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昆虫ダンジョンインセクト 18

 コンテスト応募用の短編を作成中。

 予定では既に投稿完了しているはずだったんですがね。

 おかしいなぁ……。

 


 少し長い話になるのかしら? と思っていると、サクラが収納から椅子を取り出してくれる。

 深々と腰を落ち着ければ、額に手を当てているセリノとあんぐりと大口を開けている他メンバー。


「……口止魔法は別れる間際でいいと思います……」


 呆れながらもアドバイスをくれるセリノ。

 空気を読んだ他メンバーは、何度も高速で頷いた。


 ローズと蝶々コンビが警戒を買って出ているのに、二人の男性メンバーが同行を申し出る。

 寄生の意図はなく、話し合いには向かない自分たちでできる事を考えての行動だったので許可をした。

 ローズが素直に許可を出したところをみれば、悪い男たちではないのだろう。


「セリノと別れてすぐに、何もかもが上手に行かないと気がつくのは早かったよ」


「まぁ、あの二人以外は薄々もしくは確定的に知ってたからねぇ……本当、もっと上手く誘導できなかったと悔やむわ」


「……僕を貶めないと、酷い目に遇うぞ! って雰囲気を作っていたのは、あの二人だし。実際、僕を助けた日には殺されていたと思うから、無難な選択だったと思うよ。あいつらも僕を殺しはしなかっただろうしね。幼馴染みにありがちな雰囲気を醸し出して、君たちを不快にさせるのも得意だったし……あ、フォルス様。女性がフリダ、男性がチェスです。この二人はよく、あいつらを牽制してくれました」


「自己紹介が遅れて恐縮です。チェスと申します。回復担当の魔法使いです」


「自己紹介を許していただけて嬉しいです。フリダと申します。攻撃担当の魔法使いです」


 なるほど。

 パーティーを維持するのに必要不可欠だと理解していたから、この二人の言葉を多少なりとも聞いたんだろうな。

 しかしこの二人の価値を認められるなら、セリノの価値も理解できそうなものだが……。

 駄目な方の幼馴染みフィルターでもかかっているのかねぇ。


 こくりと頷けば、言葉を選びつつ二人は話を続ける。


「俺たちがこっそりと話し合っていたのに聞き耳を立てていたんだろうな。セリノがいないと少なくともダンジョン踏破は無理だから、帰った方がいいって意見に過剰反応したんだよ」


「屑でも囮にはなるから、やっぱり回収しようって……怪我をしてるから、囮としても役に立つだろうって……」


 フリダがぎりっと唇を噛み締める。

 許せない言葉だったのだろう。

 セリノはわかっているとばかりに、彼女の肩を軽く叩いた。


「他のメンバーたちとの話し合いで、怪我の手当や謝罪はしないと、人として駄目だって結論に達したあとの話だったからな。ここは奴らの考えは置いておいて、セリノの元へ積極的に行こうとするっていう点だけを採用しようって、目線だけで確認しあった」


 ここでも背後で真剣に話に聞き入っているメンバーが深く頷く。

 想像以上に意思の統一ができているらしい。

 傍若無人な二人に対峙するうちに身についたのだろう。

 アレホの力も、ダフネの悪知恵も、かなり質の悪いものだ。

 

「インマが追放を取り消すって言ったら、喜んで戻ってくるんじゃないかしら? って助言して、アレホは納得をしたんですよ」


「けれど自分以外の女性の意見を受け入れたって、ただそれだけが納得できなくて、ダフネは不満を抱えていました。くすぶっていた不満はフォルス様が美しい方だったので、暴走してしまったようです」


「アレホの馬鹿も、考え無しにフォルス様に阿る意見を率先して述べていましたし……」


 痴話喧嘩に巻き込まれただけの気がして、鬱屈とした気分になる。

 モルフォが追加してくれたハーブティーの鎮静効果がなければ、嫌味ったらしく溜め息を吐いてしまったかもしれない。

 説明をしてくれる彼らとて被害者なのに。


「本当にあの二人はあり得ません。俺たちは二人と別れて再出発を考えています」


「はい。フォルス様への御迷惑とセリノに対する積もりに積もった暴言や待遇の酷さで、彼らは相応しい罰を与えられると思いますので、その間に、きっちりと決別するつもりです」


 喉を押さえていたアレホが何やら喚いている。

 血が噴き出すにもかかわらず喚くのだ、随分と腹を立てているらしい。


「当然の結果。本当、アレホは嫌い。ダフネはもっと嫌い。セリノに酷い仕打ちをし続けてきたこと、死ぬほど後悔すればいい!」


 一人の少女がとととっと、前に出てくる。

 私に向かって深々と頭を下げてから、セリノの瞳を真っ直ぐに見つめた。


「セリノ、今まで酷いことをしてごめんなさい! 今更だってわかっているけれど、私たちと一緒に、再出発の道を歩んでくれないかな? 次は絶対にセリノを大切にするから!」


「ヘシカ!」


 これはヘシカと呼ばれた彼女の勇み足なのだと、他のメンバーの驚愕で知れた。

 恐らく彼女はセリノが好きなのだろう。

 この機会が最後になるかもしれないと、逸ってしまったのだ。

 気持ちはわかる。

 今のセリノはきっと、今までとは違う魅力を醸し出しているから。

 余計な虫がつく前にと、思ってしまったのだ。


「……ヘシカ。気持ちは嬉しい。君はパーティー参入時から素直な人だったから、今の言葉に二心がないのくらい、僕でもわかるよ。でもね、ごめん。僕は一人で再出発をすると決めたんだ」


「じゃ、じゃあ。臨時パーティー! 私たちと臨時パーティーを組んで!」


「駄目だ、ヘシカ。一人で決めるな! それじゃあ、奴らと一緒だろうが!」


 ローズたちと一緒に戦っていた二人が戻ってきて、そう言い放つ。


「申し訳ありません、フォルス様。せっかくの決意に水を差すような真似をしちまって、ごめんな、セリノ」


「……いいよ。気持ちは受け取らせてもらうから」


「そっか。お前、本当にちょっとしか離れてないのに、男前になったなぁ……」


「僕はもともと、こんな感じなんだよ……たぶん」


 セリノの苦笑には今までの思いが込められているかのように深い。


「ヘシカが暴走してごめんな。今のお前を見ていると、奴らは勿論、俺たちがどれほど本来のお前を歪めていたんだと思い知らされて、申し訳なさでいっぱいだ。本当に、今まで申し訳なかった」


 男性が頭を下げるのに他のメンバーも倣う。

 ヘシカは地面に額ずいての土下座だ。

 自分自身でも制御しきれない行動を、深く反省できるのならば、何時か。

 パーティーは無理でも、臨時パーティーぐらいなら組める気がする。


「うん。謝罪はもういいよ。僕もフォルス様と御一緒する機会に恵まれて、自分を見直しているところなんだ。落ち着いたら僕から皆に会いに行くよ。パーティーを組むとは言えないけど、食事くらいしような」


 そちらの方がより親しげな気もする。

 案の定喜んでいるのは勿論、驚きの表情も多かった。


「お話はついたのねー。このお馬鹿どもは、私が冒険者ギルドまで拘束して連れて行ってあげるのねー」


「ん? いいの?」


「せっかくの機会だからねー。決別はしっかりするべきなのねー。そしてざまぁは必須なのねー……」


 うちのリリーさんが、深刻なざまぁ病に憑かれている件について……。 


「お手数をおかけしてしまいますが、よろしいのですか? リリーさん」


「安心するといいのねー。相応しい以上の罰を与えてやるのねー」


 やる気に満ち溢れたリリーを止められるのは、同じスライムたちだけだ。

 私には無理ゲーです。


「で。他のパーティーメンバーはどうするのねー?」


「「御一緒させていただけると有り難いです!」」


 ローズたちと一緒に戦っていた二人が声を揃えた。

 モンスターたちとの共闘に思う所があったのかもしれない。

 何しろ優秀過ぎるからね、うちの子たち。


「……帰る途中にモンスターに襲われても助けないのねー」


「当然です! かかった火の粉は自分たちで払います。ただ……そのぅ……戦闘終了までお待ちいただけると大変有り難いのですが……」


 この願いは無理かもしれない。

 でも言っておこう。


 そんな意図が察せられる態度に声音。

 

「待つくらいならいいのねー」


 私以上に人間を理解しているリリーはそう返事をした。


「ありがとうございます! よし、皆行くぞ!」


 掛け声にそれぞれが賛同の声を上げる。

 高揚のままに、私たちに手を振る者までいた。

 セリノは苦笑して、それでも手を振っている。


 未来に再び希望を抱く様子が眩しくて、私は彼らに声をかけた。


「機会があったらホルツリッヒ村にいらっしゃい! いい所よ!」


 私の言葉に驚かなかったのはスライムたちぐらいだ。


「ありがとうございます、光栄です!」


「絶対に行かせてもらいますね!」


 そんな返事があった。

 セリノは臨時パーティーを組むより先に、ホルツリッヒ村で彼らと再会を果たす予感がした。

 

 皆の姿が視界から消えるまで、セリノは手を振っていた。

 表情はなかなかに満足げだ。


「……お声がけいただいて恐縮ですが、良かったのですか?」


「うん。永住を勧誘したわけじゃないしね。ぱっと見だけど、そこまで冒険者に拘らない子もいたみたいだし……」


 セリノに罪悪感を持つ彼らは、私への敬意を忘れはしないだろう。

 裏切らず、真面目に働いてくれる人材なら何人いてもいいのだ。


「あ! しまった! 口止魔法かけるの忘れちゃった!」


「安心すると良いのです。リリーがギルドでしっかり手配すると言っているのです」


「それなら良かったわ」


 そこまでは信用できていない。

 魔法やスキルを使わなくても、彼らは私が嫌がる何かをしなさそうであるが、強制の力は怖いからね。


「では引き続き、探索と参りましょうか」


「ん。近くに宝箱があるの。なかなか素敵な中身っぽいのっ」


 モルフォの宝箱情報に頷いた私たちは、再び五階の探索を始めた。





喜多愛笑 キタアイ


 状態 心身ともに良好 new!!


 料理人 LV 4

 

 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

     治癒魔法 LV10

口止魔法 LV10

     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)   



 この年でサンリオ○ューロランドデビューすることになりました。

 姪っ子ちゃんありがとう!

 でもデビューがクリスマスとかちょっと敷居が高かったかな? と思います。

 ま、まぁコ○ケの混雑よりはきっとましでしょうとも。


 次回は、反省も後悔もできない者が至る場所。前編。(仮)の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 引き続き宜しくお願いいたします。 


 

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