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家事妖精付きお屋敷。後編

 カードの件は一通り手配完了しました。

 二次被害はなくて一安心。

 平穏な生活をしていると、ちょっとでも困ったことが起きると心臓が常にどきどきして困ります。



 人形たちの名付けを引き受けたはいいものの少し数があるので、検索機能を使いたい。

 厨二病ジェネレーターとファンタジージェネレーターは重宝しました。

 曰く付きなら厨二病ジェネレーターが唸ってもいい気がするんだよね……。


「続いて仕事場です。現在は薬師の仕様となっております」


「あら素敵」


 案内されたのはハーブの香りが漂う、壁面が全て引き出しになっている部屋。

 部屋の中央にはテーブルに椅子、調剤に必要らしい様々な器具が置かれていた。


「引き出しの中身は素材なのかしら?」


「はい。調合に使う様々な調剤を収めてございます。希少素材も最低三個は確保してございます」


「大変すばらしいのねー」


 スライムたちの目が輝いている。

 どころかそれぞれが気になる引き出しの前に立ち、中身を覗き込んでいる。

 心躍る素材が収められているらしい。


「別の仕事部屋もございますが、如何いたしましょう?」


「如何、とは?」


「御覧になりますか? 錬金部屋、鍛冶部屋、刺繍&織物部屋などがお勧めでございますね」


 歴代の主人たちの名残なんだろう。

 私にあった部屋を選んで伝えてくれただけで、星の数ほどの仕事部屋がありそうだ。

 どの部屋も素材がたっぷり収められているんだろうなぁ。

 完成された武器屋防具とか織物も凄まじいスペックの物が保管されていそう。

 それもちょっと気になる。


「使いたくなったときでいいかなぁ……あ、図書室はあるの?」


「勿論ございますよ。おしゃべりな司書がおりますので、時間があるときに御案内したいと思いますが」


 お、おしゃべりな司書かぁ……。

 昔仲良くなった司書さんに、司書になるのに必要な素質とかってあるの? と尋ねたところ。

 一番は人が好きなことかなぁ、と言っていたのを思い出す。

 人が好きっていえば何となくおしゃべりの印象があるから、ここの司書さんは素質を存分に持っているのかもしれない。

 ……そもそも人、何だろうか?

 ま、深く考えないでいいだろう。

 人であろうとそうでなかろうと、優秀な司書であれば問題はない。

 このお屋敷でなら時間を忘れて読書もできそうだ。

 王都へいく前に観光ガイドみたいなものがあったら読んでおくのもいいかな。

 

「観光ガイドですか……司書に伝えておきましょう」


「立ち入り禁止区域情報や、マナー本などもあると嬉しいのです」


「わかりました。そちらも用意しておきましょう。お勧めの食事処は最新のものをだすようにいたしましょうね」


「ん。助かるのよ」


 スルバランたちに頼んでもかなり良い物が準備されそうだけど、この執事さんが出す物よりは劣る気がしてしまうのだ。

 有り難い執事付きお屋敷を紹介してもらった。


「図書室を含め先ほど申し上げた部屋へ行きたい場合は恐縮ですが、一度お声がけくださいませ。二度目以降はお一人でも入れますので」


「わかりました」


 そんなシステムらしい。

 

「他に質問がないようでございましたら、三階へと参りたいと思いますが……」


「うん。三階の案内をよろしく」


「では、お足元に気をつけて階段へどうぞ」


 扉を開けてくれるので部屋の外へ出る。

 階段の手すりは幅広で、子供であれば滑り台代わりにできそうだ。

 自分は無理だがスライムは楽しめるだろう。

 今も階段ではなく手すりを滑りながら上って行く子もいた。


「三階は客室が二室、主寝室がございます。風呂は各部屋についておりますが、大浴場や露天風呂なども御用意できます。同じく客室も別途御用意できます」


「大浴場かぁ……」


 スライムたちと大浴場で遊ぶのも楽しそうだ。

 露天風呂からはどんな景色が見えるのだろう。

 現実では見えない景色が見えそうで、そこはかとない怖さも感じる。

 

「どちらも初代様が作られたものでございます」


「歴史があるんだね」


「なるべくそのまま残してほしいとの御希望でしたが、なかなかに難しゅうございました」


 執事さんは遠い目をした。

 入る人がいないと劣化が酷いって話だし。

 そもそも手入れが大変っていうのは、祖母が銭湯の経営をしていた人から聞かされたっけ。


「客室も御覧になりますか?」


「そうね。せっかくだから、そちらから先に見てみようかしら」


「畏まりました」


 形式美なのか客室にはきちんと鍵があるようだ。

 装飾が美しい銀色の鍵で扉が開かれる。


「あら、素敵」


「こちらは一人部屋でございます。もう一部屋は二人部屋でございますね。またそれ以上がお泊まりになる場合は、別途御用意させていただきます」


 置かれている家具は少ない。

 ベッド、机、テーブルにソファ。

 けれど空間が多い。

 つまりは広い部屋に必要最低限の家具が置かれている印象だ。

 ちなみに絵画は一点、花が生けられた花瓶も一点置いてある。

 花からは良い香りがしたので生花だろう。


「ベッドは随分大きいんだね」

 

 長さも横幅もかなりある。

 私と同体形なら三人は大丈夫そうだ。


「この大きさであれば大半のお客様は対応できますので……」


「生花は街で仕入れているの?」


「いいえ。知り合いから季節にあった物を仕入れておりますよ」


「……この花は希少花じゃないの?」


「知り合い曰く、山ほど生えているそうです」


「あー、種族特性かな?」


「産地特性かも知れないわね?」


「どちらにしろ素敵よね」


 私の言葉にローズと執事さんが深く頷く。

 生花は本当に癒やされます。


「では主寝室へ向かいましょうか」


 一部枯れかけた花をちょいちょいと摘まんで整えた執事さんが、移動を開始する。

 背後にぞろぞろとついていった。


「おお……」


 そこは高級ホテルのスイートルームだった。

 バーカウンターが部屋の中にあるとか凄い!


「ここなら全員余裕で泊まれるのねー」


「安心して生活できるのです」


 リリーとサクラがハイタッチをしている。

 気に入ったようだ。

 私としては、ホテルのスイートルームで生活とか、どんな大富豪なのかと突っ込みを入れたいところだが。


 各自部屋の中を探索しているので、私は窓辺へと向かう。

 大きな窓の向こうは海か湖か。

 もしかしたら川かも……と思いつつ、絶景を眺める。

 魚が空も高く舞った。


「……大きくない?」


 思わず独り言がでるほどの魚のサイズ。


「美味しゅうございますよ。今夜お出ししましょうか? ムニエルがお勧めでございます」


 背後にいた執事さんが説明してくれる。

 美味しいならいいか……と思ってしまう自分の食い意地には呆れるしかない。


「あ、そうだ。今更なんだけど……」


「はい。何でございましょう?」


「名前を聞いてなかったなぁと」


「セバスチャンと申します」


 ぶっと噴き出してしまった私を責めないでほしい。


「優秀な執事は皆この名前だと初代様がおっしゃっておいででしたが……」


 当然名付けも初代さんか。

 絶対日本人だよね。

 もしくはオタクか。

 私が知っているセバスチャンな執事は二人しかいないけど、どちらも優秀なのは間違いない。

 きっとこの執事さんも同じように有能なのだろう。


「アイリーン・フォルスです。よろしくね、セバスチャン」


 きちんと名乗って、名前を呼ぶ。

 セバスって縮めて呼ぶのも素敵よね~。


「人前ではセバスチャンとお呼びくださいませ」


 そう言ったセバスチャンは、執事特有の素敵な所作で挨拶をしてから深々と腰を折ってくれた。





 喜多愛笑 キタアイ


 状態 家事妖精に興奮中 


 料理人 LV 4


 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 


     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

     治癒魔法 LV10

     口止魔法 LV10

     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)   





 



 友人にチケット取りを頼まれました。

 頑張って戦わないと……。

 自分で欲しいチケットは取れずとも、人に頼まれて頑張ると取れるって、あるあるですよね。


 次回は、薬の講習。(仮)の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 引き続き宜しくお願いいたします。   

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