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声(ジャンル:詩?)
いつからそうして生きてきたの?
響いては落ちていく音に嫌気がさしちゃって。
君は言葉を閉じ込めちゃったんだね。
人の心が見えればいいのに。
そうすれば、声なんて必要としないのに。
君は拗ねたようにそう言ったね。
確かにそうだね。 他人の気持ちが見えれば言葉なんていらない。
でもね、だからこそ。 人の心が見えないからこそ、神様は僕らに声を与えたんじゃないかな。
見えない心が、見えない気持ちが。 沈んでしまって暗闇に紛れても。
また、光を浴びれるように。 言葉を用意したんじゃないかな?
それがたとえ他人への優しさでも、我慢しているのだとしても。 言葉にしなければ見えないよ? だから…………
君の声が届くまで。耳を澄ませてここにいるから。
君の声、必ず掴んで受け止める。
君の声が聞こえるように。 耳を澄ませてここにいるから。
君の声、必ず掴んで離さない。
君の声が届かなくなるまで、僕はここで待ち続ける。
だから…………
君の心から今にも零れそうな雫。 瞼の裏に逃げ込んだ涙を、僕には見せていいんだよ。