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可愛い子たちと出会えました!

 新作です。

 これ以上は増やさず、三作品を週一のまったりローテーション更新で完結目指して活動していきます。


 今回は、異世界トリップ(大好物です)でスライムと主人公がチートもの。

 小説を読もう、で最初に読んだのが、スライムが主人公の作品だったんですよね。

 それ以降ずっと書きたいと思い続けて、やっといけるかなぁ? というところまで練り込んだので、書き始めました。


 あらすじにも書きましたが、ボーイズラブ妄想描写や、残酷な描写(どこまでが残酷なのか迷いますよね)が、さらっと出てくる場合がありますので、くれぐれもご注意ください。

 前書きには見落とさずに書くようにしますが、万が一見落としてしまった場合は、そっと囁いていただけるとありがたいです。



「知らない天井……どころじゃないわ!」


 目を開ければ映り込んだのは青空。

 綿菓子にしか見えない雲が三個ほど浮いている。


「っていうか、私はー。外で寝る趣味はないんですけどー。夢遊病の気もないんですけどー」


 口を尖らせて愚痴る。


「夢じゃないよねー。だっていい感じに涼しいもんねー。風が気持ち良いですとも、ええ!」


 現状把握をしないと! と、勢いつけて飛び起きれば、何かがぽいーんぽいーんと飛んで行った。


「そういえば何となく……体のあちこちが、ぽにょぽにょしたもので気持ち良かった、ような?」


 首を傾げながらも周囲を見やる。

 どこまでも広がる草原の中で大の字に寝ていたらしい。

 夢としか思えないよね。

 ええ、思えません。


「ふ。基本ぼっちだから一人上手には慣れているけど……ね?」


「ね?」


 は?

 返事が返ってきた!

 幻聴ですか!

 幻聴ですね?

 なーんだ!


「ね!」


 所々にある草の山みたい場所から、ひょっこりと顔を出したそれ。

 ゲーム好きなら知らない人はいないだろう有名モンスター。

 ちょっと崩れた玉ねぎ型だと特に、初心者にも優しい奴だと思いますね?


「スライム、ですか?」


「ねっ! ねっ!」


「お、おうふ!」


 真っ白いスライムがぴょーんと膝の上へ飛び乗ってきた。

 さらには肩まで登ってくる。


「ねー! ねー!」


 肩に落ち着いたスライムはつぶらな瞳で私を見たと思ったら、草山に向って叫んだ。


「なんですとぅ!」


 スライムより大きい声を出した私を責めないでほしい。

 草山の中から、カラフルなスライムたちが次々と飛び出してきたのだ。


「ちょ! ま! あ! らめぇ! じゃなくて! ……うわぁ……気持ち良すぎるわぁ……」


 どうやら敵意は全くないらしく、スライムはそれぞれ自分が気にいっていると思わしき場所に収まった。

 取りあえず掌の下に滑り込んできた桃色をしたスライムを撫ぜくり回しておく。

 絶妙な弾力が何とも掌に心地良い。


「えーと? あれですか。ラノベ鉄板ネタの異世界トリップですか」


「ね!」


「……もしかして、言葉が理解できる?」


「ね!」


 声を出しているのは白スライムだけだが、他のスライムもぴょんこぴょんこと飛び上がっているところを見ると、どうやら意思の疎通は可能なようだ。


「どこまでぬるっと設定かはわからないけど……貴方はリリーで! 白いからね。百合から取ってみました」


 伊達にラノベを主に無料で読みまくってはいない。

 こういう場合は、名前を付けると仲良くなれるのだ。

 いきなり従属させても怒らせることはないだろう。

 ここまで懐いてくれているのだ……信じてるよ?

 緩いに違いないシステムを!


『名づけにより、ユニーク個体・白スライムが庇護者となりました』


「ちょっと、待て! 私が庇護するんじゃなくて、庇護される側なんかい! いいけど! いいけどさー。何かこう? 違う気がするよ……」


 スライムに庇護される自分。

 どれだけ駄目人間設定なのか。

 や。

 実際駄目人間だとは思うけど。

 崇高なる貴腐人だしね。

 何のとりえもないスペックは極々一般仕様だしね。

 っていうか、ユニーク個体とか凄いんじゃない?

 スライム最強説が、今! 始まったのかしら?


「わーい。ありがとうねー。私はリリーなのね? 今後ともよろしくねー!」


 スライムの言葉が流暢になった。

 口調からして女の子だろうか?

 というか、スライムに性別はあったのか!

 驚きの現実だ。


「良かった……ぬるい設定で良かった……言葉が通じるって本当に有り難いよね……」


 肩から降りてきた白スライム・リリーが桃スライムと位置を変える。


「まずは、全員に名前を付けてもらってもいいのね? んーと?」


「ああ、ごめんね。私の名前は喜多愛笑≪きた あい≫だよ。笑っていう漢字がいらなかったとか、今でも思うよー」


 早くに亡くなった両親はどれだけ私が苦労したか知らないだろう。

 生きていたら絶対『笑』だけを取るとか、いっそ改名とかしたね。

 ……だけどねー、何かこう、さ。

 形見のような気がして、できずじまいだったんだよねー。

 喜びが多い中で、愛し愛されて笑いが絶えない生活が送れるように……そんな想いを込めて一生懸命考えてくれたんじゃないかな? って思えたのは、結構いい年になってからだったけどさぁ。

 

 苛めてくる奴等に、そんな話をしたら大体が、ごめんとか謝ってきて反省するパターンが多かったし、反省しない奴等は物凄い勢いで弾劾されたからさ。

 痛し痒しってだよね? って指摘されたら、そんな感じかも? ってなる仕様。

 まぁ、メンタルは強くなったよ。


 引き取ってくれた母の妹に該当する人は、自分の子供と洒落にならない格差をつけはしたものの、義務教育中は最低限親の役割を果たしてくれたから、所詮血のつながりなんて、そんなもんよね? と思えたものです。

 濃くはなくとも血の繋がっている相手に拒絶されても挫けなかったのは、全く無関係な老若男女問わずの苛めめいた同情とか何かで神経太くなっていたお蔭といえる……かもしれない。

 その逆もしかりで!

 うん。


「じゃあ、愛って呼ぶねー?」


「OKです」


 売れるかどうかはさて置き、本が出版できるレベルには不幸だと思うけど、それもこの子たちに会うための布石だったのかと思えば、痛みは格段に軽減されたね。


「私たちは、愛を守るために生まれたユニーク個体なのねー。なんで生まれたーとか、誰が画策したーとかは分からないけどねー。誰かを守るために生まれたモンスターは他にはいないみたいだから、誰にも言っちゃ駄目なのねー?」


 変則的なチートなのだろうか。

 ここは素直に頷いておく。

 そもそも人間と積極的にお付き合いをしたいなんて微塵も思わないし、自分の個人情報をばらまく趣味もない。


「それじゃあ、名づけの続きを行くよー。桃色の子がサクラね。故郷で大好きな木の名前だよ。花の色が綺麗なんだよね。赤い子はローズ。高貴とか情熱とかそんな意味がある花の名前。青い子はモルフォ。羽が凄く神秘的な蝶々から取ってみました。緑の子はサイ。頭にぱっと浮かんだんだけど、大丈夫?」


 サイはぴょんと跳び上がってから、身体を紐状にして腕に絡んできた。

 かなり気にいってくれたんじゃないかしら?


「ん? 話ができるのはリリーだけ?」


「名前と能力が確定すれば、皆それなりに話をするのねー。基本的には、スキルのせいもあって私が一番お喋りなのねー」


「力! 欲しい! 何! 望む?」


 早速肩に収まっていたサクラが訴えてきた。


「んーと? 能力の条件付けができるってことかな?」


「そうなのねー。私には最初から言語超特化と極情報収集の能力がついてるのねー。この世界での全ての言語が理解できるのねー。同じくこの世界の全ての情報収集が可能なのねー」


「おお! まさしくチート!」


「一般常識とかも囁くから安心するといいのねー」


「宜しくお願いします」


 深々と頭を下げた。


「私も! 力!」


 サクラの主張が激しい。

 ローズは興味ありませんよーという感じで、聞き耳を立てている風合い。

 モルフォは真っ直ぐに私を凝視している。

 サイはちらちらと様子を窺う感じ。


「何かオススメの能力はある?」


「……鑑定超特化、絶対完全防御、地形把握特化、解体超特化があると便利だと思うのねー。愛は料理の腕前はどうなのねー?」


「あ、得意。和洋中華世界各国料理から、デザートまでのフルコースも作れるよー。趣味だったんだよね。食べさせる相手がいないのが残念だったけどさ」


 それなりの量を作った方が経済的だからね。

 リメイク料理のレシピもかなり充実している自信があります。

 サバイバル料理だって経験済みですとも。


「じゃあ、料理超特化はいらないのねー」


「そしたら、サクラは鑑定超特化でお願い」


『名づけにより、ユニーク個体・桃スライムが庇護者となりました。唯一能力・鑑定超特化を覚えました』


 おお!

 リリーのときと、ちょっと違う。


「ローズは絶対完全防御で……」


『名づけにより、ユニーク個体・赤スライムが庇護者となりました。唯一能力・絶対完全防御を覚えました』


「モルフォは地形把握特化にしてもらって……」


『名づけにより、ユニーク個体・青スライムが庇護者となりました。唯一能力・地形把握特化を覚えました』


「サイは超解体特化でよろしく!」


『名づけにより、ユニーク個体・緑スライムが庇護者となりました。唯一能力・超解体特化を覚えました』


「っていうか、唯一能力なんだね……」


「そうなのねー。劣化版の能力は存在するけど、愛より性能の良い能力を持つ人間はいないのねー

 人間はいないってことは、それ以外の生命体では存在するのかしらん?


「種族によって強い能力は存在するけど、愛を凌駕する生命体はいないのねー」


 チートだ。

 チートがすぎる。

 スライムたちがね。


「違うのねー。愛を守るための私たちだから、愛が強いんだねー。愛がいなかったら私たちは存在すらしなかったんだよねー。ねー?」


「「「「ねー!」」」」


 ああ、未だかつてこんなに愛されたことがあったろうか。

 いや、ない。

 しかし、素で心を読んでくるよね。

 別にいいけどさ。


「くぅ! 皆可愛すぎる! せめて美味しい料理を作りたいわ!」


「私たちにはちゃんと味覚があるのよねー。一番のグルメはローズなのねー」


「グルメなのよ!」


「よし! じゃあ、早速何か作ろうか!」


 は! 

 でも、材料がない。

 残念ながら異世界からは、着ている物以外何一つ持ち込めなかったようだ。


「それじゃあ、皆の能力の確認をしながら、材料を探すといいのねー」


「了解! それじゃあ、皆宜しくね!」


「「「「「ねー!」」」」」


 リリーまで揃って賛同してくれた。

 見た目も可愛いし、ハイスペックだし。

 何より自分を慕ってくれる。

 本当、この子たちに出会えて良かったわー。

 ぷにょぷにょ最高だわー。

 異世界来て良かったわー。


 どこぞの誰が画策したのかは知らんけど、そこの所は一応感謝しておきます。

 ありがとうねー。


 あ。

 リリーの口調がうつったわ!



 まずは、スライム達との出会い編。

 今の所、現在地&能力把握の回、ご飯作りの回、薬作りの回、魔法習得の回、戦闘の回あたりまでは、曖昧設定ができています。

 村に足を踏み入れるのは、その後ぐらいですかねぇ……。

 冒険者ギルドで絡まれるテンプレとか早く書きたいものです。

 

 次回更新は7月22日予定です。

 遅れる場合は活動報告で囁きます。

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