ぶっとばせ!俺の退屈
俺は、高校2年生。
何事にも退屈する人生を送っていた。
別に、虐められている訳でもない。
友達がいない訳でもない。
俺にとって友達=つるみ仲間・・・の方式が成り立っているのは、置いておくが。
あぁ、退屈。俺が日々抱く感情。
「遊びに行こうぜ!」
そう言う、つるみ仲間。
つるみ仲間の遊びは、煙草を吸う、お酒を飲む、たむろするの3つが基本だ。
まだ、そんな年齢に達してないのは、見逃してくれ。
・・・・皆が通る(偏見はあるけどな)道だし。
だが、俺はいつもそれを断る。
・・・・イヤ、だって非行に走る気はねーし?
何故か?
金が勿体ないだろ!(学生だぞ、学生)
まぁ、だからいつも『じいさんっぽい』だの『付き合い悪い』だの『傍若無人』だの『唯我独尊』だの、好き勝手言われるんだろうな・・・。
でも、最後のはおかしいだろっっ!
そんな振る舞いした気はねーよ。
俺をよく知る友人いわく「お前、全部自分の理論に基づいてしか動かねーからな。んで、意外と真面目だしな」と微妙な顔して言われた。
本当に失礼な奴だなっ!
まぁ、こんな俺だけど、日常には退屈していた。
ただ勉強して、話して。それだけ。
だから俺が始めたのは、夜の街をブラブラと歩くこと。
ただブラブラと歩く(別名夜散歩)。
あ、一応PM12時までな!
朝は苦手だから、朝歩き(別名徘徊)はしない。
友人に話すと、苦笑しながら「お前らしーな・・・うん。」と言われた。
ーーーなんか、納得しがたいんだが?
ま、いっか。
ブラブラ、ブラブラ・・・歩く。
ボーっと歩いていたせいか、裏道に入りこんでしまった。
そこで聞こえる男の声。
「なぁ、いいだろ?」
その後に女の声。
カップルの喧嘩か、そう思った。
夜の街を歩くと、ほぼ毎日聞く会話。
いつみは、興味がないのと関係ないので通り過ぎる。
しかし今日は、関係はなかったが・・・興味があった。
「いやだ、と私は言っているわ」
喧嘩してるにしては凛とした声。
「大体、勝手な都合に巻き込まれるのは、御免なの」
彼女の言葉から、男はナンパをしたのだろう。
にしても、気になる。いや、あそこまでキッパリ断るのも珍しいからな。
何事にも無頓着をモットーにしている俺だが、少しのぞいて見ようという気になった。
暗くて、顔はよく見れなかったが、スタイルはよさそうだ。
「あ?誰だ、テメェ」
あ、見つかった。
男の声は、一人だったが、よく見ると複数。
武器やら、なんやら持っていた。
(武器の鉄の部分は、異様に光っていてわかる)
「テメェ、聞いてんのか!」
いきなり殴りかかってくる。
まぁ、避けたけど・・・そして10分後。
「凄いのね・・・無気力そうだったけど」
初めて見た人にも、見抜かれたよ。俺の無気力。
あ?なんで俺が不良と言われる奴らを倒したかって?
それは俺が、元ヤン?だから。
?が付くのは、非行には一切走らなかったから。
つまり、喧嘩だけした。
煙草にもお酒にも入らずに。
「なんか、間違ってるだろう」とは友人の言葉。
まぁ、その喧嘩っつうのが、かなりヤバいーーーと思う。
売りまくった、買いまくった。
それこそ、暴力団相手に。
ーーー今、普通に『退屈!学校生活』を送っている(送れている)のは、喧嘩をするさいは、俺だとバレないように細心の注意
を払ったのと、高校入ってからは、一切喧嘩を辞めたからだ。
それはさておき・・・。
「まぁ、ありがとう。お礼を言っておくわ」
あんまり、感謝されてない言い方だった。
「一人?あ、誘う気はないけど」
気になったので聞いたが、あんな不良と同じことはされたくなかった。
「ええ・・・・私、先日引っ越してきたの。前のところで夜に町を歩くのが癖になって。歩いてみたんだけど・・・巻き込まれたわ」
うんざりした声だった。
「家に帰るまで、何人に巻き込まれればいいのか・・・」
どうやら、さっきのだけじゃないらしい。
「ふ~ん・・・ここから近くなら、送って行こうか?俺がいたら、巻き込まれないと思うけど」
そう言うと、彼女は眼を丸くした。
「まぁ、PM12時までには家に帰りたいから、途中までになるかもだけどね」
「・・・・家、厳しいの?」
「ん?いや、一人暮らし」
「一人暮らしなのに、12時まで?」
・・・・何故か、皆に同じことを言われる。
「明日学校あるし、早起きは苦手なんだよ」
「彼方、変って言われない?・・・私はそう思うわ」
「まぁ、俺に対する評価はいろいろと・・・で、家どの辺?」
そう答えながら、ハッキリとした物言いをする人だと思った。
「・・・私の家、此処の近くだから、一人で帰れるわ」
「ん・・・そっか、んじゃまぁ、気をつけて」
そう言って、もう会うこともないだろう、と彼女の顔を見ようとした。
ーーー月明かりでちょうど見えた、その人。
やはり、スタイルは良かったが、そんなことよりも髪に目がいく。紅蓮の髪が腰まである。
サラリと、ストレートだが、手入れが行き届いている。
フワリとした印象を受ける髪。
身長は、高め・・・といっても高すぎず、体重は標準ぐらいだろう。
なんというか、整ったバランス・・・だ。
顔も、全部を総合して美人・・・だ。
「・・・どうかした?」
オマケに、口調まで大人っぽい。
「いや・・・そう言えば、名前は?」
「・・・・名前?琴葉よ・・・あ、助けてくれてありがとう」
そう言うと、また見えなくなった。
ドクン、となるこの心臓はなんだ?
ーーー可能性を一つだけ、知っているが。
そんなもの、認めるか。
「あ、ヤベッ、もう11時45分」
そう呟いて、また自分も家に戻る。
次の日になり、転入生が来るーーーはずもなく。
俺はまた今日も、退屈な日々を過ごす。
ただーーー毎日が(正確には夜が)少し楽しくなったのは、誰にも言わない、俺だけの秘密だ。
正解はどれ?
①オチがない ②最初の前フリ、関係ない ③なにを主題に書いてるのかハッキリしない
答え→全部正解。
それはともかく。
えっと、ここまで読んでくれてありがとうございました^^
楽しんでいただけたら、うれしいです。