スライム愛好会を訪ねてみる。5
いきなり洗濯機が給水できなくなって驚きました。
いろいろ試してみたんですが、そろそろ買い換えか……という話になりまして、新しい洗濯機を購入しました。
到着が楽しみです。
山盛りの洗濯物をさくさくと片付けねば……。
スライムたちと一緒に男が戻ってくるのを待つ間もなく、次の刺客? がやってくる。
「きゃあ! 酷いですわ、フォルス嬢。シルベストレ様を突き飛ばすなんて! 犯罪ですわよ。慰謝料を請求いたしますわ」
『フォルス嬢? 自分より年上の相手に、嬢? 非常識なのねー』
リリー的にはそこが一番許せない点らしい。
「慰謝料を支払うのは君だよ。あと! フォルス様に無礼を働いたんだ。君は本日をもってスライム愛好会への出入りを永久に禁じる。速やかに私物のみをまとめて出て行きたまえ。私物以外の物を持ち出すのも当然禁止とする!」
「え、どうしてですか? 妾、何も悪いことなどしておりませんのに。クリストバル様の御機嫌が麗しくないのであれば、妾がお慰め……」
「会長と呼びたまえ。私は君に名前を許していない」
「クリストバル様ぁ……」
『クリストバル、不憫なのです』
サクラが同情している。
いい人もいるんだけどね、スライム愛好会。
駄目な人間が多すぎだよ。
『アイリーンが名誉会長になったら粛正をすると良いのですわ』
『ん。アイリーンは勿論何もしなくていいの』
『う。全部私たちがやるから安心するのよ!』
お、おう。
うちの子たちが激怒していらっしゃる。
「う、うちの研究室の者が申し訳ございません! こら、失礼をお詫び申し上げなさい」
「えぇ、先輩。クリストバル様の気を引きたいからって、フォルス嬢を贔屓するんですかぁ?」
「フォルス様とお呼びしなさい。この方は当愛好会の名誉会長様に就任される御方ですよ」
「嘘ぉ! 本当ですかぁ?」
人の顔を上目遣いに見てくる。
煽られている気しかしない。
にやにや笑ってるしね。
「……研究内容の変更をされたくなければ、下で気絶している男と、この、学習能力皆無の女をとっとと連れて行きなさい!」
「は、はい! 完全防護服研究室の者っ。当研究室存続の危機につき、今すぐに全員出てきなさい!」
なかなかの大声。
他の研究室の扉も開かれて、頭が幾つも覗く。
完全防護服研究室に属するらしい人物がわらわらと現れた。
ざっと十人。
あら、もしかして全員で十三人?
不吉と思ってしまう自分は、案外迷信を疑わない性質なのかもしれない。
「……またお客様に無礼を?」
「えーと。こちらはフォルス様ですよね、愛好会名誉会長予定の」
「そうよ。シルベストレはフォルス様の腕を許可なく取ろうとして階下に転がっているわ。
アヌンシアシオンは何時もの無礼、そして不敬ね。どちらも放逐! ……で問題ないですよね、会長」
「ああ。私物以外を持ち出さないか監視をしてくれ。特にスライムの持ち出しは許さない」
「了解です。自分が責任を持って手配いたします。フォルス様の案内は誰にさせましょう?」
自分で誰に案内させるとは言わず、クリストバルにきちんと委ねている。
うん。
完全防護服研究室のメンバーが全員駄目なわけではないようだ。
良かった、良かった。
「そう、ですね。ギジェルミーナにお願いしますか」
「じ、自分ですか?」
「ええ、貴女にお願いします」
「ふ、ふつつか者ですがよろしくお願いいたします。フォルス様。ギジェルミーナと申します」
直角に腰を曲げられた。
キノコのような帽子がスポーンと飛ぶ。
ドジっ子ギャグ回かしら?
「……落ち着きなさい、ギジェルミーナ。フォルス様はスライムを愛する良識的な御方です。貴女にも相応しい対応をしてくださるでしょう」
飛んだ帽子を拾ったギジェルミーナは、どうやら酷いくせっ毛らしい髪の毛をぐいぐいと帽子の中に押し込みながら、はい、と小さく頷いた。
雰囲気からして何となく、下に見られがちなタイプなのだろう。
先ほど放逐が決まった奴らにこき使われて、更に萎縮、そして卑屈になってしまったのかな? と推測してみる。
「で、では。こちらへ、どうぞ。フォルス様。スライム様方」
「自分たちは名前呼びでいいのねー。自分たちもギジェルミーナと呼び捨てるのねー」
「こ、光栄です。リリーさん! ローズさん、サクラさん、モルフォさん、サイさんもよろしくお願いいたします。呼び捨ては難しいので、さん付けでお願いしたいです」
うちの子たちはギジェルミーナを良い子認定したようだ。
名前呼びをわざわざ許可するのであれば、優秀でもあるのだろう。
「では、研究室へどうぞ。当研究室は、通いの者の研究としては、最大人数を抱える研究室になっております」
研究に対しての説明は滑らかだ。
幾度もこなしている証拠だろう。
扉を開けて中へと誘われる。
部屋はワンルームで広い。
所々雑多な雰囲気だが、それ以外は清潔で無駄な物が見受けられなかった。
「こちらとそちらは……先ほど放逐が決まった者の個人区画です。本来全て共用なのですが……無理を通されておりました。家から放逐寸前の貴族様で、最後の情けとばかりに寄附と一緒にこちらへ押しつけられていた次第でございます」
「なるほど。世知辛いわねぇ」
「押しつけてきたとはいえ、筋を通してくださいましたので、貴族様には感謝しておりますが。どうにも困った方々でしたので。放逐が叶って喜ぶ者は多いでしょう。フォルス様には御不快な思いをさせてしまって、大変申し訳ありませんでした。心からの感謝を捧げてもよろしいでしょうか?」
「ふふふ。いいわよ。迷惑というほどでもなかったし。完全防護服研究室のメンバーの大半が真っ当な方と知れて良かったわ」
「そう言っていただけて……本当に……報われます。今後も日々精進していく所存でございます。では、こちらから説明をさせていただきますね」
ギジェルミーナは何に使うかよくわからない機材や、完全防護服を作ろうと決めたきっかけやその経緯、成果なども丁寧に説明してくれた。
素人にもわかるように噛み砕かれた説明はとても好ましかった。
「現在はダメージ軽減率を上げることと、頭部の保護について。それから指先の動きをもっと滑らかにする点を中心に研究をしております」
「ダメージ軽減なら、相談に乗れそうですわね」
「う。頭部の保護についてなら、自分とモルフォが相談に乗るのよ」
「指先の動きであれば、自分とサクラが相談に乗るのねー」
うちの子たちの提案を聞いたギジェルミーナの背後に花が派手に散った。
周囲から響めきが起きる。
珍しいのだろう。
そして次の瞬間には何人かがメモ帳を片手に寄って来た。
それぞれ自分が望むスライムの元へ分かれる。
「フォルス様。こちらへどうぞ。研究室所属の子がティースペースを作ってくれましたので」
「あ、ありがとうね」
うっすらと紫色をした個体が二人用のティーテーブルをセッティングしてくれた。
スライム本体ではなく、スライム素材で作られている。
しっかりと研究している人もいるんですよ? というアピールなのだろう。
可愛い。
当然しっかりと撫でておく。
嬉しいのかほんのり温かくなるのもまた、可愛らしかった。
「あら? パープルベリーティーかしら。果実感たっぷりで美味しいけど、珍しいわね」
「え? うわ! 美味しい。初めていただきます……今の今まで知りませんでした」
クリストバルが紫色のスライムを凝視する。
報告がないと咎める眼差しだ。
スライムは自分は知りませんよー、とばかりに唇めいたものを突き出して知らんふりをする。
随分とコミカルな所作に、思わず微笑んでしまった。
「先ほどまでの輩に功績を残したくなかったのかな? 自分の手柄にしそうだし」
「あ、なるほど。納得です。フォルス様の言うとおりなのか?」
紫色のスライムが大きく頷いた。
更に体の中からガラスの器に入ったゼリーのような物を取り出す。
添えられたスプーンで一口掬って食べる。
口溶けの良いパープルベリーゼリーだ。
「まぁ、これも美味しいわね」
「……すごく美味しいですね。はぁ。ティーもゼリーもすばらしいです。副産物としてできたのであれば、予算が増やせそうですね」
スライムが何度も跳ねる。
誰にでもわかる嬉しさを表現する動きだ。
「研究室で知っている者はいるか?」
スライムがふるるんと揺れる。
これは恐らく否定。
つまりこの紫スライムは私たちに初めて出して見せたのだ。
「なるほど……研究員に問題があると、スライムが成果を隠匿しているケースもあるんですね?」
ぽいんと跳ねる。
その通りのようだ。
「問題児たちへの処罰をもっと厳しくする必要がありますね……」
スライムたちに信用されていない。
それはクリストバルにとって悲しい状況だ。
一端下げた目線をあげたときには、今までにない強い意志がその瞳に宿っていた。
喜多愛笑 キタアイ
状態 紫スライムが可愛くて御機嫌new!!
料理人 LV 4
職業スキル 召喚師範
スキル サバイバル料理 LV 5
完全調合 LV10
裁縫師範 LV10
細工師範 LV10
危険察知 LV 6
生活魔法 LV 5
洗濯魔法 LV10
風呂魔法 LV10
料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用
掃除魔法 LV10
偽装魔法 LV10
隠蔽魔法 LV10
転移魔法 LV ∞ 愛専用
命止魔法 LV 3 愛専用
治癒魔法 LV10
口止魔法 LV10
人外による精神汚染
ユニークスキル 庇護されし者
庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化
称号 シルコットンマスター(サイ)
rta in japan2025をちょこちょこ見ています。
知らないゲームでも楽しく見れますよね。
何時もやっているゲームに関しては、別物別物……と囁きながら鑑賞しています。
次回は、スライム愛好会を訪ねてみる。6(仮)の予定です。
お読みいただきありがとうございました。
引き続き宜しくお願いいたします。