街長に会う。前編
オー○ン前日譚見てきました!
古き良きホラーという雰囲気で堪能できました。
最近ホラーを見ると何もかも爺ちゃんもしくは婆ちゃん、もしくは両方が悪いのよ! となることが多いのです。
今回は両方でした。
しかしキリスト教のご本家からクレーム来ないのかしら?
疲れがたまっていたらしい。
頭がしっかりしてきた頃には、既に街長との会合時間が迫っていた。
「あー、まだ眠いし……」
「お疲れちゃんなのねー。料理の下ごしらえはすんでいるから、ぎりぎりまでぼんやりするといいのねー」
「まぁ、リリー! 甘やかしすぎはいけませんわよ? 何を着て行くか、アイリーンの意見も聞かねばなりませんでしょう?」
「ローズさまに、丸投げいたしますぅ……」
「もぅ! 困った御主人様ですわ!」
ぷりぷりと怒っているローズも可愛い。
怒ると体全体がより鮮やかな真紅に変化するんだよね。
「やり過ぎは駄目なのです。一応料理もするのです」
「ん。王族も真っ青の衣装にしたくても諦めるの」
「う。必要以上に周囲を萎縮させるのは悪手なのよ」
何やら黒い話をしている……。
正装をする機会は少し先に溢れている。
今回は何時もの冒険者仕様で諦めてほしいものだ。
うつらうつらしているうちに、何を着せるか決まったようだ。
やると決めたときのスピードと団結力は凄いんです、うちの子たち。
ちなみに厳選された装いは以下の通りになりました。
ホワーンラビットの毛皮 フードつきマント。
シルコットンのワンピース。
ポークの皮編み上げブーツ。
ホワーンラビット牙のペンダント。
クックルー嘴の髪飾り。
マントは、シルコットンのワンピースを隠すのに必要とのこと。
何時も着ているものとは、胸元の刺繍とレース飾りのデザインが違う。
編み上げブーツの効果は、皮靴と一緒。
髪飾りは耳の上に一つずつ。
それとは別にシルコットンのロングエプロンと髪の毛を纏めるリボンも持ちましたよ。
シルコットン ロングエプロン
肌触り抜群。
吸湿性最高。
大きな鈴蘭の形をしたポケットが二つ。
防汚・防水効果有。
作業速度上昇効果有。
うん。
優秀です。
作業速度上昇とか凄まじいよね。
シルコットン リボン
全体に鈴蘭が透かしで刺繍されている。
髪艶効果有。
魅了効果有。
や、魅了効果はいらないんだけどなぁ。
つける効果は選べないんだよね。
贅沢な望みだとは思うけど、選べたらいいのにと思います。
特に魅了は不要と思うのですよ。
「困った顔をしても駄目なのねー。さくさくと移動するのねー」
「はーい」
「愛が寝ているときにスルバランから伝言がありましたの。冒険者ギルドで待ち合わせじゃなくて、直接街長の屋敷に来てほしいそうですわ」
「了解、私がいないときに打ち合わせでもしたかったのかもね」
「恐らくはそうなのです」
ふわふわとあくびをしていれば、スライムたちに背中を押されて宿を出る。
受付で軽く会釈をして外へ出ると、馬車が止まっていた。
さすがのスライム手配。
リリーかな?
御者がいないタイプの馬車を引くのはユニコーン。
この宿の持ち物なんだって。
さすがは女性専用宿。
徹底している。
街長の家はお屋敷だった。
一流の冒険者が凄いのか、街長手当的なもののお蔭なのかは聞いていない。
お屋敷の前には、ボノとスルバランが待っていた。
どうやら一緒に入るようだ。
「……お美しい」
スルバランがエスコートしてくれる。
自分が貴婦人にでもなった気分だ。
「服一つで随分と印象が変わるもんだなぁ。お忍びの姫様に見えるぜ」
褒め言葉としては微妙だが、姫扱いを一般的な感覚なら喜ぶので、許容範囲内かな。
「ようこそ、おいでくださいました!」
頭にまで響く声は緊張か威圧か。
隣にいる奥方らしき人物が僅かに眉根を寄せていたので、緊張かもしれない。
「ラモン・バエスと申します。元冒険者ギルドマスターで一代男爵を賜っております!」
素早く奥方がラモンのどこかを抓ったのだろう。
声が三段階ほど静かになった。
少し大きめの声、といったところ。
「丁寧な挨拶をありがとうございます。アイリーン・フォルスと申します。ホルツリッヒ村の村長を務めております」
マントをスルバランからローズへと流れるように渡してから、軽めのカーテシー。
周囲の絶句する気配はあえて気にしない。
「美人……」
「高位貴族様?」
「実力は絶対に親父より上だよな……」
子供は三人。
男、女、男。
次男が一番冷静な感想なのかな?
奥方が素早く拳骨を喰らわしている。
高位貴族だったら間違いなく不敬罪だもんねぇ。
「子供たちが失礼いたしました。妻のパウラと申します」
深いカーテシーには会釈で返しておく。
それで謝罪を受け取りました! となるらしいよ。
サクラのマナー情報より。
「すみません、どうも、自分に似ちまって……」
「あなた!」
あ、うん。
尻に敷かれる系?
お子さんたちが怯えていないので、恐妻家ってほどでもなさそうだけど。
「パウラさん。そろそろ会場へ」
「あ、そうですね。お待たせして申し訳ございません。こちらでございます」
パウラが案内をするようだ。
ラモンは私を気にしつつもボノと話をしている。
子供たちもやはり私に話しかけたいようだが、スルバランが巧みに私から興味をそらしてくれた。
家の中を通って案内されたのは所謂中庭。
ガーデンパーティーができるレベルの広さ。
さすがは黒字経営の街長屋敷。
立派なものだと頷いていると、リリーが念話で話しかけてくる。
『立派なお庭やお屋敷が欲しいのねー?』
『いやいや。素敵だなぁと思っただけだよ。今は冒険者活動が楽しいし』
『なるほどなのねー』
興味がないわけではないのだが、他に気になるものがありまくっている状況なので、自宅改造は今の所考えていない。
望めばスライム他、村の住民たちがさくさくっと豪華な建築をしてくれるだろうしね。
中央に大きなテーブルがあったので、私は少し離れた場所で専用料理魔法レベル5を発動させる。
簡易キッチンをどこでも設置できる魔法ね。
周囲からおー! と歓声が上がった。
「何かお手伝いできることがありましょうか?」
パウラが申し出てくる。
「では、取り皿の準備をお願いします。グラスもたくさんあると嬉しいです」
「畏まりました」
頷いたパウラはてきぱきと指示を始めた。
私は無意識に鼻歌でリズムを刻みながらエプロンを装着する。
「え? あれシルコットンじゃね?」
また次男かな?
本当に、観察眼が鋭いなぁ。
昼食は品数が必要だろうと、まずは丼物を並べていく。
照り焼き丼、塩胡椒味丼、葱甘酢味丼の三種類。
御飯の上に切った肉を置くだけの簡単なお仕事です。
お米の炊き方はそこまで広がっていないみたいだから、講習が必要かな。
どの道料理講習は何度か開催しないと駄目だろう。
「お! もしかして丼物か?」
「あら? 食べた経験があるの?」
「あるぜ。腹持ちがいいし安いからな」
ボノが手にしたのは塩胡椒丼。
しかしすぐさまスルバランの手によって取り上げられた。
「なんで貴男は全部食べようとするんですか! 何のための取り皿なんです?」
スルバランはびしっとパメラが用意した皿の山を指した。
「えー。少しじゃ味なんかわからねぇだろう?」
「他の人たちはわかるんですよ、さ。どうぞ!」
スルバランが皿へ盛ったのは、寿司三貫分ぐらいの御飯と肉一切れ。
受け取ったボノは大変しょっぱい顔をしていた。
続きはメイドが引き受けて、どんぶりから取り皿へと適当な量を盛りつけた。
家族五人以外にも列席者はいる。
紹介はないがほとんどが料理人だと思われた。
皆、目が真剣だ。
「おいしー! 私この味がいい!」
「それは今回からドロップするようになった葱甘酢味ですね。照り焼きよりさっぱりしているから女性向けかもしれません」
「その……調味料もドロップしたとか」
「ええ、今後もするようですよ」
料理人たちから歓声があがる。
既に新しいレシピをいろいろ考えているのかもしれない。
皆の目は輝いていた。
「次は、パンね」
インディカ米のパン、丸形ふわふわパン、らいぎむパン黒、らいぎむパン茶、らいぎむパン白に三種類の肉を挟んだものをどどんと並べてもらう。
勿論スライムたちの活躍だ。
今回は肉しか入れていないが、ターレスは基本かもしれない。
ま、その辺りは講習や料理人たちの試行錯誤で決まるだろう。
喜多愛笑 キタアイ
状態 地味に緊張中 new!!
料理人 LV 4
職業スキル 召喚師範
スキル サバイバル料理 LV 5
完全調合 LV10
裁縫師範 LV10
細工師範 LV10
危険察知 LV 6
生活魔法 LV 5
洗濯魔法 LV10
風呂魔法 LV10
料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用
掃除魔法 LV10
偽装魔法 LV10
隠蔽魔法 LV10
転移魔法 LV ∞ 愛専用
命止魔法 LV 3 愛専用
治癒魔法 LV10
口止魔法 LV10
人外による精神汚染
ユニークスキル 庇護されし者
庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化
称号 シルコットンマスター(サイ)
以前から気になっていたビュッフェに行ってしまい、案の定食べ過ぎました。
選ぶプランによって食べられる物が違うのですが、どれを食べちゃいけないのかイマヒトツ分からなくて同じ物ばかり食べてしまった……味は値段相応で納得。
美味しいと思うのはやはりホテルビュッフェかなぁ。
次回は、街長に会う 中編。(仮)の予定です。
お読みいただきありがとうございました。
引き続き宜しくお願いいたします。