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昆虫ダンジョンインセクト 29

 明日は楽しみにしていたゲームソフトが届きます。

 体験版をやって実況プレイを見たら予約せずにはいられなかったのです。

 しみじみ犬に弱いんですよ。

 リアルでは飼えないからなぁ……。

 



 土下座を続けるクレスヘラオオカブトーンの前に腰を下ろす。

 勤めて穏やかな声で話しかけた。


「まず、私はただの異世界からの転移者。神様から何か頼まれたりはしていないから神使徒ではないわ」


『そういう設定にされておられるのならば、そうと認識いたします』


「ん?」


『その……神様から特別大切にされている雰囲気を纏っておいでです』


 あ、モンスターにはわかるのかな?

 このクレスヘラオオカブトーンの知性が高すぎるとか。


「本当は神様に望まれて召喚されるはずが、他の神様の横やりで強制転移になってしまったのねー。だから神様がお詫びもかねて大切にしているのねー」


『なるほど……使命がないのであれば、愛し子様ですね。どちらにしろ服従いたします』


 せっかく上げた顔を再び伏せられてしまう。


「あ、あの! クレスヘラオオカブトーンも飛行系モンスターです。格別速くは飛びませんが、多くを運べますし、何より強いです。確か……小型化もできたはず!」


 セリノがクレスヘラオオカブトーンを凝視しながらセールストークを始めた。

 それだと私をセールスしているように見えるんだけど?

 それだけクレスヘラオオカブトーンを気に入ったんだろうけどさ。


『はい。小型化も可能でございます。胸ポケットに忍ぶ大きさにも変化できます』


 胸ポケットからちょこりと覗くカブトムシの角。

 ちょっと可愛い。

 虫好き男子なら間違いなく二つ返事で了解しそうだね。


 クレスヘラオオカブトーンとセリノはテイムに大賛成らしい。

 さて、うちのスライムたちはどうだろう?


「クレスヘラオオカブトーンは希少種ですわ。しかもこの個体は知性が高いのも大変よろしゅうございます。せっかくなのでテイムしてみては?」


 ローズが言うのなら他の皆も賛成だろう。

 全員が仲良く揃って頷いている。


「ではこれからは私の仲間としてよろしくお願いね」


『はい! 光栄でございます! よろしければ、その……名前をつけていただきとうございます』


 名前かぁ……。

 さっきは羽が虹色だったから、色の名前にしたのよね。

 なんというか、外さない気がするのよ、色の名前。

 外国風につけると格好良いじゃない?

 でもクレスヘラオオカブトーンは雌の個体だっていうから……花の名前にしようかしら。

 全身純白だから白系の花がいいわよね。

 白百合はリリーがいるから除外するとして……白い花。

 白い花……あ、鈴蘭がいいかな。

 英語だとリリーとかぶるからフランス語で。


「ミュゲでどう? 鈴蘭って花の名前なんだけど」


『そんな可愛らしい名前をつけてくださるなんて! とても嬉しいです』


 これだけ迫力の個体でもやはり女性なのだろう。

 可愛く見られたいと多くの女性が思うように、彼女もそうと思うのだ。

 

「そういえば、こっちでも鈴蘭ってあるの?」


「あるのです。向こうと変わらないのです。香水にするとアイリーンの好みになると思うのです。そのうち採取しておくのです」


 そうなんだ。

 鈴蘭は好きな花なので嬉しい。

 しかし香水をつけていく場所なんてあるんだろうか?

 冒険者をしている最中には向かないよね。

 ん?

 王への謁見フラグが立ったような……。


『それでは、私に乗って外へ出ますか? ダンジョン踏破以上に話題になると思いますが』


 不穏な気配を払拭してくれるミュゲの提案。

 このダンジョンは何度も踏破されているダンジョンだからね。

 そこまで盛り上がらないらしい。

 でも盛り上がらないでいいんですよ。

 いろいろと人の目を引いているからね。

 おなかいっぱいです。


「せっかくだけど……」


「いい提案ですわ! 是非そうしましょう。全員乗っても楽勝ですわね!」


 断ろうとしたら、ローズが食いついた。

 実際誰よりもローズが乗る様子は似合いそうだ。


『光栄でございます! ではドロップアイテムや宝箱の回収が完了いたしましたら、背中にお乗りください。鞍もありますので、どうぞ御安心を!』

 

 そう言ってクレスヘラオオカブトーンが何処からともなく取り出したのは、純白の鞍だ。

 銀色で精緻な刺繍が余すところなく施されている。

 職人はさぞ大変だっただろう。

 何しろサイズが大きいのだ。


「素敵な鞍ね。乗せてもらうのが楽しみだわ」


『はい! あ、自分もドロップアイテム回収のお手伝いをいたしますね』


 霧散したモンスターが多かったせいなのか、ドロップアイテムは見事に散らばっている。

 ミュゲは鼻歌を歌いながら角を使って、器用にドロップアイテムを私の足元へ集めてくれた。

 しかしカブトムシの鼻歌!

 想像以上に可愛いです。


 キュー、キュー、キュー、キュウ、ギュッ!


 みたいな感じ。

 

『こちらの世界ではメジャーな幸福の歌なのです。よほど嬉しいのです』


 こっそりと念話でサクラが教えてくれた。

 全くもって微笑ましい。


 ボス部屋のドロップアイテムと宝箱はさすがに凄かった。

 普通に宝石とかもあったしね。

 拾うのに腰を叩き叩き頑張ったよ。


「ん。これで全部拾い終わったの。取り残しはないの」


「う。このダンジョンコアに触れば、ダンジョン踏破が一目でわかる広場に出るのよ」


「お、おう」


 目立つのはどうあがいても逃げられないらしい。

 仕方ないので覚悟を決める。


「ミュゲに乗って移動すれば、囲まれる前に脱出できるのねー」


「その足で冒険者ギルドへ行くといいのです」


「商人ギルドじゃなくていいんだ?」


「ダンジョン踏破の場合は諸々の手続きがあるので、冒険者ギルドが推奨されているんです。あとはその……不審者が出た場合の対処もありますので」


 踏破者が人間二人とスライムじゃねぇ。

 それこそギルドを出た途端どころか、ギルド内部で襲われそうだよ。

 クレスヘラオオカブトーンの価値がわからない者も多いだろうしね。


『準備はよろしいですか?』


 ミュゲに問われてしっかりと確認する。

 体は鞍に固定されているから安心なんだけど、安全バーみたいに持つ場所があるんだよ。

 なので安全バーを持っておいた。

 純白ですべすべしている。

 もしかして角を磨いたものなのかしら?


 考えているうちに、ずごごごごっと岩が動く音がして天井から空が見えた。

 本来は設置されている梯子でせっせと登るらしい。

その間にダンジョン踏破用の出口の周辺に有象無象が集まってくるという寸法。

 無論。

 そんな輩につきまとわれるのは御免だ。


「なんじゃ、ありゃー?」


 足の速い者が数人囲んでいる穴の中から、クレスヘラオオカブトーンに乗った私たちが現れたときの叫び声だ。

 ま、無理もない。

 このダンジョンにいるはずのないモンスターだもんね。

 三人ぐらい腰が抜けてる奴がいたけど、失禁している人はいなかった。

 その辺りは冒険者だからなのかな?


 上を見上げて騒ぐ人々を見下ろしながら、ミュゲが悠々と飛ぶ。

 冒険者ギルドの門前に降りたったのは、十分後だった。

 十分速いよね。


 騒ぎに出てきたボノが、あーと頭に手を当てて大きく首を振るので、まずは優しくその大きな肩を数度叩いてあげた。



 ウマメイオクワガッタンの羽

 四枚で一セット。

 漆黒で艶がある。

 薬剤師により黒の染色剤ができる。

 その用途は広い。


 ウマメイオクワガッタンの大顎

 細工師により磨き上げると、威嚇力が上がるアイテムになる。

 袋に入れて持ち歩くか、ブローチにするのが一般的。


 ウマメイオクワガッタンの目

 綺麗な水で洗い上げて、神殿で祝福をしてもらうと眼病に効く丸薬になる。

 削ってスプーン一杯分を飲むべし。


 ウマメイオクワガッタンの籠手 レア

 黒くて軽い。

 男性が好む防具。

 毒を弾く。



 タンサンオオカブトーンの羽

 四枚で一セット。

 漆黒で艶がある。

 薬剤師により髪の毛の艶出し剤になる。

 男女ともに人気の一品。


 タンサンオオカブトーンの角

 漆黒で艶がある。

 細工師により磨き上げると、攻撃力が上がるアイテムになる。

 袋に入れて持ち歩くか、ブローチにするのが一般的。


 タンサンオオカブトーンの足

 六本一セット。

 薬剤師により粉末に加工。

 加工品は家具の足などに使われる。

 より壊れにくくなるので人気は高い。


 タンサンオオカブトーンの肩当て レア

 黒くて軽い。

 肘当と一緒に身につけると、時々攻撃を反射してくれる。

 

 タンサンオオカブトーンの肘当て レア

黒くて軽い。

 肩当てと一緒に身につけると、時々攻撃を反射してくれる。



 ホソメタリクワガッタンの羽

 四枚で一セット。

 純白で軽い。

 細工師の手により髪飾りとなる。

 攻撃力上昇効果有。


 ホソメタリクワガッタンの大顎

 純白で艶がある。

 細工師により磨き上げると、威嚇力が上がるアイテムになる。

 ペンダントかイヤリングにするのが一般的。


 ホソメタリクワガッタンの目

 綺麗な水で洗い上げて、神殿で祝福をしてもらうと瞳が印象深くなる。

 削ってスプーン一杯分を飲むべし。

 王族&貴族女性に絶大な人気を誇っている。


 ホソメタリクワガッタンの靴 レア

 白くて軽い。

 悪路でも汚れないので女性に人気。

 ブーツタイプの加工がより好まれる。



*クレスヘラオオカブトーンのドロップアイテムは全てレアドロップ扱い。


 クレスヘラオオカブトーンの羽

 六枚一セット。

 熟練薬剤師により、羽が生えたように踊れる薬になる。

 純白色の液体で粘液質。

 ほんのり甘いミルク味。

 効果は一時間ほどだが供給が全く追いついていない。

 

 クレスヘラオオカブトーンの角

 純白で軽い。

 熟練細工師により、肩こり改善のアイテムになる。

 ペンダントかブレスレットにするのが一般的。


 クレスヘラオオカブトーンの目

聖水で洗い上げて、神殿で祝福をしてもらうと、失明が改善される。

 削ってスプーン一杯を聖水で飲むべし。

 一か月は見えにくいので要注意。


 クレスヘラオオカブトーンの兜

 純白で軽い。

 異常攻撃を弾く。

 鎧セットと一緒に使用すると、異常攻撃を敵に向かって反射する。


 クレスヘラオオカブトーンの鎧セット

 純白で軽い。

 女性騎士の憧れ。

 汚れない、錆びない、匂わないので手入れも簡単。



 インセクトダンジョンの宝箱

本来のボス戦ドロップはどれか一つだが、この宝箱には全てが収まっている。

キングとクイーン、もしくはローブと勲章を一緒に装備するとカリスマと気品が大幅上昇する。


 インセクトキングの王冠

 正しい治世を行えるとされている。


 インセクトクイーンの錫杖

 正しい治世を行えるとされている。


 インセクトプリンスのローブ

 正しい治世の補助ができるとされている。


 インセクトプリンセスの勲章

 正しい治世の補助ができるとされている。


 インセクトナイトの鎧

 諫言が通りやすくなるとされている。





喜多愛笑 キタアイ


 状態 ちょこっと誇らしげ new!!


 料理人 LV 4

 

 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

     治癒魔法 LV10

口止魔法 LV10

     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)   



    

 ホラー短編を書いていて外国について調べていたら、旅行に行きたくなりました。

 今の所行きたい外国は、ドイツ、スペイン、ヴェネツィアの順です。

 当然添乗員さんつきでお願いしたい所存。


 次回は、ボノはさすがに慣れた。(仮)の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 引き続き宜しくお願いいたします。 

 

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