4 予想通りのヒロイン属性
「王子と私ってまだ17歳だったんですか?」
「自分の歳も知らないのか?」
「ええ、だって、なかなかこのキャサリンって子、いい体してたんですもの。胸もしっかりあるし、ウエストくびれてるし。」
アーサーが、チラッとわたしの体を見て盛大にむせる。
「な、何を!自分で言ってて恥ずかしくないのか?」
「だって、私はキャサリンの記憶がないし別人格なんですもの。もう少し歳が上かと思った。ああ、でも、わざと年上に見せてたのかもね。」
「わざと?」
「服が体型を強調するものばかり。でも、大丈夫。キャサリンが記憶を戻しても、十分あなたは魅力的だと私が書き溜めておいてあげたから、今後のこの子の私服は変わるでしょう。今度こそ、貴方みたいな浮気男ではない良い方と巡り合わせてあげたいわ」
アーサーは顔を赤らめて、俯きながら、そっと目を背ける。
あらあら、胸を見て顔を赤くするなんて純情ねぇ。
だからリリーにつけこまれるのよ。
ん?
そんな事を考えるってことは、本当の私はもう少し年齢が上なのかもしれないわ。
「まず、そのリリーって子は、恐らく髪の毛ふわふわ、小動物のような動きをして、可愛い穢れのない妹...そんなポジションじゃないの?」
「そうだ!私だけではない。みんなにとってそうなんだ。だからといって君と違って、いつも俺に色目を使うような人じゃなく、みんなに同じ対応をしている」
おバカ。
そういうのをみんなに色目を使うって言うんだよ。
全く。
わたしは、アーサーの肩をちょいちょいと叩いて、首を横に振る。
「はい、訂正。キャサリンにとって、あなたは王子という以外取り柄がないのに、どうしてあなたに色目を使うと思うのかしら?」
「だが、胸が目線に入るような服ばかり」
「貴方がすけべだから、勝手に目線に入れたんでしょ。根本を叩き直して。キャサリンはあなたを好きじゃない。はい、言ってごらん」
「キャサリンは俺を好き...じゃない」
噛み締めるように、じわじわ自覚するようだ。
アーサーの目に影がよぎる。
「そう、それが基本形よ。なまじ、スタイルがいい子だから自分に似合う私服を勘違いしたの。でも制服は変えられないわよね。こんなダイナマイトボディだと、より体型が強調されちゃうの。かわいそうよね」
わたしは、真面目にキャサリンに同情する。
脚なんて細いし、長い。
そりゃ、ミニにしなくても脚も目がいくし、ブラウスからも出るべきものが飛び出るってことよ。
「ああ、ちなみにさ、アーサーは見ることないから教えてあげる。キャサリンってば、胸の形もいいのよ。あれは、丸い桃が二個ついてるようなものよね」
「桃が...2個」
「デカければいいんじゃないの、形と色合いは大事よ。惜しいことしたわねえ。相当体も鍛え上げてるわ。背筋がなかなかなものよ」
「それは知っている。背中がばっくり開いたドレスを着ていた」
アーサーは苦々しそうな顔をする。
「ああいう、派手なのは...良くない」
「あら?好きでもない女の服装なんて気にしなくてもいいのに。」
「いや、だが、婚約者なのだから」
「どうせ、褒めもしなかったんでしょ。それだけ鍛え上げてるんだから、綺麗だけど僕の前でだけにしてぐらい言えば気が利いてるのに。どうしてそれすら言えない男の気を引こうと思うの?」
「......」
無言...ね。
図星か。
「君は記憶がなくてもキャサリンと一緒だな。否定ばかりだ。」
遠くで胸がチクッとする。
コレはわたしの記憶だろうか?
それともキャサリンのかつての記憶?
「あら、私は、あなたが嫌いだもの。ただ、あなたを好きじゃないキャサリンとは大違いよ」
そう伝えると、アーサーは悔しそうに唇を噛み締めている。
キャサリンは、どうしてたのだろう?
アーサーに言われた後は、私のように言い返していたのかしら。それとも、アーサーのように唇を噛み締めていたのかしら?
わたしは、生徒会室から下を見る。
生徒会室は、校舎の中心の塔の中にあり、その塔からは生徒が歩いている姿が見えた。
「あれがリリーだ」
リリーと言われる少女は、走らなくてもいいところで、一人走っていた。




