教会でのひととき。3
初コロナにかかっておりました……。
先に罹患した主人のコロナがうつったと思われます。
先週は無言で投稿できなくてすみませんでした。
今も完治とはほど遠い体調ですが、文章は打てるレベルまで復活しました。
私としてはレシピの提供だけでも構わなかったんだけれど、他の面々は試食したいと譲らない。
さてどうしようかと思案した結果。
通いで試食を作る羽目になった。
打ち合わせたい件はたくさんあるしね。
お酒も入っているし。
特にボノ。
「オークションの開催日を決めてしまわないと、ずるずると開催日が遠のく気がします」
冒険者ギルド、商人ギルド、教会。
何処からも危険なお宝が次から次へと発掘されそうな予感大。
「そうですね……大聖堂での儀式予定は多くありませんので、三か月後にしましょうか?」
「……せっかくですからオークションの事前展示をしませんか?」
「悪くねぇ提案だとは思うが、警備がしんどいぞ?」
「即死結界を張りますから、その点は問題ないかと」
「問題しかねぇよ!」
さらりと言ってのけたサカリアスの発言には、不敬を忘れたボノが瞬間的に突っ込みを入れていた。
気持ちはわかる。
凄いね、即死結界。
でも国宝級のお宝を盗もうとするならしょうがないかもね。
「教会の内部でも困った輩がいるみたいだから、いいと思うよ。即死結界」
「フォルス嬢まで!」
「名だたる盗賊団とかが狙ってくると思うけど、一網打尽にできるでしょ」
「全員亡くなってしまうと、拠点がわからないのでは?」
「こちらでは記憶を読める能力者っていないの?」
サカリアスがにっこりと笑う。
いるらしい。
「いるなら、死んでから記憶を読めばいいよ。で盗賊団が隠しているお宝をまるっと回収。何ならこちらは秘密裏にオークションをやってもいいんじゃない? 盗品オークション。いろいろと面白そうだわ」
「フォルス様……容赦がなさ過ぎます」
アランバルリに首を振られてしまった。
良いアイディアだと思ったんだけどね。
「最初の一か月は貴族限定、次は平民限定、最後の一か月は誰でも良くて、完全予約制ならいいんじゃない? 不正できないチケットを作るよー」
「……どれだけうきうきなのねー?」
「え? 作れるでしょ?」
「スライム頼りなのね?」
「当然です」
「自慢にならないのねー」
先ほどのアランバルリの真似をしたのか、スライムたちが揃って首を振る。
なかなか可愛い。
「チケット?」
「ああ、展示会への入場券ね。抽選でもいいけど。日頃善行を積んでいる人には無料プレゼントとかも、教会協賛としてはいいかしら」
「つ、次から次へと素敵な提案はすばらしいのですが、ついていけませんよ、フォルス嬢」
「あら、スルバランらしくもない」
だって口元、笑ってるじゃん?
「……大司教のスキルで、特別に善行を積んだ人間を選別できるものはございますが」
「あ、あるんだね」
「ええ。ですがそれを公にしてもいいものか……」
「なるほど。今回は特別に善行を積んだ者への施しがあるって、教会へ呼び寄せればいいかと。施し目当ての善行でも善行を積む人が増える分には悪いことではないと思うし」
「サカリアス様……自分は、善行を積んでおりますでしょうか?」
「ボノ殿……」
空気を読んでくださいよ、とアランバルリの心の声が聞こえたような。
「……この中で一番善行を積んでおられるのは、アイリーン。続いてアランバルリ、スルバランで、ボノ、ですね」
「うぉ! 俺って善行少なっ! 少ないぃ……」
「いえいえ、嘆かなくてもよろしいでしょう? アイリーンの善行は最高値。私でも初めて拝見する数値でした。アランバルリもすばらしいですね。自分は篤志家だと吹聴している輩に見習ってほしいくらいです。スルバランとボノは僅差ですが、同じ地位についておられる方々の中では上位におられますよ?」
「……何処のギルドのトップも問題が多いからなぁ……それを考えれば俺は随分マシなのか」
「ボノと僅差。ボノと僅差。ボノと僅差!」
大事なことなのかスルバランが三回も繰り返している。
目が虚ろなのは気のせいだろう。
「落ち着きなさいって、僅差でも善行をより多く積んでいるのはスルバランの方なんだからさ」
「フォルス様……」
「それに今回の展示会からオークションに至るまでの善行はボノをぐっと引き離す機会よ?」
「嬢ちゃんは、本当! 俺に厳しいよな……」
体格の良い男がのの字を書くとか、どうだろう。
ギャップ萌えは装備しているが、そこまでは萌えない。
ボノだからの可能性が高そうだが。
「展示会もオークションもそれぞれ責任者を任命しないといけませんねぇ」
「オークションはサカリアスで、展示会は白い髭のお爺ちゃん司教でいいんじゃないかしら?」
「そう思われますか?」
「二人とも有能そうだし、善良だと思うし」
真っ当な聖職者は従うと思うのですよ。
文句を言う奴は駄目認定でいいでしょうとも。
「あ、そうだ。教会へ寄附かオークションか迷っているダンジョンドロップ品じゃなかった、宝箱品があるんだった。出してもらってもいい?」
「ええ、こちらですわ。教会へ設置しておくのをお勧めしますのよ」
ローズが出したのはゴールデンカーメの池。
サカリアスは出現した球体に驚いている。
「これは?」
「ゴールデンカーメの池。詳細はこんな感じです」
ゴールデンカーメの池。
ランク アーティファクト。
効果 半永久的にゴールデンカーメの幼生体が一定数繁殖する。
ただし中に入っている水を一定量、零してしまうと効果が消えるので要注意。
あまり動かさずに、一か所に止めておくのをお勧めする。
球体型の宝箱に入っている。
「ランク、アーティファクト……」
「それこそ善行を積んでいる人に施しても良いし、販売しても良いし、観賞用としてお金を取っても良いし。教会向けのアイテムだと思うの」
「大変有り難いことですが、寄附としていただいてもよろしいのでしょうか?」
「ええ、構わないわ。今回はレジェンドアイテムも出ているし。あ、例の黒いあんちくしょうなアイテムも教会管理の方がいいのかしら」
「説明は私が引き受けるのねー。これがそのアイテムなのねー」
リリーが取り出したのはブラックジーの秘宝。
飾っておくだけで、子孫繁栄、頑強長寿が約束されるのはポイントが高いよね。
サカリアスも宝箱の形には腰が引けていたけれど、宝玉の効果には目を見張っていた。
王族に生まれたなら誰しもが背負わされる責務に子孫繁栄があるものね。
あ、サカリアスには子供がいるのかしら?
聖職者だと作らない設定かな?
「これは……すぐにでも飾らせたい家が幾つかありますね」
「あ。じゃあこれも寄附にしておく? 効果を確かめてから王様に献上とかもありだと思うけど」
「……アイリーンにはどう感謝を尽くせばいいのでしょうね? 早速当主を呼び出そうと思います」
サカリアスは懐から小さな鏡を取り出して、テーブルの上へ置く。
鏡の角を指先でとんとんと叩いた。
ぶんっとテレビの電源が入ったような音がする。
サカリアスを映していた鏡に、別の人間が映り込んだ。
『これはこれは大司教様。お久しゅうございます』
映り込んだのは白髪が見事な老爺。
『貴殿はブラックジーの秘宝を存じておるか?』
『存じ上げております。我が家系が代々必死に探していた秘宝にございます』
『本日将来有望すぎる冒険者に寄附をいただいた』
『なんと!』
『貴殿の家へ最初に貸しだそうと考えておるのだが……』
『当家でできることであれば、誠心誠意尽くさせていただく所存でございます』
老爺の目には涙が浮かんでいる。
よほど苦労してその血統を繋いできたのだろう。
そしてサカリアスが最初にと考えるほど善良で切羽詰まっているに違いない。
サカリアスの眼差しに私は軽く首を振る。
『冒険者に要望はないようだ。私の方からは今まで通り敬虔でいてくれればよい。秘宝はどのように手配すればよいか?』
『ホワイトタイムバード羽の使用許可をいただけますれば、今すぐにでも向かいます』
おぉ、確か指定転移可能なレアアイテムだったはず。
またしても目線で確認されたので頷いておいた。
ちなみに他の三人は驚きに目を見張っているが、沈黙を守っている。
空気を読める大人って本当に一緒にいて楽だよね。
こういうときのボノはきちんと沈黙を守れる。
だからこそスライムたちはボノをいじりつつも排除をしないのだ。
『構いません。指定場所は大司教の私室にしてください』
『おぉ、私室に足を踏み入れられる方なのですね! すばらしい。すぐに向かいますので、少々お待ちくださいませ』
唐突に鏡から人が消える。
準備をしているのだろう。
高位貴族だろう老爺の準備には時間がかかりそうだ。
さすがにすぐ、が数日ではないと思うが。
「ふふふ。彼はすぐに訪れますよ。そういうところは高位貴族らしくありませんね」
「誰が高位貴族らしくないとおっしゃるので?」
本当にすぐだった。
部屋着にしては格好良いなと咄嗟に思ういでだちで、老爺は私室の扉の前に立っていた。
喜多愛笑 キタアイ
状態 格好良い老爺にちょっとびっくり new!!
料理人 LV 4
職業スキル 召喚師範
スキル サバイバル料理 LV 5
完全調合 LV10
裁縫師範 LV10
細工師範 LV10
危険察知 LV 6
生活魔法 LV 5
洗濯魔法 LV10
風呂魔法 LV10
料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用
掃除魔法 LV10
偽装魔法 LV10
隠蔽魔法 LV10
転移魔法 LV ∞ 愛専用
命止魔法 LV 3 愛専用
治癒魔法 LV10
口止魔法 LV10
人外による精神汚染
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うきうきと取り寄せの手配を取りました。
全部揃うといいなぁ。
時々抜け巻が在庫無しのときがあるんですよね……。
次回は、 教会でのひととき。4(仮)の予定です。
お読みいただきありがとうございました。
引き続き宜しくお願いいたします。