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昆虫ダンジョンインセクト 15

 スコーン福袋入手できました!

 年内には届くそうです。

 楽しみー。

 そして今日は雑貨福袋の予約日……頑張ります。

 


 モルフォの先導で他の冒険者に会わないまま宝箱まで辿り着く。

 運良く周囲にモンスターもいないらしい。

 今回の宝箱は行き止まりの地面に埋まっていた。

 よーく見れば宝箱の一部が見えている。

 特殊スキルがなくとも、目がいい者なら発見できるレベルのもの……とのことだった。


「ん。セリノが開けるといいの!」


「ぼ、僕でいいんですか?」


「う。いいの。宝箱を開ける機会なんてなかったのよ?」


「ははは。その通りです。わー、緊張するなぁ……」


 モルフォが掘り出した宝箱に手を触れたセリノは、宝箱を正しく宝物のように撫ぜた。

 

「しかし綺麗な宝箱ですね。箱だけでも価値がありそうです。でも……中身、入っているんでしょうか?」


 三十センチ程度の宝箱はスケルトン仕様。

 中が見える造りになっており、一見中身が入っていないように見えた。

 

「ん。開けてからのお楽しみなの」


 モルフォがそう言うからには空っぽではないのだろう。


「う。罠はないから安心して開けるのよ。中身が入っていないからって放置は勧めないのよ」


 どうやら放置をした者がいたようだ。

 綺麗な宝箱なのだから持っていくだけ持っていけば良かったのに。

 

「は、はい! では開けますね!」


 セリノが恐る恐る宝箱を開く。

 中に入っていたのは可愛らしくも繊細なガラスの靴。

 

「ふわー! 綺麗ですね……こんなに綺麗なら、履くだけでダンスが上手になりそうです!」


「良い勘をしているのねー。サクラ、鑑定結果を教えてあげるのねー」


 リリーの言葉を聞いたサクラは、呆れた目線をリリーに流してから、私を見上げてくる。

 許可を得る眼差しもまた、大変可愛らしい。

 私は大きく頷いた。


 サクラはセリノに向かって鑑定結果を告げる。


「踊り狂いの靴。ランク レジェンド。ダンスが苦手だったダンスニードルが命をかけて生み出した呪いの靴。一日一時間以上のレッスンを一年続ければ、どんな踊りでも踊れるようになる。ただしレッスンを怠ると靴が脱げなくなる……という鑑定結果なのです」


「の、呪いの靴! しかもレジェンドランクとか、見るの初めてですよ、僕……でも、その条件だと欲しがる貴族令嬢はいそうですね」


「そうなの?」


「はい。そうおっしゃっていた御令嬢がいらっしゃいました」


「じゃあオークションかなぁ」


「それが無難だとは思います。もしくは高位の冒険者を通して直接貴族に交渉してもらうか、教会に呪いを解いた上で奉納するという手もありますよ」


 どちらも考えの及ばない手段だった。

 呪いを解かないで、教会に奉納してもおもしろいかも?

 教会がいい感じに使いそうだよね。


「何にせよ、今は仕舞っておきますわ」


 ローズがセリノから宝箱ごと受け取るとスライム収納に入れる。

 セリノの目が大きく見開かれた。


「あ。スライム収納についても口止魔法がいるかな?」


「……お願いします」


「ではレベル10でいくね」


 口止魔法レベル10発動~と脳内で呟く。

 脳内での呟きは無詠唱に該当するらしい。


「無詠唱に関しては大丈夫かな?」


「……魔法特化の冒険者だとそれなりにいらっしゃるので、大丈夫かと思います」


 悩んだ末にセリノはそう答えてくれた。

 何もかもを隠しすぎるのもよくないだろう。

 スライムたちとどこまで情報をオープンにするのか、基準を作っておくべきかなぁ……。


「ん! プリンセスアブブが集団でやってくるの!」


「全て捕獲いたしますわよ!」


 可愛いし、優秀らしいのでスライム収納に移住してほしいところだが、依頼を受けた以上果たさなくてはいけない。

 ……問題のある個体を優先しちゃってもいいよね。


 腹黒いことを考えながら、集団でやってきたプリンセスアブブに語りかける。

 条件を提示しようとしてきた個体がいたので、彼女を依頼達成用の個体にしよう。

 一人頷く私の隣で、何故かセリノも頷いていた。

 同じ考えだったのかもしれない。


「これで四階での依頼は完了したのです。ドロップアイテムも十分なので五階に下りるといいのです」


「ん。もう一個宝箱があるけど、赤冒険者がなかなかどかない場所にあるから止めておくの」


「その状況ならきっと外れ宝箱ですわ!」


 宝箱はなるべく回収する方針だが、赤冒険者と対峙するリスクは減らしたいらしい。

 何時でもスライムたちの意見は優先なので、私たちは五階へ向かって階段を下りていく。


「さ。恒例の依頼確認をするのねー」


 ローズの声に頷いた私は、五階での依頼を確認する。


「冒険者ギルドからの依頼で、ゴールデンカーメの捕獲一件だけね」


「捕獲ですか! 随分難しい依頼ですが、大丈夫でしょうか?」


「あ、難しいんだ?」


「はい。あ! でも成体と幼生体の指定はありますか?」


「んん? 特に言われていないけど……」


「なるほど……どちらにしろ難しいのですが、幼生体の方が簡単とされています」


「そうなんだ」


「はい」


 引き続きセリノが説明をしてくれる。

 ゴールデンカーメの成体は、金運を齎すと古くから言われており、実際資産家の邸宅には必ず剥製が置かれているらしい。

 元気であればあるほど金運が上昇するので、捕獲の依頼は常にあるのだが、そもそも遭遇例が少ないし、捕獲が至難の業とのこと。

 生命の危機を感じたときに発する悪臭が凄まじいんだそうだ。

 鼻の利く獣人ならば、どれほどの手練れであろうとも百%卒倒する。

 ソイルカーメ、グラスガメータも悪臭を放つが、ゴールデンカーメはレベルが違うんです! と熱く語られた。


 幼生体は何故か悪臭を放たず、繁殖地で大量発生するので、他のモンスターの良い餌になっている。

 ゆえに、発見されれば冒険者とモンスターの取り合いになるのだそうだ。


「繁殖地も成体も見つかる気がするけど……」


「ん。その前にお客様なのソノヒグラシ、カイザーセミンのパーティーなの。三体と二体の合計五体なの」


「すっげぇ! そんなに詳しくわかるなんて!」


「ん。今後も任せてほしいの」


 胸? を張るモルフォを見つめるセリノの眼差しは優しい。

 懸命に主張をする子供を見守る大人の目線に、双方気がついているのかいないのか。


「っつ!」


「遮音いたしますわ!」


 反射的に耳を塞ぐ。

 頭の中から蝉の大音声が聞こえてきそうな、凄まじい騒音だった。


『御主人様を苦しめるなんて、万死に値するのですわ~』


『どうせ謳うなら美しく謳いなさいませ~』


 蝶々コンビが鱗粉を放つ。

 経験を積ませるためだろうか。

 セリノは涙目で耳を押さえている。

 幻惑されても大音声は収まらないらしい。

 セリノの様子から察するに酷くなっている気がした。


「じゃあ、今回は私が!」


 ポケットから虫避けをすちゃりと取り出す。

 涙目のまま、セリノが目を見開いた。


「あー。そもそもこの容器が珍しいんだったね。それ、ぷっしゅ! プッシュ!」


 私は蝶々コンビがこちらへ流してくれた個体に虫避けを吹きかける。

 セリノの口がぱかんと大きく開かれた。

 涙目も同じように大きく開かれている。


「く、口止め魔法をお願いします!」


 自己申告してくれたよ。


「私の自作品なんだー。売れると思う?」


「売れます! 高くても売れます! モンスターを一撃とか凄すぎます!」


「これって虫避けなんだよねー。基本的に虫しか倒せないの」


「虫型モンスターを倒せるんですから、立派な武器ですよ。しかも高性能の!」


 うるさいモンスターは殲滅されたが、代わりにセリノが大興奮で大声を上げる。


「う。セリノ。落ち着くのよ。そしてドロップアイテムを拾うのよ」


「は! すみません。あまりにすばらしい武器だったのではしゃいでしまいました」


 少しだけ声は小さくなった。

 まだまだ興奮は冷めやらぬらしい。


「そして、今回もドロップアイテムがたくさんです。なんて拾い甲斐があるんだろう!」


 ソノヒグラシの幼虫

 グロテスクだが火を通せば食べられる。

 火を通してしまえば日持ちもするので、便利な携帯食にできる。


 ソノヒグラシの抜け殻

 飾っておくと、鳴き声を出す虫に侵入されない。

 有効範囲は部屋。


 ソノヒグラシの羽

 透き通った緑色が綺麗な羽。

 幸運を呼ぶとされている。

 アクセサリーに加工されることが多い。


 ソノヒグラシセット

 革袋に入った水、干し肉、キャラメールの三点セット。

 日持ちする食料を足して、持ち歩く冒険者は多い。

 

 カイザーセミンの幼虫

 グロテスクだが生食でも美味しい。

日持ちしないので、拾ってすぐ食べるか、冷凍すべし。


 カイザーセミンの抜け殻

 飾っておくと、うるさい虫(いろいろな意味で)に侵入されない。

 有効範囲は家。


 カイザーセミンのネックレス

 品が出る。

 男性がつけると効果倍増。

 精緻なカイザーセミンのペンダントトップ。


 ソノヒグラシセットが一番便利かな? と思った私は、やはり食い意地の張った人間なのだろう。

 




喜多愛笑 キタアイ


 状態 心身ともに良好 new!!

 


 料理人 LV 4 


 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

     治癒魔法 LV10

     口止魔法 LV10

     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)  


 前回負け続けたテーブルオーダーバイキングと同主催の、完全予約制の贅沢ティーコースの予約もできました。

 しばらくアクセスできなくてはらはらしましたが、予約できたので一安心。

 申し込み前の注意事項が多くて、主催者側の苦労が知れます。


 次回は、昆虫ダンジョン インセクト 16(仮)の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 引き続き宜しくお願いいたします。 

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