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教会でのひととき。5

 結婚記念日ビュッフェが凄く良かったです!

 味もいいんですが見栄えが最高ですよね。

 あとはホテルだとサービスもいい距離感。

 凄く満足して帰宅しました。

 あ、夜御飯は食べられませんでした。

 完全な食べ過ぎです。

 


 サカリアスがいそいそと案内してくれたのは、彼本人の私有地。

 教会内に確保されており、サカリアスが認めた人しか入れないという聖域らしい。

 聖域に置かれる私の家……と内心で、恐れ戦きつつ付き従う。

 ボノたちは遠慮したがサカリアスの希望で一緒についてくることになった。

 三人揃って顔色が悪い。

 気持ちはわかる。

 恐れ多いよね、うん。


 スライムたちは御機嫌で跳ねていた。

 何やら空気が美味しいらしい。

 聖域効果なのかしらね。


「こちらになります、どうぞ」


 純白のガーデンドアを開けてくれたので、一歩足を踏み入れる。


「っつ!」


 神域。 

 頭の片隅に言葉が浮かぶ。

 プレッシャーは一瞬。

 スライムたちは私の足元をすり抜けて進んでいく。

 私のようにはプレッシャーを感じなかったようだ。

 すぐについてきたサカリアスもスライムたち同様。

 しかし三人は足を踏み入れた途端、膝から崩れ落ちた。

 四つん這いになって荒い呼吸を繰り返している。

 彼らはそれぞれに優秀な人物だ。

 優秀なだけではどうしようもない世界もあるのだと、目の当たりにしてしまいしみじみ思う。


 自力で復活するしかないのだと思って三人は放置。

 スライムとサカリアスの先導で小さな泉のある場所についた。

 印象としてはピクニックができそうな広い庭、といったところだ。


「ここで如何でしょう? 広さは問題ございませんか?」


「大丈夫なのねー。ささ。セバスチャンを召喚するのねー」


 王都の宿に泊まる機会は得られるのかしら。

 ここに屋敷を設置した上でサカリアスの出入りを許可すれば、高級宿に泊まっても問題なさそうだけど、それはそれで勿体ない気もしてしまう。

 悩ましい。


 セバスチャンの顔と屋敷を思い浮かべながら、召喚! と叫んでみた。

 や、叫ぶ必要はなかったんだけど、サカリアスがわくてか顔をしていたからつい……。


「おぉ!」


 感極まったサカリアスの声に、叫んで正解だったかー、と一人で納得する。

 目の前には屋敷が現れた。

 当然庭付きだ。


「お早い召喚ですね? 何かございましたか?」


 心配そうな顔をしながらセバスチャンが現れた。

 以前の持ち主たちは、切羽詰まったときによく召喚していたのかもしれない。


「違うわよ。彼に望まれてね……」


 私はサカリアスに視線を投げた。

 セバスチャンは心得たとばかりに深々とサカリアスに頭を下げる。


「お初、お目にかかります。家事妖精セバスチャンと申します」


「王城勤めの執事たちもそなたには遠く及ばぬなぁ……アイリーンが実に羨ましい」


「契約は解除しませんよ?」


「ははは。友人の大切な者を強奪するような愚か者にはならぬよ」


「でも私が王都在住の間は滞在許可を出しますね。図書室とかお勧めです」


「本当か!」


「ええ、嘘は申しませんよ。三人も滞在したい? したければ許可を出すけど」


 入りたがっていたからね、特にボノ。

 

「頼むぜ!」


 ボノ、即答。

 予想通り。


「……お願いしてもよろしいですか?」


 スルバランは思案したあとで。

 やはリ興味深いよね、家事妖精が管理する家。


「自分は……」


 たぶん断ろうとしたのだろうアランバルリは、三人の無言の圧力に負けたらしい。


「許可いただけると有り難いです」


 そう返事をした。


「じゃあ、この四人は出入り自由で。セバスの裁量で歓待してください」


 ボノとか暴走しそうだからね。

 セバスチャンならしっかりと止めてくれるだろう。

 本来ならば口に出して言うまでもない話だけれど、セバスチャンほどに他の四人は信頼できないから、念の為に告げておく。

 

「畏まりました」


 事細かに説明をしなくともわかってくれる相手がいるのは、本当に幸せだ。

 

「では、早速!」


 ボノが誰よりも先に家へ入ろうとする。

 当然それは叶わなかった。

 ボノの体が軽く吹っ飛んだ。

 しかも泉にどぼんと大きな水音を立てながら落ちてしまった。


「……では、アイリーン様。どうぞ」


 私が一番なのは譲れないらしい。

 普通の執事であれば主よりも、身分的にサカリアスを通すだろうけれど、セバスチャンは穏やかな笑顔で私を誘う。

 サカリアスは当然という顔をしているので、問題はないようだ。

 その辺りも執事特有のスキルなどで把握しているのだろう。

 素敵!


「品のある内装だね」


「光栄でございます」


 足を踏み入れたサカリアスから感嘆の声が上がる。

 豪奢な内装など見飽きているだろうサカリアスに、品があると褒められるのだ。

 セバスチャンのセンスは一流らしい。

 私の好みにもあっているので、自分まで一流になった気がする。


「実家に帰ったような安堵感がありますね。不思議です」


「ええ。まるで自分が昔からこの家に住んでいるような錯覚まで覚えます」


 スルバランとアランバルリは首を傾げつつも、落ち着ける屋敷に感心しているようだ。


「……先ほどは大変失礼いたしました。ずぶ濡れで入るのは申し訳ないので、拭く物を貸していただけますでしょうか?」


 玄関先でしょんぼりとしたボノが顔を覗かせる。

 何が悪かったのか理解していても、突っ走ってしまうのがボノだ。

 素直に謝りこれ以上の無礼を働かないように努めるのが彼流。

 ま、似たような無礼を働くのがボノだともいえるのだけれど。


「うぉ!」


 ボノの体を強い風が包み込む。

 肌に優しく感じる温風だ。

 ただ勢いがちょっと強い。


「どうぞ、お入りくださいませ」


「すっげぇ! 完璧に乾いてるぜ。ありがとう!」


 すっかり乾いた自分の服などを摘まみながらボノが屋敷の中へと足を踏み入れる。

 扉が閉じるのと同時に施錠が自動でされた。

 あちらの世界より高性能だ。


「では屋敷を案内いたしましょう」


「あ! せっかくだから薬部屋に案内してもらおうかしら。レシピについて話すのに、材料が調っているから最適でしょう」


「畏まりました」


 調度品などの説明をそつなくしつつセバスチャンは薬部屋へと皆を案内した。


「どうぞ、御自由に御覧くださいませ」


 部屋の中に入った途端、皆がそれぞれ興味深そうに置かれている物を見始める。

 さすがのボノも手は触れない。

 スルバランの目が一番輝いていた。

 商人的に美味しい物が多いのだろう。


 何時の間にか設置されたティーテーブルに御茶の用意がされている。

 軽食も多めに準備された。


「では薬のレシピについてお話しましょうか」


「楽しみです」


 ボノの目はテーブルの上の軽食に釘付けだ。

 まずはセバスチャンを見てから私を見る。

 苦笑するセバスチャンには苦笑で返し、ボノにはどうぞと告げた。

 

「うめぇ!」


 咄嗟に大声を上げるほど美味しいようだ。

 存分に堪能するがいい。


「まずはこちらの三種類です。一応ドーベラッハで薬の講習を行ってレシピを提示しようと思ったのですが、開示しても無駄というか……」


「調合できる腕がないと?」


「それ以前の段階でした」


「……薬ギルドに関してはそろそろ梃子入れをと考えていたのですよ。随分と寛容に構えていたのですが、それがいけなかったのでしょうね?」


 教会と薬は切っても切れない縁がある。

 だからこそ贔屓……忖度をしたのだろう。

 その結果、彼らはつけあがってしまった。

 

「なので教会でレシピを抱えてもらって、許可制で開示した方がよろしいかと」


「では拝見しますね」


 レシピを手渡す。

 サカリアスは素早く目を通していった。

 既に内容を知っているスルバランとアランバルリはセバスチャンの用意した軽食の誘惑に勝てなかったらしい。

 手を伸ばしては美味しそうに咀嚼している。

 顔を見合わせたところを見るとレシピを聞き出すのかもしれない。

 

「これは……早急に薬ギルドから実力者を召集しなければなりませんね」


 解毒薬、麻痺解除薬、覚醒薬は冒険者が使う印象が強いが、一般人たちが必要とする場面も多い。

 特に解毒薬については、貴族が鼻息を荒くするだろう。

 私としては平民にも手が届く値段で売ってほしい。

 販売も許可制にしてしまえば可能ではなかろうか。


「王城にも話は通しますが、こちらは教会独占レシピとさせていただきます。ホルツリッヒ村では自由に販売くださって構いません。許可証を作りますので。ドーベラッハに関してはこちらで作った物を優先販売するということで如何でしょうか?」


「有り難い手配です。本来であればドーベラッハでも調合したかったのですが実力が追いついていません……既存の薬調合で腕を磨いて、育てなければいけませんね」


「それでも優先販売は大変有り難いです」


 スルバランが苦笑する隣で、ボノが深々と頭を下げる。

 冒険者ギルトとしては常備しておきたい薬なのだ。


「自分も少量で構いませんので、販売許可が欲しいです」


「うん。君はこれからもあちこち足を伸ばすんだろう? 優秀な薬師を見つけたら声をかけてほしいな」


「承りました」


 王都の教会で学べるとあれば喜んで村を出る者は多かろう。

 勉強を終えて村に戻る許可も、サカリアスであれば気前よくだすに違いない。


「ふう。やることが多いなぁ……」


「気分転換にこちらで休んでいただいて構いませんよ。大丈夫よね、セバス」


「アイリーン様が望むのであれば」


「望むわ。働き者の大司教を存分に癒して差し上げて」


「ありがとう、アイリーン。よろしく頼むよ、セバスチャン」


 セバスチャンが恭しく頭を下げるのを、好ましそうに見詰めるサカリアス。

 相性が悪くなさそうで何よりだ。

 これなら高級宿を試したいと言っても、嫌な気分にさせないですむだろうか? と目を細めれば、仕方ありませんねぇ、とセバスチャンが柔らかく微笑する。

 優秀な家事妖精にはいろいろと筒抜けのようだ。


「アイリーン様、こちらをどうぞ」


 手渡されたのは薄い冊子。

 中身をみると、王都お勧めガイドブックらしかった。

 カルメンシータが作ってくれたのだろうか?

 開いてみれば私が好みそうな、様々なジャンルの店と一緒に、お勧め高級宿についてもしっかり記されていた。



 


 喜多愛笑 キタアイ


 状態 ほっこりとした心持ち new!!


 料理人 LV 4


 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

     治癒魔法 LV10

     口止魔法 LV10


     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)   



 最近風が強くて中干しにしていたのですが、今日は思い切って外干しに。

 がっつりと洗濯ばさみを使いましたが、風が凄いと洗濯ばさみが飛ぶんですよね。

 ばちん! と音がしてベランダに出たら、洗濯ばさみが落ちていて驚愕しました。

 今日も乾いたらそそくさと取り込むことにします。


 次回は、 お勧め高級宿。(仮)の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 引き続き宜しくお願いいたします。 

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