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能力の把握しましょう。

スライム達を書くのが楽くて仕方ない今日この頃。

口調とか違う子のを使っていたら、そっと囁いていただけると嬉しいです。


「さ、て、と! まずは、現在位置の確認よねん。マップ担当は……地形把握特化のモルフォになるのかな?」


「ん!」


「おお、相槌がちょっと違う!」


 胸に飛び上がってきたモルフォを受け止めて、頭を撫ぜる。

 安心のぷにょぷにょ感。

 そして素敵なひんやり仕様。


「ん!」


「あーいいわー。完全マップとか最高すぎるっ!」


 目の前にA3サイズほどのマップが現われる。

 白い紙っぽく背景が透けないのでとても見やすい。


 移動している赤い点は敵だよね。

 青い点は便利アイテムか何かだろうか?

 ×印は、罠……平原だから危険区域あたりかな。

 森に、川に……泉? 

 大きさからして湖か。

 海ってことはさすがないよね。

 村も、ある。

 大きくなさそうで良かった。

 獣人たんとかいると嬉しいんだけどね。


「マップは愛にしか見えてないよー。超高性能マップだよー。縮小拡大機能があるから、試してみてねー」


「了解」


 立ちっぱなしも何なので、その場で座り込む。

 見渡す限りの草原なんで、危険もなさそうだ。

 地図を眺めっぱなしなら索敵も必要ない。

 一番近い敵とも、3キロほど離れている。

 指でマップ上の記号を押すと、マップの欄外に距離が出るのだ。

 至れり尽くせりな仕様でありがたい。


「んじゃ、縮小―」


 世界地図っぽくなった。

 幾つかの大きな大陸と、無数の小島で構成されている。

 可能なら、無人島でスライム達とまったり生活を送りたいものだ。


「まったり生活の為にはー、お金が必要です!」


「贅沢するつもりはないよ?」


「食材や料理道具は全て採取で賄えないのよねー。美味しいご飯を食べ続けようと思ったら、お金は必要なのねー」


「あー確かに」


「無人島も国の管理下に置かれているのねー。愛なら占拠も可能だけど、後の面倒を考えたら購入した方が無難なのねー」


「せちがらい世の中よのぅ」


 まぁ、この子達がいたらあっと言う間に目標資金は貯まりそうな気がするけどね。


「んじゃ今度は拡大っと」


 縮尺2500。

 表示25メートル。

 これが一番拡大された状態らしい。

 反対側の欄外に出ました。


「近場は見事に草原なんだねぇ」


「食材アイテムが色々あるのねー」


「虫とか、虫とか、虫とかね!」


「……回復材料もあるのねー」


「一瞬の沈黙がつらいわっ!」


 蜂の子は目を瞑って食べた。

 あの縞々がなければいいんだけどね。

 イナゴの佃煮は、処理漏れの足が喉に引っ掛かって痛い目にあった。

 佃煮自体がそこまで好きじゃないので、何とも言えないけど、甘さと香ばしさに関しては高評価。

 食わず嫌いはいかんのです!


「マップは常時展開をオススメするのねー。不意の攻撃にもローズの完全絶対防御があるから、安全なのねー」


「そういえば、完全絶対防御って、どんな効果があるの?」


 オススメ能力に攻撃がないのが不思議だったのよ。

 で。

 攻撃は最大の防御なり、ってあるからさ。

 その逆もしかり! とか行き着いたわけ。


「愛に害成すモノ全てから護る能力なのねー。罠とかにも対応できるのねー。攻撃は全部反射するから、基本的にはこちらからの攻撃は必要ないのねー」


「なるほどねぇ」


「敵も物理攻撃無効とか、属性攻撃無効とか、色々いるけどねー。遭遇はまだ先なのでレベルアップに期待して欲しいのねー」


「まー最悪、逃げの一手でいけば大丈夫でしょ」


 運動神経は鈍いが、逃げ足は速い。

 危機回避能力も悪くないはずだ。

 何よりこの子達がいるのだから、なんの心配もいらない。


「任せなさいっ!」


 ローズが胸を張っている。

 この子はアレだね。

 ツンデレだね。

 ご馳走様です。

 ちょっと、縦ロールとかさせてみたいね。

 凄く似合いそうだ。

 真紅の髪の縦ロール。

 乙女小説ギャグ系のサブタイトルになりそうじゃない?

 誰が読むのって、突っ込みはさておいて。


「うーん。まずはどこに行けば良いかしらん?」


「小さい洞窟があるから、そこを拠点にするといいのねー。換金アイテムが貯まるまでいれば、愛のレベルも上がると思うのねー」


「私のレベルアップかぁ。逃げ足と料理の腕前はあげて欲しいかなぁ」


「こう、ご期待なのねー」


「ん? そういえば、今の私のステータスってどんな感じなの」


「これですっ!」


 サクラがぴょんと飛び上がる。

 頭の上に乗ったと思ったら、垂れ幕が下がってきた。

 薄い桃色だ。

 マップとの差別化なのかもしれない。


 喜多愛笑 キタアイ

 料理人

 LV 1

 スキル サバイバル料理 LV 0

     生活魔法 LV 0

 ユニークスキル 庇護されし者

 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 

 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化


 おー。

 シンプル。

 庇護スキル凄すぎ。

 ってーか、ヒットポイントとかマジックポイントとかないのかねぇ?


「普通は表示されるのねー。愛の場合は、ヒットポイントが減る事態はないし、マジックポイントは無限大だから、表示省略されているのねー」


「今気が付いたわ。チートだよね? 私自身も」


「最初から言ってるのねー。レベル0のスキルは発動と同時にレベル1になるのねー。作れば作るほど、使えば使うほどあがるのねー。レベルが上がれば失敗は減るのねー。ちなみに、永遠にレベル0のままっていう人も多いのねー」


「失敗もするんだ……って! 生活魔法って!」


「色々あるのねー。愛は全部使えるから楽しみにするといいのねー。使えそうな時に教えるのねー」


「リリー様が完璧すぎる件! 私を萌え殺したいのですか!」


「私だけじゃないのねー。皆が愛を萌え殺したいのねー」


「「「「ねー」」」」


 喜んで萌え殺されるさ。

 そして、復活するのさ。

 また萌え殺されるために。

 不死鳥のようにね!


「より詳しい鑑定が必要な時は、鑑定したい部分を指で触って欲しいのです」


「おぉ、サクラの言葉が流暢に!」


「説明の時はそうなるのです」


 リリーの語尾は、ねー。

 サクラの語尾は、です。

 喋り口調にも個性があるらしい。

 にゃ! とか言う子はいるのかしら、スライムでも。


「ご希望なら頑張るにゃー」


「無理はしないでいいのよ。猫の獣人さんとかは語尾にゃーじゃないの?」


「そういう子もいるらしいのねー。基本的には普通に話すのねー」


 いるのなら見てみたいなぁ。

 猫獣人で語尾にゃーの可愛い女の子。

 うっとりしていたら、リリーに頬を突かれる。


「これを鑑定するのねー」


「はいはい。宜しくサクラ」


「了解です」


 足元にあった鈴蘭に似た花を鑑定して貰う。


 ピンク色の垂れ幕には、


 キズナオール草

 傷薬を作れる

 +綺麗な水


 と表示された。


「そして、ここでサイの出番なのねー」


「う!」


 すーっと移動したサイが、キズナオール草に圧し掛かる。

 待つこと数秒。

 ぽん! と現われたのは。


 キズナオール草の花

 キズナオール草の茎

 キズナオール草の葉

 キズナオール草の根

 キズナオール草の球根 レア


 だった。


「おぉ! 結構細かく解体されるんだねー」


「サイは優秀なのねー。基本的には 葉とレアの球根しかないのねー」


 思わずサイをもみくちゃにするも抵抗はない。

 どころか、もっともっとと押し付けてくる。

 スライム達は、撫ぜられたり揉まれたりするのがとても嬉しいみたいだ。

 願ったり叶ったり!


「更に鑑定するのです! 問題ないのです?」


「勿論! サクラにお任せしますよー」


「任されるのです!」


 キズナオール草の花

 ナオール花茶ができる

 +蜂蜜、お湯


 キズナオール草の茎

 サバイバル料理材料になる

 ナオール煮物ができる

 +塩、お湯


 キズナオール草の葉

 傷薬を作れる

 +綺麗な水


 キズナオール草の根

 傷薬を作れる

 +綺麗な水


 キズナオール草の球根 レア

 栽培できる

 +普通の水

 サバイバル料理材料になる

 +色々とお試しあれ♪

 

「これだけで夕飯できそうだよね!」


「葉が傷薬、球根が栽培できる以外は、知られていない知識なのねー」


「は?」


「愛さえその気なら、この草原に生えている無料のアイテムだけで、ぼったくり商売ができるのねー」


「り、リリーさん?」


 キズナオール草は大量に生えている。

 視界の隅っこでは、サイがせっせと解体を続けていた。


「は! でもほら! 劣化とかするんじゃない? 後は……量だってそこまで確保できないよね? アイテムボックスとかないしさ!」


「アイテムボックスはないけど、私達が最高級アイテムバッグ並みの収納ができるのねー」


「「「「ねー」」」」


 サイの後ろをサクラが付いて回っている。

 サクラの通った後には、解体されたアイテムは残っていない。

 チートはどこまでも続くようです。

 ありがとうございます。

 でも、ちょっとだけ怖いです。

 がくがくぶるぶる。


「だから、愛は夢の無人島まったり生活のために、持ち帰り専用料理屋さんを経営すればいいのねー」


「なんで、持ち帰り専用?」


「接客したいのかなー?」


「したくないわー。嫌だわー」


 異世界転移してどうなったかわからないが、人間には嫌われる性質だ。

 自分を嫌う人間と積極的に付き合いたいとは思わない。

 動物なんかには好かれる性質だったけれどさ。


「まずは、料理屋さんが開けるだけの資金を貯めるのを目標にするといいのねー」


「ははー。リリーさんの仰せのままに!」


「う! キズナオール草で料理を作るといいのっ」


「あーねー。一杯取って貰ったしねー。他にもいい材料は何か生息してるの?」


「それなりにあるけど、お腹空いたのねー。水も確保しないとだから、今日はキズナオール草で色々試すといいのねー」


「ん! このルートが最短だよ。小さいけど拠点にできそうな洞窟があるよ!」


 拡大と縮小をいい感じに使って、モルフォが洞窟を探してくれた。

 もう、私が見るよりもモルフォに任せた方がいいんじゃないかな!


「んん! 決めるのは愛だよ! 私達がするのは説明とアドバイスだけだよ!」


「そうなのねー。愛は何時だって嫌って言っていいのねー」


「ないわー。皆の言葉を否定とか有り得んわー。自分より皆を信じられるわー」


 良かれと思った選択を悉く外してきた人生だ。

 誰のアドバイスも耳にしなかったからというのもあるのかもしれないが、だとしたら余計、スライム達の助言を重視した方が良いに決まってる。


「じゃあ、移動中に良いアイテムあったら、教えてねー」


「当然なのねー」


 そうして私は、スライム達に囲まれながら、無事に洞窟へ移動を完了した。


 次回は、サバイバル料理開始! になります。


 料理描写が大好きなので、つい何時も調子に乗ってしまいます。

 自分自身も料理やお菓子を作るのが好きです。

 食べるのはもっと好きですが、常にダイエット必須なので、存分には食べられないのが悲しいところです。


 お読みいただきありがとうございました。

 次回もよろしくお願いいたします。

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