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穀物ダンジョンに行きたいなぁ……。

 祝100話!

 旦那様に続いてスライムも100話に到達しました。

 終わる気配が全く見えないことも気にしていませんよ、ええ。


 


 屑を排除したホルツリッヒ村は平和だ。

 しかも皆が笑顔の絶えない豊かな生活を送っている。


 ちなみにアランバルリは商会を辞めてきた。

 現在はフリーになっている。

 辞めるときには私が行く気満々だったのだが、一緒に行ったのはエステファニアとリリー。

 結婚するから辞めて、独立するね! っていう、退職によくある理由を挙げてきたとのこと。

 で、アランバルリを手放したくなかった商会頭。

 かなりの難癖をつけただけでなく、エステファニアを愛人としてもらってやる、という駄目発言をしたらしい。

 馬鹿だよね。

 そこで激怒するアランバルリと呆然とするエステファニアの前で、リリーが商会頭をぱくっとやったようだ。

 洋服を溶かされて全裸になるまでは頑張ったが、さすがに髪の毛どころか、全ての毛をつるつるにされて音を上げた。

 睫がないと目にゴミが入って大変らしいよ?

 

 心身ともに衰弱してしまった商会頭に情けの一片もかけず、まずは私に対する慰謝料を請求した。

 故意に問題のある奴隷を売りつけた点と、その奴隷によって被った損害が幾つもあった点を強調したらしい。

 続いてエステファニアへの精神的慰謝料、アランバルリへの長年に亘る不適切な待遇を加味した退職金をふんだくって帰宅した。

 リリーが他にも良い商人がいたら引き抜いてこようと思ったけど、性根の腐った奴しかいなくて残念だったのねー、と報告してくれたのでメンディサバル商会の明日は暗そうだ。


 アランバルリとエステファニアの結婚式もやりたいなぁと思ったけど、それはまだ先らしい。

 前の結婚式で叶わなかったエステファニアの希望を叶えてあげたいんだってさ。

 ラブラブだね!

 希望の一つの中に、ウエディングドレスを手作りしたい! っていうのがあって、現在アランバルリはエステファニアが望む生地を求めて、遠方へと足を伸ばしている。

 テオとチコはそれについて行った。

 男は旅をするもんだ! とチコが胸を張っていたけれど、違う世界を見たいのかなぁと思って許可を出した。

 男手が少なくてもトレントたちがいれば十分だし、唯一の男手となるゴヨはやる気に満ち溢れている点も、許可の後押しをした感じ。


 好きなことばかりして日々の生活を過ごしていたら、少々刺激が欲しくなってきた。

 チコの、男は旅をするもんだ! って言葉が脳裏に浮かぶので、どうやら自分も旅をしてみたいらしいと気付く。

 男じゃないけどさ。


 では、どこに行きたい?

 目的地は?

 もしくは目標は?

 などと思案した結果。

 穀物ダンジョンへ行きたいかも? ……となったのだ。


 留守はトリアに任せれば安心安全なので、スライムたちと一緒に行くつもりでいる。

 カロリーナもペネロペもあまり外に出たがらない性質だしね。

 思い立ったが吉日! とスライムたちに相談したんだけど……。


「いきなり穀物ダンジョンは駄目ですわ。遠すぎますもの」


 ローズに却下された。

 他の子たちも頷いている。

 アランバルリたちだって、遠くに行ってるじゃん? と主張してみたけれど、村長が村を長く空けるのはあまりよろしくないらしい。

 特にホルツリッヒ村はできて間もない村だから、もう少し周囲への認知度が上がらないと遠征は駄目なんだってさ。

 残念。


 落ち込みが酷かったらしくスライムたちが、提案をしてくれた。


「それなら近場のダンジョンへ行くといいのねー」


「穀物ダンジョンは巨大虫が多いダンジョンだから、虫に慣れておくといいのです」


「虫、だと!」


「ん! そもそもダンジョンには、モンスター化していない、普通の虫も多いのっ!」


「う! ダンジョンにしか生息しない虫も多いから、慣れておくのが無難なのよ?」


「ううううう……」


 一気に行く気が削がれてしまった。

 私はそれだけ虫が嫌いだ。

 平気な虫もいるけどね。

 友人たちに言わせると、随分耐性があるらしいんだけどさ。

 駄目な虫は、本当に駄目だ。

 名前を挙げるのも迷うほどに駄目だ。


「巨大化していると、別生物認識できたりしますのよ?」


「あとは、あれなのね。ドロップアイテムになると、形が残ってないから嫌悪感も少ないのね」


「そもそもローズの絶対防御があるので、安心なのです」


「んっ。高価取り引きされる虫も少なくないのっ」


「……うっ! お米のためなら、なんでもできるはずなのよ?」


 サイの言葉が胸に染み入るなぁ……。


「お米のためかぁ……」


「ええ、そうですわ。私たちも食べたいですわ。ジャポニカ種の卵かけ御飯」


 そうだよね。

 美味しいんだよね。

 新米は、新米としてドロップするんだろうか……。

 新米の卵かけ御飯とか……あぁ、食べたい。


 目を閉じて、ぐっと拳を握り締める。


「そう。美味しくジャポニカ種を堪能するためにも、近場の昆虫ダンジョン。インセクトに行くのねー」


「まずは、昆虫ダンジョン、インセクトについて、簡単に説明するのです」


 ダンジョン名 インセクト

 モンスター傾向 昆虫

 ダンジョン難易度 C~E

 一、二階 E

 三階、D

 四階以降 C

 全七階層 完全踏破済み


 一階 サンホシ、クワガッタン、オオカブト、タールホ

    レア ナナホシ、コカブト、グリーンレインボー

 二階 ガイラ、ガマダラ、ガシャク、アゲーハ、シロモン

    レア モルノフォ、パープルモン、ブルーアゲーハ

 三階 ベアビー、スズメビー、ハニービー、アント

    レア フラワービー、クイーンアント

 四階 ウォーターアブ、ファイヤーアブ、ダンスフライ、ニードルフライ

    レア プリンセスアブ ツェツェフライ

 五階 ソイルカーメ、ソノヒグラシ、カイザーセミン

    レア ゴールデンカーメ、グラスガメータ

 六階 オンブタッバ、イーナゴ、ブラックジー、ミートキリトリ

    レア ホワイトジー、フラワーキリトリ

 七階 トンブラック、トンスレッド、ペーパーフィッシュ

    レア オオヤンマ、トンブラッド


 下へ行くほど巨大化する。

 モンスター以外にも昆虫が多いため、虫除け対策必須。

 四階以降は、毒、麻痺、催眠魔法を使うモンスターが出るので、対策必須。

 レア種との遭遇率は低いが、出会えれば僥倖。

 ドロップアイテムは高額売却できる。

 食用種は少なめなので、踏破を目指す場合、食料は多めに持ち込むべし。


「簡単説明とはいっても、随分な親切説明?」


 危険な名前が幾つかある。

 しかも下の階層にある。

 ……今は深く考えないでおこう。

 巨大なG……。

 うん、考えちゃ駄目だ。


「きちんと準備していれば、そこまで難易度の高いダンジョンではないのねー。深くもないから、踏破するパーティーもそこそこいるのねー」


「だから情報はそれなりに出回っているのです。精査の結果、愛には親切説明になってしまったのです。ギルドではこんなに親切説明はしてくれないのです」


「あ! ギルド登録もしないとね」


 ホルツリッヒ村が盗賊村だったとき、詐欺師のオスカルが商人ギルドの登録はしてくれたはずだけど、どうにもうさんくさい。

 何しろ登録証の類いを何一つもらっていないのだ。

 たぶん、再登録というか、初登録となるだろう。

 

「テンプレに遭遇しそうですわねぇ……」


 口にすることもテンプレですよ、ローズさん。


「ん! イモジャガの虫除けの出番なのっ」


「う! イモジャガの虫除け無双ができる予感なのよっ!」


 あ、そういえばそんなアイテムも作ったね。

 他にも市場混乱アイテムがあるから全部持っていこう。

 売るのは……今のところなしかなぁ。

 アランバルリから購入した良品で通そう。


「アイテムとか食料とかは皆の収納に入っているからよしとして……装備はどうしようかなぁ?」

 

「ホワーンラビットの毛皮 フード付きマントの他は、ポークの皮装備でいいと思いますわ」


「そうなのねー。ちょっと身分の高い女性のお忍び感が出せるのねー。せっかくだから作ったアクセサリーも身につけておくといいのねー」


 これまたいろいろと引っかけそうな設定だなぁ。

 でもまぁ、どんなにがちがちの設定にしても絡まれるのは必須だから、自分が楽だと感じられる設定に限るよね。

 高貴な感じは、きっとスライムたちが演出してくれるだろう……お願いします。


「隠蔽は悪意に晒されたらかければいいかな? 偽装はどうしよう」


「ん! レベル10でさくっと相手の妄想に任せるの」


「う! 妄想に任せても齟齬は出ない、素敵な隠蔽魔法なのよ。さすがのレベル10なのよ」


 改めて聞くと怖いよなぁ、隠蔽魔法。

 例えばAさんは、私をレベル10と認識。

 Bさんは、レベル100と認識。

 で、この二人が私について討議しても、周囲を巻き込んで、その周囲も全員違う認識だとしても。

 齟齬が出ないわけですよ。

 皆自分の認識を正しいと信じて、皆と同じ認識だと疑わない。

 そもそも疑問にすら感じないだろう。

 ブラックボックスを覗いた気分になるよね。

 理系の知人とかに、あり得ないと詰め寄られそうなファンタジー感だ。


「あ、そうだ! 皆はしゃべれない設定にしておく? 最近普通に話していたからすっかり忘れてたよ!」


「ソロ活動でしたら、私たちを特別なスライムだと認識させると利が多いと思いますわ。大切な会話は今まで通り念話ですればよいでしょう?」


 村の皆も違和感なく接してくれているから、すっかり忘れていたわ。

 世間でのスライム評価は、最低レベルなんだった。

 子供のレベル上げにぐらいしか使えないって信じられているんだよね。

 冒険者なら、特殊個体の知識はあるみたいだけどさ。


「了解。他に確認事項はあるかなぁ?」


「あとは気になったら随時確認でいいと思うのです」


「ん! 早速、皆に報告に行くの!」


「う! 明日には行くのよ。準備は完璧にしておくのよ。愛の装備も任せてなのよ」


 初めてのダンジョン攻略、しかも昆虫ダンジョン。

 不安は多くあるけれど、スライムたちが一緒なら何の問題もないだろう。



 意気揚々と皆に、ダンジョンに行く旨を報告したのだけれど。

 トリアとペネロペに、自分たちも一緒に行く! とごねられてしまう。

 上手に宥めるのには、想定以上の時間がかかってしまった。





 喜多愛笑 キタアイ


 状態 心身ともに良好  


 料理人 LV 4 


 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

     治癒魔法 LV10

     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)  

  

 ムーンに掲載する予定の作品が、やっとこさ形になってきました。

 どれだけ校正にかかったんだろうかと!

 年明けから一日一話更新で全16話で楽しんでいただける……はずです。


 次回は、まずはギルドで登録を。(仮)の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 引き続き宜しくお願いいたします。

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