スライム愛好会を訪ねてみる。1
映画『マキシーン』見てきました!
三部作で最終作品です。
相変わらずミア・ゴスのダークヒロイン加減が素敵でした。
そしてケビン・ベーコンが最高に嫌な役で格好良かったです。
予告でやっていた鬼滅の刃も見に行かないとね。
あちらの世界で懸賞に当選して、一度だけ泊まった高級ホテルのバスルームよりも至れり尽くせりなバスルームを堪能した。
バスルームが愛の風呂魔法とはまた違う素敵さでしたわ……と、夜にスライムたちが寝ぼけ眼の私を洗ってくれたときの感想を教えてくれたので、朝一番に入ってしまったのだ。
朝風呂というだけで既に贅沢の一つという印象があったのだが。
まさしくその通りだった。
広く清潔なバスルーム。
常に空調管理と汚れ除去の魔法が施されているとのこと。
さらにはそこから続く露天風呂。
ヨユヒャネイ離宮が一望できたのですよ。
やぁ、見事だった。
もう一泊してヨユヒャネイ離宮探索をしたいと思ったくらい。
あまりの絶景と快適さに、危うく湯あたりするところでした。
朝から温まりすぎてしまったので、ベランダで体を冷やしていたら、朝食のお知らせが届く。
またしても料理長が自ら訪ねてきてくれた。
イケオジなのでそれだけでお腹いっぱいになりそうだけど、長湯のせいか小腹が空いていたので準備をお願いする。
ビュッフェではなかった。
でもビュッフェ並みに凄かった。
パン三種類。
プレッツェル&トリュフバター。
オープストブロート&クリームチーズ。
カイザーゼンメル&生ハム。
飲み物五種類。
トメトジュース。
ホットモー乳。
レッドアップルジュース。
スムージー。
カフェオレ。
その他。
プレーンオムレツ&ソーセージ。
クックルーサラダ。
フルーツ盛り合わせ。
パンがそのままドイツパンだった。
一緒に出されたお供も秀逸だ。
ソーセージもほんのりとハーブが香るもので食べやすかった。
フルーツとサラダに異世界要素満載の食材が紛れていなかったら、向こうの高級ホテルと何ら代わりがないものだ。
食べやすくて美味しい。
初めて見る食材でも安心して食べられるのはしみじみ嬉しかった。
「……バルドゥイノさん。パンは販売されているのねー?」
私が美味しそうに食べているのを見て、リリーがそんな質問をする。
一度見たり食べたりすれば何でも作れるスライムたちだけど、一流の職人達には敬意を払っているのだ。
「基本は予約販売とさせていただいております。ですがフォルス様の御希望でしたら、焼き立てをお届けいたしますが?」
「それはさすがに申し分けないのねー。私たちの誰かが取りに伺うのねー」
「お願いできるのであれば、昨晩いただいたパンもお願いしたいですわ」
「……ヨユヒャネイ離宮で提供されるパン全て、お願いできるのです?」
スライムたちの要望はどんどんと上がっていく。
しかし我が儘とも思える質問を受けたバルドゥイノは、実に職人らしい笑顔になった。
「食材の関係上、作れない物もございます。現時点で提供できるものでよろしければ昼には揃えられるでしょう」
さすがの一言だった。
「ん。ランチどきは忙しいと思うから、もう少しあとに取りに行くの」
「う。できあがったら、これに向かって話しかけてほしいのよ」
サイが自分の一部を捻り取ってバルドゥイノに渡す。
小さな緑色のスライムが大きな掌の上でぷるんと可愛らしく揺れた。
一瞬くわっと目を大きく見開いたバルドゥイノは、優しく小さなスライムを指先で撫でる。
案外と可愛いもの好きなのかもしれない。
っていうか!
初めて見たよ。
体の一部を捻り取るとか。
それが分身? みたいに意思の疎通ができそうとか!
「では、よろしくお願いします。こちらのパンが違う場所で食べられるなんて、とても嬉しいです」
「何よりの御言葉です。またのお越しをお待ちしておりますね」
もしかしてスキップしてる? と突っ込みを入れたくなるバルドゥイノを見送って、心置きなく食休みをする。
チェックアウトは部屋まで執事が来てくれるVIP待遇。
しかも支払いは教会が既に終えていましたとさ。
抜かりないなぁ、サカリアス。
御礼は何にしようかな、と考えつつヨユヒャネイ離宮を後にする。
ヨユヒャネイ離宮から出してもらった馬車は、好きな場所まで運んでくれるらしい。
一流ホテルのサービスは凄いね。
指定したのはスライムの愛好会。
「昨日のうちにカルメンシータから情報をもらってきましたわ。酔わないように気をつけて読むとよろしくてよ」
優秀なスライムは先回りして手配をしてくれたらしい。
カルメンシータがまとめてくれたという情報を渡される。
ぺらっと紙一枚。
馬車は揺れもなく快適なので酔わないですみそうだ。
「……あら。行かない方がいいのかしら?」
紙一枚しかなくとも重要な情報が書かれていた。
「ん? 何か問題があったの?」
「うーん。何か皆が狙われているらしいのよね……」
スライム判断で隠れたり、むしろ目立ったりしているからね。
綺麗だし、可愛いし、優秀だし、希少だし。
欲しがるのも無理ないとは思うんだけど。
「愛好会を名乗るなら、スライムたちが嫌がることをしてほしくないわ……」
「あら? 愛から私たちを奪おうとしておりますの?」
「らしいよ?」
「許せないのです」
「愛好会を解散させるのねー」
「う。愛好会という名称を変更させるのよ!」
ま、こうなるわよね。
うちのスライム、基本は温厚だけど、私が絡むと好戦的になるからなぁ。
「カルメンシータは何か他に言っているのね?」
「問題も起こしているけど、スライム研究に貢献もしているから、サカリアスの名前を使うように……ですって」
「サカリアスも許しているのです。遠慮なく使うのです」
ここで名前を借りても、まだまだ貸しがあると思うし。
何よりサカリアスはそれでも借りの方が多いと感じてくれるだろうし。
「いい人よね、サカリアス」
「ん。根本が善人なの」
「う。そうでなければ神様が、愛に便宜を図ってくれなんて言わないのよ」
「じゃ、今回は遠慮なく借りるとしましょう」
「十字架をばばんと出せばいいのねー」
喧嘩を売りに行くつもりではないのだけれど。
カルメンシータ情報にも、愛好会員の全てがスライムを奪う意見に賛同しているわけではないと書いてあったし。
スライムの意思をしっかりと尊重してくれる会員がいるのであれば、私としても手心を加えたいところ……とか考えていたけれど。
馬車が止まった途端、手心を加える気が失せてしまう。
「さ! スライムたちを献上するのです」
いるよね、自分中心に世界が回っていると勘違いしている愚か者って。
上から目線で、馬車の扉を勢い良く開け放ったのはピンク髪の女性。
ぱっと見三十代。
ツインテール。
いい年した大人が、どんな格好をするのも基本的には自由だと思うけれど。
初対面でここまで無礼な真似をされると、いろいろと突っ込みを入れたくなってしまう。
女性は当然のようにローズによって馬車の外へ弾き飛ばされた。
「ぎゃ!」
と悲鳴が上がる。
「ヒロインを気取るなら、悲鳴は『きゃっ!』しか許されないのねー」
それもどうなの? という突っ込みをリリーが入れた。
「き、貴様! エンマ様に何たる無礼を! 許されぬぞ」
ごろごろごろっと体形に相応しい擬音と勢いで転がって行ったエンマ? を抱き留めた騎士精神と力強さには純粋に賞賛を送る。
発言と態度は論外だが。
「貴様らこそ、何たる無礼を働くのじゃ? こちらは金の十字架をお持ちの、サカリアス・ポルティージョ殿の御友人であるぞ!」
ローズが一足先に馬車から降りて二人を威嚇する。
そんなローズを見た二人は、瞳を輝かせた。
「おぉ、本当に赤色だ!」
「何て可愛らしいの! 私の髪色にそっくりだわ」
赤色のスライムは珍しい。
というか、うちのスライムたちの色は全部希少色。
唯一色。
他に類を見ないカラフルな色合いなのだ。
「さぁ、いらっしゃい。可愛がってあげるわ。贅沢もさせてあげられるわよ」
「そうとも! 冒険者風情では手の届かぬ待遇を約束しよう」
「……愚か者が大口を叩くでないわ。うぬらにヨユヒャネイ離宮で歓迎される甲斐性があるとでも申すのか?」
十字架やサカリアスの名前が通じない相手にはこちらがいいかと判断したローズが、客を選ぶので有名なヨユヒャネイ離宮を出した。
しかし二人の反応は全くもってとち狂っていた。
「す、凄い! ヨユヒャネイ離宮に宿泊できるスライムなんて。素敵っ」
「お! ってことは、俺たちがスライムの御主人様になれば、ヨユヒャネイ離宮に泊まれるってことだな!」
うん、そうじゃない。
そうじゃないんだよ……。
「話が通じなさすぎて、あれではローズも困っちゃうのねー」
リリーの言葉に頷く。
正直放置して、他のメンバーと話がしたい……と馬車の中で腕を組んでいれば、建物の中から人が出てきた。
喜多愛笑 キタアイ
状態 お花畑な二人と遭遇して消耗中。new!!
料理人 LV 4
職業スキル 召喚師範
スキル サバイバル料理 LV 5
完全調合 LV10
裁縫師範 LV10
細工師範 LV10
危険察知 LV 6
生活魔法 LV 5
洗濯魔法 LV10
風呂魔法 LV10
料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用
掃除魔法 LV10
偽装魔法 LV10
隠蔽魔法 LV10
転移魔法 LV ∞ 愛専用
命止魔法 LV 3 愛専用
治癒魔法 LV10
口止魔法 LV10
人外による精神汚染
ユニークスキル 庇護されし者
庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化
称号 シルコットンマスター(サイ)
運動不足もあったのでおしゃれな靴で12000歩ほど歩いたら、微妙に足腰が痛くなりました。
あとは暑さが厳しい時間だってので、消耗してしまった……。
今年は暑さが厳しいです。
次回は、スライム愛好会を訪ねてみる。2(仮)の予定です。
お読みいただきありがとうございました。
引き続き宜しくお願いいたします。