揺れる貴方に愛をこめて
小さな田舎町から田舎町へと走る、二両しかない小さな電車。線路のまわりは田んぼと畑。
代り映えのしない風景の中、小さな電車は進んでいく。
そんな電車に乗っていた、私の目に飛び込んできたのは、たくさんのヒマワリ。
最初は、ひとつの畑に、作物の代わりにゆれている黄色が見えた。
そしてそれが近くなれば、もうひとつ、もうひとつ、と飛び込んでくる明るい陽だまりの色。
ただ揺れる電車に身を任せ、外を眺めていた私の目には、それはとても美しく見えた。
誰にも縛られる事なく、誰にも決められた道ではなく、ただ一身に太陽の光を浴びる為に揺れる花。
でも、そんな事はないのかもしれない。
彼らか彼女らか、それはわからないけれど。
畑に植えられたのはヒマワリの意思ではないのだから。
ガタンゴトン。
速度のそれほど早くない電車が、ヒマワリの畑を通過する。
電車の両サイド、電車の風を受けて美しく揺れるヒマワリ達。
もう少し、速度を落として通り抜けてほしい。その願いは叶わず、電車はヒマワリを抜き去った。
少しでもヒマワリを見ていたい私は、車窓からヒマワリを目で追いかける。
でも、そんな事をしてるのは、私ひとり。
小さな電車の数人の乗客は、手元の時間に夢中で、誰もヒマワリには目を向けない。
太陽を追うヒマワリ。それを追う私。そして、うつむくヒマワリをしらない人達。
小さな社会がそこにあるような気がして、そんな考えもおかしいねと、一人笑った。
今はまだ太陽を見つめるヒマワリのようにはなれないけれど。
どこにいても、ヒマワリのように上だけをみつめて歩けたらな、と思う。
ガタンゴトン。
そんな、小さな電車の小さな出来事。




