スライム愛好会を訪ねてみる。11
応募用の作品が規定をクリアできそうで一安心。
追い込んで書き上げたので、その他の作業が押しています。
まずはその辺りのチェックからしないとですね。
そうそう福袋の確認もしないと……。
修行を頑張るミニスライムを存分に愛でねば……と考えているうちに、地下一階へ下りる。
地下一階は倉庫との説明を受けていたのだが……。
「倉庫?」
「はい。倉庫です」
降りた先には一面のガラス張り。
水族館が一番近い印象だろうか。
大きさの異なるガラス張りの部屋がずららっと並んでいる。
「こちらのガラスにもスライム粉が使われて強化されているんですよ」
「じゃあ、こちらのガラスは食べられるのかしら?」
「! それは考えておりませんでした。とにかく固くする、割れなくするに焦点を置いて調合したものですから……」
「固すぎて食べられないのねー。食いしん坊のアイリーンには残念だったのねー」
「……人のこと言えない食いしん坊のくせに」
「言った者勝ちなのねー」
飄々とした態度に何ともいえない感情が湧き出してきて、両頬? を思い切り引っ張る。
人間がされたら激怒する痛さだろう。
しかしリリーは何処までも余裕綽々だ。
ドヤ顔までされてしまえば、更に強く頬を引っ張るしかない。
他の子たちの呆れた溜め息が聞こえて、渋々指を離した。
「スライム粉に関しては随分と研究が進んでおりますが、それでも解明できていない部分も多いのです。食べ物に関しては何処まで保存が利くかの研究が熱いですね」
クリアなガラスの向こうに透明な箱が整然と並んでいる。
ガラスには何が収められているかの他に、管理環境が書かれていた。
どうやら一つ一つの部屋によって保管環境が違うようだ。
何となく常温、冷蔵はわかる。
冷凍も同じく。
が、湿気たっぷりや灼熱の炎の中に保管は凄くなかろうか。
「こんな炎の中に保管して……危険じゃないの?」
「ええ。保管されている物は安全ですよ。こうして炎の中に収めておけば、長く持ちますから。出し入れは熱耐性のある個体が出し入れをしてくれますし」
説明プレートの隣にあるボタンを押すと、真紅のスライムが現れた。
似た色をしているローズに興味があるようで、ローズの周囲をくるくると回る。
ローズはそんな真紅スライムに触手をにゅんと出した。
ぱーん! といい音をしてハイタッチ。
認め合ったライバル同士がするような雰囲気。
即席姉妹は仲良く肩? を抱き合った。
「職務熱心な個体ですわ。誇り高い仕事に勧誘されましてよ」
『スライムマスターの護衛をされているんじゃあ、断られても仕方ない』
これまた明瞭に話す真紅スライムだ。
さぞ優秀なのだろう。
『私が管理している商品を御覧になるかね?』
「ええ、せっかくなのでお願いできるかしら」
『任された! 少し待っていてくれ』
出入り口はこちらから見えない場所にあるらしい。
ぽんぽんと飛び跳ねていく真紅スライムを見守る。
部屋の中を覗いていれば中に入ってきた真紅スライムはこちらに向かって手? を振ってくれた。
置かれた箱の中から一つを取り出して体内に収納し、再び視界から消える。
『箱の外側の熱だけを冷ますから、引き続き待っていてくれ』
指示には大人しく従う方針だ。
クリストバルも仕事のできる部下を診る眼差しで見守っている。
『よし! 熱が引いたぞ。これで触れても大丈夫だ。あ、蓋は開けるなよ? 高熱が保たれているからな』
床の上に箱が吐き出された。
透明な箱の中には粒の粗い透明の小石? に似た物が入っていた。
『ガラスを硬くするのに必要なスライム粉なんだ。この状態が今の所一番適切なので維持している』
「取り扱いが大変じゃない? というかこの状態で商品になるの?」
『なるぞ。まぁほとんどが熟練ドワーフだけどな。取り扱いが大変だから、販売も制限しているし』
「そうなのね。でもそうすると危険な商品になりそうだけど」
『ははは。この程度の管理で商品として成り立つなら危険商品扱いはされないぞ。これからそっちも見に行くんだろう? 見れば俺の言っていたことに納得すると思うぜ』
「……ちょっと面白そうな素材なのです。一箱購入したいのです」
『お。さすがにスライムマスターのスライムだな。お目が高い。一箱でいいか?』
「十分な量が入っているみたいなので、一箱でお願いするのです」
『100ブロンだぜ。毎度ありー』
何かがサクラの興味を引いたらしい。
赤石貨一枚と引き換えに箱を受け取って、即座に収納している。
「面白そうな素材なのねー。存分に研究するのねー」
「もしよろしければその研究結果、共有させていただけませんか?」
よほど気になるのだろう。
クリストバルが食い気味に体を乗り出して提案してきた。
サクラとリリーの視線が私に移動する。
決定権は私にあるようだ。
でも、私はこう言います。
「スライムたちが納得すれば構いませんよ」
ええ、うちの子たちに決定していただくのです。
それが安心安全だからね。
「……ある程度まとまったら、お手紙を送るのねー」
「おお! ありがとうございます。スライム愛好会のクリストバル宛てに送ってくださると助かります」
「了解なのです」
『おー。これでまた研究が進みそうだぜ。良かったな、クリストバル』
「ふふふ。本当に嬉しいです。これで貴方たちの地位も向上しますよ」
地位が向上した結果の乱獲は考えないのだろうか。
や、きっとスライム大好きなクリストバルのことだ。
いろいろと考えているのだろう。
「他にも何か御覧になり……おや? 補充ですか」
「はい。大量購入とのことで。葛アイスを取りに来ました」
「……大量購入。大丈夫ですか? お相手は?」
「何時ものアイス大好き侯爵様ですよ。本日の夜会に出されるのだとか」
「あ、あの方ですか。ならば安心ですね。気をつけてお持ちください」
「はい。頑張ります」
カートを転がして走ってきた会員に声をかけたクリストバルとの会話を聞いて、すかさず質問する。
「葛アイス?」
上の売り場では販売されていなかったはずだ。
「あ、はい。上には出していない商品ですね。作るのが手間なのでお得意様中心に販売しているものです。ここから五部屋先ですね」
クリストバルの指示通りに歩き、びっしりと霜で覆われた部屋の前に辿り着く。
プレートには冷凍保管、葛アイス各種……と書かれている。
ボタンを押すと濃い青色のスライムが現れた。
『全種類、どうぞ』
言わずとも全種類を持ってきてくれたようだ。
素敵。
目の前でぱかりと箱を開けてくれる。
中にはバータイプのアイスがみっちり詰まっていた。
『たくさん、種類、ある。お勧め、レッドベリー味。あと、ワイン味も美味い』
「おー! お酒のアイスもあるんだ」
『うん。美味い。新しいお酒、あるなら、作って? 食べたい』
「ふふふ。わかったわ。できたらこちらに送るわね」
『ありがとう。スライム愛好会 ディープブルースライム宛てで』
「ふぉ、フォルス様。是非私にも!」
ディープブルースライムの分も自分宛に、とは言わない。
それがクリストバルだ。
「ん。日本酒の葛アイスはきっと相性がいいと思うの」
「う。炭酸葛アイスも面白そうなのよ」
「バータイプもいいけど、カップタイプにも挑戦してみてはどうかしら?」
うんうん。
うちの子たちのアイディアは何時だって最高です。
どっちも食べたいわぁ。
ディープブルースライムもぴょんぴょん跳びはねているし、クリストバルは花を背負い始めた。
無駄に似合うけど、変な奴を引き寄せそうだから気をつけた方がいいよ?
葛アイスは自分のバッグに収納しておく。
あとで葛アイスパーティーでもしよう。
しかし種類がありすぎて選ぶのが大変。
贅沢な悩みだわぁ。
『またのお越しも、お待ちしています』
「はーい」
両手? を振って見送ってくれるディープブルースライムを背中に感じつつ、危険な商品をしまってあるという地下二階へと足を進めた。
喜多愛笑 キタアイ
状態 葛アイスが楽しみ過ぎるとわくてか中。new!!
料理人 LV 4
職業スキル 召喚師範
スキル サバイバル料理 LV 5
完全調合 LV10
裁縫師範 LV10
細工師範 LV10
危険察知 LV 6
生活魔法 LV 5
洗濯魔法 LV10
風呂魔法 LV10
料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用
掃除魔法 LV10
偽装魔法 LV10
隠蔽魔法 LV10
転移魔法 LV ∞ 愛専用
命止魔法 LV 3 愛専用
治癒魔法 LV10
口止魔法 LV10
人外による精神汚染
ユニークスキル 庇護されし者
庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化
称号 シルコットンマスター(サイ)
気分転換に見ているショート動画に各地方のクリスマスイベントが上がってきて気になります。
アドベントカレンダーとか購入しようかしら。
毎年素敵な物を見かける度に迷っています。
次回は、スライム愛好会を訪ねてみる。12(仮)の予定です。
お読みいただきありがとうございました。
引き続き宜しくお願いいたします。




