赤い手
冬だけど怪談です。
元ネタは想像や他から聞いたお話です。
皆さんの知る怪談と少し違うかもしれませんが・・・それは創作ということで・・・。
黄昏時・・・または、逢魔が時。
それは、街灯などなかった時代。となりにいる人でさえ顔がよく見えなくなる時間・・・。
そして・・・。
1,赤い手
「しずくちゃ~ん・・・やめようよぉ~」
「うるっさい!怖いんなら、ついてこなくていいわよ!!」
「あう~(泣)」
夕方、誰もいなくなった校舎の中を歩く、2人の子供。
べそべそと涙を流しながらびくびくとあたりを見まわす少年に、少女はイライラと叫ぶ。
「もう!連れてくるんじゃなかった!」
「しずくちゃ~んっ!ひィっ!?・・・お、おいてかないでよ~!!!」
歩く速度をあげて、少女はずんずんと廊下を進む。
ばん!
「・・・っ!!」
「ひィっ!・・・な、何?」
大きな音にぎくりと体をふるわせ、少女はうしろをふりかえる。
うしろには、びくびくとする少年と・・・真っ赤な手形がついた窓。
「か、かずッ!」
少女の指さした先を見て、少年は顔を真っ青にして叫んだ。
「「ぎゃあああああ!!!!」」
ばん! ばん!! ばん!!!
走る二人を追うように、手形が窓につけられていく。
突き当たりまで来たころ、もう二人はへとへとだった。
「し、しずくちゃんっ・・・」
「か、かず!!」
二人は手を取り合い、追ってくる手形を見つめることしかできなかった。
ばん!
そして、最後の窓に赤い手形がついた時、二人は意識を手放した。