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誰そ彼  作者: 冬華白輝
2/11

トイレの花子


2,トイレの花子


 学校の七不思議。ソレはどこの学校でも一度は語られるもので・・・。七つすべてを知ってしまうと、その人は呪われてしまう・・・そんな話もあるわけで。


「そんな話、あるわけないじゃない!!」


 まったく信じるつもりもない、と言わんばかりに反論をする少女。


「で、でも~」


 しっかりと信じてしまって、おびえる少年。


 数日前までなら、こんな風景が見られるハズだったのだが、今現在、この二人は、どこか、この世のものとは思えないものを見たかのように、呆然と席に座っていた。


「しずく、最近元気ないよね。前までは、あんなに明るかったのに・・・」


「かず君もおどおどしなくなったけど、人が変わったみたいに無口になったよね」


 そんなクラスメイトのひそひそ話が教室のあちこちで交わされる。


「ほら・・・例の事件」


「ああ、窓に赤い手形があったっていう?」


「しずくたち、ソレに遭遇しちゃったんだって」


「えぇ~!?」


 クラスメイトが何を言おうと構わない。が、その話だけは、今は聞きたくない。そう思って、しずくは教室を出て行く。




「・・・しずくちゃん」


「かず・・・」


 二人はいつの間にかならんで廊下を歩きながら、だまりこむ。


「・・・あの、先だよね?」


「やめてよ」


「・・・窓にさ・・・」


「やめてったら!!」


 ギロッとにらまれて、かずは口を閉ざす。


「今は、聞きたくないの。・・・お願いだから、もう、言わないで」


「・・・むりだよ。しずくちゃん。・・・だって、僕らはもう・・・」


 ― 関わらずにはいられない。


 そう言って、ニィ、とかずは笑う。


「・・・かず?」


 背筋がぞおっとして、しずくは思わずかずから距離をとる。


「・・・しずくちゃん・・・ほら、そこのトイレ。・・・何が、いると思う?」


 慌ててうしろをふりかえると、壁を塗りかえらればかりの女子トイレ。


「七不思議からは・・・逃げられないよ?・・・しずくちゃん」


どん!


 かずに突き飛ばされ、しずくはトイレの中にしりもちをつく。


「かず!?」


 クスクス・・・と笑いながら、かずはトイレの扉を閉める。


カラカラカラ・・・カタン。


 しずくは扉にとびつくが、びくともしない。


「い・・・いや!・・・あけて!!誰か!」


 ダンダン!と扉を叩いても、何の反応も無い。それでもしずくは懸命に扉を叩く。


「おねがい!!あけてぇっ!!!」




― クスクスクス・・・


「・・・!」


― クスクスクス・・・


「な・・・何・・・?」


 のどがカラカラに渇いている。急に周りがひんやりとして、鳥肌が立ってくる。


― 何して、遊ぶ?


「~っっ!!?」


しずくはハッとして五つならんだ個室の中央。使用禁止と書かれている扉を見る。


「・・・ひっ・・・」


 思い出した。ここは東棟3Fの女子トイレ。七不思議でトイレの花子さんがいるといわれているトイレ。


「・・・いやっ・・・いやああああ!!!・・・あけて!あけてぇ!!」


 必死に扉を叩く。ガタガタと取っ手をつかみ、あけようとする。その間も、使用禁止のトイレから声は問いかけてくる。


― ねえ、何して、遊ぶ?・・・何して遊ぼうか?・・・ねえ、ねえ、ねえ、ねえ・・・。


「・・・いや・・・遊ばないわよ!・・・あんたなんかと遊ぶわけないでしょ!!」


 声の限り叫んで、しずくは扉を背にして、虚空を睨みつける。


― 遊んでくれないの?・・・じゃあ・・・あたしとおんなじめにあえばいい!!


「きゃぁぁああああっ!!」


 しずくの意識はぷつりとその場で切れてしまった。


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