王都の教会へ行く準備。
体調を考えながらゆるーくアルバイトなどをはじめることにしたのですが、面接に行くときの服がない!
……近所にしまむらがあって良かったです。
面接に着ていけるスーツ。
安価であるといいなぁ。
パンプスとバッグも必要だよね。
トラブルが必須になってしまった講習も、優秀なスライムたちは難なくこなしてくれた。
ボノとスルバランは第二回を! と鼻息が荒かったが、スライムたちにもっと人選をしっかりすべきだ! と怒られて落ち込んでいたが、これも仕方ないだろう。
街長からホルツリッヒ村視察の打診があったので、こちらはトリアに任せてみた。
私はいないが問題ないか? との問いに、残念ですがこれ以上、妻たちを押さえられません! と言われたので、頑張ってほしい。
トリアは私よりよほど人間を知っていて、厳しい存在だ。
街長家族が一線を越えるような真似をすれば、粛々と制裁が下されるだろう。
食事会の感触からして、基本的に善人な街長一家は十分にホルツリッヒ村の視察を楽しめると思う。
「……そうなると……王都の教会に行かないとだねぇ」
「アランバルリは連れて行きますの?」
「あ、王都で待ち合わせることにしたよ」
闇梟便は定期的に受け取っている。
アランバルリは愛する人を得て、以前よりも積極的に活動をしているようだ。
エステファニアとの文通もまめまめしくしており、時々のろけが聞かされる。
私に対しては仕事の話しかない手紙だが、エステファニアの手紙には貴族も真っ青の愛の言葉が綴られているらしい。
実物はさすがに見せてもらえなかったが、一部を音読してもらった。
聞いているこっちが恥ずかしくなるほどラブラブで、少しだけ聞いたのを後悔したくらいだ。
「久しぶりにエステファニアと会わせてあげたいんだけど……」
「王都にはエステファニアの知り合いが多いと思うので、避けた方がいいと思うのです」
「あー、そういえばそうだった。でも別人に化けさせればいけるんじゃない?」
「エステファニアの意見を聞くといいのねー」
「それだ!」
そうそう。
何より本人の意思が最優先だ。
一緒に王都へ行く? との問いに、少しだけ迷ったあとでエステファニアは緩く首を振った。
「アランバルリに会いたいのはやまやまだけど、王都は知り合いも多いので今回は遠慮させていただきますね。ただその……正式に婚姻を結んだ日には足を運んでもいいかな……とは考えております」
なるほど、納得。
美人だからね、エステファニア。
元主人のように無茶をする輩がいる可能性が怖いのだろう。
私が教会の王族と縁を繋げば結婚してなくても問題なさそうだけれど。
今回はパスならそれはそれで。
エステファニアの意見を尊重する。
「えーと。じゃあ、教会でどんな話をするかまとめておこうか」
確かいろいろあったはず……。
記憶を引っ張り出している間に、スライムたちが書き出してくれる。
うん、うちのスライムたちは優秀だから丸投げでもいいんだけど、頭は使えるときに使っておかないとね。
つらつらと紙に書かれた一覧を眺めていく。
新しいサバイバル料理のレシピ。
……か、考えてなかったなぁ。
サバイバル料理じゃなければたくさんあるんだけども。
インセクトダンジョンのドロップアイテムで何か考えてみようかしら?
あやとり以外の知育玩具。
……一応作ったオセロとトランプ。
あとは縄跳び、ゴム跳びならぬスライム紐飛び、胴縄、缶馬ならぬ石馬、缶蹴りならぬ石蹴りなどの、外遊びの提案でいけるかな。
インセクトダンジョンのドロップ品&宝箱の中身について。
……寄附するものと購入してもらうもの。
これは相手の反応を見て決めようかなぁ。
教会が欲しがるものばかりだから全部売りつけてもいいんだよね。
薬関係のレシピ。
……トリアとペネロペに頑張って講習をしてもらったんだけど、薬を作る前段階の講習だったみたい。
あったら便利な薬だから教会を通してもいいと思うし。
ドーベラッハ街のギルドに対して優遇措置をだしてもらえばいいかも。
ボノたちには事後報告で……怒られそうだから、移動中に相談しておこうか。
コース料理のレシピ。
……お偉いさん接待用にあってもいいと思ったんだけど、どうだろう?
一応清貧を謳っているみたいだし。
偶の贅沢はありじゃない、たとえ聖職者でもさ。
スルバランあたりが目の色を変えそうだね。
オークションについて。
や。
何か私一人が出品者っていうのもさすがに問題かなぁと思って。
これを機に教会でももてあましている物を出品してしまったら? ってね。
私&教会からってことにすれば、教会に借りが作れる気がして。
レシピだけでも貸しが山盛りだけど、それじゃあ弱みが握れないし。
「弱みが握れないかぁ……」
「ん。教会と敵対したいの?」
「う。愛がその気なら頑張るのよ!」
「いやいや、そこまで好戦的にはならないよ。ただ教会も一枚岩じゃないと思うしね。王位継承権第三位の方が何処まで腹黒なのかわからないし」
「腹黒は確定なのねー」
「じゃなければ、アランバルリが懐かないでしょう」
言葉の端々にその方への敬意が見れるからね。
所謂良い王族なんだとは思う。
腹黒認定は譲れないけれど。
「移動はどうしますの? ミュゲに乗っていくのも面白そうですわね」
「馬車だと時間がかかりそうだよねー」
「そもそも誰と一緒に行くのです?」
「ボノとスルバランは行くでしょう? あー、セバスチャンが家ごと行くとかいいそう」
「ん。せっかくの王都なので高級お宿に宿泊するといいの」
「う。ホルツリッヒ村からは誰か連れて行くのよ?」
「エステファニアが行かないなら、全員村にいてもらおうかな……ほぼホルツリッヒ村の村民になってるカンデラリアとピアに同行してもらうのはありかも?」
ビダルと二人はすっかり村に馴染んでいる。
まだまだ人手が足りないホルツリッヒ村では、勤勉な人間は大歓迎なのだ。
「今連れ出すと村民にならないかもしれませんわ。完全に馴染むまで連れ出すのはやめておきましょう」
ローズから見るとそんな風に感じるようだ。
他のスライムたちも頷いている。
ならば無理強いはしまい。
基本的に私はスライムたちがいれば、安心安全快適な旅ができるのだ。
「はぁ……穀物ダンジョンには何時になったら行けるんだろう……」
「ん。お米は一通り手に入ったから我慢するの」
「手持ちのお米は増産体制が整っているのです。新米だって食べられるのです」
「そうなんだけどねー。せっかく昆虫ダンジョンで虫耐性もつけたからさー」
いろいろと順調だから、お米の普及をねー。
したかったりもするのよねー。
「教会に行って話し合いをして、王都探索を存分にして、オークションを無事に終了させたらいけるのねー」
「う。謁見も忘れちゃ駄目なのよ」
「謁見!」
「ドレスの用意はどうしますの? 総シルコットンドレスでも作っておいた方が良い気もしてきましたわ」
きらっとローズの目が光る。
他のスライムの目も光った。
各体の色と同じに光っている。
芸が細かいよね。
「……もしかして、教会に行くときにも正装の方がいいのかしら?」
「それもそうなのねー」
「謁見でマーメードライン、教会はエンパイアライン?」
「愛なら何を着ても許されると思うのです」
うーん。
実際無難なのはプリンセスラインっぽいんだよね、この世界。
少なくともカルメンシータにお勧めされて読んだ、現在の流行ドレスカタログにはそう掲載されていた。
「ん。一応無難なプリンセスラインも作っておくの」
「う。アクセサリーもグリーンレインボーの腕輪、アゲーハのブローチ、モルノフォの首飾り、パープルモンのサークレット、ブルーアゲーハの指輪、フラワーキリトリのファランジリングあたりを上手く組み合わせればいいのよ」
ん?
グリーンレインボーの腕輪は常時隠蔽効果がなかったっけ?
綺麗だけど、さすがに謁見中姿が見えなかったら問題でしょう。
「刺繍とレースも上手く組み合わせたいですわ」
「シルコットンのストックはたくさんあるので、仕上がりを楽しみにしてほしいのです」
レースと刺繍ならそこまで豪奢にはならないかな?
シンプルなドレスならアクセサリーはさぞ映えるだろう。
ついでにコーディネイトも皆に丸投げしよう……。
喜多愛笑 キタアイ
状態 スライムのはしゃぎっふりに引き気味 new!!
料理人 LV 4
職業スキル 召喚師範
スキル サバイバル料理 LV 5
完全調合 LV10
裁縫師範 LV10
細工師範 LV10
危険察知 LV 6
生活魔法 LV 5
洗濯魔法 LV10
風呂魔法 LV10
料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用
掃除魔法 LV10
偽装魔法 LV10
隠蔽魔法 LV10
転移魔法 LV ∞ 愛専用
命止魔法 LV 3 愛専用
治癒魔法 LV10
口止魔法 LV10
人外による精神汚染
ユニークスキル 庇護されし者
庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化
称号 シルコットンマスター(サイ)
友人と軍港クルーズに行く予定です。
海軍カレーをお土産に購入して、ホテルアフタヌーンティーも予約しています。
楽しみー。
次回は、 教会へ行く馬車の中。(仮)の予定です。
お読みいただきありがとうございました。
引き続き宜しくお願いいたします。