プロローグ・後編
テオドア「今からあなたがたには、命を懸けた人狼ゲームをしていただきます!」
その言葉に、俺達は絶句した。
命を懸けた人狼ゲーム。
文面だけでも薄々勘づく。
自分たちは、これから仲間同士で殺し合わなければならない。
後藤「人狼ゲームってことは、今から俺達は殺し合いせねばならんということか?」
日暮「えっ」
テオドア「察しが早くて助かります。その前にこれを」
そう言ってテオドアはそれぞれに携帯端末のような物を渡した。
携帯端末を起動させると、自分の名前と、アプリケーションのアイコンと思わしきものが表示される。
ホテルの地図、館内規則、参加者同士のメッセージ機能、参加者の軽いプロフィール、他の端末の検知、時計機能によく分からないが狼が描かれたアイコン。
テオドア「この端末はホテルのキー代わりにもなっています。無くしたら部屋に入れないと思ってください。まあ、無くした時のために、他の端末を検知する機能をつけましたので、大丈夫かと思いますがね。」
佐々木「それ、他の人が検知機能起動してくれる前提じゃないですか」
テオドア「まあ、無くさなきゃいい話です。ではそろそろ、肝心な人狼ゲームの説明を。大雑把なルールは知ってると思いますが、改めて説明いたしま」
加藤「確か、人狼を引いた者は市民側を殺して、市民側は昼の議論で誰が人狼か話し合う、だったよね?」
テオドア「…説明する手間が省けました。ですが、今回は、少しアレンジを加えました。」
黒瀬「どういうことっすか?」
テオドア「まず、死体が見つかった場合、3時間ほど捜査する時間を設けます。そして操作時間のあとは、誰が人狼かを見つけるため、議論していただきます。そして、最終的には多数決で、誰か一人に投票していただき、過半数の表を集めた者が人狼とした処罰されます。」
鹿野「処罰って?」
鹿野さんの問いに、テオドアは邪悪な笑みを浮かべて答えた。
テオドア「処刑に決まっているじゃないですか」
鹿野「…でしょうね」
百合川「なんでそんなに冷静なの。普通怖がるとこでしょ」
黒瀬「百合川さんも怖気ついて無さそうっすけどね」
テオドア「ちなみに冤罪でも処刑します。尚、票が割れた場合は誰も死にません。」
佐々木「冤罪でも処刑って、流石にどうかと思いますが?」
テオドア「今の日本でも冤罪で処刑されることがあるじゃないですか。それと、黒幕を見つけでもしない限りは残り3人以下になるまで続きますので、そこのところ把握を。」
黒瀬「ちょっと待ってくださいっす。なんでそこまで殺し合いさせようとするんすか。それに黒幕ってなんの事っすか」
テオドア「人の死をみたいからですよ。私、人の死を見るのが大好きなので。」
百合川「うーわサディスト…」
日暮「ひいいいいいいい!」
藤野「詩愛ちゃん落ち着いて!」
テオドア「それと、黒幕についてはまたの機会に。では、人狼の選定をしますので、人狼アプリを開いてください。」
後藤「ちょっと待て!日暮がまだ…」
日暮「あ、私…平気なので…。さっきは、びっくりしただけで…」
藤野「本当に大丈夫?まだ無理しない方がいいんじゃ…」
日暮「本当に、大丈夫だから!むしろ、私のせいで迷惑かけたくないので…」
テオドア「…では人狼アプリを開いてください。」
テオドアに促されるまま、俺達はアプリを開く。
アプリを開くと、画面には選定準備中という文字が浮かぶ。
そして少し経った後、テオドアはどこからかタブレットを取り出して画面を覗き、こう言った
テオドア「では、全員アプリを開いたことが確認出来ましたので、選定を始める!!」
その言葉とともに、テオドアはタブレットの画面をタッチした。それと同時に、端末の画面が変化し始める。
「黒瀬裕也:市民。」
画面にはそう表示された。人を殺さなくていいのは安心したが、これから、殺人が起こるかもしれない。そう思うと背筋が凍りそうだ。
テオドア「ではゲームを開始します。ちなみに、人狼が1週間殺人を行わなかった場合、処刑ですので、そこのところは頭に入れて置いてください。」
サラッととんでもないこと言ったこいつ!!
そんなこんなでもう時間は20時を過ぎていた。
規則によると、22時から6時までは夜時間で、浴場のしようが制限されるらしい。
早めに風呂、入っておくか。
そう思った俺は大浴場へと向かった。
「おや、君も浴場に行くのかい?」
声のした方を向くと、そこには加藤さんと河野さんがいた。
黒瀬「2人も風呂っすか」
河野「たまたま出くわしただけだ」
加藤「僕はこれから入ろうかなって思ってたけど、一緒に入るかい」
黒瀬「ご一緒させてもらうっす」
そして、加藤さん、そして結局河野さんも渋々ながら一緒に浴場に向かっていった。俺も2人を追いかけて浴場に向かった。
大浴場はびっくりするぐらい広くて、風呂なのに迷子になりそうだった。
河野「にしても、まさか知らんやつらと仲良く殺し合いしろと言われるなんて、とんだ不幸だな」
加藤「まあ、河野くんとかは仕事のスケジュールも山積みだろうし。黒瀬くんは学校とかは?」
黒瀬「不登校気味だったので関係ないっすね。」
加藤「そうかい。まあ、人のプライベートに触れたくはないし、深く詮索しないでおくよ。」
黒瀬「感謝するっす。所で、さっきから河野さんずっと黙ってません?」
河野「…」
加藤「…のぼせてるねこれ」
黒瀬「俺、河野さん担いで風呂出るっす!」
そして俺は思ったより早く風呂から出ることになった。
河野「すまん」
黒瀬「気にしなくていいっすよ。のぼせやすい人って意外と多いっすから」
河野「そうなのか。まあ、今後の演技の参考に出来るか」
職業病ってやつなのか?なんてことを考えながら俺は河野を部屋まで送った。
河野は「今日のことは黙ってろよ」といいながら部屋に戻った。
風呂でのぼせるくらい誰にでもあるでしょうよ …。
とか考えながら、俺も自室に戻る。
黒瀬「なんかもう疲れたっす…。」
今日一日で情報量が多すぎて頭が回らない。
一旦寝よう。
俺はそう決断した。
寝て頭をリセットしよう。
いかがでしたか?
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