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昆虫ダンジョンインセクト 14

 散々囁いていたオーダースイーツバイキング。

 結局行けずじまいでした。

 キャンセルのお知らせに気がつくのが遅くなければ行けたのかもしれません。

 今度はすぐ通知が確認できるアドレスを使おう……。

 

 


 臨時とはいえパーティーメンバーになったのだから、異世界転移はさて置き。

 自分が規格外で、見てしまったそれらに対して沈黙を守ってほしいと、最初に断っておくべきだろう。


「パーティーを組んだことだし……今私は、このダンジョンをいろいろな検証をしながら探索しているんだ」


「あ、なるほど。研究的な側面もある探索なんですね?」


「そうそう。それで、外に出したくない情報もあるから……」


「口止めの魔法ですか? それともスキル口封じでしょうか?」


「口封じ!」


 そ、そんなスキルがあるんだ。


『物騒に聞こえるけど、ただ問題点を外部に漏らさないようにするスキルなのです。教会関係者がよく持っているのです。愛はさくっと口止魔法を作ればいいのです』 


『ど、どんなのがいいかな?』


『こんな感じでどうなのです?』


 サクラが頭の中に口止魔法の情報を流し込んでくれる。

 セリノは疑問を口には出さず、私とスライムのやり取りを黙って見守ってくれた。

 

 口止くちどめ魔法

 秘密を他人に話さないように、口外を禁じる。

 レベル10保持者のみ、口止魔法を代償なく解くことができる。

 

 レベル1  言語での伝達を不可能にする。

       念話、絵の伝達は可能なので要注意。

       有効時間一時間。解除不可。

 レベル2  言語、絵の伝達を不可能にする。

       念話の伝達は可能なので要注意。

 有効時間一日。解除不可。

 レベル3  あらゆる手段での伝達を不可能にする。

       有効期間一週間。解除不可。

 レベル4  あらゆる手段での伝達を不可能にする。

       有効期間一か月。解除不可。

 レベル5  あらゆる手段での伝達を不可能にする。

       有効期間一年。解除可能。

 レベル6  あらゆる手段での伝達を不可能にする。

       有効期間を自由に決められる。解除可能。

 レベル7  あらゆる手段での伝達を不可能にする。

       有効期間を自由に決められる。解除可能。

       魔法を解こうとした者に自動制裁(死亡)が与えられる。

 レベル8  あらゆる手段での伝達を不可能にする。

       有効期間を自由に決められる。解除可能。

       魔法を解こうとした者に自動制裁(死亡、記憶抹消から選択可能)が与えられる。

 レベル9  あらゆる手段での伝達を不可能にする。

       有効期間を自由に決められる。解除可能。

       魔法を解こうとした者に指定制裁ができる。

 レベル10 あらゆる手段での伝達を不可能にする。

       有効期間を自由に決められる。解除可能。

 魔法を解こうとした者に指定制裁ができる。

       口止め魔法を代償なく解くことができる。


『時間がないので、さくっとレベル10まで取得希望です』


『口止魔法を会得しました。口止魔法のレベルは10です』


 また苦労知らずですみません! と言いたくなる天の声が届いた。

 

「えーと口止め期限って、普通はどれぐらいなのかしら?」


「パーティーを組んでいる間のみ、もしくは永久……が一般的ですね」


「うーん。じゃあ、申し訳ないけれど、現時点では永久にさせてもらうわね。貴男が希望して私が納得した場合は、そのときに解除しますから」


「はい。御配慮ありがとうございます」


「レベル10なので、魔法を無理矢理解かれることもないから安心してください」


 セリノの目が大きく見開かれた。

 レベル10保持者は珍しいのかもしれない。

 認めたくないけれど、これもやっぱりチートだよね……。


「すごい、です! 僕が知る最高レベル保持者は7でした。持っている人は凄く恐れられていましたよ?」


「あー自動制裁が発動するからかな?」


「ええ、そうです。口止魔法はレベル10まで情報は開示されていますからね。だからこそ、解こうという人は少ないでしょう」


『愛の情報を知りたがる者は、解こうと試みるのねー。そして失敗するのねー』


 リリーの言葉をセリノに伝える必要はないだろう。

 セリノは解こうとしないだろうしね。


「じゃあ、口止魔法レベル10発動。口止めしたいことはその都度言うからよろしくね」


「はい。こちらからもこの現象が口止め対象なのか、疑問に思った場合は質問させていただきます」


「うん。それ、助かるわー」


 私とスライムだけだと、問題ないかも? ってスルーしちゃう件、多そうだしね。


「そうね。モンスターに関しては申し訳ないけれど、こちらの指示に従ってもらえるかしら?」


「逆にそうしてもらえると、とても有り難いですね」


「じゃあ、遠慮なく。あー、あと貴男を追放したパーティーメンバーに対しても、指示させてもらうけど、大丈夫?」


「できれば、出会いざまに即死……は避けていただけると有り難いです」


「はははは。その点は確約できないなぁ。向こうが明確な意志を持って敵対するなら、対峙した瞬間、誰かが手を出しちゃうと思うし」


 ローズの絶対防御が発動して、即死は考えられるパターンだもの。


「フォルス様のお名前は既に、新人冒険者のみならず、このダンジョンを攻略中の者たちの間では有名です。ですから、パーティーメンバーに限って言えば敵対せずに従順を誓ってくると思います」


 それはそれで面倒。

 追放者を出したパーティー全てが悪のはずはないが、セリノを追放したパーティーを庇護するつもりなどさらさらない。


「……愚か者どもはこの階層にはいないようですわ。その点は安心なさい」


「ふふふ。ありがとうございます。えーと?」


「私はローズよ。ローズ様と呼んでもよろしくてよ」


 皆同じ形だというのに、何故かローズからだけ気品を感じる不思議。

 セリノは他のスライムや蝶々との挨拶もすませた。


「ん。プリンセスアブブが来るのよ。つがいなのよ」


「あら。じゃあ、私たちがテイムした方がいいかしら」


「う。番が強制的に別れさせられるのは嫌なの!」


 掌サイズの蜂が飛んでくる。

 頭には冠をかぶっているのが特徴だ。

 寄り添って飛んでいる姿が愛くるしい。


「ちなみにプリンセスアブブは雌しかいないモンスターなのです」


 なんと素敵な同性婚!

 ……子供はどうやってできるのだろう。

 気になってしまうのは私だけではないはず。


 よろしかったらお二人仲良くテイムをされませんかー。

 スライム内の花畑には他の蜂系モンスターもたくさんいますよー。

 冒険者や他のモンスターに害される心配はなくなりますよー。


 と、一メートルほど離れた場所に留まっているプリンセスアブブに、心の中で語りかける。

 プリンセスアブブはお互いを見つめ合いこくりと頷いたあとで、私たちに近寄ってきてテイムを受け入れてくれた。

 スライム収納の入り口まで、他の蜂系モンスターが迎えに来たのには驚かされる。

 新しい二人もすぐに馴染むだろう。


「プリンセスアブブは蜂系モンスターの中でも、上位種です。だから歓迎されるのだと思います」


 セリノが知識を披露してくれる。

 ダンジョンに出現するモンスターについて、事前に知識をたたき込んできたのだろう。

 それができる冒険者は驚くほど少ないのだと、幾度となく冒険者ギルドに出入りするうちに身をもって理解した。

 やはりセリノは優秀な冒険者なのだ。


「ダンスフライ五体が来ますわ。二人とも、全員混乱だけさせて、セリノに止めを任せなさいませ」


 私が指示する前にローズが的確な指示を出してくれる。

 うちのスライムは最高に可愛くて最高に優秀だ。

 何度だって言うぜ!


『ローズさんの指示に従いますわ~』


『セリノ君は存分に頑張るとよろしいのですわ~』


 蝶々コンビが鱗粉を散らす。

 その効果はセリノに及ばない。

 ぱちくりと可愛らしく大きな瞳を瞬かせたセリノは、幻覚に惑わされて奇妙なダンスを踊るダンスフライを丁寧に倒してゆく。

 使っている短剣は新人冒険者が始めに手にする安価な物。

 手入れこそされているが、そろそろ耐久値に問題が出てくる頃合いの代物だった。

 急所を狙っての的確な攻撃でないと、殺す前に反撃されてしまいそうで心配だ。


『うーん……いい短剣とかないかなぁ?』


『スライム収納にないものはないのねー。どの程度の物を渡すのねー?』


『市販品の良質な中古品あたり?』


『逆にないのねー』


『おうふ』


『アントラーズディアの短剣ならあるのねー。どこぞの盗賊の持ち物なのねー』


 まだ見たことのないモンスターだ。

 角鹿? ならホルツリッヒ村の森にも来てくれるかしら。

 盗賊の持ち物なら売った方がいい気もするけど……特に有名な武器でないのなら、別にいいのかなぁ。


「え! ドロップアイテムがこんなに出るなんて初めてです!」


 フライ、羽、プライドの三点セットが倒したモンスターの数、つまりは各五個ずつドロップしたようだ。

 これはかなり運が良いドロップだろう。


「へぇ。私の豪運が利いたのかな? 良かったね」


「はい。御迷惑をおかけしなくて良かったです!」


 私の豪運は、私が信用しないと発動しないだろう。

 だとするならば、私はセリノを随分と信用しているようだ。

 

「この調子で頑張るのねー」


「そうですね! 頑張ってレベルを上げて、転移のスキルを使ってみたいなぁ」


 夢見るような笑顔を向けられて、その笑顔のために頑張れる! と思ってしまった自分は、もしかしたらセリノを推したいのかもしれない。

 この世界で推したい存在ができるとは驚きだ。

 まさか推しになら裏切られてもいいし! という、深層心理の現れじゃないよなぁと、迷走していた思考は、モルフォの、ん! 宝箱があるの! の声を聞いてさらっと流れていった。





喜多愛笑 キタアイ


 状態 心身ともに良好 new!!

 


 料理人 LV 4 


 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

     治癒魔法 LV10

口止魔法 LV10 new!!

     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)  

 寒いと悪夢を見る体質は自分だけでしょうか?

 先日はゾンビになった途端、次の被害者になる夢を見ました。

 だんだんゾンビになっていく思考が怖かったです。

 あとゾンビに噛まれていたかったです。

 痛覚がある悪夢とか嫌すぎました……。

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