オークションに向けて。
さて投稿を……と思ったら、仕様が大幅に変更されていて驚きました。
しばらくしてから、これはどうしたらいいんだろう? と思うんだろうなぁ……。
とりあえず今までのルビは全部変更しないと駄目なのかしら? と青息吐息です。
口止魔法をかけたら三人が揃って深い溜め息を吐いた。
安堵の溜め息だろう。
タイプの違う三人が全く同じ動作をするので、思わず微笑ましい者へ向ける笑みが浮かんだ。
「代金の精算は……計算をさせますね。ボノ! 貴男の分もこっちで引き受けますよ!」
「え? 何時もなら自分のところでやりなさいって言うのに……いいのかよ?」
「今回は特別です。フォルス様に失礼があってはいけませんからね。あと! 冒険者ギルドは計算に長けた人をもっと雇うべきです! 前から言っているでしょう?」
「えー。あー。うん。わかってんだけどなぁ……どうにも育てていこうぜ! って雰囲気でよぉ」
「黙らっしゃい! そうやってギルドに育てさせた人材がさくさく流出しているでしょう?」
「……最初からできる奴って、問題ある奴が多い……だろ?」
「そういった傾向であるのは否めませんね。でも必ずしもそうではない。選別すれば優秀で性格もできた人だっています。現に商人ギルドはそんな人材ばかりですよ」
はははは。
きっとボノはいろいろと押しつけられた挙げ句、取り上げられているんだろうねぇ。
冒険者上がりという街長さんからも言われているのかな?
スルバランがここまで苦言をするなら、体制を見直すべきだろう。
「いっそ信用できる引退した冒険者に教えたら? 計算ができるって重宝されるわよ、いろいろな所で。体力に限界を感じた冒険者にならちょうどいいんじゃない?」
「……あー。希望は出ているんだが、教えてくれるところがねぇ」
「教会は?」
「うちの街だと手が足りねぇ」
「じゃあ、これも講習に入れておく? 簡単な計算と不正を見抜く小技を教える感じの講習。スライムの誰かが講師である点を受け入れられればだけど」
「うちもお願いします!」
スルバランがしゅたっと手を挙げた。
「え? 商人ギルドは大丈夫でしょう?」
「フォルス様のスライムが講師であるなら私だって受けたいです」
あら、うちの子たちの評価が天井知らずだわ。
「……ん? ああ、モルフォが受けてくれるの? テキストも作ってくれる? 少人数でやりたいので初回は十人まで? って何回開催するつもりなの!」
この件はモルフォが手を挙げてくれた。
しかもやる気に満ち溢れている。
モルフォって計算も得意だったのね。
私自身普通にできるので、今まで実感できなかったわ。
「じゃあ、他の講習と一緒に詳細を決めましょうね。それでいい?」
「こっちはありがてぇよ。よろしく頼む」
「それとスルバラン。金額が金額だから、時間がかかってもいいわよ? お金には不自由していないし。大金は動かすのにも時間がかかるでしょう? それよりも私としてはオークションで、いろいろと手放したいのよねぇ」
「……あくまでも踏破記念ですので、ダンジョンに関係ないアイテムでも出品は可能ですよ?」
ははは。
わかっていらっしゃる。
でも出し過ぎてホルツリッヒ村が狙われるのも困るのよね。
かなりの戦力だけど、私たちがいないときに軍隊とか来られたら対処が難しいし。
教会の保護を受けるべきかしら?
「オークション開催に向けてやるべきことを順番に並べていきましょうか」
「……出品に関してはフォルス嬢一任で」
「教会に話を持ち込むのが最初にやるべきことでしょうか?」
教会は教会でも行くのは王都の教会だ。
ならばアランバルリと話をしなければならない。
一旦、ホルツリッヒ村に戻って準備を整える必要があるだろう。
「王都のギルドには話をしておきますね」
「あー面倒だぜ!」
「留守を誰に任せるかも迷います」
「うちは迷うどころの話じゃねぇぞ? フォルス嬢のとこから派遣してほしいくらいだわ」
「うちで派遣できるのはトレントぐらいだから難しいわね? あ、今回テイムした子たちを派遣するっていうのもありかしら?」
「お! そりゃありがてぇ。フォルス嬢のテイムモンスターなら、ギルドの職員所か街の人間も安心だぜ」
「正直、助かります」
この街でうちの子たちを知らない人間はいない! ぐらいの知名度になっているもんね。
「いけね! それより先に街長に会ってもらってもいいか?」
「ああ、それが最優先だわね。村に戻る前に会います」
「明日とかでもいいぜ?」
「早すぎない?」
「前々からフォルス嬢の話はしてあるから、問題ねぇな。軽く昼に食事でもしながらとかどうだ?」
「それならミートキリトリのレシピを披露するから、早めに伺ってもいいかしら?」
「そりゃ願ったり叶ったりだけど、時間を置かなくて平気か?」
「構わないわ」
料理の講習はスライムたちに任せたいところだけれど。
「……明日の昼に、街長と一緒に食事会と話し合い。のちに王都へ行き、教会での話し合い、王都ギルドとの話し合い、オークション開催に向けての準備といった流れでしょうか?」
「スルバランよぉ。忘れちゃ駄目だろうが」
「何をです?」
「王族との謁見だよ。王都ギルドより先に謁見じゃねぇの」
聞きたくなかった。
聞かなかったことにしたい。
教会の王族と話をして終わりにならないだろうか。
「あー、フォルス嬢。気持ちはわかるけど早めに済ませておくべきだと思うぞ。向こうも手ぐすね引いて待ってると思うし」
「そうですね。フォルス様を囲おうとする王族ではないので、その点は御安心ください」
二人が勧めるのだ。
ラノベテンプレの駄目王族とはほど遠い、敬愛できる王族なのだろう。
でも、私には敷居が高いのだ。
「……教会で耐性をつけておくよ……」
「あー、あの御方が平気なら、どの王族も平気だろ」
「だから、ボノ。不敬!」
「いいじゃん。ここの会話は漏れねぇんだし」
そういう問題ではないのです。
スルバランの目が語っていた。
副会頭に同意します。
セリノの目も語っていた。
「……すみません。僕はその……一足先にホルツリッヒ村へ伺ってもいいでしょうか?」
「あら、永住を決めてくれたの?」
「えっと。永住はさて置き。この街に引き続き住むと面倒に巻き込まれそうで。大丈夫だとは思いますが、もとパーティーメンバーがまた声をかけてくる可能性もないとは言い切れませんし」
反省も後悔もしたけど、それを覆すセリノの功績だもんねぇ。
自分たちではまだまだ無理なダンジョン踏破をやってのけたのだ。
しかも私のパーティーメンバーとして。
元パーティーメンバーは望まずとも、その縁を使って何か考える輩は出てくるかもしれないし。
「まぁ、今夜は大人しく宿に泊まって明日立つといいよ。連絡はスライムがしてくれるから安心して村へ入れるから。あ、アークアンシェルに乗っていく?」
「是非!」
うんうん、お気に入りだもんね。
ミュゲでもいいけど、ミュゲは私が乗って村に戻りたい。
子供たちが大喜びだろうなぁ……。
「よし! じゃあ、今日はここまでで。明日のために英気を養ってくれ!」
「……貴男はまだ私とお話し合いがありますよ?」
「お、おぅ。分かってるから!」
私のいないところでの話し合いはさすがに必要だろう。
まぁこの二人なら大丈夫。
スライムたちも納得の善人だからね。
「では、また明日。冒険者ギルドに行けばいい?」
「そうだな。昼食を向こうで作るなら、十一時でいいか?」
「ええ、問題ないわ。よろしくね」
「こっちこそ、よろしく頼むぜ」
「お手間をおかけしますがよろしくお願いいたします。今夜はゆっくりと休んでくださいませ」
二人が頭を下げるのに会釈で応えてから、セリノたちと冒険者ギルドをあとにする。
有象無象たちはローズの結界で弾かれた。
いい加減学習してほしいよ!
小さい子たちですら遠巻きにしているんだから。
宿の前でセリノと別れる。
セリノは明朝に発つからと丁寧に断りをいれてきたので、アークアンシェルの話を宿の人にも話をしておく。
久しぶりに部屋へ入った途端急激な睡魔に襲われた。
スライムたちが風呂魔法レベル10で! と叫んでいたので、どうにか魔法を使う。
私の意識はそこで途絶えてしまった。
夢の中でスライムたちの手によってぴかぴかにされる。
かなり現実が入り交じった夢だったのだろう。
そろそろ準備をしないと駄目なのねーとリリーに起こされたとき、体からはほんのりとアロマオイルの香りがした。
喜多愛笑 キタアイ
状態 絶賛お疲れ中 new!!
料理人 LV 4
職業スキル 召喚師範
スキル サバイバル料理 LV 5
完全調合 LV10
裁縫師範 LV10
細工師範 LV10
危険察知 LV 6
生活魔法 LV 5
洗濯魔法 LV10
風呂魔法 LV10
料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用
掃除魔法 LV10
偽装魔法 LV10
隠蔽魔法 LV10
転移魔法 LV ∞ 愛専用
命止魔法 LV 3 愛専用
治癒魔法 LV10
口止魔法 LV10
人外による精神汚染
ユニークスキル 庇護されし者
庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化
称号 シルコットンマスター(サイ)
寒暖の差が激しいですね。
ダウンや毛布がなかなか洗えません。
4月に雪が降ることもあるのだから、まだまだ衣替えはしない方向です。
次回は、街長に会う 前編。(仮)の予定です。
お読みいただきありがとうございました。
引き続き宜しくお願いいたします。