レッドアップルのコース料理。前編
ニベアとメンソレータムの福缶が届きました!
今年は無事買えたのですよ。
幸せ。
まだ中身を確認していないので、あとでゆっくりと堪能したいと思います。
ふふふふ。
離れは小洒落た一軒家という佇まい。
想像していたのと違って驚くが、他のメンバーは全く驚いていなかった。
こちらの世界での離れは、そんな設定なのだろうか。
扉を潜ると広々としたリビングが目に入る。
小規模パーティーなら開催可能な広さだ。
豪奢ではないが丁寧な手入れがされている椅子とテーブルには好感が持てる。
「お飲み物は如何いたしましょうか?」
兎獣人が大変な努力の末、スライムたちから目を離して注文を伺ってくる。
「まずはレッドアップルミードでいいんじゃねぇの?」
「まぁ、ボノ様! 女性がいらっしゃるなら、女性のお好みを伺わなくてはいけませんわ!」
「……だ、そうだぜ。フォルス嬢」
「ふふふ。それでは、食前酒に相応しい物をお願いしたいわ」
「では当店自慢のレッドアップルのブレンド酒を御用意いたします。こちらは食前酒だけではなく食後酒としてもお勧めなのです」
「まぁ、素敵ね。あと、男性陣には物足りないかもしれないから、一緒にレッドアップルミードも持ってきてもらえるかしら?」
「お! さすがはフォルス嬢。わかってるねぇ」
「……はぁ。恐縮です、フォルス様」
「気にしないで。皆揃って美味しく食べたいもの」
くすくすと笑えば、アランバルリと兎獣人に賞賛の目を向けられた。
「では、失礼いたしますね」
兎獣人がテーブルに置かれていたコースターをとんとんと叩く。
驚くべきことに、コースターの上に酒瓶が現れた。
「では、ボノ様? お任せしてもよろしいでしょうか」
「全く口の減らねぇ嬢ちゃんだ。わかってんよ! さ。フォルス嬢、注がせてもらうぜ」
「よろしく」
コースターの上に伏せられていたグラスを返す。
ボノは手慣れた所作で酒瓶の封を切って、丁寧にグラスへと注いだ。
私のグラスの次に自分のグラスへ注ぐのが何とも彼らしかった。
「……ありがとうございます」
「……恐縮です」
スルバランはそんなボノに対しても丁寧に御礼を言っている。
いいよね、親しき仲にも礼儀あり!
「それじゃ、かんぱーい!」
さくっと音頭を取ってくれたので、グラスを傾けるとくいっと飲み干した。
美味しい。
シードルともアップルタイザーとも違う。
ただ炭酸は利いていた。
飲みやすいので食中にも飲みたいが、レッドアップルミードも気になるので、食後に取っておこう。
「簡単にコースの説明をいたしますね。冷製の前菜、ポタージュクレール、温製の前菜、ポタージュ・リエ、サラダ、卵料理、魚介料理、アントレ家禽、アントレ家畜、アントレ家畜、アントレジビエ、ロティ、デセールとなっております。他店に比べて肉料理が多いのが特徴ですね」
私の知っているフルコースとは随分違う。
肉料理が多いのはそれだけカロリーを欲している層が多いということなのだろうか。
量が多いようであれば少なめで用意してもらうのもありかしら?
「ボノ様は三倍提供として……他の方は如何いたしましょう」
「フォルス様は恐らくですが一人前で問題ないかと思われます」
「あ、そうなのね?」
「ええ、なるべく全部の料理を楽しんでもらえるように、一品が少なめですので……気に入った物は一通り食べてから追加注文も可能ですので、その点も安心してください」
「素敵な心配りですね」
「私もそう思います。こちらのお店の人気が高いのもわかりますね。私は二倍でお願いします」
「自分も二倍でお願いします」
「畏まりました」
女性は一人前、男性は二人前が無難な感じのようだ。
追加できるのなら気に入った料理だけお願いするのもありかな?
「スライムたちの料理はどうしましょう?」
「全員一人前ずつお願いするのねー」
リリーが手? を上げて返事をした。
「承りました~」
スライムに対する扱いがあからさまなのは、既に突っ込みを入れる気も失せる。
客商売としてはどうかと思うが、自分の家族が好かれるのに悪い気はしない。
兎獣人がテーブルから少し離れた位置にある、小さな丸テーブルに置かれた水晶球のような物に手を置いて、注文を伝えている。
ハイスペックだなぁと感心してしまった。
『近距離しか使えない通信玉ですわ。アイリーンの考える電話ほど高性能ではありませんのよ』
ローズが反応した。
『でも便利は便利じゃない?』
『いろいろと使用条件がありますし、個人では持てませんの。まぁ愛でしたら電話も作れると思いましてよ?』
『ははは。そのうち気が向いたらね』
現時点でそこまでの必要性は感じていない。
スライムたちとは距離なんて関係ない念話が使えるしね。
それよりも優先することはたくさんあった。
まずは目の前の料理を堪能するのが最優先だろう。
「おぉ! 相変わらず、すげぇなぁ」
「離れだけの特別待遇ですからね。知っている方の方が少ないのでは?」
「そうですね。限られたお得意様のみ知っているらしいです」
テーブルの上に敷かれたランチョンマットの上、忽然と料理が盛られた皿が現れたのだ。
『ランチョンマットにイエロータイムバードの羽が織り込まれているのです』
『ああ、転移ができるアイテムだっけ?』
『そうなのです。販売ルート不明のレアアイテムなのです』
『あら、凄い』
『制作者が食道楽の人なので、基本的に食べ物関係の人に販売されるらしいのです。愛も素敵な料理を多数提供しているので、そろそろ打診があるかもしれないのです』
『光栄だわ』
食道楽なら話しもあうかもしれない。
あまり期待しないで頭の隅にでも置いておこう。
「レッドアップル、生ハーム(生ハム)、タニップ(かぶ)のマリネでございます」
レッドアップルとタニップが同じ形にスライスされており、中央に薔薇の花に見立てた生ハームが飾られている。
「え、生ハムってあったの?」
「生ハームは希少食材ですね。ダンジョンドロップ品です」
「あ、そうなんだ」
てっきりハム系はないと思っていたので、味次第ではダンジョンに赴いてみたい。
せっかく燻製機があるんだから、自分で作ってもいいんだけどね。
あ!
スライムたちが一式作ってくれた記憶が微かに……。
ナイフを使うまでもなく、食べやすいサイズに切られているレッドアップルとタニップを重ねて口の中へ入れる。
よく味が染みていて美味しい。
更に生ハームも加えて三点セットにしていただく。
食感が変わって楽しい。
今度は別々にいただく。
味が染みているレッドアップルとタニップは言うまでもなく好ましかった。
生ハームは紹介が可能なら食道楽さんに縁を繋げたい。
普通に美味しく食べやすい生ハームだった。
「……くぅ! 相変わらずうめぇなぁ。フォルス嬢。ミードも飲め! この前菜にあうぞ!」
「はいはい」
豪快に三人前を食べ尽くしたボノの勧めに従ってミードを口に含む。
口の中に残っていたマリネの風味がさらっと流された。
危険レベルで飲みやすい。
「どうよ?」
「ダースで購入したいわ」
「は! そうこなくっちゃなぁ?」
何がそんなに嬉しいのかボノは隣で料理を堪能しているアランバルリの肩をばんばん叩いていた。
アランバルリはボノに軽い相槌を打ちつつも、もぐもぐを止めない。
ボノの対応に慣れているようだった。
「では続きまして……レッドアップルとネギタマのコンソメスープでございます」
小さなスープカップにネギタマのコンソメスープ。
千切りで浮かんでいるレッドアップルは乾燥したものかな?
……うん。
ドライレッドアップルだね。
ネギタマの甘みとレッドアップルの甘みは別物だが、喧嘩せずに美味しく喉を通っていった。
「レッドアップルとミニクラーケン(いか)のフリッターになります。ホワイトロックソルトをつけてお召し上がりくださいませ」
絶妙なタイミングで次の料理が現れる。
「おや。ミニクラーケンとは珍しい」
「ああ……先日大量に発生したのだとか」
「クラーケンが討伐されると大量発生するってよく聞くがな」
……そんな事情で食卓に上がるらしい、ミニクラーケン。
あちらでのヤリイカあたりかしら。
兎獣人が空いた食器をランチョンマットで厨房へ送っているのを横目で見ながら、フリッターをいただく。
林檎のしゃくしゃく感とミニクラーケンのもっちり感が絶妙。
ホワイトロックソルトなしでもいけるかな?
一口でさくさくといただいてしまったので物足りなさがあるが、この先を考えれば適量なのだろう。
次の料理に備えてレッドアップルミードを飲んでおく。
さらっと口の中がリセットされるのは便利だ。
「レッドアップルミードお代わりを頼む。全員分!」
「……何本かいただいておきましょうか?」
「フォルス様、他に飲みたい物はございますか?」
「レッドアップルミードのホットも飲んでみたいのだけれど……」
「あー冷えてる方が食中には向くがな。ホットでもいけると思うぞ」
「では、私はホットもお願いします」
「畏まりました」
すぐさまコースターの上にホットミードが現れる。
こちらは陶器製のマグカップに入っていた。
香りはこちらの方が強い。
一口口にすれば優しい味が口の中にふわりと広がった。
喜多愛笑 キタアイ
状態 食事を堪能中 new!!
料理人 LV 4
職業スキル 召喚師範
スキル サバイバル料理 LV 5
完全調合 LV10
裁縫師範 LV10
細工師範 LV10
危険察知 LV 6
生活魔法 LV 5
洗濯魔法 LV10
風呂魔法 LV10
料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用
掃除魔法 LV10
偽装魔法 LV10
隠蔽魔法 LV10
転移魔法 LV ∞ 愛専用
命止魔法 LV 3 愛専用
治癒魔法 LV10
口止魔法 LV10
人外による精神汚染
ユニークスキル 庇護されし者
庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化
称号 シルコットンマスター(サイ)
マックのハッピーセット。
すみっコぐらしの布製マスコットが可愛い!
発表された日から騒いでいたのですが、購入を迷います。
そして迷っているうちに完売御礼になる予感大。
仕事帰りの主人にお願いしようかしら……。
次回は、 レッドアップルフルコース。中編(仮)の予定です。
お読みいただきありがとうございました。
引き続き宜しくお願いいたします。