予約待ち(ジャンル:恋愛?)
「また振ったらしいよ」
「マジかよ、今月もう何人目だよ⁉︎」
君って人間と話すには、どうやら予約が必要みたい。 それも2、3日じゃない。 予約殺到半年待ちくらいの勢いだ。
みんな口を揃えて言うんだ。 校内一の美少女だと。 才色兼備、容姿端麗、難しい四字熟語で君を例えてる。 僕から見れば、君は至って普通の女の子なのにね?
そんな君も一人しかいないわけで。 つまり、君の彼氏と言う存在になれるのも一人だけなわけで。 そんなわけで、校内の男子生徒は皆声を上げるのだ。 君と付き合うのは、自分しかいないと。 なんて君のことを考えてない発言だろうね。 さしずめ君は、次々と運ばれてくる料理を一品一品味見して、良いか悪いか判断しなければならない。
君の意思ではないから、なおさら辛いよね。でもそれは断ってはいけないよ? 人からの好意は受け取らないと失礼だよ。
そんな君と、昔からの知り合いの僕。 もちろんその予約争いには……… 参加していません。 だってさ、周りの男子を見ていると。 皆視野が狭いなぁ、と感じるんだ。 一人しかいない君を皆で追いかけてさ、他にも素敵な女の子はいるはずなのに見落としてる。 それは失礼ではないかな? だから僕は君に予約しない。 予約待ちなんて面倒だしね。
それに…………
「あ! あ、あの、ひ、ひ、久しぶりに一緒! か、帰りませんか⁉︎」
「ダメだよぉ、まだ君には予約がたくさんあるんだから」
「うぅ………」
「まぁ、だからーーー」
君への予約が全部なくなったら、ね?
僕ってとってもズルいんです。