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スルバランのドキドキは止まらない 3

 誤字修正の連絡でまたキャラ名を間違えていたことを知りました……モブキャラの間違え率の高さに泣けます。

 何時も修正の連絡をくださる方、本当にありがとうございます。

 毎回助かっています。

 


 ボノが注文書相手に格闘している間に、スルバランは依頼分のダンジョン素材と捕獲モンスターの受け取りを申し出た。


「えーと? ナナホシの羽、グリーンレインボーの羽、フラワーキリトリの眼球、オオヤンマの羽を一つもしくは一組以上だったわよね? 幾つ欲しい? あーあと、プリンセスアブは何匹必要?」


 素材はさて置き、プリンセスアブを複数個体テイムできるのは規格外が過ぎる。

 そもそもプリンセスアブは知性があり誇り高いモンスターなので、低ランクモンスターに分類されるにもかかわらず、テイムが難しいモンスターなのだ。


「素材は全て十、もしくは十組。プリンセスアブは何匹でも欲しいのですが、逆に何匹テイムされたのでしょうか?」


「番の他に集団でやってきた子たちもいるから、そこそこの数はいるわよ? 番を引き離したくはないのと、性格がイマヒトツの子たちを渡そうかなぁと思っているんだけど……」


「それで構いません!」


 番!

 プリンセスアブは雌の個体しか存在しない。

 しかし番になれば雌同士でも繁殖が可能だ。

 つまり!

 フォルス嬢は何時でもプリンセスアブを一定数持つことができるようになったわけだ。

 性格がよろしくない個体だろうが、プリンセスアブの価値は高い。

 条件が多少悪いくらいは問題がないのだ。


「じゃあ……五匹でいいかな?」


「助かります!」


 掌サイズなので、この場で出しても問題はない。

 スルバランは隣の部屋で控えさせていた部下を呼び出す。

 部下はフォルス嬢の価値をきちんと理解している男性職員だ。

 スルバラン以上の笑顔でプリンセスアブ五匹を連れていった。

 彼ならば適切に処理するだろう。


「あら、おまかせでも大丈夫なの?」


「彼は仕事ができますので。テイマースキル持ちでもありますしね」


 スライム収納内での代表なのだろうか。

 一匹だけ残ったプリンセスアブがリリーと一緒に首を振っている。

 恐らく手渡したプリンセスアブの態度を嘆いているのだろう。

 交わされる言葉の意味はわからずとも雰囲気から察知できた。


「素材はこれでいいかしら? あ、フラワーキリトリの眼球は中の花が選べるわよ。薔薇が一番人気という話だから、全部薔薇でもいいけど……」


「えーと? 花びら、ではなく、花が一輪入っているものでしょうか?」


「ええ、そうよ。花びらも勿論あるけど……」


「……十組と申し上げましたが、内訳は花びらと花それぞれ五種類一つずつとさせていただけますか?」


「倍でも大丈夫よ」


「希少価値を下げたくないので、それでお願いします」


 綺麗ではあるが眼球だし、特別な効果はない。

 揃えるのは難しいので一定数のコレクターはいるのだが、そこまでの重要はないのだろうか。


「あ……ファランジリングも、もしかして……?」


「お察しの通り全種類複数個あるわよ。全部欲しい?」


「……ええ、全部お願いします。向日葵色は倍以上いただけると有り難いです」


「へぇ。男性でも音楽に携わる人は多そうだものね」


「はい。吟遊詩人たちは拘らない方が多いのですが、貴族位の男性ほど向日葵色をお求めになりますね」


 実際は金があり見栄を張りたい者が向日葵色を、そうでない男性は紫陽花色を好む。

 効果が同じなら安価な物を望む者は少なくない。

 音楽家とは名ばかりで困窮している者ならば尚更だ。


「こっちでも欲しいわ、ファランジリング」


「あら、意外」


「音を攻撃に使う冒険者が何人かいるんだよ。皆なかなか上達しなくて悩んでいる奴らばっかりでなぁ……安価優先で頼むぜ」


「了解! 一番在庫があるのは秋桜ね。白だからいいんじゃない?」


「お! ありがてぇ。じゃあ十個頼むわ」


「もしかして一人二個ずつ装備させるとか?」


「おうよ!」


 それは腕に自信がない現れでは? と思うも、人に聞かせるのではなく自慢するのではなく、モンスターと戦うためなら構わないのかもしれない。


「一個あたり500ブロンでどうだ?」


「妥当かしらね。スルバランの方はどう?」


「……こちらは向日葵色のみ1000ブロン。他は500ブロンでお願いしたいのですが」


「わかりました。それで構わないわ」


 本当にフォルス嬢は値段に対してごねない。

 こちらが妥当な金額を提示しているのもあるだろうが、普通はレアドロップの交渉はもっと面倒なのだ。

 その都度、ボノが自分を頼ってくる程度には。


「依頼品はここまでね。精算は最後でいい?」


 ここまでの計算はしっかりとしてる。

 十分予算内だ。


「はい。最後で問題ありません」


「ボノは?」


「俺もそれでかまわねーよ。ペルペトゥアにもフォルス嬢が提示した金額に全部頷けって言われてっし」


 副ギルド長は真逆の言葉を吐いたんでしょうねぇ、きっと。

 心の中で毒づきながら口の端に微笑を浮かべる。


「……で。虫避けの件以外でもいろいろとあったのよ、ええ。本当にいろいろと……」


 フォルス嬢が遠い目をする。


「まずは下の階から順番にいくといいのねー」


「階ごとにあるんかい!」


「あるのねー」


 あるらしい。


「じゃあ、一階から。ここでは男性冒険者五人にモンスターを押しつけられたわねぇ……」


「あー初っぱなから災難だったなぁ」


「私の魔法で即滅だったけど、新人パーティーだったら全滅の憂きにあったと思うから悪質よね」


「全くだ。あ! そういえば大量のドロップアイテムがあったよな?」


「ええ、あるわよ」


「ナナホシの羽を一ダース、コカブトの兜を一ダースもらえるか? これはギルド用に持っておきてぇんだ」


「へぇ? 何に使うの?」


「羽はギルド職員が使うコースター用だな。ぼろくなったら交換してんだよ。兜は男の子が生まれた職員にプレゼントをしてる。健やかに育つって昔から言われてるアイテムだからな」


「ああ、うちもギルド用に別途いただきたいです。それぞれ二ダース……大丈夫でしょうか?」


「勿論楽勝よ。はい。どうぞ」


 商人ギルドの場合、付き合いで渡す相手が多い。

 他にも似たアイテムはあるのだが、フォルス嬢以上の取引相手なんて存在しないだろう。

 何故か箱詰めされた状態で出てくるアイテムを有り難くいただき、金額をメモ帳に書き留めていく。

 ボノも自分を見て真似しているので、あとで困ることはなさそうだ。


「で。これはオークションに回そうか、ギルドに卸そうか迷っている品ね。どっちも宝箱からでたアイテムだよ」


「うぉ!」


「凄いですね」


 出された二つのアイテムにすかさず鑑定をかけて感心する。

 ボノは腰が引けていた。

 腕輪の方だろう。

 欲しがる冒険者は多そうだ。


「タールホライトは品質が良いだけだから卸してもいいかなぁと思うの」


「是非そうしてください。高級住宅街の住人が喜んで言い値で買うでしょう」


 特に今はフォルス嬢のお蔭で景気が良いですから、フォルス嬢からと言えば、その歓心を買うために何時もより高額で買い取りたがるでしょうね。

 商人ギルドとしては吝かではありません。


「腕輪は……うちを拠点にして、頑張ってくれる冒険者に打診してもいいか? 資金があって持っても良さそうな奴らが何人かいるんだよ」


「ボノが認めた相手ならいいのねー」


 ははは。

 スライムが許可を出すとか、普通の取り引きならあり得ないだろう。

 だか、あり得るのがフォルス嬢だ。


「お! さすがはリリー様様だな! 早速連絡を頼むぜ!」


 ボノが声をかければ同じように隣室で待っていただろう職員が現れる。

 仕事の出来はイマヒトツだが、商人ギルドが引き抜きたい人誑しの職員だ。

 彼女なら上手な交渉をして見せるだろう。

 ギルドで用意してある飾り気のないジュエリーケースに収められた腕輪を確認して、ほうっと至福の溜め息を吐いてから退出していった。

 効果が凄まじいが、見た目も十分に美しい代物だったから、無理もないだろう。


 しかし一階だけでこのすばらしさ。

 最下層まで休憩なしでいけるのだろうか……自分より先にボノがダウンしそうだ……などと考えつつ、スルバランはフォルス嬢の次の言葉を待った。

 

 先日何と肛門科に行ってきました。

 婦人科同様行きにくい科ですよね……。

 しかし、そうも言っていられません。

 薬を二種類いただいたのですが、一種類が患部に直接塗るものでして……。

 一人で薬塗るのって大変! と朝晩羞恥にかられながら塗っています。

 ちなみに二週間分ですよ……。


 次回は、ボノはさすがに慣れた 3(仮)の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 引き続き宜しくお願いいたします。 

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