ナオール花茶でティータイム。
頂いたメッセージを参考にして、彼氏のエピソードを入れてみました。
愛の彼氏とお付き合いする&別れるパターンは基本的に以下の通り。
相手が愛のオタクに寛容な所、意外に面倒見が良い所に惚れる。
ネタにもなるしねー、と愛は、異常に不清潔など、即時にわかるマイナス点がない場合は、告白を断らない。
付き合っていく内に相手は、愛が自分よりオタク趣味を優先することが許せなくなる(自分は当然優先してもOKと思っている)
更には面倒見の良さに甘えまくり全力で乗っかるようになる。
愛を見下して、思い通りにしようする。
で。
オタク趣味より、俺を優先しろ! という、言葉もしくは行動に出たところで、さくっと別れを告げられます。
もしくは、自分を優先しない愛に逆ギレして、別れを告げるパターンも有り。
「いい加減根を詰めすぎなのねっ! お茶になさい!」
ローズにぽにょにょんアタック(ひんやりとしていて、目が覚める感じの愛情表現。勿論痛みはない!)で作業を中断させられた。
集中すると周囲が見えなくなるのは悪い癖だ。
向こうでは誰も止めてくれる人がいなかったから、暴走一直線だったように思う。
こちらへ来る直前に付き合っていた彼氏も、暴走を止めないタイプだった。
趣味の邪魔をしない! というのを条件にして、一度でも癪に障ったら速攻で別れてきた過去しかないので、趣味に寛容だが押しも弱い男性しか近寄って来ないのも仕方ないだろう。
天地がひっくり返ってもモテたとは言えないが、それでも恋人という存在に不自由した覚えはない。
ローズに止められたところで、腹立たしいどころか、心配してくれて嬉しい! もしくは心配させてごめんね? という心持ちになるから不思議だ。
相手に押し切られてというよりは、執拗に絡め取られて付き合ったのは間違いだったのだろう。
申し訳ないことをしたと、謝れない距離ができて初めて彼氏だった男性をしんみりと思う。
大型忠犬という表現が相応しかった彼氏は、私がいなくなってどうしただろうか。
新しい飼い主を器用に見つけてくれていれば良い。
歴代彼氏の仲で、結婚してもいいかな? と思ったのは今の彼氏だけだった。
それぐらいオタク趣味と、喜多愛笑という存在に寛容な男性だったのだ。
まぁ、今となってどうしようもできないのだけれども。
「どうかしたのです?」
「んー。向こうで付き合っていた男性について考えてた」
「恋話なのっ!」
「恋人いたのよ?」
「いたのよ。今にして顧みれば、しみじみできた人だったわ……」
「詳しく聞きたいから、お茶の準備をするといいのねー」
「別に面白い話でもないと思うけど、お茶の用意はしなくちゃね」
ベリー系の茶葉を乾燥させた物もあるが、今日はまだ作っていないナオール花茶を作ってみたい。
蜂蜜も手に入ったことだしね。
「あ! ニードルビーの蜜って美味しいの?」
「すっごく美味しいのです! しかもレアなのです!」
「一般人は針にしか興味がないのねー。蜜が美味しいわけないと思い込んでいるのね-」
「巣の形が変わっているから、本来は採取もしにくいからなのよっ!」
「今回は針と一緒にお願いして分けて貰ったから、簡単だったのっ!」
「なるほどねー」
針は充実しているからいいとして、蜂蜜は定期的に交渉したい。
他の蜂達とも交渉できるならしたい。
一番良いのは養蜂なんだけどね。
養蚕できるんだから、スライムの誰かが気がついたら始めてそうな気がする。
念の為に、拠点が決まったら、やりたい事メモ! に残しておこう。
「えーと?」
ナオール草の花は既に乾燥した物も生花も用意されている。
「煮出す感じでいいのかぁ」
レシピ通りに作ろうとして、やかんもしくは保温ポットのような物があれば良いかと、考えた結果。
保温機能付きポット 陶器製
綺麗な水を注ぎ蓋をすると瞬間沸騰して、沸騰時の温度を保つ。
何時間放置しても嫌な臭いが発生しない。
陶器製の癖に軽くて割れない。
持ち手には滑り止め加工が施されている。
茶漉し付のため、紅茶、緑茶なども淹れられる。
愛好みの濃さになると、陶器に描かれているスライムマークが青から赤に変化する便利仕様。
と、そんな素敵調理器具が完成。
今回は煮出す仕様なので、茶漉しを外して茶葉を投入。
蓋をして沸騰させてから待つこと数秒。
マークの色が変化したところで茶漉しでしっかりと漉す。
熱いうちにたっぷりのニードルビーの蜜を入れて、くるっくるっとよく掻き混ぜて鑑定して貰う。
ナオール花茶
ランクSS
ニードルビーの蜜を使っているので高評価。
殺菌済みの生花を入れたので芳香が大変豊か。
花香とも茶葉香とも判別しがたいが、癒やされる香りをしているので飲みやすい。
甘い物が嫌いな人でも何故か飲めてしまう不思議な薬茶。
擦り傷切り傷は、ゆっくりと治癒される。
内臓系の疾患は、重篤であっても状態がゆるやかに軽減される。
毎日一杯継続して飲み続けると地味に基礎代謝が上がる。
ただし一日五杯以上飲むとお腹を下した挙げ句、免疫力が落ちてしまうので要注意。
「……地味に凄いお茶になったわぁ」
「愛は毎日一杯飲みなさい!」
「賛成です」
「了解ー……しかし、色々と満たされちゃうから、お茶請けいらないかも?」
「愛は食べなくても、私達は食べるのっ!」
「お茶請けとお茶は一心同体なのよっ!」
熱く語られてしまえば、作るしかない。
苦笑した私は、合いそうなお茶請けを模索する。
甘さは控えめが良いだろう。
「あーモー乳ってある?」
「あるわ!」
「……バターかマーガリンは?」
「……できたのね-」
「おうふっ」
ローズが取り出したモー乳をリリーが大量に体内へ取り込んだと思ったら、高速でシェイクしてくれたらしい。
市販の牛乳からだとバターを作るのはかなり難しいと聞いたけれど、異世界のモー乳は違うのだろうか。
野生のモー乳だからなのか。
うちのリリーがチートです! で説明が終わる気がする。
「ベーキングパウダーもしくは、重曹とかも?」
「重曹なのっ! 海で取れるのっ!」
「ペーキングパウダーなのよっ! 山で取れるのよっ!」
野生の黒砂糖・茶砂糖と似た構造なのかもしれない。
時間のある時に確認してみたいと思いつつ、クックルーの卵を割る。
両方あるのなら、より作りたい物に適しているベーキングパウダーを入れた。
用意して貰った食材を泡立て器で混ぜて、迷ってから白砂糖を投入する。
茶砂糖もしくは黒砂糖を使うと、何となくだけど和風テイストに仕上がる気がしたので、また別の機会に。
ほどよく混ぜ合わせたところで、オーブンへ握り拳半分ぐらいの大きさに形を整えて並べる。
クッキングシートがなくても、当然へばりついたりしない素敵なオーブン板ですよ?
「今回はさくさくタイプでお願いします!」
ぽーん! と軽快な音と共に瞬間で焼き上がる。
待ち時間がないのって本当に良いよね。
私を含め食いしん坊しかいないので嬉しいです。
外側は熱くならないオーブンをそっと撫でてから、中身を取り出す。
「紅茶のお供と言えばこれでしょう! 仲良し紅茶国家さんなら、きっとそう言うはずです!」
取り出したのはスコーン。
美味しそうなきつね色に仕上がっている。
「あつ! うまっ!」
「さっくさくなのっ!」
「ナオール花茶と相性抜群なのねー」
「愛も食べるのです」
「花茶も飲むのよ?」
出来たてスコーンの色艶香りの誘惑は凄まじかったらしい。
全員が争うようにしてスコーンを咀嚼し、ナオール花茶をお代わりしている。
それでも私に勧めるのを忘れないのがじんわりと嬉しい。
「あーさっくさく」
考えたいたとおりの歯触りに眦も撓む。
みっしりと重いスコーンも好ましいが、今食べているさっくさくの軽いスコーンもまた好ましいのだ。
「ナオール花茶も、染みるなぁ」
花の芳香自体は梔子に似ている。
が、頭がくらつくような濃厚さはない。
ただ疲れを包み込むように、ふわんと鼻に抜けた。
ニードルビーの蜜は、濃厚なのにさらりとしている。
小さい子が飲み過ぎて、お腹を壊すこと必須の出来映えだった。
三度スコーンを焼いてスライム達を満足させてから食休み。
ついでにお昼寝もしちゃおっかなーと、シルコットンの枕を引き寄せる。
「そういえば、愛。恋話はどうしたのかしら!」
ローズの発言に、ルンとピュアを含めた全員の目線が集中する。
私はぽりぽりと頬を掻きながら、布団の中へと潜り込んだ。
ごめん!
色気より食い気だからさ。
そして眠気だからさ!
また機会があったら、話すことにするわ……。
頭の中での謝罪はきっと、スライム達に届いたはずですよ!
ZZZ……。
*今回ステータスに変動はありません。
喜多愛笑 キタアイ
料理人 LV 2
スキル サバイバル料理 LV 3
完全調合 LV10
裁縫師範 LV10
危険察知 LV6
生活魔法 LV 5
洗濯魔法 LV10
風呂魔法 LV10
料理魔法 LV11 上限突破中 愛専用
掃除魔法 LV10
偽装魔法 LV10
隠蔽魔法 LV10
転移魔法 LV∞ 愛専用
命止魔法 LV3 愛専用
ユニークスキル 庇護されし者
庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化
称号 シルコットンマスター
ちなみに今彼は愛にベタ惚れで忠犬を装っていますが、根本は狂犬です。
愛の懐の深さに心酔しているので、嫌われないように、疎まれないように、日々細心の注意を払っていました。
そのうち追いかけてくるかもしれません。
恋愛話が書きたくなったら、忠犬と見せかけた狂犬の毎日、的なタイトルで、愛激ラブな彼氏の話に挑戦したいものです。
次回、細工にも勤しむ。の予定です。
お読みいただきありがとうございました。
引き続きお付き合いいただけたら嬉しいです。