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裁縫に勤しんでみた。

　新しい話を書く度に情報量が増えて困りますね。

　長編書かれている方は一体どうやって管理しているのでしょう。

　一応別に、種類別一覧とか作ってはいるんですけど、難しいです。

　誰かと一緒に作る＆食べる料理は大変楽しいものだと、食後のイエローベリーウォーターを飲みながらしみじみと和みつつ、次の作業を考える。

「うーん。裁縫師を取得しようかなぁ。続いて細工師な感じ？」

「ふっかふかのお布団に包まれてみたいのよ！」

　スライム布団につけいる隙は全くないのだけれど、スライム布団＝ウォーターベッドと考えると、一般的な布団にも憧れるのだ。

　スライム布団はほんのり温かくも、絶妙にひんやりもできる仕様なので全く持って贅沢な悩みなのだが、感触が別物なので比べるのは難しい。

　私が住んでいた世界の話を聞いたスライム達の要望は主に食事方面だが、それ以外に試してみたい物も多いのだ。

　スライム達にも、布団でふっかりと癒やされる楽しみをぜひとも知って貰いたい。

「布団かぁ……」

「クックルーの羽布団ならできるのです！」

「後は、ホワーンラビットとポークの防具ができるのねー」

リリーが用意してくれた材料を前に置いて腕を組む。

ホワーンラビットの毛皮

高額で売れる。

防具が作れる。

裁縫師のみ作れる。

ポークの皮

綺麗に剝ぐと高額で売れる。

防具が作れる。

裁縫師のみ作れる。

クックルーの羽

綺麗に剝ぐと高額で売れる。

寝具が作れる。

裁縫師のみ作れる。

「綺麗に剥いだから、そのままでも高くも売れるのよ？　加工しても勿論高く売れるのよ！」

「私達の洋服も作って欲しいのっ！」

スライム達とお揃いの服か……。

萌えるねっ！

妄想だけでご飯三杯はいける。

利害関係が一致する相手には様々なタイプのコスプレ衣装を作ってきたが、自分の分は恥ずか死ねるので作っていない。

集るだけの価値観が合わない相手も断固拒絶しきった。

無論スライム達の服ならば喜んで作ろう！

こちらでスキルを取得できなくても、元々のスキルはあるはずだが……どんな物だろう？。

クックルーの羽に埋もれて遊んでいるスライム達を凝視しながら、作る物を模索する。

「……布団を入れる袋って、こっちだと何から作るの？」

「ぬかりなすこさんなのねー」

「こちらになるのです」

　サクラが取り出してきたのは以下の通り。

　シルコットンの幼虫

　シルコットンの糸を吐き出す。

　餌をくれる者に懐く。　

　絹の肌触りと綿の吸汗性を持つ優秀な糸を入手できる。　

　下着から布団まで用途は広い。

　比較的安易に懐かせられるが、品質の良い糸を出させるのは難しい。

　シルコットンの成虫　レア

　シルコットンの糸を布に織り上げる。

　幼虫を大切にする者に懐く。

　幼虫と違い懐く基準がシビア。

　幼虫が大切にされていないと判断すると幼虫と一緒にいつの間にか逃げ出してしまうので、レア扱い。

　成虫が織ったシルコットンの布は、人が縫った布の１０倍の代金で取引される。

　ニードルビーの針

　縫い物に最適の針。

　本来はニードルビーを殺して得るものだが、サイが交渉して個体に影響なく針だけ取ったために、仕上がり良好の祝福がついている。

　各種大きさ太さ完備。

　シルコットンの幼虫は蚕、成虫もあの真っ白い蚕蛾（かいこが）。

　サイズも掌サイズで、人懐っこい。

「うおうふ！」

　右手に幼虫、左手に成虫を乗せてみた。

　両掌がそれぞれ違う感触でこそばゆい。

　山といると悍ましさに飛び上がってしまいそうだが、一匹づつなら十分に愛でられそうだ。

　大量育成はスライム達にお願いしたい。

「おー」

　掌の上で幼虫が糸を吐き出し始めれば、成虫が触角と手？　足？を使って、器用に糸巻きをしてゆく。

「糸が一定量たまると布地を作り始めるのね－」

「ストックは完璧よ！　愛が裁縫師を極められる分ぐらいはあるわ！　喜びなさいっ」

「う！　私がシルクマスターの称号を取得したのよ！　今後の増産も思いのままなのよ！」

　おお！

　ついに称号がきたわ！

　やっぱりこの子達は最高だね。

「まずはちくちくと布団袋と作ると良いの」

「はい、どうぞです！」

　肌の上を優しく滑る光沢も美しい布が置かれた。

　ルンのお陰で洞窟にもかかわらず埃一つない空間なので、床に直置きしても問題はなさそうだ。

「よし！　頑張るね」

　私はニードルビーの針にシルコットンの糸を通すと、布団袋を作り始める。

「クックルーのふわっふわの羽をたっぷりと詰めた、肌に優しいシルコットンの布団ができる。敷き布団も掛け布団も枕もお揃いテイストでできる！　吸湿性抜群で寒い時は温かく、暑い時は涼しく感じる温度維持機能付きでできちゃう！」

　念じるだけで良いのだけど、つい言葉にしてしまう私は重篤の厨二病患者。

『スキル　裁縫を会得しました。裁縫スキルのレベルは１０です』

『スキルレベルが上限に達したので、上位スキル　裁縫師を会得しました。上位スキル　裁縫師スキルのレベルは１０です』

『スキルレベルが上限に達したので、最上位スキル　裁縫師範を会得しました。裁縫師範スキルのレベルは１０です』

「……裁縫師の上位スキルってあったんだ？」

「例によって普通はないのねー」

「そして、布団袋もできているのです」

「どころか、掛け布団、敷き布団、枕もできてるじゃないの！　相変わらず規格外ねっ！」

「私達の分もあるのよ！」

「ふかふかよー、ふかふかなのよー」

　まるで漫画のように一瞬で、仕上がった布団一式が目の前にある。

　スライム用の小さいサイズ一式が大変可愛らしい。

「布団の仕様とか、裁縫師範のスキル明細とか見たいです？」

「うーん。後でまとめて見ようかな。とりあえず、ホワーンラビットの毛皮とポークの皮も使ってみるよ」

　まずは、ホワーンラビットの毛皮を手に取る。

　早速裁縫師範の効果なのだろう。

　幾つかの型紙が頭の中に浮かんだ。

「へ？」

　まずは最初に浮かんだホワーンラビットマントを作ろうとした途端、布が頭に浮かんだ型紙通りに切り分けられた。

「すごっ！　一瞬だよ！」

「この調子だと、縫うのも一瞬に決まってるわ！」

　リリーもフラグ立てが上手くなってきた。

　針を毛皮に一刺しした次の瞬間には、胸元に鈴蘭のワンポイント刺繍が施されたフード付マントが一着出来上がっている。

「可愛いのよっ！」

「お揃いにするのっ！」

「はいはい」

　とは言っても、体型があまりにも違いすぎる。

「今作ったマントとお揃いをスライム用でっ！　人数分お願いします！」

　気合いを入れて毛皮を握り締めれば、頭の中の型紙通りに人数分の布が裁断され、針を入れれば一瞬で人数分のミニフード付きマントのできあがり。

「……うん。これも商売できるわー。萌えコスプレ衣装でチートもできるわー」

　スライム達は早速、お揃いのマントを着て跳ね回っている。

　フードをつけたり外したりする様子も愛らしい。

　ルンとピュアにも何か作ってあげたいなぁと、せっせと手を動かし続けた結果。

　ホワーンラビットの毛皮　フード付きマント

　注意！！　裁縫師範の作る物は全てSSSランクになる。

　　　　　時々失敗することもあるらしい。

　　　　　表示なき場合は、SSSランクの仕上がり。

　足首まであるロング丈。

　ただし足捌きに全く問題のない軽やか仕様。

　着心地抜群。

　胸元に鈴蘭の刺繍付。

　鬱陶しくない程度にシルコットンのレースで飾り付け有。　

　防寒・防暑率１００％。

　防雨・防炎・防雷率１００％。

　ホワーンラビットの毛皮　ベスト

　重ね着も楽々の薄手仕上がり。

　隠しポケット含み、ポケットは４つ。

　うち一つに鈴蘭の刺繍付。

　鬱陶しくない程度にシルコットンのレースで飾り付け有。

　防寒性に富む。

　身体能力上昇の効果有。

　シルコットンの下着

　肌触り抜群。

　吸湿性最高。

　王族も喜ぶ素敵デザイン。

　鈴蘭もしくは百合の透けレース仕様。

　ブラジャー＆パンツのワンセット。

　魅了効果有。

　シルコットンのシャツ　半袖　長袖　七分袖

　肌触り抜群。

　吸湿性最高。

　貴族も欲しがる素敵デザイン。

　洗濯魔法でぐるぐるしても大丈夫な、しっかり縫製。

　半袖は襟、七分袖は袖口、長袖は胸ポケットに鈴蘭刺繍付。

　カリスマ上昇効果有。

　シルコットンのワンピース

　肌触り抜群。

　吸湿性最高。

　おしゃれ用と寝室用の２種類有。

　どちらも一部に繊細な透け鈴蘭レースを使った高級仕様。

　魅惑効果有。

　シルコットンのクックルー羽掛け布団

　クックルーの羽がたっぷり詰まった掛け布団。

　身体を包み込むようなふんわり仕様。

　温度維持機能付き。

　洗濯丸洗いOK。

　快眠効果有。

　シルコットンのクックルー羽敷き布団

　クックルーの羽がぎっしり詰まった敷き布団。

　身体が沈んでしまいそうなふっかふか仕様。

　温度維持機能付き。

　洗濯丸洗いOK。

　熟睡効果有。

　シルコットンのクックルー羽枕

　クックルーの羽がみっしり詰まった枕。

　頭を優しく包み込むふわふわ仕様。

　温度維持機能付き。

　洗濯丸洗いOK。

　夢見抜群効果有。

　ポークの皮　ワンピース　半袖　長袖　七分袖

　軽くて丈夫で、通気性が良く摩擦にも強い。