スライム愛好会を訪ねてみる。3
ふと流れてきた韓国無料ドラマのタイトルに引かれて見てしまった……。
蘇り復讐物!
日本語訳が二種類流れるんですが、その差異と訳そのものが面白くて、違う意味でも堪能しました。
スライム移動で楽ちんだったので気にしていなかったがここは最上階。
応接室が最上階にあるのは珍しい。
階下を楽しむ仕様なのかしら?
「スライム愛好会の建物は地上五階、地下三階となっております」
「あら、地下がかなりあるのね」
「はい。危険な実験は地下でやっておりますね。副会長の部屋は地下三階です」
「会員は皆こちらに住んでいるの?」
「いいえ、通いの者も多いです。こちらの階は応接室、商談室、私の自室、優秀なスライムたちの休憩所がございます」
応接室は四つ、商談室は六つあった。
なかなか盛況のようだ。
どれも使用中のプレートがかかっている。
このプレートもスライム素材なのだろうか。
そんな気がする。
「ここが休憩所……ふわ!」
まったりと過ごしていたスライムたちが揃って足元に押し寄せてきた。
うちの子たちが警戒しないので、純粋に慕ってくれているらしい。
「こ、ここの子たちが、ここまで懐くなんて……羨ましいです!」
研究寄りかと思ったけれど、溺愛寄りな気がしてきた。
仕方ないなぁ……と何匹かのスライムが足元にまとわりつき始める。
彼らもクリストバルが好きなのだろう。
そうでなければ自ら近づきはしないはずだ。
うちの子たちとも戯れれば、何時の間にかギャラリーができている。
皆が目を輝かせながらスケッチをしたりメモを取ったりしていた。
会員ではなさそうな人もいるが、その人たちも興味深そうな眼差しを向けている。
嫌悪や憎悪といった感情はないようだ。
「うちの子たちはグルメだけど、ここの子たちは何を食べているの?」
「この会にいる子たちには、好きな物を与えていますね。この子とかは……野菜が好きです。この子は肉。この子は料理された物なら何でも……あー、極端に美味しくない物は食べませんが」
一匹のスライムが、すっとジンニンを差し出してくる。
これが好きだと主張しているようだ。
この個体はほんのりとオレンジ色をしている。
食べ物が体の色に影響を与えているのかもしれない。
頭を撫でればスライムたちが、それぞれの好物を差し出してくる。
スライム収納にある程度備蓄しているのだろうか。
「ふふふ。こんなに可愛く主張されたら、あげてしまいそうですね。同じ物しか食べなくても支障はないの?」
クリストバルにではなく、うちの子たちに聞いてみる。
「ありませんわよ。基本的には雑食ですしね」
「毒物も平気な子がほとんどなのです」
「色味の強い食べ物を与えていると、色がつく子もいるのねー」
「ん。希に薬を飲み続けたりすると、体が同じ効能を持ったりもするの」
「う。その場合は効果が落ちる場合がほとんどなのよ?」
「ほ、本当ですか!」
クリストバルが目の色を変えてしまった。
まぁ、冷静に考えてみれば凄い内容だよね。
薬とか毒とか、効能が落ちても持っていたら便利じゃない?
スライムって一かけでも体が残っていれば、元通りに戻るからね。
時間は個体によって様々だけど。
……ん?
一般的なスライムは核があるんだっけ?
それを壊せば殺せるんだっけ?
インセクトダンジョンにはスライム出なかったからなぁ……殺し方が地味にわからない。
どうにもうちの子たちと同じ目線で見てしまうので、あまり殺したくはないし。
「……あの変態には教えたくない情報じゃない?」
「大丈夫なのねー。変態には変態に相応しいスライムが憑いているのね……」
「つ、憑いている?」
不穏な言葉に興味が湧いてしまい、深く追求しようとしたが、スライムスマイルの拒絶を受けてしまった。
言いたくないらしい。
知る必要がないのかもしれない。
「と、とにかく無茶はしない方向で、情報を伝達させていただいてもよろしいですか?」
「クリストバル会長の許可を得ずに走って行った会員がいたようですけど……」
「あ、大丈夫です。スライムたちも一緒ですので、許可がでないとしゃべれませんから」
指差す方向に首を向ける。
何かを必死にしゃべっている男性の口元を、スライムが塞いでいた。
か、体を張っているなぁ……。
「では、くれぐれも無茶はしない方向でお願いします。する奴には罰を与えていいからね?」
スライムたちにそう告げれば、スライム全てが真紅に染まった。
「こ、これも初めて見入る現象です!」
「任せてほしい! という強い意志表示なのねー。アイリーンの言葉だから、ここまで一生懸命になるのねー」
「なるほど。さすがはスライムマスターですね!」
「す、スライムマスター?」
「私どもの間では時々、フォルス様をそのようにお呼びしております。お嫌でしょうか?」
「嫌ではございませんわ。実際、全てのスライムはアイリーンさえその気になれば、完全に屈服しますもの」
ざわっと声にならない歓喜が満ちた。
これもスライムたちの意思らしい。
「フォルス様! どうぞ、当愛好会の名誉会長に就任していただけませんでしょうか!」
名誉会員ではなく、名誉会長というところにクリストバルの本気を感じる。
「……全部見せてもらってから判断してもいいかしら?」
「勿論でございます。では、四階へ向かいましょうか」
クリストバルの言葉を聞いたスライムたちは、さささっと散っていった。
何体かついてくるかな? と思ったけど、うちの子たちに遠慮した気もする。
『ん。その通りなの。でも建物内にいる全てのスライムには通達してあるから、万が一何かあったら率先して助けてもらえるの』
とモルフォが教えてくれた。
変態と一緒にいるスライムも知っていて、率先してくれるのは心強い。
気持ち悪いんだよね、あの変態。
伝記として読むぐらいの距離感が望ましいのです。
階段を下りるときは、スライムが手伝ってくれる。
すーって滑るように登るのも降りるのも楽しい。
「四階は会員の住まいになります。全員自分のスライムがいますよ」
「仲は良いの?」
「そうですね。パートナー扱いにしてる人、ペット扱いしてる人、同居人扱いしている人……ですね。そもそもスライムが好きじゃないと部屋の確保はできません」
「……会長! よろしかったら、私の部屋をどうぞ?」
「お、助かる。造りは全て同じですが、手を加えるのは自由なので、比較的真っ当な内容の部屋に御案内しますね」
「比較的真っ当とか、言い方が酷いですよ。ようこそ、スライム愛好会へ。是非名誉会長になってください!」
部屋を見せてくれると立候補したのは緑髪と緑目の女性。
細身で長身に眼鏡。
白衣も着ているので、研究寄りの人かな?
「おうふ」
部屋の中はジャングル三歩手前。
湿度の高い部屋。
カロリーナの部屋を思い出す。
元気でやってるかしら?
やってるよね、きっと。
あの爆乳で観光客を魅了しているだろう。
「これで、比較的、真っ当?」
「ええ、人が住めますので」
「そうね……寝室、キッチン、トイレに研究スペース?」
「はい。この部屋は寝室はベッドだけ、キッチンは研究スペース、さすがにトイレはありますけど、シャワールームはないです」
女性が説明する方向を見れば、ベッドは何やら透明な膜で保護されており、湿気とは無縁で眠れる状態になっている。
キッチンは食器とマグカップに鍋の他は研究機材が、ずららっと並んでいた。
「この蒸し暑さでシャワールームがないのは厳しくない?」
「いえいえ。うちの子が寝る前には綺麗にしてくれるので。まっちゃーん!」
ひょこりと顔を出したスライムは薄い緑色。
名前は抹茶からきているのだろうか。
「フォルス様が来てくださったのよ。あのフォルス様よ!」
スライムはぺこりと頭を下げる。
かなり頭の良い個体らしい。
「ふふふ。光栄よね」
掌に載せたスライムを撫でながら幸せそうに語りかけている。
同じ緑色だから興味が出たのかサイが寄ってきて触手を伸ばしている。
何やら話し合っているように見えた。
「う。蒸し暑い環境でのスライム観察がメインテーマなのよ。ベッドの保護膜や体を綺麗にするクリーン魔法は後天的に覚えたのよ」
「おぉ。それは凄い」
「はい。うちのまっちゃんは本当に優秀で! 保護膜は商品化が進んでいます。またクリーン魔法についても研究が進んでいます」
「う。今後もこの環境で過ごすなら改善を頑張るらしいのよ。努力家で良い子なのよ」
「そんなことも言っているんですか? 嬉しい! でも辛かったら別の研究テーマにするから何時でも教えてね」
この女性とまっちゃんの相性は良いらしい。
四階に住んでいる会員が皆こんな感じならいいのだけれど。
ジャングル部屋が比較的真っ当と判断されているのだとしたら、不安は拭い切れなかった。
喜多愛笑 キタアイ
状態 蒸し暑くて少々消耗中new!!
料理人 LV 4
職業スキル 召喚師範
スキル サバイバル料理 LV 5
完全調合 LV10
裁縫師範 LV10
細工師範 LV10
危険察知 LV 6
生活魔法 LV 5
洗濯魔法 LV10
風呂魔法 LV10
料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用
掃除魔法 LV10
偽装魔法 LV10
隠蔽魔法 LV10
転移魔法 LV ∞ 愛専用
命止魔法 LV 3 愛専用
治癒魔法 LV10
口止魔法 LV10
人外による精神汚染
ユニークスキル 庇護されし者
庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化
称号 シルコットンマスター(サイ)
毎日無料で見れる漫画をちょこちょこ見ているのですが、まとめてコミックスで見たくなります。
しかし基本オールカラーなのでコミックスになると高いんですよね……。
定期的に凄く手元に置いておきたくなるコミックスがでてきて困りものです。
ドレス描写が本当に素敵な作品ばかりなのです、ええ。
次回は、スライム愛好会を訪ねてみる。4(仮)の予定です。
お読みいただきありがとうございました。
引き続き宜しくお願いいたします。