお願いしたい……もし無理ならば、全てお任せするので、できればお代わりを貰えたら嬉しい」


『……繊細むきむき萌えー』


 ローズのマニアックな好みは気にしない。


「……お二人のリクエストは問題なく受けるとのことですのでご安心ください。この後に少しですがデザートも用意しておりますが、大丈夫でしょうか?」


「デザートは別腹だ!」


 こっちでも有効なセリフらしい。

 甘味が充実していないから、男性が甘味を好むと声を大にしても忌避されないのだろうか。

 だとするならば、その点は良い世界かもしれない。


 ワインのお陰なのか、美味しい肉のせいなのか、サンダリオの回る口は高速回転し、イスマエルの口すらも良く回っている。

 私は適当に相槌を打ちながら、欲しいだろう情報は徹底的に渡さないまま、肉の焼き上がりを待った。



 モーモー肉のサーロインステーキ 

 ランクSSS

 塩胡椒のみとシンプルに焼き上げられているが、絶妙な火加減で完璧な状態となって饗されているので最高ランク。

 一流の料理人でもこの焼き加減は難しい。

 レア寄りのミディアム。

 皮膚病緩和効果有。

 体力向上効果有。

 骨強化効果有。


 ポークのソテー シャリアピンソース

 ランクSSS

 焼き加減も完璧だが、シャリアピンソースがこの世界には存在しないレシピなので最高ランク。

 これ一種類のみ、ランチタイム三時間限定販売でも生活していけるレベルで高値かつ、大量に売れる。

 疲労回復効果有。

 ダイエット効果有。

 脳病対策に効果有。


 クックルーじっくり焼き 自家製ケチャップがけ

 ランクSSS

焼き具合も完璧だが、ケチャップがこの世界には存在しないレシピなので最高ランク。

 皮のパリパリ具合と肉汁が滲み出る秀逸さは、中毒になる者が多数出てしまうレベルで人気が出ると予測される。

 美肌効果有。

 二日酔い回復効果有。

 髪の活性効果有。





 *今回ステータスの変動はありません。


 喜多愛笑 キタアイ


 料理人 LV 3


 スキル サバイバル料理 LV 4

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用 

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV∞ 愛専用

     命止魔法 LV3 愛専用

人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化 


 称号 シルコットンマスター(サイ) 


 新年初の更新が、こんなに遅くなってしまって恐縮です。

 何とか1月中にできて良かった……。


 次回は、甘い物は別腹のようです。になります。


 お読みいただいてありがとうございました。

 次回も引き続き宜しくお願いいたします。


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