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昆虫ダンジョンインセクト 4

 買い忘れやダブり購入が多すぎて、本の管理をするためにブ○ログを使うことにしました。

 毎日コツコツと蔵書を登録しているのですが、数が多くて途方に暮れ中。

 私より多い本を登録し終えた主人を尊敬する今日この頃です。



 正直、見知らぬ人だったら無視をした。

 世の中、助けたのに文句を言う人って結構いるからね。

 何で早く助けなかった! とか、もっと違う助け方があっただろう? とか。

 最悪なのはあれだ。

 余計なことをしやがって!

 これから自分たちが上手く誘導するはずだったんだ。

 損した分の慰謝料を払え! だ。

 そんな阿呆な話があるかって思うでしょ?

 でもね、これ。

 向こうにいた頃に全部言われた台詞だから……。


 過保護なスライムたちに囲まれて、絶対的な安全圏から覗いた私は大きな溜め息をついた。

 被害に遭っていたのは、親切な二人組。

 盗賊と僧侶だった。

 僅かなやりとりしかなくとも、私の中で彼女らは良い人だった。

 良い人に認定したあとでは、無視はできない。


 状況も私の意志を固めるのに十分なものだった。


 盗賊の少女は全裸で酷い怪我を負わされて、地面に転がっている。

 僧侶は露わになった乳房を握り締められながら、今正に突っ込まれる寸前という、冒険者にのしかかられた格好だ。


「……ローズ」


「わかっておりますわぁ!」


 ぞん。

 

 奇妙な擬音に続いたのは、のしかかっていた男から発せられた。

 汚い悲鳴だ。


「ぎゃああああああああ! くっそ! おれの! 俺様の、ナニがぁっ!」


 私の意思を明確に理解したローズが、この世界にはないかもしれない衝撃波で男の性器を根元から切断したのだ。

 血飛沫が僧侶にかからないように保護したのはサクラ。

 体内に取り込んで、一瞬のうちに私の背後へと移動している。

 同時進行で盗賊はモルフォに取り込まれて、早速治癒されていた。

 盗賊のぽかーんとした表情が可愛い。


「貴様っ! 余計なことをしやがって!」


 馬鹿な男どもは五人。

 偶然だが、私たちを襲ったパーティーも五人だった。

 

「貴様は、こいつらより酷く、してやる! まずはぼろカスにして全員で三回は突っ込んでやるよ!」


「お断りします」


 間髪入れずにお断りしておく。

 屑の相手なんて死んでもごめんだ。

 抵抗できるだけの技量があって本当に良かった、と頷くそばで、サクラとモルフォ以外のスライムたちが、さくっと男たちを体内に取り込んでしまう。

 暴れる男たちの、無駄な抵抗など歯牙にもかけずに、全ての装備を一瞬で剥ぎ取った。

 途端におろおろとする無様さを上から目線で嘲笑ってやる。


「この階にはセーフティーゾーンってないよね?」


「ないのねー。四階から敵が強くなるから、四階の入り口付近にあるのねー」


「あら、親切設計」


「その辺も人気の理由の一つなのねー。人目につかない場所に、簡易セーフティーゾーンを作るのねー」


「できるの?」


「ええ、私なら可能ですわ。ささ。疾くと移動いたしましょう?」


「じゃあ、モルフォの先導で」


「ん。任せてなのっ!」


 モルフォの体内で盗賊は完治したようだ。

 スライムに捕食されるどころか、癒やされて驚いているのか、やはりまだ放心している。


 本領発揮とばかりにモルフォが選んだのは行き止まりの一角。

 細い通路なので、体の大きな者が通れない点もポイントが高い。

 ローズが作るセーフティーゾーンは、ほんのりと薔薇の香りが漂う癒やし空間だ。

 境界の壁がうっすらと赤いが、注視して見なければわからないだろう。


「まずは温かい飲み物かなぁ」


「リラックス効果があるオレンジベリーティーをお勧めいたしますわ」


 ローズが川藻生地の敷物を取り出す。

 青の鮮やかさはダンジョン内でもよく映える。

 サイがクッションとテーブルを設置した。

 完治した上に、シルコットンのワンピースを着せられた二人が吐き出されるので、リリーが取り出したオレンジベリーティーの前へと誘導する。

 二人は呆然としたまま、それでもカップの前に座り込んだ。

 何故か正座だったので、足を崩すように言う。


「どうぞ。まずは喉を潤してくださいね」


 外の傷は癒えても中の傷はそうではないだろう。


 私はふかふわの大きなクッションに背中を預けながら、カップを傾けてみせる。

 二人も私にならってカップの中身を口にした。


「美味しい!」


「……初めて飲む、素敵なお味ですわ……」


 感想を述べた二人がすぐさま中身を干してしまったので、お代わりを注ぐ。

 ティーポットにたっぷりと入ったオレンジベリーティーは、当然のようにリリーが用意している。


「よかったら、これも食べてくださいな」


 フルーツティーにもあうスコーンとクロテッドクリームも勧めておく。

 私は半分に割ったスコーンにたっぷりとクロテッドクリームをつけてから、大きな口を開けて齧り付いた。

 今回はさくほろタイプらしい。

 気をつけて食べても零れてしまうのが難点だが、味には文句の着けようがなかった。

 盗賊はぼろぼろと零しているが、僧侶は綺麗に食べている。

 仲良く無言で食べているのは美味しいからだろう。


 すっぽんぽんの男どもの視線が鬱陶しかったので目配せをすれば、ローズの体が不透明な赤に変色する。

 三体のスライムに分かれて収納されていた奴らは、全員ローズの中へと収納され直したようだ。

 姿どころか声も気配すら窺えなくなって、二人の口から安堵の息が零れ落ちた。

 無意識だろう吐息を指摘せず、代わりにニードルビーの蜜を取り出して、スコーンに付けるもよし、オレンジベリーティーに入れて飲むのもよし……と勧める。

 二人は顔を見合わせて、スコーンにつけ、ベリーティーにも入れていた。


「……さて、人心地がつきましたか?」


 山盛りに積まれたスコーンがなくなったところで声をかける。


「おかげさまで……助けていただいた上に、こんなに美味しい物までごちそうになりまして、心から御礼申し上げます。ありがとうございました」


「ありがとうございました」


 僧侶が深々と頭を下げるのに続いて、盗賊も同じように頭を下げた。


「私、聖女のカンデラリア・インドゥラインと申しますわ。表向きは、僧侶で活動をいたしております」


「……暗殺者のピア。信用できない人には盗賊って言ってる」


 おおふ。

 突っ込みどころ満載だわ。

 暗殺者はさて置き、聖女。

 聖女かぁ……。

 純黒聖女さんとかなら、気が合いそうなんだけどなぁ……。


「料理人のアイリーン・フォルスと申します」


「料理人! 意外でございますわ!」


「ちっとも意外じゃない。納得。凄く納得」

 

 カンデラリアは大きく首を振るが、ピアは深く何度も頷いている。

 

「ただちょっとこう……他にもいろいろあるけど。あ! 今はホルツリッヒ村の村長もやってます」


「最近話題の村でございますわね。一度訪れてみたいと思っておりましたの」


「美味しい御飯、たくさんある?」


「エルダートレントが副村長を務めてくれているので、野菜は文句なしに美味しいと思いますよ」


「素敵ですわ!」


「新鮮で美味しい野菜は貴重。できれば多めに購入したい」


「今もいろいろ売れますよ。あとでゆっくりと商談に応じますね。今は……あいつらの犯罪について教えていただいても大丈夫でしょうか?」


 二人の体がびくんと跳ね上がる。

 聞かれたくない話だとは思う。

 けれどたぶん、男性であるギルドマスターに話すよりは、ましなはずだ。


「……あいつらいきなり! リアが行こうとした先を塞いで、俺たちの性奴隷になれって、言った!」


「お断り申し上げますと告げましたら、ピアを蹴り上げまして……」


「蹴りながらあいつら、服をびりびりにした。お気に入りだったのに!」


「酷い怪我を負わせた上に、ピアを陵辱しようとしましたので、代わりに私になさいと言いましたところで……フォルスさんが来てくださいましたの」


 ピアの怒るところに突っ込みを入れたくなった。

 さすがは暗殺者。

 そして、カンデラリアがピアを大切にしているのを知る。

 聖女には恐らく処女性が必須だろうに。


「助けるのが遅くて申し訳ない」


「助けてくれて、傷も治してくれて、美味しい物まで食べさせてくれたのに、なんで謝るの?」


「親切を仇で返された過去がおありですのね?」


 二人の言葉には苦笑で返した。

 だって私は二人が良い人でなければ見捨てたのだから。


「……性犯罪者の罰はいろいろとあるけど。こいつらたぶん常習犯だと思うんだよね」


「うん。間違いないと思う」


「今までの犯罪については証拠がないので断罪はできませんが……今回は未遂とはいえ、間違いない被害を受けていますし、ピアの傷は、フォルスさんが助けてくださらなければ残りましたわ」


「ギルドに突き出してもいいけど……私的制裁、しておきますか?」


「私の拷問より、リアの制裁の方がいい」


「ふふふ。久しぶりに発動いたしますわ。聖女の慈悲を」


 カンデラリアが慈悲深く笑う。

 それは犯罪者が失禁して詫びるだろう、恐ろしさを伴う微笑だった。


 聖女の慈悲。

 男性の肛門に女性器と同じ機能をつける、聖女特有のスキル。

 同様に女性の陰核に男性器と同じ機能もつけられる。

 男性は孕むことができ、女性は孕ませることができるようになるため、乞われて王族や高位の貴族などに施すこともあるようだ。

 断罪として使用される場合に限り、狂気を経て衰弱死するらしい。


 こっそりとサクラが教えてくれた。

 さすがは聖女と崇めたくなる、凄まじいスキルだ。


「スライムさんにはそのままで……ええ。完了いたしました」


「聞こえないけど、中は阿鼻叫喚だと思う。発動と同時に、欲しくて仕方なくなるから」


 ピアも発動後の状況をしっかりと知っているらしい。

 カンデラリアの清楚さや、ピアの暗殺者とは思えない純真さは、女性を穢したい男性にとって、さぞ美味しそうな獲物に見えるのだろう。

 被害にあった彼女たちは、今までも幾度となく使用してきたのだ。

 

「じゃあ……戻って、こいつらをギルドに預けに行きますか」


「ありがとう。すごく助かる」


「本当に感謝いたします。これ以上こいつらによる被害がなくなって、ようございますわ」


 なかなかダンジョン攻略をさせてもらえないなぁと思いつつも、二人を助けられたのは良かったよ! とスライムたちと頷き合う。


 戻る最中も、野菜の売買や村の様子を語ったりと、充実した時間を過ごせた。

 何よりその時間は楽しいものだった。





 喜多愛笑 キタアイ


 状態 一段落ついて落ち着いた心持ち new!!

 


 料理人 LV 4 


 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

     治癒魔法 LV10

     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)  



 花粉はまだまだ飛んでいないと聞き、頭痛は花粉症が原因ではないかもしれないと愕然。

 スマホと壊れかけのタブレット二台を併用している弊害かも? と指摘され、なるべく上を向いて使う方向に……使わないという選択肢がないあたり腐っています。


 次回は、フロイラインで勧誘会。(仮)の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 引き続き宜しくお願いいたします。


 

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