オリジナルな攻撃魔法ですよ!
書き始めた頃より、ストックができないなぁ? と思っていたら、文字数が凄い事になっていました。
やれやれ。
改めて3000~4000文字でまとめようと誓いました。
夢の中で一生懸命攻撃魔法を模索していた。
「これだっ!」
がばっと飛び起きると、身体の上で寝ていたらしいスライム達がぽいーんぽいーんと飛んでゆく。
「……寝起きが悪いのねっ! 気を付けなさい!」
「ご、ごめんよぅ」
「何が『これだっ!』なのです?」
「あー。オリジナルな攻撃魔法をずっと考えてたんだー。で! 夢の中で浮かんだわけですよ!」
握り拳を作って力説する。
膝の上へ飛び乗ってきたモルフォが首? を傾げた。
「んっ? 愛はまたオリジナル魔法を考えるつもりなのっ?」
「う! むしろオリジナル魔法しか会得できていないような気がするのよ?」
サイにも相槌を打たれてしまう。
まぁ確かに、オリジナル魔法をばんばん会得している自覚はある。
ただ、なんというか、こう。
攻撃魔法っていうと、オタクが妄想する典型的魔法な気がして、ついつい気合が入ってしまったのだ。
「で? どんな魔法なのね?」
「ふっふ。聞いて驚かないで下さいまし! 命止魔法と名付けました。生命活動を止める魔法なのです!」
今度は胸も張ってみた。
しかし、スライム達及びルンとピュアの反応は冷ややかだった。
「……凄い魔法を考えたのねー。 愛と書いて鬼畜とルビをふってさしあげるのねー」
「んっ! 考える人はいると思うのっ! でも実際会得はできないはずなのっ! でも愛だからできる気もするのっ! 愛だから!」
「愛? 少しは自重なさいね!」
皆容赦なさ過ぎる。
確かに厨二病を深く長く患っている自覚はあるけれども。
「イメージは固まったから大丈夫だと思うんだけどね……」
愛自身にも、スライムにも見える生命力の揺らぎ。
ルンとピュアにも見えたが、その揺らぎはどこか不自然で人工的だ。
この生命の源に間違いないと思う揺らぎを見るスキルは、何か名称があるのだろうか?
『スキル 危険察知を会得しました。危険察知はスキルのレベルは0です』
あ。
疑問に思うと認証できるんだ?
たまたま?
そして、レベルが0とか新鮮。
危険がないからかしらん。
「危険察知の詳細はこちらなのです」
危険察知 気配、生命力を察知できるスキル。
一般的にはレベル5までとされているらしい。
レベル4でもかなり希少。
レベル1 自分より弱い存在の気配が察知できる。
レベル2 自分と同程度存在の気配が察知できる。
レベル3 自分より強い存在の気配が察知できる。
レベル4 全ての存在の気配が察知できる。隠蔽&偽装看破。
レベル5 生命力の揺らぎ(オーラのようなもの)が見える。
揺らぎがないものは、生命体ではない。
また、創造物は揺らぎが弱い。
アンデットも揺らぎが弱い。
レベル6 生命力の状態が見える。
元気だと揺らぎに赤みが強い。
問題があると揺らぎに青みが強い。
レベル7 生命力の詳細が見える。
憑依、呪詛他、害が及ぶ可能性のある状態が表示される。
その場合の揺らぎは黒一色。
レベル8 寿命が見える。
レベル9 生命に危険が及ぶ未来が見える。
自動発動につき、会得後は十分注意すべし。
HP、MP、SPの数値が半分になる。
レベル10 未来が見える。
HP、MP、SPの数値が1になる。
使用注意。
「ふぉ! 危険察知のスキルなのに未来予知がでたよ!」
「完全に危険を回避できるからねー。有り得る話なのねー」
「……寿命が見えるとか地味に怖いじゃない!」
「う! ローズ? 地味じゃなくて、かなり怖いのよ?」
「ん。未来が見える代償は大きいのっ」
「愛の場合、予知は必要ないと思うのです。私達が付いているのです!」
サクラの言葉と同時にスライム達に、すり寄られた。
ルンとピュアも足元で自己主張している。
何時でも何処でもどんな状況でも皆の可愛さは完璧だ。
その健気さは大変に気高く、嬉しさも極まるというもの。
「じゃあ、久しぶりに外へ出てみますか。危険察知能力が早く育つといいなぁ」
「ん。だからと言って、いきなり強い敵とあたるのは問題あるのっ」
「ええ。私が厳選してさしあげてよ! ……ホワーンラビットが妥当だわ」
「う! 特殊攻撃がないし、HPも低いから」
「低レベルなモンスターだけど、料理に使える食材も、加工できそうな資材も十分取れるのよねー」
「そういえば、愛。武器はどうするのです?」
「はっ! 忘れてた!」
魔法に萌え萌えし過ぎていたらしい。
後はあれだ。
スライム達が優秀過ぎた。
ローズの絶対防御があるので、攻撃なぞ届かぬわ! ふはははは! 近くに寄せぬうちに魔法で殲滅だぁああああ!
な、感じのテンションだったと想定する。
うん。
すみません。
まるっと忘れていました。
武器防具を整えるなんて、RPGの基本中の基本だというのに!
「ん。それらしく杖でも持てば良いの」
「う。これでどうなのよ?」
サイが身体の中から出してくれたのは、魔法使いが持つ杖の様な形をした木の棒。
サクラ鑑定は、
ヒノキの杖?
ほんのり良い香り。
お風呂では垢落としにも使える優れもの!
誤って打撃武器として使うと、三回で壊れるので要注意。
魔法との相性は良く、攻撃力が1~10%上昇する。
「初心者魔法使いには十分だね。っていうか、使う人いるのかしら? 垢落としとして」
「お爺ちゃんお婆ちゃんな魔法使いは、重宝していると噂なのねー」
「そうなんだ」
私は杖を握り締める。
いい感じに手に馴染むし、木の香りが気持ちを落ち着かせてくれた。
初戦闘に盛り上がり過ぎて、迂闊モードになりかけていたのでちょうど良い。
「では、モルフォさん。直近のホワーンラビットまで案内をお願いしますわ」
「私はお留守番するのねー。毛皮に傷一つついていない、ホワーンラビットの毛皮を楽しみにしてるのねー」
ハードルを上げてくれるのは、スパルタなリリーさんらしいですね、ええ。
行ってくるねーと、リリーに手を振って久しぶりに洞窟の外へ出る。
強すぎない日差しと穏やかな風が心地良い。
地球よりは絶対空気が澄んでいる……気がする。
「ん! ホワーンラビットは群れているから、はぐれを捜したのっ!」
歩く事数分で、モルフォが停止の指示を出す。
隠蔽魔法も使ったので、気配を悟られることもなく、数メートル先でホワーンラビットが飛んでいる姿が見える。
危険察知のスキルはレベル10以外、自動発動らしい。
『スキル 危険察知のレベルが上がりました。危険察知のレベルは6です』
「うん。元気いっぱいだわ」
一気にスキルレベル急上昇したと思ったら、ホワーンラビットを包み込む揺らぎが、鮮やかな赤色に変化した。
「心置きなく魔法を構築しなさいっ!」
「うん。頑張るよ!」
ホワーンラビットを凝視して、揺らぎをまとめる様子をイメージする。
揺らめきが大きく波打って、ゆっくりと1点に集まり出した。
びっくりしたように跳ねたホワーンラビットが、きょろきょろと周囲を見回す。
揺らぎが丸く纏まったところで、今度は小さく握り込むイメージ。
ホワーンラビットがその場で、ぐるぐるぐるぐると狂ったように回り始める。
最後に跡形もなく握り潰すイメージ。
実際利き手を握り締めていた。
頭の中で、ぽん! と小気味良い音がする。
ホワーンラビットは、ばったりと倒れて、数秒痙攣して後に、絶命した。
「完全に死亡したわね。良くやったわ!」
「ん。初戦闘完璧勝利おめでとうなのっ!」
「う。早速解体するのよ」
サイが取り込んで解体している最中に、魔法会得の表示がある。
『スキル 命止魔法を会得しました。命止魔法のレベルは1です。尚、命止魔法は愛専用魔法となります』
あれ?
魔法のアナウンスってもしかして初めて?
何かのスキルが上がったのかしら。
生活魔法とか?
まぁ、別にいいんだけども。
「鑑定結果です」
「ありがとー」
命止魔法 命を止める魔法。愛専用魔法。
どんな生命体の命をも瞬時で奪える魔法にまで成長する予定。
レベル1 1体を30秒で命止。
ただしモンスター階級Eのみ。
レベル10まで。
レベル2 同種5体までを1分以内に命止。
ただしモンスター階級Dまで。
レベル20まで。
レベル3 同種体全てを3分以内に命止。
ただしモンスター階級Cまで。
レベル30まで。
レベル4 複数種3体までを5分以内に命止。
ただしモンスター階級Bまで。
レベル40まで。
レベル5 複数種10体までを3分以内に命止。
ただしモンスター階級Aまで。
レベル50まで。
レベル6 階級Cまでを即時に命止。
B、Aは1分以内に命止。
レベル100まで。
レベル7 階級Bまでを即時に命止。
ただしモンスター階級Sまで。
Aは30秒以内、Sは30分以内に命止。
レベル500まで。
レベル8 階級Aまでを即時命止。
ただしモンスター階級SSまで。
Sは15分以内、SSは1時間以内に命止。
人であればレベル関係なく。
レベル9 階級Sまでを即時命止。
ただしモンスター階級SSSまで。
SSは30分以内、SSSは1時間以内に命止。
モンスターでもなく、人でもないモノも命止可能。
ただし、種族による。
レベル10 命がある者ならば、即時に命止。
注意!! 亜種、ユニークなどは、階級が1ランク上とされているので、遭遇時には気を付けるべ し。
ひぃいいい。
文章にされるとリアルさがよく伝わってくるわ!
レベルが低いとはいえ最初から人が殺せるとか、我ながら病んでいるというかなんというか。
モンスターでも、人でもないって、神とか悪魔とか、そういうのなんだろうか。
聖獣とか幻獣とかは、ぜひとも仲良くなりたい。
特にもふもふ。
スライム好き的には、まるっとして、つるっとしているものも良い。
「さすがは愛ね! えげつなさ! 100%だわ!」
「絶対防御があるから、すぐにレベルが上がらなくても良いと思うのです」
「ん! でも目標は常に高くなのよっ!」
「う! 最終的には全て瞬殺のレベル10を目指すのっ!」
「神殺しはなぁ……どうだろうなぁ……」
この世界へ転移させたのが神なら、感謝しているので敵対したくない。
向こうがするというなら、対抗手段を覚えるのは吝かでもないけれど。
「さて。取り敢えず、もそっと命止魔法のレベルを上げるとしますか?」
「「「「おー!」」」」
マップを展開すれば、モルフォが一番戦いやすい相手を指示してくれる。
目的間までの移動中は良さそうな素材を採取するのも忘れない。
知らない敵に対しては、事前にサクラが鑑定で弱点などを教えてくれた。
幾度か攻撃を受けたのだが、ローズの絶対防御のお蔭で髪の毛一筋、切られるどころか揺らぎもしない。
大量に入手できた素材は、サイの完璧解体のお蔭で無駄がないエコ仕様の素晴らしさ。
レベルアップ含め、リリーとルン&ピュアになかなか良い戦果を報告できるねーと喜びつつ、帰途についた。
喜多愛笑 キタアイ
料理人 LV 2
スキル サバイバル料理 LV 3
完全調合 LV10
危険察知 LV6
生活魔法 LV 5
洗濯魔法 LV10
風呂魔法 LV10
料理魔法 LV11 上限突破中 愛専用
掃除魔法 LV10
偽装魔法 LV10
隠蔽魔法 LV10
転移魔法 LV∞ 愛専用
命止魔法 LV3 愛専用
ユニークスキル 庇護されし者
庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化
今回から文章の最後に、愛のステータス表記を入れる仕様にしました。
がんがん増えてゆくのは最初だけになりそうですが。
仲間はスライム以外に増えたら、その都度表記にしようか、登場人物一覧を作ろうか検討中です。
また、料理描写を多めに入れたいので、しばらくは1話料理、1話それ以外で交互に書いていきたいところです。
ということで、次回は料理回。
何を作ろうかなぁ……。
メインが決まると早いんですけどね。
お読みいただきありがとうございました。
引き続きお付き合いいただけたら嬉しいです。