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誰そ彼  作者: 冬華白輝
5/11

理科室のガイコツ


5,理科室のガイコツ


「かずぅ・・・」


 扉の前でしゃがみこみ、しずくはしばし呆然とする。


「・・・探さなきゃ。・・・かずを、助けなきゃ・・・」


 ゆっくりと立ち上がり、しずくは必死に七不思議を思い出そうとする。いつもクラスメイトが面白半分に語っていた七不思議。かずは怖がりだったため、いつも倒れるんじゃないかと心配するほど真っ青になっていた。


「理科室・・・に一つあったわよね」


 しずくは決心すると、理科室へと走り出す。しずくは気づいていなかった。まだ夕方だというのに、人の声がまったく聞こえないことに。




 理科室の前まで来ると、しずくはごくりとつばを飲み込む。


「た、確か・・・ガイコツがどうのって話だった気がするけど」


 しずく自身、七不思議に興味などなく、あまりにもかずがおびえるために、ろくにクラスメイトの話を聞いていなかったのだ。


 理科室の扉に手をかけ、ガラッと勢いよく開け放つ。


「出て来い!ガイコツ!!」


 叫んでみるが、しーんとした理科室の中で、ガイコツが動き出す気配も無い。


「・・・ガイコツが何だったっけ?あ~!思い出せない!!」




― カタカタ・・・


「!?」


 かすかな音が聞こえ、しずくは耳をすます。


― カタカタカタ


 今度ははっきりと聞こえる。しずくは音の聞こえるほう、理科準備室へと向かう。


「・・・ひっ!!」


 準備室の扉を開けると、そこには、目のくぼみが青白く光り、カタカタとうなずくガイコツがいた。しずくは思わずひきつった叫びをあげ、扉にしがみつく。


― カタカタカタカタ・・・


 ガイコツはうなずくのをやめ、今度はしずくの方を向き、来い来いと手招きする。


「・・・な・・・なによ、かずの居場所を教えてくれるの?」


― カタカタ


 しずくの言葉に返事をしているのか、カタカタと再びうなずくガイコツ。


「ど、どこにいるのよ!」


 あまりの不気味さに、腰が引けているが、しずくはなんとかガイコツと向かい合う。


― カタカタ・・・カタカタカタカタカタカタカタカタ!


「ひっ!!・・・もう~なんなのよ~!!!」


 泣き出しそうになりながらも、しずくはガイコツの言わんとしていることに気づく。


「ひきだし?」


 ガイコツが一生懸命にさしていたのは、しずくが背を向けていた、薬品棚のひきだしだった。しずくはさっそくひきだしをひっぱってみると、思いのほかかんたんに開いてしまう。


「・・・ん?何コレ・・・」


 ひきだしに入っていたのは、一枚の紙。そこには赤い文字でたった一文、書かれていた。


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