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スライム愛好会を訪ねてみる。12

 六個植えたラナンキュラスの球根。

 五個芽が出ました!

 初めてにしては上出来だと思っています。

 花まで咲かせられるといいなぁ。

 


 危険な商品の在庫が置かれていると説明された、地下二階へ下りようとすると。


「ようこそ、アイリーン・フォルス様とスライム御一行様」


 流暢に話をするスライムが現れた。

 ちなみに色は金色だ。

 ぴかぴかしていて眩しい。

 ローズなどは、目が! 目がぁ! とオタク鉄板の台詞を叫んでいた。

 つまり現れたスライムは安全ということだ。

 しかしクリストバルは大いに驚いている。


「部屋から出て大丈夫なのですか?」


「この人たちであれば大丈夫。と言うか、申し訳ないけれどクリストバルは扉の前で待機してほしい」


「ああ、フォルス様とお話が?」


「そう」


「で、あれば扉の前で待ちましょう」


「テーブルと椅子とお茶菓子は用意しておくよ」


「ははは。ほどほどにお願いします。あ、この子の言うように私は御一緒できませんがよろしいでしょうか?」


「大丈夫なのねー。存分に商品説明をされてくるのねー」


 リリーが答える。

 つまりはあれですか?

 クリストバルにとっては危険な商品だから、待っていてね? という意味合いでしょうか。


『その通りなのです』


 サクラが脳内返信をくれた。

 もしかして想像以上に危険な代物なのだろうか。

 詳しく問い詰めたいところだが、大人しくスライムたちに従う。

 部屋の前には既にティーセットが置かれていた。

 三段ティースタンドまで用意してある。

 クリストバルの相手をする気なのか、二体のスライムも一緒にいた。

 手を振ってくれたので振り返しておく。


「じゃあ、クリストバル。私たちは行くね。フォルス様たちが戻ってきても、問いただしたりしてはいけないよ?」


「勿論です! フォルス様はスライム愛好会の名誉会長なのですから!」


 なってない。

 まだなっていない。

 なることが決定だとしても、まだ決定はしていない。

 ……よね?


『ん。確定だけど決定はしていないの』


 モルフォさん。

 それって同じ意味なのでは?


『う。愛好会を去る前にしっかりと手続きはしておくのよ』


 サイさんや……まぁ、気にしても仕方ないのか。

 スライムたちが愛される場は多ければ多いほどいい。

 一スライムファンとして応援するのは吝かではないのだ。


「では、どうぞ。中へお入りください」


 金色スライムの先導で部屋の中に入っていく。

 背後で扉が音もなく閉まった。


「皆! フォルス様がいらしたよ」


 声と同時に何体かのスライムが姿を現した。

 どれも色がカラフルだ。

 そして恐らくだが流暢に話をするのだろう。


「さて、フォルス御一行様。この階層は正確には特殊能力を持つスライムを保護しておく場所なのですよ」


「……なるほど」


 隔離が必要ってことは、うちの子たち以上の能力かぁ……。

 それは確かに怖い。


「一通り説明しましょう。クリストバルも全員の特殊能力を明確には知りません」


「せ、責任重大ね?」


「御家族と共有できれば責任も分散されましょう。それに万が一があったときにも役に立つのが我々の特殊能力ですから」


「それでも聞くのが怖いわ……」


 本当に責任重大。

 聞くだけでも気が重い。


「そんなに怖がらなくてもいいのねー。ファンタジーなスライム能力って凄い! って興奮するのが愛らしいのねー」


 私を愛と呼ぶ時点で、うちの子たちの、彼らへの信頼度が知れる。

 と、同時に彼らが持つ能力の幾つかは想像がついた。


「では、まず私から。色の通り、金を生み出せます」

 

 うわぁ、やっぱり凄いの来た。

 

「正確には、意思を持って触れた物を金に変換させることができます、ですね。クリストバルには、金属を金に変換できる能力、と伝えています。嘘は吐いていませんよ? それ以上できるのを伝えないだけです。彼の安全のためにも」


「それでも十分凄い能力だと思うけどね……」


「彼には変換時に寿命を削るとも伝えているので、心配して極力情報を外へ出さないように気を配ってくれています」


「クリストバルらしいわね」


 しかし恐ろしい。

 触れた物全てを金にするなら、生き物は簡単に殺せるよね。

 空気は金に変換できない……といいなぁ。

 海とか川とかはどうなるんだろう?

 細かく規定を知りたい気もするが、恐ろしいので触れないでおこう。


「彼は理想の保護者ですね。他の子たちもささっと紹介しておきましょう」


 銀色スライム。

 不老不死にできる。

 ……実際それなりの数に対して使っているらしい。

 暴走してしまった者の駆除もしてきたとのこと。

 この世界の歴史と闇を垣間見た気がします、ええ。


 純白スライム。

 時を操れる。

……過去にも未来にも何年でもいけるよ! と胸? を張られました。

 不老不死もこの個体の前では即死なんだって。

 死ぬまで時間を進めるらしい……何年進めたら、不老不死が即死するんだろう。

 基本、永く生きるには強い精神力が必要なので、そこまで進めないでも殺せるんだとか。

 ひぇぇ。


 パステルピンクスライム。

 死者蘇生。

 ……一瞬だけ使用する機会が多いんだそうな。

 その一瞬で何をするんだろう。

 ちなみに蘇生には何らかの代償が必要らしく、生き返っても良い人生は送れないとか。

やっぱり死なせてくれと懇願にくるケースもあるんだって。


 灰色スライム。

 擬態。

 ……よく呼び出されるらしい。

 高貴な人が身代わりに使うんだってさ。

 殺されそうになった場合は反撃してもいいので、えげつない反撃をしてさくさく帰宅するのが一連の流れになっているとのこと。


 危険な商品の在庫置き場は表向きで、特殊能力持ちスライムの隠れ家というのが正しそうだ。


「クリストバルですら全員の正確な能力は知らないから、聞かれても答えない感じでお願いします……大切なことなので二回言わせていただきました!」


「……何で私には教えてくれたの?」


「貴女に庇護されし者の称号があるからです。この称号は唯一無二。ユニークスキルでもありこの世界でただ一つのスキルでもあるのです」


「知らなかった!」


「知られるといろいろと面倒だったから教えなかったのですわ! 貴方方も愛のような存在に出会えて嬉しかったのはわかりますけれど、言葉選びは慎重にお願いしたいですわね」


「や、大変申し訳なかった。ここは安全だけど退屈で……自分たちを紹介せずにはいられなかったんです」


 すみません、ごめんなさい、申し訳ないなどなどスライムたちが謝罪をしてくれる。

 

「驚いただけなのでその辺は気にしないでいいです。退屈ってことは、私たちについてきたいのですか?」


「いえいえ! それだと貴女に危険が及ぶかもしれません。ただ家族の許可が出る分の、記憶共有を許してもらえるなら、嬉しいなぁ……と思う次第なのです」


 苦笑が感じ取れる声音。

 叶わないけれど一応お願いしてみる、みたいな諦念が伝わってくる。


「家族が許可する範囲であれば構いませんよ。スライム収納に逃げ込めば安心なので、時々同行してもいいですよ」


 彼らはたぶん孤独なのだろう。

 己の能力をしっかりと理解し、使いどころを間違えないように慎重な生活を送っているから余計に。


「……よろしいので?」


「いいわよね、皆」


「愛がそうと判断したなら賛成するのねー」


 リリーの言葉に他の子も賛成の意思を示す。

 それを聞いたスライムたちが嬉しそうに飛び跳ねた。

 一番高く飛び跳ねたのはパステルピンクスライムだった。

 鬱屈が溜まりそうな能力だものねぇ。


「では相談して一人ずつ同行させていただきますね。同行の際は一言御挨拶をさせていただきます。勿論御所望とあらば能力を提供しますので遠慮なく申しつけてくださいね」


 正直一度は見てみたい能力の数々だ。

 でも一度見るだけで十分な気もする。


「……そろそろクリストバルの相手をしているスライムが退屈し始めましたね。あ! 忘れていました、これ。クリストバルに渡してください。アイリーン・フォルス様をスライム愛好会の名誉会長に推薦する書類です」


「……これで決定かしら?」


「そうですね。自分たちの推薦がなくても就任されたとは思いますが。自分たちもしっかりと意思表明はしておきたいのですよ」


 金色スライムに渡された書類を受け取って扉を開ける。


「では、御一緒に旅ができる日を楽しみに、日々を過ごしたいと思います」


 全員が手を振って見送ってくれた。

 能力は怖いが、外見や性質は可愛い。

 

「フォルス様!」


 クリストバルが目を輝かせて椅子から立ち上がる。

 相手をしていたスライムがジト目で彼を凝視した。

 彼の行動が読めてしまったのだろう。

 なので私はすかさず書類を手渡した。


「こんなものをいただいてしまっては、就任するしかないわね。何か手続きは必要なのかしら?」


「! やはり推薦してきましたか。さすがはフォルス様ですね。名誉会長就任証と名誉会長ブローチをお持ちください」


 クリストバルがジト目をしていたスライムに視線を向ける。

 それぞれが綺麗な紙とブローチを差し出してきた。

 

 綺麗な紙には見事な箔押しがされており、アイリーン・フォルス様をスライム愛好会名誉会長に任命いたします、と書かれていた。

 ちなみにブローチはスライムと鈴蘭を組み合わせたとても可愛らしいデザインだった。





 喜多愛笑 キタアイ


 状態 特殊スライムたちが同行する旅は、どんなトラブルに遭遇するのかと戦々恐々。new!! 


 料理人 LV 4


 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

     治癒魔法 LV10

     口止魔法 LV10


     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)   


 実家が引っ越しをしていて、テレビが繋がらない! と連絡が来たので、ラインでやり取りをした結果。

 次の日には何とか見れるようになったようです。

 良かった、良かった。


 次回は、スライム愛好会を訪ねてみる。13(仮)の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 引き続き宜しくお願いいたします。 

 

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