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山盛りの依頼を受けたが後悔はない。

 ワインの特売だったので、うきうきとホットワインを探したのですが、毎年堪能している商品が見当たらない……白と赤があって、どっちも美味しかったんですけどね。

 唯一売り場にあったドイツ産のグリューワインを買ってきました。

 原稿が一段落したら美味しくいただく予定です。

 


 無事登録を終えて紹介された宿へと足を向ける。

 ドーベラッハで唯一の女性専門の宿だそうだ。

 高級宿と銘打っているだけあって、客室が良いらしい。

 トラブルへのフォローがすばらしいのです! とスルバランが鼻息も荒く言っていた。

 男性である君が何故知っているのかね? という突っ込みはしないでおいたが、近しい人物にでも熱く語られたのだろう、たぶん。

 ランクの高い女性冒険者以外に、貴族どころかお忍びで王族まで訪れるとあれば、少なくとも警備は万全なはずだ。


 受付はけしからんお胸の癒やし系エルフ美女だった。

 女性でも鼻の下を伸ばしそうだ。

 私は何とか堪えましたよ、ええ。


 夕食は部屋食を選び、一人と五匹には広すぎる部屋に通された。

 案内の女性……こちらは、ラミア美女。

 カロリーナとは違う生粋のラミア美女……どうにも狙われている気がして、ちょっとがくぶるしたのは乙女の秘密……がいなくなって、窓辺の揺り椅子に腰をかける。


「ふー。美女ばっかりで目の保養だわー。でもちょっと緊張したわー」


「それでも良いお宿ですわ。鑑定をかける無礼な従業員は一人もおりませんでしたのよ」


「みたいだね」


 ラミア美女が淹れた紅茶を、揺り椅子の近くにあるティーテーブルの上へ置いてくれたサイの頭を一撫でする。


「レッドベリーティーに、ニードルビーの蜜が少しだけ入っている、美味しい紅茶なのね。愛はささっと飲むといいのねー」


「そうね……わぁ。レッドベリー感が強いわよ、これ」


 スライムたちはどれどれと自分たちの分を淹れて飲み干し、何やら大きく頷いている。

 ウェルカムティーとしては、かなり力を入れているだろう。

 女性心を擽る細やかな気配りが感じられた。


「スルバランが気を利かせて、飲み物を手配してくれましたけど、白熱した取り引きでしたから、お風呂は愛の魔法を使うといいのです」


「あー。そうしようかなぁ。女性専門宿のバスルームも気になるんだけどね」


「ん。この宿には連泊する予定だから、別日に堪能すればいいの」


「そっか。明日にでも連泊手配しておかないとだね」


「う。インセクトダンジョンをまったり攻略するなら、一か月くらい滞在すればいいのよ」


 今の運の良さならレア素材コンプとかできそうだしね。

 スルバランにはそっち系の期待もされているみたいだしね。


「食事が届くまで、紅茶を楽しみながら、依頼の確認をしておくとよろしいのですわ」


「りょうかーい」


 リリーがスライム収納から取り出した、依頼用紙を一枚ずつ確認する。

 何せ、商人ギルドの依頼だけでなく、冒険者ギルドの依頼も受けたのだ。

 しかも本来の規定よりも多い。

 違反にならないのかと尋ねれば、ギルド側からの要請なら問題ないと言われた。

 念の為に一筆書いてもらったので、難癖をつけられたら見せようと思う。



 スルバランとの商談中、ノックと同時に入ってきたのは、熊獣人かな? と思う、巨躯の男性だった。


「……冒険者ギルドはこれだから、女性に嫌われるのですよ、マナーがなっていないとね!」


「そうは言うけどよー。まさか、噂の新人? が冒険者ギルドより先に商人ギルドへ行くとは思わんだろうが、普通」


 許可なくスルバランの隣に座ろうとするので、ローズが腹めがけて特攻した。


「げふう!」


 熊獣人? がふっ飛んで壁に激突する。

 きょとんとした表情を見るとノーダメージらしい。

 スライムたちが揃って舌打ちをした。


「ほら、見なさい。スライムさんたちまでお冠ですよ。まずは無礼への謝罪と同席の許可をなさい」


 スルバランの言葉に、スライムたちが私の背後で巨大化する。

 部屋がみしっと嫌な音をたてた。


「アイリーン様と、その従獣様には大変失礼いたしました! 自分、冒険者ギルドマスター シプリアノ・ボノと申します。どうか、同席の許可をよろしくお願いいたします!」


 私は彼が熊獣人なのか、そうではないのかが気になっていたが、スライムたちが気にしたのはそこではなかった。


「……貴様にアイリーン様と呼ぶ資格はございませんのよ? フォルス様と呼ぶのならば、同席を許可いたしますわ」


 私ではなく、ローズが許可するのが不思議だったのか、スライムが話すのが不思議だったのか、ボノは目を丸くした。

 熊のきょとん顔って、可愛いよね?

 たとえそれが脳筋巨躯であってもさ。


「で、ではフォルス様。よろしいでしょうか」


「ええ、構いませんわ。今後も最低限の礼節は守っていただければと思います」


「以降注意いたします、です」


 敬語に慣れていないのがバレバレだ。

 周囲がそれを咎めないのは、ギルドマスターに相応しい何かを持っているからだろうか。


 溜め息を吐いたスルバランは、同席を許可してから、ボノをフォローした。

 スルバランとしてもボノがギルドマスターでいてほしいようだ。

 それならばその意思を尊重しよう。

 短い時間の中で私もスライムも、スルバランにはそれだけの信頼を置いたのだ。



「ボノは本当に脳筋なのねー。良い脳筋じゃなかったら、駆除したのねー」


「愛に敬意を払ったからよしとするのです」


「ですわねぇ。こちらが駄目と言えば、素直に引っ込める潔さは評価いたしますわ」


 獣人の本能か何かで、私を自分より強い者! と認識したボノは実に従順だった。

 誰の画策か、私に押しつける気満々だった理不尽な依頼をスルバランに厳選させて、その全てを拒絶した。

 私の判断に、ボノは嫌みの一つすら言わずに了承したのだ。

 

「ん。画策したのは副ギルドマスターなの」


「う。冒険者ギルドの利益を追求しすぎるお馬鹿なのよ。でも、自分の私腹を肥やすわけじゃないから、駆除はしなくていいと思うのよ」


 画策した副ギルドマスターも悪人ではないようだ。

 私の実力を理解すれば、上手く折り合いをつけてくるだろう。


 スライムたちの会話を聞きつつ、依頼確認を始める。

 受けた依頼は以下の通りだ。


 商人ギルドの依頼。

 トリュフマスター百個。

 シルコットン製衣類十着。

 ポーク製衣類十着。

 ホワーンラビット製衣類十着。

 ホワーンラビット牙のペンダント十個。

 ナナホシの羽一つ以上。

 グリーンレインボーの羽一つ以上。

 プリンセスアブの捕獲。

 フラワーキリトリの眼球一組以上。

 オオヤンマの羽一組以上。


 冒険者ギルドの依頼。

 フラワービーの捕獲。

 ゴールデンカーメの捕獲。

 ホワイトジーの触覚一本以上。

 ペーパーフィッシュの粉をとにかくたくさん。

 オオヤンマの捕獲。


 数もさることながら、内容もあれだ。

 ユニーク個体を五体も侍らせているなら、テイマー能力が高いだろうと、捕獲依頼を多く望まれたのだ。

 スライム収納の性能を一部だけ紹介したら、二人とも目の色を変えていたからね。

 捕獲の数はあえて指定されていないけれど、多ければ多いほどいいらしい。

 レア種はそもそもなかなか出現しないし、捕獲ともなれば更に難易度が上がる。

 その上、捕獲後の連れ帰り手段が大変らしい。

 本来なら専用の保護器とかいって、大きな檻とともに移動するんだってさ。

 その点、スライム収納があれば何体でも生きたまま運べるからね。

 守秘義務をしっかり課したけど、どこまで守られるかは少々不安だ。


「しかし、商人ギルドのカード。こんなに育ちきったカードにしてもらっちゃって良かったのかなぁ?」


 貢献度によってランクが上がっていくのは、どのギルトでも同じだ。

 育成ゲーム感が好ましい。

 それなのに、商人ギルドのカードは、店を構えてもいいですよ!

 大きい店でも歓迎しますよ。

 取り引き金額に制限はないですよ。

 利息無し催促無しで1000000ブロンまでなら、貸し付けできますよ。

 というあり得ない好待遇仕様となっていたのだ。

 一個人で王族とも対等な取り引きができるカードです! と説明をされる日には、怖くなってきたよ、さすがに。


 その点冒険者ギルドのカードは一番低いランクを示す、Fの文字が刻印されていた。

 こちらも商人ギルドのカード同様、紛失しても戻ってくる機能を追加搭載するのを忘れない。

 なりすましはかなり難しいけれど、できないわけでもないって聞くと余計にね。

 私みたいに、実力が低そうに見える者は特になりすましの危険度が高いと思うし。

 

「スルバランとしては、愛にどんどん経済を回してほしいって狙いがあるのねー。王族とかにも干渉されないように、力をつけさせようとしているのねー。ホルツリッヒ村が町になったら、専門店をがんがん立ち上げればいいのねー」


 専門店かぁ……チコ一家で食堂、エステファニアが化粧品店、カロリーナはスイーツ販売店でイートインもできる感じ?

 テオとアルマには薬局がいいかな。

 ペネロペは……トリアと一緒に衣料品店とかどうだろう。

 二人とも可愛いしね。

 アランバルリに統括を任せれば安心でしょう。

 手伝いは、トレントたちに小型化して頑張ってもらえば労働力の問題もしばらくはなさそうだ。

 畑仕事だって、トレントたちがいれば十分だしね。

 販売がしたかったら、八百屋で自分たちが作ったものを売ってもいいし。

 想像だけで満足してしまいそうだが、帰宅したらそんな相談をするのもいいかな。

 アランバルリが頑張ってくれたので、ホルツリッヒ村の知名度も地味に上がっているみたいだからさ。


「専門店に卸す商品を作るのも楽しそうだわ」


「愛が見本を作ってくだされば、私たちで増産できますしね」


「ん。私たちに店を任せてくれてもいいのよ?」


「う。生産も販売もお任せなのよ!」


 ホルツリッヒ村が町になる日は遠くなさそうだ。


 依頼確認だけでなく、夢まで語り始めれば、夕食が届く。

 高級宿に相応しい豪勢な食事に、スライムたちと仲良く舌鼓を打ったあとは、風呂魔法のレベル10を発動。

 あぁーと誤解を招きそうな声を上げながら、アロママッサージを受けている最中に寝落ちをしたのだと。

 次の日の朝、ローズが教えてくれる。

 勿論、スライムたちによって、ふかふかのベッドに運ばれたようだ。

 おかげさまで寝起きは大変爽やかだった。






 喜多愛笑 キタアイ


 状態 心身ともに良好  


 料理人 LV 4 


 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

     治癒魔法 LV10

     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)  



 使っているガラケーが使用できなくなるとのことで、スマホを購入しに行きました。

 容量を食うアプリゲームのためのデビューです。

 タブレットで望む商品があれば、今まで通りガラケーとタブレットを平行して使ったんですけどね。

 早く必要なアプリを突っ込まねば……。


 次回は、昆虫ダンジョン インセクト。1(仮)の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 引き続き宜しくお願いいたします。

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