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乙女ゲームの悪役令嬢に転生したので、攻略対象を犬にしてシナリオを全部バグらせます  作者: かんあずき
聖女編

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1 わたしは極悪令嬢

ふかふかな柔らかい布団、そよそよふく風


ああ、気持ちいい!

ぐっすり眠れて、久々に睡眠不足が解消されるわ。

もう少しこのまま、


あと5分


あと5分だってば......ん?


ふと目が覚めた時、私は見たことがない超美少女になっていた。


はい??

誰これ?


どうやら頭を怪我したのか?

額に包帯が巻かれているらしく、動くとずきっと痛む。


わたしは、どうなっているのかしら?と横に備えられた姿鏡を見る。


へ?誰?コレ!

さらさらのプラチナブロンドの髪に、うわぁ、小さい顔!

お目目ぱっちりで、紫の目ってあるのねぇ。


うへぇ、人形みたい


手も指も細いし、絹みたいな肌だし......

ただ、鏡を見ても、知らない人だわ?



そーっと自分の顔に触れる。

すると、鏡のわたしも自分に触れている。


やっぱり、わたしよね。

わたしなんだけど、あれ?わたし...


わたし...


目を閉じて考えてみる。


私、だれ?






「お嬢様が!お嬢様がお目覚めになられました」


わいわいと何人もの人たちがわたしの顔を見て、走り回る。


「ご主人様を!」

「奥様を呼んで」

「いや、医師が先だ」


目の前にいる人は知らない人たち。

みんな髪をお団子に纏めて、かわいいレースキャップみたいなものをつけている。

白いエプロンに首元まできっちり閉まった黒ワンピ。


確か、メイドっていうのよね?


「あの.....ええと、あなた...ええと」


名前どころか顔すら初めましてだけど、どこかに名前を覚えていないだろうか?


「はい、お嬢様。ナタリーです!ああ良かった。お目覚めになられて。」


「はあ、どうも」


!!!


メイドは驚愕の表情をしている。


「お嬢様、だ、大丈夫ですか?」

「ええと、大丈夫かって言われたら、大丈夫。でも、お嬢様って誰?」


「大変だ!」

「お嬢様が、お嬢様とは誰かと?」

「お医者様を!」


再び、バタバタ周りの人が走り出す。

だが、わたしは何も思い出せないのに思い出していた。


コレって、よくある悪役令嬢系の小説や漫画に似てない?


必ず記憶喪失から、わたしは目覚め。


そうだ!

コレはよくある悪役令嬢物語!


「ちょっと、ナタリー...さん?」

「さん??」


ぎゃーっ!


更に驚愕の悲鳴が遠くでしたわよ。

さん付けしたらダメなの?


いや、そもそもなんで、さん付けをしようと思ったかしら?


「あ、あの、わたしはお嬢様なのよね?」

「ええ!あなた様は、由緒あるマグナカルタ公爵家のキャサリン様でいらっしゃいます」


なんか、こういうパターンを知っている気がする。

うーん、これだけの美少女で、ちょっと「さん」をつけたぐらいで、みんなが動揺するパターン。


やさしく、きいてみようかしら?

答えにくいことを聞くのだものね。

わたしは、首を傾けて、ふふっと笑顔を見せてみる。


「そう、あの.......こう聞くのもどうかと思うけど.......わたしってすごく意地悪だったり、癇癪が激しかったり、贅沢三昧だったりしない?」


ナタリーは、持っていたお盆を


スコーン...カラカラ.....


落とし呆然...



「ナタリー...さん?大丈夫?」

「お嬢様が!お嬢様が!」


ナタリーやその周りにいたメイドたちが一斉に叫んだ。



「お嬢様が大丈夫じゃない!!」





◇◇




「いや、やっぱり?悪役令嬢なんだわ」

「キャサリンお嬢様は、悪役ではございませんよ」


ナタリーは、どうやらわたしが害がない人間と判断したらしい。聞けば色々話してくる。


「そうなの?でも、あなたわたしの反応に驚いていたじゃない?」


落ち着いて、久しぶりと思われる飲み物を口にする。

口の中に、すーっとお茶が吸収されていく。


わたしも、そもそもなんで悪役令嬢という言葉を知っているのかもわからない。

ただ、これはそのパターンである!

そう思っただけだ。


「悪役っていうのは、本当はいい人だけど、悪い役を演じているっていう意味ですよね。ですが、キャサリンお嬢様は、役じゃないんです。そうですね。強いて言うなら、極悪令嬢です」


ナタリーはキッパリ。

あら、この子、記憶がないと思って言ってくれるじゃないの。


「だって、この屋敷でお嬢様の逆鱗に触れて、クビになったものもおりますし、お嬢様のお茶会は泣かされるものが続出、なんていうか毒舌なんですよね」



毒舌かあ。ナタリーみたいな侍女だらけなら、クビを言い渡してもおかしくはないわね。


まあ、でも、今日は不問に伏すわ。

今日は...ね


「あの...わたし記憶はないけど、キャサリンの記憶が戻った後は保証しないわよ?」

「も、戻るんですか?」


ナタリーがガタガタ震える。

どれほどキャサリンはひどいんだ?

わたしはその様子がおかしくて思わずぷっと吹き出す。

それを見て、またナタリーが

「お嬢様が笑ってる!」

そう呟いてガクガク足が震え始めた。


「ええと、何も覚えてないの。でも、こうなるって言うのはなんかわかるのよ。そんな話ばかり見た気がするの。

例えば、こんな記憶が吹っ飛んでて、目覚めたら知らない人になっていて、しかも、自分が貴族の令嬢なら、わたしは、大体は病死か事故死で前世を終わってる。そして転生するパターンだと記憶しているの。誰の記憶かもわからないけど」


「転生?ですか?」


ナタリーは怪訝そうな顔で見る。

きっと、頭を打った後遺症で変な事を言い出したと思うに違いない。


「そういえば、倒れる前のキャサリンは何してたの?きっとキャサリンも、わたしと同じような死にそうな目に遭っていると思うのだけど?」


「死にそうな目......うーん?あって......るのかしら?キャサリン様の婚約者の、アーサー様、ご存知ですか?」


ああ、このパターン!

間違いない!


「全く記憶にないわ!でも、なんとなくだけど王子よね!」


「そうですけど、名前だけで王子だと気づくなんて、さすがキャサリンお嬢様。普段から王子ではないアーサーに価値はないというだけありますね」


ん?

キャサリン、さりげなく酷くない?

ってことは、よっぽどの不細工か、短足か、はたまたその足が臭いのか?


大体、このパターンのやられ王子は、頭が弱いけど、非の打ち所がないイメージなのに?

記憶違いかしら?


「そいつは王子だから価値があるの?」


目を瞑ってみる。

どうやらキャサリン、王子の婚約者になるための訓練をずっと受け続けている気がする。

だって、いろんな王宮マナーが頭の中に浮かんできたもの。


「私は、王子の婚約者になるために..特訓していた?」

「大正解でございます!」

「その、アーサー様が運命の愛を知ったから、婚約破棄をしたいとキャサリン様に言ったところ、二日間倒れられたのです」


へぇーっ

そりゃ、酷い。

そのバカ男もアホ女も、浮気を運命というあたり終わってる。

きっと、わたしの前世はサレ女だったんだわ。


サレ女?

なにそれ?記憶は断片的にしか出てこなくてイライラする。

私は、ふーっとため息をついて、そのイライラは閉じ込める。


精神衛生上良くなさすぎね。


「もしかして、もしかしてだけど、それは公衆の面前で言われたとか...」


私はこめかみをぐりぐり抑えた。

なんか、わたしって、極悪令嬢なのに、結構可哀想なことになってない?


「そうでございます、もしかして記憶が?」

「いいえ、全くないわ。」


私はキッパリハッキリ答えた。


そのぐらい、私の頭の中は真っ白なのに、悪役令嬢とは、いわれのないことで婚約破棄をされて、国外追放、もしくはギロチン、もしくは娼館、もしくは牢屋で衰弱などなどろくなことにならない記憶だけがあった。



うーん?

「ねえ、ナタリー。そのアーサーは、王子だとしてもそこまでの価値がある男なのかしら?」


そう思って聞いていたら、バタバタと足音が聞こえてくる。


「キャサリン!大丈夫か?」

「あのバカ王子!必ず王妃と一緒にとっちめてあげるからね」


私は突然、年配の髭の男性に泣きつかれ、豊満な胸の女性にパフパフされる。


誰?

わたしは、胸に窒息させられそうになり、目を白黒させるが、やっぱり記憶にない。



私は、うーんと俯きながら唸っていると、記憶がなくて苦しんでいると解釈したナタリーが、慌てて二人に説明する。



「ご主人様、奥様。キャサリンお嬢様の様子がおかしいのです。どうやら、ご記憶がないようでして...」

「それは記憶喪失というやつではないか?」


入っていた二人は、私の両親かあ......

いや、キャサリンの両親ね。

でも、このお母様も綺麗な人だわ。

物語もやっぱり遺伝子、ぷさいくな女から、美少女は生まれない......コレ、どっちの記憶?結構毒舌ですこと。



困ったなあ。

ベースの私の記憶が何もないんだけど。

いや、でも転生ってそんなものかもしれない。

前世の記憶なんて、みんな持ってないのが当たり前よね。


「ええと......とりあえず、わたしはキャサリンで、そこのお二人の娘で、わたしの世話をしてくれているのはナタリー、そして、アーサーという王子が婚約者だったけど、運命の愛を知ったからと一方的に婚約破棄をされた...ここまであってるかしら?」


私はナタリーの目を見つめる。

ナタリーは、真面目な顔でこくんと頷く。


「そうです。そして極悪令嬢で、人をさん付けして呼ぶようなお嬢様ではないのですわ」


そう言われて、お前も大概なメイドだよ。

そう心が叫んでいた。


その時──


「アーサー王子がお見舞いに来られています。どうされますか?」


部屋にいたお父様...そう、きっとお父様と思ったから、そうキャサリンは呼んでいたのね。

そのお父様とお母様の顔が般若になる。


あらぁ、王子のポジション、弱いんじゃない?


今にも、しばき倒してやろうとする勢いで、キャサリンの両親を名乗る二人は部屋を飛び出して行った。








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