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お勧めの高級宿。

 そろそろ髪の毛を纏めるのが大変になってきました。

 GW前に予約を入れるか迷います。

 すっきりするシャンプーのおまけつきプランがあるといいなぁ。

 初めて使ったとき凄くすーすーして驚いたものです。

 


 あちらでもそれなりに堪能した高級宿はほとんどが国内。

 世界各国の名物ホテルには手が届かなかった。

 しかし異世界では最高級宿も楽に手が届く。


「……先ほどから熱心に読まれていますが……そちらは?」


「うん。王都のいろいろなお勧めが掲載されている冊子よ。今は何処の宿にしようか思案しているの」


「こちらに宿泊されないのですか?」


「ここは何時でも帰宅できる自宅に近いのよ。せっかくだから王都ならではの宿に泊まってみようかと思って」


「うわー。すげぇな。高位貴族でもお断りの宿ばかりじゃねぇか」


 三人が覗き込んでくる。

 ボノが呆れたようにコメントした。

 一見さんお断りなら、私も無理かしら? と思ったが、十字架を見せれば泊まれない宿はほとんどないようだ。


「ソレイユ・アブサラドールかヨユヒャネイ離宮がお勧めですね」


「あー、金持ちはどっちかを希望するな。泊まれねー場合も多いけど」


「どちらもお勧めですので、数泊ずつ宿泊されてみては?」


 二軒とも古城だが、一軒は湖上に建てられている。

 

「……湖上に古城っていうのが気になるから、ヨユヒャネイ離宮にしようかしら?」


「では、こちらから連絡を入れておきましょう」


「あら、ありがとう。助かるわ」


「十字架を見せれば問題ないと思いますが、念の為。フロントでも私の名前を出してくださいね?」


「わかったわ」


 移動はどうしようかしら。

 徒歩じゃ絶対に無理だし。

 専用馬車なんかも出ているみたいだから、それを使うのが無難かしらね。


「あ、移動は私の馬車をお使いください。テイムされたモンスターで空の移動もありだとは思いますが……そちらは許可が必要なのです」


「だな。面倒だけど王都の冒険者ギルドで許可証を出してもらわねぇと、あとあと大変だ。王都の許可証があれば何処でも問題なくいけるから許可証は必須だぞ」


 そういえば空を飛んでいるモンスターを見かけない。

 テイムされたモンスターなら飛んでいても良さそうだけど。

 結界が張られているか、隠蔽されていて一般の人には見えないってところかしら。


「王都のギルドか……足が重いわ」


「や。ここよりは軽いだろう?」


「いいえ。ここほどには信頼できないもの」


 私の苦笑にボノは目線をそらした。

 スルバランに至っては入り浸っている会頭を思い出したのか深い溜め息を吐いている。

 アランバルリは遠い目をしていた。


「で。皆はどちらに宿泊するの?」


「教会の方で用意しましょうか? 私は御言葉に甘えてこちらのお屋敷に宿泊させていただきますが」


「フォルス嬢!」


「お屋敷への宿泊を許可いただけますか?」


「セバスチャン殿に気に入っていただけるかはわかりませんが、それなりの手土産も御用意できそうですので、宿泊させていただけると有り難いです」


 三人とも屋敷への宿泊が希望らしい。

 サカリアスがいない教会への宿泊はちょっと怖いよね。

 それにしてもアランバルリ。

 手土産について持ち出してくるなんてやるなぁ。

 スルバランがしまった! って顔に出していたもの。

 何かもらうつもりなんてさらさらなかったけれど、渡したいというのであれば好きにするといい。

 手広く旅をしているアランバルリであれば、セバスチャンが驚く物も多いだろう。


「うーん。明日の料理はランチとディナーどちらがいい?」


「ゆっくり体を休めていただきたいので、ディナーでお願いします」


「了解。それじゃあ、ディナーを作りにくるわね」


 目の前で仕上げをするパフォーマンスをしてもいいかもね。

 盛り上がりそうだし。

 ホテルでの食事を参考にするのもありかしら。


「では、また明日会えるのを楽しみにしております」


「サカリアスも話が弾むと思うけど、はしゃぎすぎないように」


「はしゃぎすぎないようにとは! ふふふ。そんな言葉をかけられたら、それこそはしゃいでしまいますよ」


 私がいなければ雰囲気も変わるだろう。

 女性がいないってだけでも盛り上がり方は違うしね。

 ボノが暴走しないのを祈るばかりだわ。


 四人に見送られて馬車に乗り込む。

 馬車を引くのは二頭のユニコーン。

 基本処女以外は背中に乗せないけど、ユニコーンのお眼鏡にかなえば男性でも乗せてもらえるそうな。

 馬車を引くのは契約で縛られているから。

 などなどをリリーが教えてくれた。

 ちなみに私は大丈夫らしいよ?

 処女じゃないし、結構ダークな思考の持ち主だと思うんだけどね。

 一度は乗ってみたいので、機会を設けてもらえるか聞きたいところだ。


「おー、早い。あと揺れない」


「大司教の乗る馬車だから馬車自体がしっかりした造りだし、ユニコーンたちが優秀なのねー」


「そうなんだ」


 馬車の小窓から外を眺めると、凄まじい勢いで景色が流れていく。

 夕暮れ時のヨーロッパの町並み……そんなイメージの景色だ。

 老若男女が歩いているので治安はそれなりにいいのだろう。

 結構な頻度で獣人の姿が見れる。

 

「いろいろな種族がいるのね……」


「王都では教会の力も強いから、悪質な人種差別は少ないもの」


「罰も重いのです。さくっと奴隷落ちとかするのです」


「あ、そうなんだね」


 トリアはほとんど人型で一見エルダートレントに見えないけど、カロリーナとかペネロペはわかりやすいラミアにキノコ娘だからね。

 王都に来る機会があったとき嫌な目にあってほしくないから、きちんと罰せられるのは好印象だ。


「おー、屋台とかもあるんだ」


「ん。王都では決まった場所でしか屋台はだせないの」


「う。あとはイベント時期もでるのよ?」


 となるとここは屋台ストリートなのかな。

 様々な料理が提供されている。

 窓は開けていないけれど微かに美味しそうな香りが漂ってきた。


「食べ歩きもしたいわ」


「私たちと一緒だと人気ものなのねー」


「トラブルにも遭いそうだけど……」


「それは仕様なのねー。スライムをテイムモンスターとして連れている冒険者は多くないのねー」


「こんなに強くて可愛いのにね」


 スライムの地位は低い場合が多い。

 この子たちは色がカラフルなので特別扱いされているけれど。

 

「愛が信用している人たちが理解を示してくれれば、有象無象がどう思おうと関係ありませんわ!」


 ローズに胸? を張られた。

 

 そのとおりではあるんだけど、貶められるのも腹立たしいのよね。

 スライムの地位向上に働きかける組織とかないのかしら。


「スライムは愛好会ならございましてよ? 王都に本部があるのだとか……」


「そうなの?」


「カルメンシータに聞いてみればよろしゅうございましょう。愛を気に入ったようで最新のあらゆる情報収集を図っているようですわ」


「司書というと引き籠もっていて情報に疎い印象があるんだけど、そんなこともないのねぇ」


「いいえ。カルメンシータが例外なのです。規格外の情報収集能力の持ち主ですわよ」


 あんなに可愛い見た目で、でしゅ口調。

 それで超優秀とかギャップ萌えよね……。


「愛。これから湖上を渡るのです。見なくていいのです?」


「見ます!」


 何時の間にか屋台街を通り過ぎたようだ。

 料理の香りではなく、澄んだ水の香りがする。

 しゃぱしゃぱと小さな水音が耳を擽った。

 橋は透明な素材でできているようで、水の上を走っているように見える。


「素敵ね……」


「ん。夕日にも朝日にも映える湖なの」


「う。夜も素敵なので、部屋を取ったら外を眺めるといいのよ」


「そうするわ」


 湖の中央にある古城までの道のりは短い。

 あっという間に門に着いてしまった。


 自動で開く馬車の扉に手をかけようとしたら、誰かが立っている。

 

「ようこそ、ヨユヒャネイ離宮へ。大司教様より大切な方だと承っております。アイリーン・フォルス様。どうぞ心ゆくまで当離宮を堪能くださいませ」


 理想の若い執事がそこにいた。

 エスコートをしてくれるらしい。

 差し伸べられた手に己の手を乗せる。

 レディーの扱いには永遠に慣れないだろう。

 せめて緊張を悟られないように微笑を浮かべる。


 入り口からずらっと従業員が列を作っていた。

 どんなVIP待遇なのかと。

 大司教の賓客ともなれば当然の扱いなのかもしれないが。

 フロントは素通り。

 チェックインは不要らしい。

 十字架の提示や、サカリアスの紹介である旨を伝える隙はなかった。


 部屋までは理想の執事が案内してくれる。

 最上階のワンフロア。

 階段だと結構ありそう……と心配していたら、空飛ぶ絨毯が運んでくれた。

 しかもこの絨毯。

 モンスターの一種らしい。

 降りるときに一撫でして感謝を述べたら、くにゃりと捻れた。

 照れているとのこと。

 これはこれで可愛い。

 

 一人で座るには勿体ない大きなソファに案内されて、テーブルの上に広げられたマップで部屋の説明をされた。

 マップが必要なワンフロアって……と思ったけれど、歩いての説明を好まない人が多いのだそうで。 

 特に女性は全て従者へ……で終わらせるケースが多い模様。

 若くて美形の執事が案内してくれる古城ツアーとか最高じゃね? って思うのは庶民感覚なのかもしれない。


 夕食は部屋食らしいので一時間後でお願いする。

 執事が去って、早速湖を眺めるのに最高です! と説明があった場所へ移動した。

 広々としたバルコニーには優しい花の香りと座り心地の良いベンチ。

 スライムたちと一緒にぼんやりと湖や夜空を堪能していたら、あっという間に一時間経過してしまったようだ。





 喜多愛笑 キタアイ


 状態 まったりとした心持ち new!!


 料理人 LV 4


 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

     治癒魔法 LV10

     口止魔法 LV10


     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)   



 とろろ専門店の食べ放題という動画が流れてきて思わず見てしまいました。

 専門店という言葉に弱いのです。

 以前から行きたいローストチキン専門店があるのですが、一人じゃ駄目なんですよね……。

 今年の誕生日はそこにしようか迷っています。


 次回は、ヨユヒャネイ離宮の夕食。前編。(仮)の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 引き続き宜しくお願いいたします。 

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