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教会でのひととき。1

 お義父さんからチョコレート着荷の連絡が来ました。

 甘いものも美味しく食べてくれる方なので送りがいがあります。

 ちなみに今年は鉄板のブランドにしました。

 

 


 自分たちの……というかボノが落ち着いてワイングラスを傾けられるようになってから、サカリアスがこんな提案をしてくれた。


「皆様には自分のことをサカリアスと呼んでいただきたい」


 微笑みに裏は感じられない。

 あからさまな好待遇に全員が沈黙を守っている。

 ここは私が発言するべきだろうか……。


「気持ちはわかるけど、難しいと思うのねー」


「まずはアイリーンだけにすればよろしゅうございますわ」


 悩んでいれば私の思いを私以上に理解してくれるスライムたちが答えてくれた。


「やはりそう思われますか?」


「差別化は必要だと思うのです」


「ん。サカリアスがアイリーンと親しくしていれば、そのうちアランバルリたちが名前で呼んでも違和感がなくなるの」


「う。アイリーンと私たちは一心同体なので、私たちもサカリアスと呼ぶのよ」


 や、私もせめて様付けから始めたいんですが。


 駄目なのねー。


 脳内で駄目出しされてしまった。


「ふふふ。貴方たちのように可愛くて優秀な子に名前で呼ばれるのは嬉しいですね。アイリーン嬢もそれでよろしいでしょうか?」


「私がサカリアスと呼ぶのであれば、私のことはアイリーンと」


「……本当によろしいので?」


「ええ、構いませんわ」


 スライムたちが納得しているのなら、それが最適なはずなのだ。

 王位継承権第三位という高貴な方に接触するのですら恐れ多いと思うのだが、この世界において自分の価値は結構高い。

 王族に囲われるつもりがない以上、対等な関係を築いておいた方が良さそうだ。

 サカリアスが人として真っ当なのは、アランバルリを正当に評価している時点で十分知れている。

 三人が揃って緊張を解くので、自分の選択が最適解だったのだと再認識できた。


「ではサカリアス。この度は素敵な十字架をありがとう」


「いえいえ。神のお導きでございます。神から直々に十字架を賜る日がやってくるとは夢にも思いませんでした。アイリーンのお蔭で神を身近に感じられました旨、心より御礼申し上げます」


「……神、直々」


 そっと十字架に触れると、きららっと輝く。

 もしかしたら十字架を通じて神はこちらを見ている、もしくは聞いているのかもしれない。


「はい。アイリーンには心置きなくこの世界を楽しんでほしいから、教会から惜しみない援助を、と申しつけられた次第でございます……が」


「が?」


「既にこちらが援助していただくばかりになっておりまして、その点は心苦しく思っております」


「いやいや。私が齎せるものを、私の意思に沿った形で普及してほしいと考えた結果ですから。こちらこそ無理をお願いしたと恐縮するばかりです」


「……嬢ちゃんが、恐縮してる……」


「ボノ!」


 失礼な。

 私だって人に対して恐縮ぐらいします。


「ふふふ。皆様仲がよろしいのですね。 贅沢な悩みだと思ってはおりますが、私も心の内を気楽に漏らせる相手が欲しいものです」


 ここは本心からの微苦笑。

 立場上対等な友人を作るのは難しいだろう。

 下手に愚痴を零せば信者たちが自分勝手に暴走しかねない。


「……時々で良ければ、自分たちが相談にのりましょうぞ!」


 サカリアスに同情したのだろう。

 頑張ったボノだったが。


「のりましょうぞ、はない!」


 スルバランに突っ込みを入れられた。


「くっく。ありがとうボノ殿。では時々、相談させていただこう。スルバラン殿もそれでよろしいかな?」


「ボノだけでは不安ですので、どうぞ自分にも御相談いただければ恐縮でございます」


「……もし、自分でもよろしければ御相談いただければ幸いです。微力ではございますが……」


 スルバランに続いてアランバルリも控えめに声を上げる。

 今までの彼だったら身分差に躊躇して行動には出なかったはずだ。

 エステファニアの影響は強い。

 愛する女性ができた男性はひと味違うのだろう。


「あぁ、私は幸福だ。皆、ありがとう」


「日頃の研鑽の賜物でしょう」


「身の引き締まる思いですね。いろいろなお話がしたいのですが……まずは、アイリーンが着ている美しい衣装について、お話を伺いましょうか。三人揃って目配せしてくるのには笑ってしまいますよ」


 三人を見詰めれば見事に目をそらされた。

 それだけ怖いのだろう。

 女性の美しい衣装に対する欲望というものが。


「こちらはサイが中心となって作ったシルコットンの衣装ですね。総レースというのが珍しいらしく……」


「そうですね。何とも神々しい。王都の大司教と呼ばれる自分でも、これが限界ですから」


 サカリアスが首から提げている飾り帯を指差した。

 一部分を美しいレースが飾っている。


「同じくらいに美しいものですね」


「こちらも神から賜った物……とされています」


「う。良い織りなのよ。お近づきの印にサカリアスにも総レースの衣装を作ってもいいのよ?」


「こちらの衣装と同じ形でお作りいただけるならば、お願いしたいですね」


 そう言われたサイはぽんぽんと跳ねてサカリアスに近付いていく。

 ぐるぐるっと周囲を回った。


「う。問題ないのよ。オークション開催にあわせるのよ」


「オークション! 聞いておりますよ。アイリーンがインセクトダンジョン踏破記念に王都で開催するのだとか」


「そうなの。それの相談もしたいのよね……」


 ちらっとスルバランを見る。

 彼はこくりと頷いた。


「王城か教会かどちらかでの開催がよろしいかと」


「では、教会で。横やりは入れさせないから安心するといい」


 何たるパワーワード!

 話をつけてくれるというのなら、国の宝物庫に眠っているお宝の出品もされるのだろうか。

 面白い品から危険な品までさぞたくさんのお宝が眠っているに違いない。


「メインはインセクトダンジョンのドロップ品なのですが、他にもフォルス様がお作りになった品や、冒険者ギルト及び商人ギルド死蔵の品なども考えております」


「死蔵品、か。どの程度の?」


「教会での解呪が難しい品ですとか」


「ふむ」


 サカリアスの美しい眉根がわずかにひそめられる。


「そちらの品は出品前に見せてほしいのだが可能かな?」


「サカリアス様の御要望とあれば」


「ふふふ。さすがに商人ギルドの副会頭。早く会頭におなりなさい。君となら直接やり取りがしたいからね」


「その件に関しましては……少々お時間をいただきたく……」


 ドーベラッハ商人ギルドの会頭は、媚び諂うのが上手く王都に執着していると言っていた。

 スルバランがサカリアスと誼を結んだと知れば、現在得ているよろしくないコネを使って現状の維持を試みるに違いない。

 その程度に頭が回る困った人物だというのは聞き及んでいる。

 手助けをするのは吝かでもないのだが、どうだろう?

 個人的には冒険者ギルドの副ギルド長の方が癇に障るのだ。

 実際会ってみれば副ギルド長より苛つく人物な気もするので、会いたくはないのだが。


「冒険者ギルドでも解呪不能として、こちらから送り返された物があるのですが?」


「送り、返された?」


「はい。通称嘆きのサファイアセットのブレスレットです」


「嘆きのサファイア……誰が、返却したのでしょう?」


「大柄で太っていて、髪の毛が濃いブルーの……」


「わかりました。彼ですか。返却後に彼から接触はありましたか?」


「……あったと思うのですが、副ギルド長が対応しまして」


「なるほど。納得しました。嘆きのサファイアは全て揃わねば完全な解呪できません。なるべく急いでこちらへ戻してもらえますか?」


「了解しました」


 丁寧に頭を下げるボノ。

 呪いの品であれば身近においておきたくはないだろう。

 呪いが拡散しないように手配を取った上での保管は神経を使う。


「……側室がネックレスを持っているのですよ。教会にはイヤリングと指輪が保管されています。ブレスレットがあれば側室に交渉してネックレスを引き取れると思うのです」


「そうなれば呪いが解呪できる、と」


「ええ。国の交渉でも使えそうなセットになりますね」


「あの愚痴るブレスレットが、ですか」


「愚痴るの?」


「おぅ。一度聞いてみるか? なかなか凄まじいぞ」


 呪われた品が零す愚痴。

 聞いただけで呪われそうだが、一度ぐらいは聞いてみたい。

 ギルドに保管されている以上、呪いの対策はきちんとしてあると思うしね。


「嘆きのサファイヤで良かったですね。愚痴を零すサファイアでしたらいろいろと台無しです」


 真顔でアランバルリが話に入ってくる。

 真っ先にサカリアスがふき出した。


「ま、全くです。そうと名付けた方に感謝を」


 愚痴を零すサファイアだと価値が半減しそうだもんね。


「他にも解呪不可能とされている品がありましたら、私に直接持ち込んでください。下の者が……随分と勝手に手配をしているようですから」


 ひんやりとした冷気が微かに漂ってくる。

 王都の教会で解呪できないとあれば、その名声に傷がつくのだろう。

 何より自分の知らぬ所で、解呪できないと判断されるのも業腹に違いない。

 自分の仕事に誇りを持っている方なのだ。

 ますます好感度があがるなぁと思っているそばで。


「ワインにあうチーズなのねー」


 ワインが美味しかったらしく、リリーが自らの収納からお気に入りのチーズを出して並べ始めた。 




 喜多愛笑 キタアイ


 状態 まったり気分


 料理人 LV 4


 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

     治癒魔法 LV10

     口止魔法 LV10


     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)   



 

 そして夫には第一弾は既に出しているのですが、メインのチョコは本日出す予定です。

 日本全国の柑橘類チョコレートがけ。

 完売していた物が多かったのですが、その中でも何とか面白そうなのをセレクトしてみました。

 https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/136910

 上記チョコレートの[発売元、株式会社日本果汁の公式ホームページです。

 パッケージも可愛いんですよ。

 喜んでもらえるといいなぁ。


 次回は、 教会でのひととき。2(仮)の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 引き続き宜しくお願いいたします。 


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