朝と悲劇
次の日、もしかしたら夢オチでしたー…なんて期待していたが、目が覚めたらやっぱりホテルの自室だった。
黒瀬「はぁ…」
深いため息をつきながら俺は端末を開く。時刻は4時。
しかも妙に目が冴えて二度寝する気にもなれない。
おそらく起きてる人は居ないだろうなと思いつつも、俺は1階の食堂の方に向かう。
もちろん誰もいない。と思いきや…
「あれ、来たんだ」
食堂には朝早いにも関わらず、鹿野さんが座っていた。テーブルには、分解した銃らしきものが置いてある。
黒瀬「…朝早いんすね、鹿野さん」
鹿野「まあ、私は生活リズムが他の人よりズレてるから。で、黒瀬は?」
いきなり呼び捨て…。まあいいや。
黒瀬「俺はたまたま早く起きただけなんで」
鹿野「そうなんだ」
黒瀬「…ところで、銃の手入れっすか?」
鹿野「うん。やることないし、部屋だと机のスペースが狭いから」
黒瀬「…もしかして話しかけない方が良かったっすか」
鹿野「別に、お喋りしながら手を動かすの離れてるから」
黒瀬「ちなみに人と話すこと自体はどうなんすか?」
鹿野「何か誤解されてそうだけど、別にお喋りは嫌いじゃないから」
そうなのか。初日とか誰とも話さずに部屋に戻ってたから、てっきりコミュニケーション取らないタイプの人だと思ってたけど…。
とか考えてたら、冬川さんが入ってきた
冬川「朝早くから密会?」
黒瀬「たまたま会っただけっす」
鹿野「黒瀬と同じ。で、何しに来たの?殺人現場の下見?」
冬川「何で俺初っ端から疑われてるのさ」
鹿野「安易に人を信じてその人が人狼だったらどうするの」
黒瀬「最初のリアクション的に俺は初っ端から信頼されてるっぽいんすけど」
鹿野「黒瀬は別カウント」
冬川「なんだそりゃ。まあいいや。所で、ひとつ聞きたいんだけどいいかな」
黒瀬「別にいいっすけど」
鹿野「私も。プライベートな質問以外なら」
冬川「俺さ、黒瀬くんと会ったことあるんだよ。ここに連れてこられる前に。覚えてない?」
黒瀬「なんすかそれ。ナンパっすか」
冬川「覚えてないのか。なんなら鹿野ちゃんにも会ったことあるよ?」
鹿野「覚えてない。あと気持ち悪い。」
冬川「酷いなー。まあ、この話は後でみんなが集まったら話すよ。じゃ、俺は部屋に戻る。ぶっちゃけ眠い」
鹿野「永遠に眠らないことを祈ってる」
冬川「怖っ。」
といいながら、冬川さんは食堂から出ていった。
鹿野「私も、手入れ終わったから図書館に行ってくる。」
黒瀬「俺もといて言っていいっすか?早く起きてしまって暇なんで」
鹿野「え…。別にいいけど」
すんなりOKもらったため、俺は鹿野さんと図書館に向かった。
図書館は、色々な本が置いてあった。ミステリー本に、殺人考察本という謎すぎる本、オカルト本、メリバな恋愛小説に三角関係バットエンドな恋愛小説などなど…。最後の方は誰向けなんだよ。
黒瀬「すごい品ぞろえっすね」
鹿野「正直、ミステリー本とか殺人考察本とかは殺人に利用されそう」
黒瀬「言われてみれば確かに…。」
正直、本を手に取っただけで疑われそう…なんて考えすぎか。
そうして俺は迷った末、「殺人図鑑」を手に取った。色々な殺し方が書かれている。後ろからナイフでグサリ、縄で首を絞める、紅茶に毒を混ぜるなど、小説に出てきそうなオーソドックな殺し方がびっしり。利用されないようにこっそり預かっておこう。
黒瀬「とりあえず俺はそろそろ部屋に戻るっす。」
鹿野「…そう。殺されないよう気をつけて」
警告してくれてるんだろうけど、なんか…怖いっす。
そして自室に戻ろうと階段を登った。そして自室までの道を進もうとしたら、冬川さんが床にうつ伏せになって寝ていた。
黒瀬「冬川さん?いくら眠いからって、そこで寝るのは良くないっす…。」
俺がそう言いかけたところで、俺は
冬川さんが寝ていないことに気づいた。
そして、冬川さんの倒れているところが、赤く染っていることにも気づいた。
冬川さんの体を起こした。
黒瀬「…は?」
ナイフが刺さっていた。
冬川さんの脈が止まっている。心臓が止まっている。
つまり、冬川さんは…
黒瀬「…嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」
信じたくない。目の前の光景は見間違いだと思いたい。
佐々木「…黒瀬、くん?」
佐々木さんの声に気づき、俺は我に返る。
黒瀬「佐々木…さん?待って、これは俺じゃなくてでも誰がやったのか分からなくた死んでるの見ちゃっただけで」
佐々木「黒瀬くん、落ち着いてください!俺は君を疑ってはないから」
河野「朝からうるせえぞ…。なんだこれ」
河野さんにも見られたあと、館内アナウンスが鳴り響いた。
「死者が発見されました。至急、4階廊下にお集まりください。」
いかがでしたか?
もし良ければ感想、そして矛盾点などの指摘など、お願いいたします。




