昆虫ダンジョンインセクト 22
AI文章作成サイトが優秀過ぎて笑った。
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どのサイトがいいですかねぇ……。
拍手の意味をどう取ったのか、王女が顔を真っ赤にして叫ぶ。
「あ、貴女! 拍手なんて、人を馬鹿にするのも!」
「叫ばないでくれます? モンスターが来ちゃうから」
「それがなんだというのです? 貴女たちが倒せばいいではありませんか!」
ダンジョンの常識が通じない相手と、ダンジョン内で言い合うだけ無駄だ。
「ん。お客さんが来たのっ。団体様御一行なの。六階のモンスター全種類各二体ずつなの」
「ブラックとホワイトな、あんちくしょうはお任せします」
「はい。任されました」
「ひゃあああ! どうしてこんなにたくさん来るんですの! ほら! 早く、どうにかなさい」
ビシタシオンがセリノの背後に隠れようとするも、華麗にスルーした彼はモンスターたちに先陣を切って挑んでいく。
「ぎゃっ!」
すがりつこうとした勢いのまま、ビシタシオンが地面に倒れ込む。
その上をミートキリトリの巨体が転がって行った。
「ぎゃふん!」
おぉ。
ぎゃふんを口で言う人って珍しいよね。
何かのサービスだろうか。
目の前で展開する喜劇に呆然としていたら、フラワーキリトリの鎌が目の前に迫っていた。
こきーん。
鎌はローズの絶対防御に当たっていい音を立てる。
こきーん。
こきーん。
蟷螂系は連続攻撃が仕様よねーと、頷いている間にも見事な連撃。
フラワーキリトリの複眼に咲く花がぐるぐると回転しているのを見ると、蝶々コンビの幻惑にやられたのだろうか。
ただ単に私への攻撃が全く効かないので混乱しているようにも見える。
「ちぇーすと! ですわ」
観察していれば、しゅるりと伸びてきた、ローズの赤い触手によって、フラワーキリトリの首がすぱんと飛んだ。
飛んでいる最中も、複眼の花がくるくる回っていた。
もしかして、意識があったのだろうか。
地味に残酷よね……と世の無常に浸っているうちに、戦闘は終了していた。
私のパーティーメンバーはしみじみ優秀なのだ。
「ちょっと! 貴女! 何を惚けているの! 私を助けなさい」
静かだったのは気絶していただけだったらしい。
ビシタシオンがミートキリトリの下敷きになったまま蠢いている。
あれ?
ドロップアイテム化しないのかしら?
不思議に思っていると、目の前でミートキリトリの巨体が消えて、ドロップアイテムが現れる。
普通ならビシタシオンの体の上へドロップするはずなのだけれど、何故かドロップアイテムは私の前へ落ちてきた。
明らかにダンジョンが空気を読んでいる。
「まぁまぁまぁ! なんて大きくて美味しそうなお肉なのっ?」
つんのめりながらも起き上がったビシタシオンが、足元の肉に向かって突進してくる。
このまま強奪されるのも業腹よねーと腕を組めば、ドロップアイテムが消えた。
スライムたちの誰かがさくっと収納したのだろう。
ビシタシオンは肉を掴めずに、地面に顔をめり込ませてしまった。
近寄られたくなかった私はバックステップで距離を取る。
「ドロップアイテムの強奪は犯罪なのねー。面倒だけどさくっと回収して、冒険者ギルドにお届けするのねー」
一度目はセリノのドロップアイテムを強奪している。
二度目は未遂だが私のドロップアイテムに手を出そうとしたので、即時冒険者ギルドへ突き出す判断を下したようだ。
「ん? リリーが行ってくれるの?」
「まかせなさいなのねー」
「え! どういうことですのっ? スライムがしゃべっているなんておかしいわ!」
「今更なのねー。そしておかしいのはお前なのねー」
顔を上げて驚いているビシタシオンの、恐怖を煽るかのように巨大化してその体を飲み込んだ。
透き通った、白い体の中から必死に出してくれと叫んでいる。
心配しなくても、冒険者ギルドで出してもらえるので安心してほしい。
私はビシタシオンに向かって軽く手を振っておいた。
「フォルス様大丈夫でしたか?」
「ええ、大丈夫よ。強奪される前に、リリーが収納してくれたわ。冒険者ギルドに突き出してくるって」
「放置でもいいと思いますけど……犯罪は明るみに出た方がいいですね」
「一応王族だしね。外で従者が待っていると面倒かもしれないし」
「その……本当に王女なのですか、彼女は」
「王女みたいだよ。十三王女だってさ」
所謂出荷用の王女なのかな。
今回の一件で、少なくともこの国への嫁入りはなくなるだろうが。
「戻られたらリリーさんは労って差し上げないと」
「そうだねぇ。リリーは交渉上手だからこういうとき、つい頼っちゃうんだよね」
今回もさくっと報告して、間を置かずに戻ってきてくれるだろう。
何時も一緒にいるので、誰か一人離れても物足りないのは困りものだ。
頼るのもほどほどにしなければ。
「う。セリノへの恋愛フラグが立たなくてよかったのよ」
「え! 僕ですか?」
「ん。セリノは自覚しないと駄目なの。絶体絶命のときに助けてもらった姫が、粗野な冒険者に恋をする身分違いのラブストーリーは、望まない者には厄介なの」
「あら、セリノは粗野じゃありませんわ!」
「ん。少女向け小説での話なの。セリノは粗野どころか、亡命している王子とか浚われて捨てられた王子設定も納得する可愛さなの」
「えーと。皆さん? 心配のしすぎではないでしょうか」
ビシタシオンが今のセリノを見たら、母性本能を擽られて、恋に落ちたかもしれない。
おろおろする姿が可愛い男性は希なのだ。
「セリノは結構満遍なくいろいろな層にモテると思うよ。セリノにとっての親切が、相手にとっては恋人にしか取らない態度と思われる可能性が高いって、覚えておくといいかもね」
「……もう少しフォルス様たちと御一緒させていただきたくなりました」
「はははは。その方が良いかもね。パーティーを組むのはさて置き、ホルツリッヒ村で慣れるまで農作業や販売に勤しむのもありだよ」
「そう、ですね。いろいろと考えてみます。選択肢がたくさんあるって、本当に贅沢ですよね」
「今までの苦労が報われたと思えばいいんじゃない?」
虐げられた分、この先は穏やかに生きていければいい。
「では強欲王女もいなくなったことですし、モルフォ。宝箱回収とまいりましょう!」
「ん! 了解なの!」
強欲王女というローズの表現に苦笑しながらついて行く。
ビシタシオンがいたら、大喜びで飛びかかっていきそうな宝箱が、どーんと存在感も凄まじく鎮座していた。
「え? もしかしてこの巨大な宝箱自体がミートキリトリの肉、なのですか?」
ダンジョンの行き止まりにみっしりと詰まっていたミートキリトリ、によく似た宝箱?
モルフォの先導でなければ、またしても規格外のミートキリトリが現れたのかと勘違いしたに違いない。
「ミートキリトリの宝箱。宝箱そのものもミートキリトリの肉でできている。味は鉄板の照り焼き味」
サクラがしれっと鑑定してくれた。
実に食べ応えがありそうな宝箱だ。
「しかしこれ……どうやって開けるのでしょう?」
「う。こうやって開けるのよ」
サイの専用包丁が煌めく……と思った次の瞬間には、丸く切り取られる。
窓のように中が覗け……なかった。
「な、中にも、みっしりと肉が詰まっているとか、ある種のホラーでは?」
宝箱とは最早言い難い巨体ミートキリトリの中身は、これまた肉。
「う。肉だけではないのよ。解体の腕を唸らせるのよ」
そいっという掛け声のあとで、巨大なミートキリトリが光る。
肉色の光は意外に温かい。
ほんのり良い匂いもした。
「再鑑定。ミートキリトリの宝箱は百人前の照り焼き味に。中身は五十人前の肉が二種類。 塩胡椒、葱甘酢味。三種類の調味料百セット。ミートキリトリの養殖についての説明書。ランク アーティファクト」
「え? 養殖っていうと……」
「美味しいミートキリトリの肉を安価提供できるってことかな」
「凄くないですか!」
「凄いねぇ……」
うちの子たちが間違いなくミートキリトリ牧場を作ると思うよ。
「宝箱を回収したら、ミートキリトリ肉祭りをしようか?」
「いいですね! 初めて食べる二種類が楽しみです」
「従来の照り焼き味も、より濃厚みたいだからね。あわせる飲み物を迷うな……」
「リリーが戻ってからにしましょう。リリーならぴったりの飲み物を選んでくれるでしょうから」
「だね」
ビシタシオンに難癖をつけられないといいなぁ。
つけられても華麗に帰宅してくれるとは思うけどね。
心配なのは心配なのですよ。
リリーの早い戻りを祈る私の耳に、次なる宝箱へと案内するモルフォの声が優しく届いた。
喜多愛笑 キタアイ
状態 心身ともに良好 new!!
料理人 LV 4
職業スキル 召喚師範
スキル サバイバル料理 LV 5
完全調合 LV10
裁縫師範 LV10
細工師範 LV10
危険察知 LV 6
生活魔法 LV 5
洗濯魔法 LV10
風呂魔法 LV10
料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用
掃除魔法 LV10
偽装魔法 LV10
隠蔽魔法 LV10
転移魔法 LV ∞ 愛専用
命止魔法 LV 3 愛専用
治癒魔法 LV10
口止魔法 LV10
人外による精神汚染
ユニークスキル 庇護されし者
庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化
称号 シルコットンマスター(サイ)
近所に白木蓮が咲いていてうっとり。
自宅のプランターの植え替えもしたい。
今年は何を植えようかなぁ……毎年特売の花苗を植えることが多いのです。
次回は、ジャクロット王国十三王女。 前編。(仮)の予定です。
お読みいただきありがとうございました。
引き続き宜しくお願いいたします。