突然ですが悪の組織に捕まりました
突然だが、悪の組織に捕まってしまった。そして今、牢屋に入れられてしまっている。よくある、石造りの寒々しい部屋に金属製の柵がはまっているアレだ。窓にもがっちり柵があって出られそうにない。
困った。
けれど、気付いた。
がんばって手を伸ばせば届きそうなところに鍵がつるしてある。
こういう場合、きっとアレが俺が入っている牢屋の鍵だ。つまり、あれに手が届けば出られる! 見回りは時々来るが、見つからないうちにあれを取ればきっと!
今、ちょうど見張りはいない。やるなら今だ。
「よっ」
俺は、鍵に手を伸ばした。が、すれすれのところで届かない。指先が鍵に触れそうなのに、もう少し、というところで触ることが出来ない絶妙な距離だ。わざとやっているんじゃないかと思うくらい、いい感じに届かない。
「くそっ」
俺は悪態を吐く。
が、思った。
手がダメなら、足があるじゃないか。足の方が手より長いはずだ。つま先を伸ばせば、きっと届くはずだ!
ただ、靴を履いていたらせっかくの鍵が上手く取れなくて落としてしまうに違いない。慎重を期すために、靴を脱いで、更に靴下も脱ぐ。
「よしっ」
気合いを入れて、俺は足をピンと伸ばす。
「うっ、くっ」
足がつりそうになるが、牢屋の柵で身体を支えながらバランスを取る。もちろん、足は手のときと同じ高さにして、がんばっている。足は、しっかりとつま先まで伸ばして鍵の方へ向けている。
相当まぬけな格好だ。それも厭わず必死になっているというのに……。
「な、なんてことだ」
つま先までしっかりと伸ばしても、鍵にはまったくかすりもしない。むしろ、手のときよりも鍵は遠い。
「俺、そんなに短足だったのか……」
ひどい現実を突きつけられて、俺は床へと崩れ落ちた。




