ここはステーキ一択で! 準備完了!
長くなってしまったので、準備編と実食編に分けることにしました。
ちなみに実食編は、まだ未執筆ですよ。
食材とか料理とか多すぎて、管理危険度がどんどん上がっていきます。
気合い入れて確認しないとなぁ。
「よし! お呼ばれをすんなら、手土産が必要だな! 後は着替えもしてぇ! イスマエルも一張羅を! って持ってねぇか……。俺が倉庫で見立ててやるから一緒に来い! じゃ、すんません、後程!」
「お、オスカル様っ!」
「……いいから、行け」
巨躯のイスマエルが売られた子牛のような目で引っ張って行かれる様は、なかなかのギャップ萌えだった。
そしてサンダリオが、やっぱり行き届いている。
私を使い倒すよりも、共闘した方が良いと考えを改めたのかもしれない。
詐欺師はイスマエルから私に目線を移す。
相変わらずの憎悪が宿っていた。
憎むなら自分の愚かさを憎めよ、愚鈍が。
見下す眼差しのまま瞳に力を入れる。
『スキル 威圧 を会得しました』
あ。
新しいスキル会得だ。
威圧だと、対人向けなのかな?
モンスターにも効果あるのかな?
まぁ今更のスキルという気がしないでもない。
知性のないモンスターも散らせるのならありがたい気もするが。
詐欺師の額には脂汗が浮かんでおり、僅か憎悪が弱まり戸惑いが見え隠れし始めた。
もしかしたら、これも上位スキルがあるのかも? と考えながら、目を細める。
『スキルレベルが強化されました。上位スキル 皇帝の暴圧 を会得しました』
おぉ、やっぱり。
レベルが上がるんじゃなくて、強化されるスキルもあるんだ。
想像通りでありがとうございます。
しかもなかなか厨二病的なスキル名だ。
上位ってことは、最上位も当然あるよねー。
詐欺師の全身がぶるぶると震えている。
瞳は涙で潤んでいた。
失禁とか、失神まで後一声ならばと、私は所謂虫けらを見る眼差しで、詐欺師を凝視した。
「あ、ががががっがっ!」
「あ!」
ばたーんと詐欺師は勢いよく倒れてしまった。
失神だ。
たんこぶが出来ているに違いない。
『スキルレベルが強化されました。最上位スキル 人外による精神汚染 を会得しました』
「何それ!」
想像外のこれまた厨二病スキルに思わず突っ込みを入れてしまった。
「どうしたのねー?」
「……愛らしいのです。威圧系最上位スキル 人外による精神汚染を手に入れたから、びっくりしているのです」
「精神汚染=愛に対して絶対服従=でもその状況に耐えられないから精神が歪む……みたいな意味合いだから、そこまで不思議に思うものでもないわよ?」
「そ、そうなんだ」
詐欺師の絶対服従とかちっともありがたくないのだが、やってしまったものは仕方ない。
「じゃ、放置で!」
「んっ! そのうち勝手に目覚めるから無問題なのっ!」
「うっ! 絶賛放置で家に戻るのよっ!」
店の外へ出ると周囲の人間が好き勝手な事を喚きながら近寄ってくる。
鬱陶しいので音声を遮断して貰い、半径2メートル以内には近付けない防御を展開して貰った。
視界の端で、絶対防御に弾かれて空高く飛んでいく男達がウザい。
それだけの目に遭っておきながらも、近寄ってくる者が後を絶たないのだから凄まじいとも思う。
その、どうしようもない根性だけは認めよう。
二人が来るまでローズが門番になってくれるというので、頭を一撫でしてから家の中へ入った。
スライム達は何も言わなくても収納していた家具を出して、人を招待できるように愛が知らぬ間に作っていた調度品なども配置する。
ルンとピュアは徹底掃除を始めた。
住み心地の良い清潔で温かみのある空間が素早く作られてゆく。
「さて、と。私は料理なんだけど……何作ろうかなぁ。ステーキっていうとやっぱり牛肉の気もするけど、クックルーもオークなポークも美味だからなぁ……」
「何を悩んでいるね? どうせなら三種類の肉・ステーキ食べ比べにすればいいのね!」
「う! モーモーも解体してあるのよ? あいつらが相手なら、サーロインが良いと思うのよ?」
「んっ! 新鮮野菜にも不自由しているみたいなのね。付け合わせの焼き野菜の他にフレッシュサラダをつけるといいのっ!」
「意外と甘い物も大丈夫みたいなのです。デザートもつけてみるといいのです」
皆が色々と意見をくれる。
向こうの対応次第では最後の晩餐になる可能性もないではない。
だとしたら。
「了解! ステーキメインのフルコースを頑張っちゃうわ!」
「ひゅーひゅー」「ぱふんぱふん」「どんどん」「どどどん!」
「どどどんどんっ! 私達の分も同じ物を当然作りなさいよっ!」
ドアの向こうからローズも参加してきた。
スライム達の分は勿論、自分の分も作るつもりでいる。
食べきれなかったら残して夜ご飯にしてもいいのだ。
たぶん、残すなんて勿体ないのねーと、スライム達に食べ尽くされそうではあるが。
「ステーキは焼きたてを出すとして……下拵えはしておかないとね。クックルーはもも肉、ポークはロース、モーモーはサーロインを出しておいてねー」
はーい! という返事と共に、食材が作業台の上へ出される。
「サイー! 厚切りで人数分切っておいてくれる?」
「う! 了解なのよっ!」
「リリーはサラダ人数分よろしくー。サクラはデザート&飲み物お任せしましたー。モルフォはスープお願い!」
「んっ! ミネストローネ? それともコンソメベースの野菜たっぷりスープ?」
「そうだなぁ……クックルーをトマト系の味付けにするからコンソメの方で」
「んっ! 頑張るのっ!」
時間がないのでスライム達にもがっつりと仕事を振る。
私はそれぞれの肉にあったソース作りに勤しもう。
クックルーは、ケチャップ味。
ポークは、ニンニクとネギタマを使ったシャリアピンソース。
モーモーは、塩胡椒でシンプルに仕上げる予定だ。
ニンニク醤油も迷ったんだけど、よくよく考えたら、ケチャップにもシャリアピンソースにも結構ニンニクを使うので、今回は回避しました。
「あーケチャップ! 調味料シリーズで作ってなかったかー」
作っておけば良かったなぁと思いつつ、自家製ケチャップのレシピを一部異世界食材変換で思い浮かべる。
食材はトメト、ネギタマ、ショウガ、ニンニク。
調味料は茶砂糖、塩玉、米酢、ローリエ、粒胡椒。
まずは、トメトの皮も剥いて潰しながら煮る。
ネギタマ、ショウガ、ニンニクは高速ですりおろして貰った物を投入。
煮とけるまで適当に混ぜ合わせて、調味料を投入。
後は弱火でことこと煮れば良いので放置。
シャリアピンソースは、多少ネギタマの食感を残したいので半分をすりおろして、半分はみじん切りに。
フライパンにみじん切りのニンニクを入れて香りが立ったら、みじん切りのネギタマを投入。
さくっと炒めてすりおろしネギタマ、バター、濃い口醤油、赤ワインを多めに、みりんを入れて、こちらも弱火でことこと煮る。
仕上げに黒胡椒を入れれば完成だ。
「皆の方は、どんな感じー?」
「こんな感じなのです!」
既に全員盛り付け中らしく、一人分盛り付けては、リリーに鑑定して貰う流れになっているようだ。
皆優秀すぎるってば!
リリー担当サラダ。
フレッシュサラダ クラッシュクックルー卵乗せ ドレッシングがけ
ランクS
タレースは手千切り、ウリキュウとコンダイーンは千切り、トメトは櫛形に切り、綺麗に盛り付けられている。
クックルーの卵を茹でてクラッシュした物が中央部分に振りかけられており、彩りが鮮やか。
オリーブオイル、米酢、塩玉、胡椒で作ったシンプルドレッシングがかけられている。
市販野菜は量産特化なので味が薄く、野生の野菜は品質が良いので、野生野菜しか使っていないサラダは高級品。
また、ドレッシングも貴族仕様の高級品。
美肌効果有。
モルフォ担当スープ。
野菜をふんだんにつかったコンソメスープ
ランクSS
今回のコンソメはモルフォオリジナルの手作り。
ジンニン、ロリーセ、ネギタマ、クックルーの屑肉を煮込んで三回漉した物。
丁寧に漉しているので、大変美味なチキンコンソメになっている。
キャノベツ、ジンニン、イモジャガ、ネギタマと一緒に煮込んだので、結構濃厚な味となっている。
今回は男性向けとして、あえて塩味強めにした。
滋養強壮効果有。
サクラ担当デザート&飲み物。
レッドベリーのムース スライスレッドベリーのせ
ランクSSS
ゼラチンは愛が説明した結果、リリーによって作られた。
こちらの世界にはない品につき高ランク。
ゼラチン、モー乳、白砂糖、ペースト状のレッドベリーを混ぜ合わせ、愛が時間促進で冷やした。
綺麗にスライスされたレッドベリーが乗っている。
眼精疲労回復
ストレス緩和効果有
美白効果有
*生食不可のレッドベリーだが、採取後にスライムたちが手を加えたので、美味しく食べられるようになっている。
ナオール花茶(ニードルビーの蜜入り)
手が空いたサイによる肉付け合わせの焼き野菜各種。
ランクS
スーナ、リンギエ、シモヤを塩玉とオリーブオイルでシンプルに焼いた物。
スーナ&リンギエは飾り切り、シモヤはヒゲ部分を丁寧に取り除き食感を重視。
疲労回復効果有
「おー! 素晴らしいねぇ」
「愛はどうなのねー?」
「あーソースはほぼ完了。肉は来てから焼こうかなぁと」
「肉を焼く順番はどうするのです?」
「モーモーで肉そのものの味を堪能、ポークでがっつり、クックルーでさっぱりな感じでいこうかと」
「んっ! いいと思うのっ!」
「うっ! 美味しさに凄く驚くとおもうのよっ!」
シャリアピンソースに黒胡椒を入れたところで、火を止める。
自家製ケチャップも同じタイミングで止めておいた。
「そろそろ来るわよ! 用意は完璧でしょうね?」
ローズに確認されたので。
「もちのろんですよ!」
と応えて、すぐ肉を焼ける状態にしてから二人の訪れを待った。
喜多愛笑 キタアイ
料理人 LV 3
スキル サバイバル料理 LV 4
完全調合 LV10
裁縫師範 LV10
細工師範 LV10
危険察知 LV6
生活魔法 LV 5
洗濯魔法 LV10
風呂魔法 LV10
料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用
掃除魔法 LV10
偽装魔法 LV10
隠蔽魔法 LV10
転移魔法 LV∞ 愛専用
命止魔法 LV3 愛専用
人外による精神汚染 new!!
ユニークスキル 庇護されし者
庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化
称号 シルコットンマスター(サイ)
料理魔法 レベル13 日本製調味料召喚
タイトルが予告より微妙に変わってしまいました。
何時も(仮)をつけようとして忘れます。
次回は、ここはステーキ一択で! いただきます! (仮) になるかと思います。
お読みいただいてありがとうございました。
次回も引き続き宜しくお願いいたします。