昆虫ダンジョンインセクト 10
夏のホラー企画用の作品が完成しました。
明日より毎日23時更新で、予約投稿済みです。
全四話。
所謂ホラー的な描写は少なめで、例によって自業自得&因果応報キャラがざまぁされています。
作品内の独自設定が多くありますので、苦手な方はご注意くださいね。
となると……。
ローズが屑冒険者を捕縛してのち、さくっと収納。
当然装備は全部回収してもらうよ。
すっぽんぽんでもいいよね、魅了に洗脳は最悪だから!
で。
全員結界内へ御案内のち、風呂魔法でさっぱり。
それぞれがなかなか魅力的な女性たちだから、奮発してアロママッサージ……はやりすぎか。
村人にもまだやってあげてないしね。
とすると……ドライヤー機能で優しくふんわり整える感じかな?
洋服は清楚系を一式プレゼントしよう。
恐縮するようなら、村に案内して働いてもらうのもいいかしら?
その辺はスライムたちと相談だね。
身につけていた服も需要がありそうだから、綺麗に洗濯して売却の方向でいいかな。
御飯は胃に優しくて、野菜たっぷりのクリームシチューでいいでしょう。
事情を聞き終わる頃には、そろそろリリーとサイが戻ってくるだろうから、その足で冒険者ギルドに事情説明。
うん。
そんな流れでいこう!
ではよろしくー! と声に出さずにお願いすれば、ローズが一番に動いてくれる。
「犯罪者には、相応しい罰をくれて差し上げますわ!」
巨大化したローズが結界から躍り出る。
何もない場所から突然巨大なスライムが現れたら、熟練冒険者でも一瞬は戸惑うだろう。
屑冒険者たちの腕は、熟練にはほど遠い。
またローズが纏う真紅も恐怖の対象だったようだ。
恐ろしい者を見る眼差しでローズを凝視したまま硬直してしまった。
「装備を一つ一つ、ゆっくりじっくり脱がして差し上げますわ。羞恥と恐怖に震えるとよろしゅうございましょう」
結界の外、巨大化したままの状態を維持しているローズは触手を伸ばして、屑たちの装備を丁寧に外していく。
こんな強制ストリップは見たくないし! と思ったけれど、屑たちは消えてゆく装備(ただローズがスライム収納に入れているだけ)を見て、自分たちも消されてしまうのではないかと恐れ戦き、ローズに寛恕を請うている。
その姿は実に無様で滑稽だったので我慢した。
「さぁ、もう安心して大丈夫! あいつらはこれからローズの中に収納されます。自分の意思では出られないからね。皆は結界内に入って、まずは身なりを整えましょう」
普段は私とスライムたちがまったりと寛げる程度の広さしかない結界が、五人を迎え入れようと広くなった。
結界を見えるようにして、扉までつけて入りやすくするローズは器用で気配り上手なスライムだ。
可愛い。
ローズが触手でピースマークを作って見せた。
必死の寛恕を鼻歌交じりに踏みにじったローズは、屑どもを余すところなく収納している。
中では屑どもが既にパンイチになっていた。
パンツを残したのはローズの慈悲かしら?
しかしパンツぐらいは日頃から綺麗にしておいてほしいわねぇ……と薄汚れたパンツ姿の屑どもから目をそらして、五人を招く。
「し、失礼いたします」
屑どもの無様な姿をちらちら見ていた、リーダーの女性がまずは扉を潜った。
続いて四人も深々と頭を下げてから、結界内へと入ってくる。
「わぁ!」
一番幼げな外見の女性が思わずといった感じで歓声を上げた。
結界内は一流ホテルも真っ青の調度品で整えられている。
普段はここまでしていないけれど、疲労困憊な彼女たちを慮っての手配だろう。
「さて。まずはお風呂ね。使い方はスライムたちが教えてくれるので、従ってください。今着用している物は洗濯しておきますから」
「「「「「えええ?」」」」」
驚きの声は揃っていた。
順番待ちの間も惜しいからと、五つのバスルームを設置したのだ。
「さささ。まずは服を脱いでその籠の中に入れるのです」
説明といえばリリーだが、サクラも負けていない。
丁寧に編み込まれた籠を示す。
ちなみに今回のバスルームは透ける仕様にしてあるので、お互いの様子も見られるのだ。
スライムに聞きにくかったら、他の女性を見ればいい。
従順に指示を受ける女性たちの様子は、おっかなびっくりしていたが、目は穏やかで少し楽しげだった。
バスタブは少しだけ深めにしてある。
肩までしっかりと浸かってほしいものだ。
女性陣がお風呂を堪能している間に、私は洗濯をする。
洗濯魔法は基本的に日に一度夜に使うようにしていた。
習慣づけておかないとため込んじゃうからね。
生活の中で、洗濯の順位は比較的低めなのだ。
勿論最優先は食事だよ!
言うまでもないけどね。
発動するのはレベル10。
時間はかかっても問題なかったけど、いろいろとこう、気になる汚れがあったからさ。
あとはあれ。
服以外の装飾品もあったからね。
まとめて洗うには特殊洗いができるレベル10が無難だったのですよ。
仄かにフローラルな香りがする洗濯物を、それぞれにわけて籠の中に入れておく。
畳まれている状態なので、本当に籠に入れるだけなんだよ。
しみじみ向こうの世界で欲しかった。
畳むのって、意外に面倒だよね。
新しい服は……何にしようかなぁ。
部屋着ならシルコットン製のワンピース一択なんだけど、後々冒険者ギルドに行くのを考えると、シルコットン製はまずいだろう。
……下着はシルコットン製にしちゃうけどね。
販売も考えていたから各サイズを取り揃えてあるんだー。
一人を除いてうらやまけしからんレベルの巨乳さんなので、シルコットン製の下着は嬉しいだろう。
こちらの下着を見せてもらったけど、巨乳には厳しい感じの肌触りだったんだよね。
服の方は……ポークの長袖シャツと長袖ズボンがいいかな?
無理矢理露出させられていた雰囲気だったから、肌を隠す服に安心感を覚えるような気がする。
一般品より肌触りはいいけど、見た目はポーク皮だからそこまで注目を集めずにすむだろうしね。
「全員でましたわ」
すっぽんぽんの五人が横一列に並ぶ。
今までの環境か、私が女性だからか、全裸を晒す羞恥をほとんど感じていないようだ。
「はーい。それじゃあ、レベル6でドライヤー機能発動ーっと」
「まぁ!」
「温かい!」
「……気持ちいい……」
三人は声を上げた。
二人は無言で温かい風を享受している。
程なく髪の毛も乾いたので、新しい服が入っている籠を指さした。
「その籠に入っている服を着てくださいね。ブラジャーはサイズが合わなかったら申し出てください」
「えぇ? こちらは、もしかしてシルコットン製ではございませんか?」
「うん。そうだよ。胸が豊かな人にはシルコットンが一番でしょう?」
「ですが、こんなに高価な物を貸していただくわけには……」
「シルコットン製の下着であれば、古着でも人気はございますが、販売価格は一段と下がってしまいますし……」
一番巨乳のリーダー、続いて巨乳のショートヘアが男装の麗人を思わせて格好良い女性が申し訳なさそうに遠慮をする。
「うちにはシルコットンマスターがいるから、いくらでも作れるんだよね。それに着心地とか教えてほしいんだ。今後の販売予定もあるからさ。できるだけ細かく感想を教えてくれればいいよ」
「勿論喜んで感想を述べさせていただきますが、それでは対価に見合いませんでしょう?」
「もしその辺がどうしても気になるのなら、私が村長をしている村で一定期間働いてくれればいいよ。副村長がエルダートレントの村で、豊かな村だから安心していいよ」
「も、もしかして、ホルツリッヒ村! で、ございましょうか?」
「そうそう。有名になりつつあって嬉しいな」
しかしここまで有名になってくると、困った奴らも押しかけてきそうだが大丈夫だろうか?
……大丈夫か。
私がいなくたってあの村、基本的に戦力過剰だもんなぁ。
トレントたちが根っこを伸ばして、太ももまで絡ませて、そのまま地面の下へ引き摺り込めば終了。
あらかじめここに来たら引き摺り込む! って決めた場所の土をやわらかくしておくものだから、頭の天辺まで一気に引き摺り込めるんだよね。
一度に何人かやれば、大人数で来ても戦意喪失して、残りは撤退するみたい。
地面の下に引き摺り込まれた輩は基本ショック死。
続いて窒息死らしいよ?
まれに数時間生きる個体がいるらしいけど、基本は即死もしくは数分で死亡なんだってさ。
敵に回れば本当に恐ろしいけれど、味方である以上頼もしさは倍増だ。
「だから、遠慮なく着てくださいね」
「ありがとうございます!」
肌触りが良く、デザインも可愛い下着にはやはりテンションが上がるらしい。
皆楽しそうに着用し始める。
「すばらしい肌触りですわ」
「このレースはなんて繊細なんでしょう!」
「花モチーフも素敵」
「家紋などを入れても喜ばれるのでは?」
「これは胸が大きくて悩んでいる方にこそ、推奨いたしませんと!」
全員大喜びだった。
家紋入りをオーダーで受けたら、儲かりそうなのねー、とリリーが採用しそうな意見も有り難い。
「こちらのポークのシャツもズボンも、肌触りがよく、臭いがしませんわ! もしかしてこちらも……」
「私が作ったよ。裁縫師範だからね。量産品より品はいいと思う」
「裁縫師範!」
「な、なんて多彩な才能をお持ちなのでしょう……」
女性たちの目がきらきらと輝く。
混じりけなしの尊敬が籠もった眼差しが何とも面映ゆい。
「ふ、普通のポーク皮を使った服は臭いがあるんだ?」
「ええ。ほとんどのものがそのようです。良い物でもふわりと臭ってしまうのですよ」
「ですが、こちらは全く臭いません! 冒険者だけでなく需要は多そうですね」
ポークは簡単に手に入る皮だ。
在庫もたんまりある。
手に入りやすい値段で販売するのもいい。
シルコットン製は、希少性から高価になっちゃうしね。
ホルツリッヒ村まで足を運んでくれる分、お買い得品を揃えたいものだ。
「気に入ってもらえたようで良かったわ。こざっぱりしたところで、食事をどうぞ。胃に優しいシチューを用意してみたわ」
スライムたちが既にできたての熱々を木の器にたっぷり盛っている。
テーブルの上には人数分が置かれていた。
「さぁ、好きな場所に座って。いただきましょう」
「「「「「はい!」」」」」
誰かのおなかが、ぐーと派手に鳴ったのにあわせて、スプーンを手に取る。
「いただきます」
私が口に入れたのを見計らってから、女性たちも口にする。
「美味しい!」
大きな感想がお世辞ではない証拠に、私が半分も食べないうちに、女性たちの器は空になった。
喜多愛笑 キタアイ
状態 心身ともにリラックス new!!
料理人 LV 4
職業スキル 召喚師範
スキル サバイバル料理 LV 5
完全調合 LV10
裁縫師範 LV10
細工師範 LV10
危険察知 LV 6
生活魔法 LV 5
洗濯魔法 LV10
風呂魔法 LV10
料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用
掃除魔法 LV10
偽装魔法 LV10
隠蔽魔法 LV10
転移魔法 LV ∞ 愛専用
命止魔法 LV 3 愛専用
治癒魔法 LV10
人外による精神汚染
ユニークスキル 庇護されし者
庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化
称号 シルコットンマスター(サイ)
ホラー企画が完成して、やっとこさBL校正の続きに入れます。
二次作品の修正版なのですが、原作が頭に残っていて、どこまでキャラの設定を書き込めばいいのか悩んでしまい、思いの外時間がかかって切ないです……。
次回は、昆虫ダンジョン インセクト 11(仮)の予定です。
お読みいただきありがとうございました。
引き続き宜しくお願いいたします。